マッハ20の初代死神でも幻想郷は辛かった   作:螢雪

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妖夢「ヤッホー!今回の前書きは、この度東方人気投票で一位に輝きました(2020年度)、私、妖夢がお送りしまーす!

さーて、今回も投稿が遅れたわけですが、今回はしっかりした理由があると、ここの作者から伝言を預かってます。何やら課題の難易度が爆発的に上がり、さらにバイトが入って忙しさが増したと…。

甘えんなボケェ!時間は作り出すもんなんだよ、生活と両立出来ないで物書きの面すんじゃねぇ!…あっ、いけない、私のイメージが…。

はーい、さてさて、今日の話は何と!場面の切り替えが無いそうです!つまりぶっ通しで同じ場所ってこと、…これどうなんでしょ?

は?今回私出てない?ふざけんなオラァ!こちとら一位だぞ、舐めてんのかああん!?…っていけないいけない。キャラを守らなくちゃ。

…ん?もうとっくにキャラ壊れてる?てか読者さんに指摘されて既に「キャラ崩壊」タグをつけられてる?あと話が長いから切る?ちょ、待て待て待て待てまだ話したいことがたくさ(ブチッ)」


マッハ20の初代死神を、幻想郷は嫌うのか3

 

「…って、またここですか…」

 

殺せんせーが降り立ったのは、またも人里である。今回はどこかの家屋の裏だったので、前回のように人里の人間に騒がれはしなかった。

 

「ニュ…、人里だと騒ぎが大きくなるので、ここは早めに抜け出したいところですが…」

「全く弱気ね。挑戦の精神を持ったらどうかしら?」

「人のことだからって無茶言わないでください…」

 

無責任な発言をする紫に、殺せんせーは困った顔をする。

 

「あまり姿を出さないでもらえませんか、目立ちます」

「あら、一目で怪物とわかる姿のあなたは目立たないとでも?」

 

紫は殺せんせーに対して敵対的、挑発的である。しかし殺せんせーは、それにおどおどするような人物(?)ではない。

 

「ヌルフフフ、そのようでは一年間も生き延びてはいられませんよ。修学旅行の引率をも完璧にこなした、私の変装術をご覧なさい!」

「えっ、ちょ」

 

殺せんせーは言い終わるなり、物陰から外に出た。予想外の行動に、紫が戸惑う。

 

(まさか、姿を人間にすることが…!?)

 

隠しだねの一つか、と紫がやや警戒しながら、後をついていくと、

 

 

 

やたら大型の、人っぽい生物がいた。

 

 

 

「え、何あの人…」

「急に現れなかったか…?」

「デカすぎ…、こんな人いたっけ?」

「なんだか関節が曖昧なような…」

 

唖然とする紫。殺せんせーはドヤ顔を決めて、紫に顔を向けた。まるで完璧だと言わんばかりに。

 

(こんな奴を一年間も殺せなかったなんて…、向こうのお偉いさん達はさぞかし悔しかったでしょうね…)

 

「素晴らしいでしょう、この完璧な変装は。特にこの鼻。私の顔にピッタリ付くように断面を工夫しました。これは私の生徒が作ってくれたのが元でしてねぇ…」

 

「生徒」という単語に、紫がピクリと反応する。

 

(こうも生徒、生徒と言われると、どうもムカついてしょうがないわ…。自分が彼らにしたことを知っているはずなのに。…いや、悪者はそれを気にしない思考なのかしら…)

 

「臨時の面談の時も助かりました。いやでもあれは確かに烏間先生そっくりだったはずなのですが、何故か生徒達に怒られて…」

「…ねぇ、ちょっと」

 

紫はつい口に出してしまった。怒りの口調に驚いた殺せんせーは、「何か?」と聞き返す。

 

(…これって、言ってしまってもいいのかしら。いや、言ったら何をするかわからない…)

 

どう誤魔化すかを考えていると、

 

「死ねっ!」

「ニュヤッ!?」

 

突如繰り出された攻撃を、殺せんせーが間一髪避ける。

 

「…くそっ、やっぱり危機察知能力が高い!」

「…って、あなたは」

 

紫に気づいたその人物は、紫を見るとギクリとした。

 

「げっ、紫さん?」

「『げっ』、って何よ」

「いや、誰でも幻想郷の賢者と会ったら『げっ』って思いますよ」

「あなた元は月の兎なんだから、関係ないでしょ」

「テキトー言わないでください」

 

とにかく、と優曇華院は殺せんせーに指を向ける。

 

「人里に何の用ですか。また破壊活動でもするつもりですか?」

「はっ破壊!?何のことです!?」

 

殺せんせーが困惑する一方、紫は強く興味を持った。

 

「破壊?どういうこと?」

「少し前、寺子屋の一部が吹っ飛んだんですよ。そしたら近くにこいつがいて」

「えっ、違いますよ!あれは妹紅さんがやったことです!」

 

慌てて否定する殺せんせー。それに対して優曇華院は言い返すかと思いきや、

 

「…あれ、そうだったっけ」

 

何よ違うんじゃない、と紫は内心がっかりした。

 

「うーん、よくわかんない…、って、誤魔化されるかっ!」

「ホントですって!」

「やかましい!人の胸ばっか見てるエロダコの話なんて、誰が信用するものですか!」

 

うぐぐ、と殺せんせーは反論に詰まる。その隙に紫が優曇華院の耳に顔を寄せて言う。

 

「まぁ、あなたも見られたの?」

「ええ、しかもあいつ、妹紅さんの胸には反応しなかったんですよ。いくら小さいからって、露骨ですよねぇ」

「ほーんと、女の敵だわ」

「ニュヤッ!精神的攻撃をするつもりですか!結構効くのでやめてください!」

 

まるで陰口のように非難されて、殺せんせーは動揺した。このタコ、精神面は非常に脆く、昔、E組の皆を夏祭りに誘ったときに、生徒に断られ続けると泣いていた始末である。

 

なお同時刻に、無性に妹紅の怒りが芽生えたのは、別の話である。

 

「…って、そんな話してる場合ではない!」

 

優曇華院は仕切り直して、指を殺せんせーに向けた。

 

「今度は何を企んでいるか知らないけど、どっちにしても死んでもらうわよ!ぶっちゃけ私も報酬欲しいし!」

「本音出てますよ!ていうか、私何も悪いことしてません!」

「何言ってんの、こんだけ周りが阿鼻叫喚してたら、まず疑うのは怪物のアンタの方…」

 

優曇華院の言葉に、殺せんせーが首を傾げる。

 

「え、阿鼻叫喚、ですか?」

「は?」

「いや、皆さんは、私の格好を見て疑っているだけですよ」

 

(疑われている自覚はあったのね)

 

どうでもいいところに紫が気づく横で、優曇華院がうろたえる。

 

「あ、あれ、いやでもこの混乱した波長は、」

「だ、大丈夫ですか?」

 

ターゲットである殺せんせーにすら気づかわれ、本来はムカつくところであるが、優曇華院は今、非常に混乱していた。

 

紫は何かに気づき、指を指した。

 

「…あれじゃないの、見えないけど」

「…?」

 

指を指した方向を、2人が見る。確かに何も見えないが、その先からは確かに、

 

「…騒ぎ声がしますね、というか、だんだん近づいてません?」

 

やがて声だけでなく、慌ただしく動く人間の姿も確認できた、その中を突っ走って、こちらに向かってくる紅白の人間が、

 

「…は?何でアンタ達がそこに」

 

霊夢だった。よほど走ったのか、汗をかいている。

 

「ていうか何で紫もいるのよ」

「どうでもいいでしょ、それより何の騒ぎ?」

 

紫が聞くと、霊夢が深刻な目で答えた。

 

「天界から、衣玖が龍神からのお告げを伝えに来たわ、地震が起こるってね」

「地震!?」

 

 

 

永江衣玖(ながえいく)

竜宮の使い

龍神からのお告げを伝える。

だがその内容はアバウトで

役に立つような立たないような。

 

 

 

「今回は珍しく普通に伝えてくれた、余程のことらしいわね」

「地震…って、幻想郷でも起こるのですか」

 

殺せんせーの言いたいことはわからなくもない。日本列島のどこかに存在していても、幻想郷は博麗大結界で守られており、存在は異世界と同義である。地震はプレートのズレ等で発生するのだが、一見、異世界である幻想郷はプレートの影響を受けなさそうだが、

 

「幻想郷と外の世界は、表裏一体。外であまりに大きな地震が起きると、その影響は幻想郷にも及ぼされるの。昔あった大地震も、影響を受けていたわ」

「あとそれよりも小規模なものがもう一回。あれはどこぞの頑丈娘が起こしたとか何とか言ってたけど」

「…って、そんなこと言ってる場合じゃないんじゃないですか!?」

 

優曇華院が少し涙目でそう叫んだ瞬間、

 

 

大地が、揺れた。

 

 

「皆さん、建物からは離れて!今すぐ!」

 

霊夢が出せる限りの大声で警告をする。優曇華院も反対側に飛んで行った。

 

だが、それと同時に、

 

「何で!?」

 

大きな音を立て、殺せんせーらがいた辺りの建物が崩れ始めた。

 

「いくらなんでも早すぎる!もう少し持ち堪えてくれないの!?」

「無理じゃ」

 

そう言ったのは、年配の住民だった、地に伏せ、手で頭を守りながら、霊夢に声をかける。

 

「ここら一帯は、人里でも一番古く建てられた家屋ばかりじゃ、老朽化が激しく、なおかつ他の地帯よりも重要度が低いから、改築もそれほど進んどらん」

「ざけんじゃないわよ、今度組合の組長にあったら胸ぐら掴んで文句言ってやる!」

 

霊夢がそう悪態をつきながら、奥へと進んでいった。

 

「道の真ん中で伏せて!建物に潰されるわよ、ってバカ!何してんの!」

 

あろうことか、這いずってでも家に戻ろうとしている子供を、霊夢が何とか掴んだ。だがその子供は、泣きじゃくりながら霊夢に訴える。

 

「母さんが…、母さんがまだ中にいるんだよぉ!」

「っ!?」

 

霊夢がギョッとした瞬間、

 

 

 

その家は目の前で崩れた。

 

 

 

「…!!」

 

目を見張る霊夢。号泣する子供を他所に、もっと早く警告できれば、と後悔した。

 

いや、悪いのは私か?衣玖がもっと早く警告すれば…、いや、龍神のお告げが遅かったからでは?そもそも家の修理を怠ったのも…、

 

 

…いや待て、

 

 

 

 

 

何故私は、誰かのせいに、

 

 

 

 

 

「霊夢さん!受け取ってください!」

 

 

聞いたことのある声に、霊夢はハッと意識を取り戻す。そして声の方向を向くと、

 

「ぶべらっ!」

 

何かが乗り掛かってきた。ぶつかった衝撃と地面に倒れた衝撃で、目を回しかける。

 

「いった…、ちょっと、何が」

「母さん!!」

 

子供が、霊夢の上にいる人物に抱きついてきた。その重みがまた霊夢にかかる。って、

 

「母さん!?」

 

上に乗った2人を押し除け、がばりと起き上がる霊夢。子供は泣き喚き、母親は何が起こったかわからないという顔をしていた。

 

「…あなた、外にいたのなら、早く子供の側に行きなさい。心配していたわよ」

「…いえ、私、さっきまで家の中に、あれ?」

 

崩れている自分の家を見て、困惑する母親。同じく霊夢も困惑していた。

 

そして、さっき聞こえた声の主が思い当たった。

 

「…まさか!」

 

霊夢は辺りを見渡した。人里の住民が、道の真ん中で頭を守り、うずくまっている。

 

その中には、そうせずにポカンと周りを見渡している人もいた。その人数は、目線が一周するごとに増え、また増え、さらに増え…。

 

やがて揺れが収まった時、霊夢の前に大男が降り立った。

 

「フゥ、やっと揺れが収まりましたね」

「…あんた、」

 

殺せんせーだった。しかも数人の人間を抱えている。彼らは得体の知れない触手に掴まれて酷く困惑しており、殺せんせーが解放すると走ってどこかに逃げ去っていった。

 

「助けて、くれたの?逃げ遅れた人を」

「ええ。流石に屋内にいる全員を外に出すのは無理でしたから、崩れそうな家から、重点的に外に連れ出しました。もちろん、私の超スピードだと、人間の身体はバラバラになってしまいますので、移動速度は抑えましたよ」

 

ドヤ顔を見せる殺せんせーだったが、その顔を霊夢は驚愕の目で見ていた。

 

…しかし、その目はやがて、敬意を示すような目に、

 

「霊夢さんっ!」

 

優曇華院の焦った声に、霊夢はすぐさま振り返る。

 

「手伝ってください!この中に逃げ遅れた人が、」

「わかったわ」

 

優曇華院が指差す場所にある瓦礫を、上から順番にどかす。

 

「…ここに本当にいるの?」

「ここの家の子が、風邪で寝ていたんです。家の間取りを教えてもらったところ、この辺りで寝ていたはずなので」

 

声をかけながらしばらくどかし続けると、畳が見えてきた。それと同時に、布団と子供の腕も覗いた。

 

…しかし、その腕は動いていない。

 

「…」

 

優曇華院が声に出せないでいる横で、霊夢が最後の瓦礫をどかした。

 

 

 

子供は、胸に穴を開けて横たわっていた。

 

 

 

「…腕だけだったらよかったのに」

 

腕を失っても、生き残る余地はまだあった。だが、身体の中心を貫かれては、どうしようもない。

 

「…申し訳ありません。私が来た時には、既に胸を貫かれていました」

 

後ろから殺せんせーの声がかかる。殺せんせーでも、間に合わなかったのだから、仕方がないのだろう。

 

…いや待て、

 

「貫いていた木片は、私が取り除きました。霊夢さん、その子を抱えて私の前へ、お願いします」

「はぁ?ちょっと待ちなさいよ、この子に何する気、」

 

優曇華院が鋭く殺せんせーを睨みつける。それに対し、霊夢は子供を抱えて、殺せんせーに近づいた。

 

「え、ちょ、霊夢さん!?何やってんですか、こんな怪物のいうことを何故」

「黙ってなさい」

 

霊夢の眼光は、優曇華院の目とは比べものにならなかった。優曇華院が何も言えずに、口をパクパクとさせる。

 

「霊夢、いい加減にしないと私も、」

「文句があるなら、後で弾幕勝負抜きの殺し合いでも何でも引き受けるわ、だから今は黙ってて」

 

紫をも退ける霊夢。聞いたことのない覚悟の言葉に、さすがの紫も怖気付く。

 

(何なの…、何でこの最悪の怪物の肩を持つっていうの?)

 

霊夢と殺せんせーの周りでは、多くの野次馬が集まっていた。怪物が何をするのか、しかし近くには博麗の巫女が怖い顔でいる。気になるが近づけない状況で、2人を中心として一定間隔の円状に人だかりができる。

 

「…で、どうするつもり?明らかにもう助からないこの状況を、あんたには覆せるの?」

「いえ、私は死人を生き返らせるほど、超人ではありません」

 

しかし、と殺せんせーは続ける。

 

「私は、目の前で死にゆく人間の一部なら、救うことができます」

「…?」

 

言っていることがよくわからないでいると、霊夢の目の前に球体の何かが差し出される。

 

「この子の血液、体細胞を、集めて無菌状態で保存したものです」

「!?」

「私が来た時、この子は貫かれる瞬間でした。ですので、それらが土などに染み込まないうちに、私が全て回収したのです」

 

殺せんせーは、糸のようなものを、霊夢の目の前で組み立て、手の形にした。

 

「これも…、あんたの身体の一部?」

「ええ、私は自分でも数えられないくらいの触手を持っていますから。…さて、では始めます」

 

殺せんせーは無数の触手を使って、子供の穴の修復に取りかかった。

 

精密かつ高速の治療に、周りの人は唖然とするばかりである。

 

「あんた…こんなこともできるの…?」

「元は生徒の為に磨いた技術です。たとえ生徒がバラバラにされても、目の前にいさえすれば、私が助けられるように」

 

(生徒…?)

 

殺せんせーの言葉に、紫が反応する。

 

「…私は、大事な人を救うことが出来ませんでした。人を殺す触手しか考えずに…」

 

殺せんせーの話を、霊夢は静かに聞いていた。優曇華院と紫も、口を挟まない。

 

「私の技術や姿は、後悔から生まれたものです。後悔したからには、同じ後悔をしたくはありませんからね」

「後…悔…」

「…霊夢さん、あなたも今まさに、後悔したことでしょう」

 

ピクリと、霊夢が肩を震わした。殺せんせーが現れる直前のことの話だ。

 

そうだ、私は、自分ができなかったことを、守れなかったことを、

 

 

 

私は、誰かのせいにした。

 

 

 

 

霊夢の首筋に、一つの触手が添えられた。

 

「後悔を糧にして、人は成長します。ですので、あなたがした後悔は、絶対に忘れないでください」

 

優しく諭す殺せんせーの言葉は、不思議と尖り始めた霊夢の心を和らげた。その言葉には、慰めの言葉は含まれなかったはずなのに。

 

「…まるで教育者ね」

「ええ、それを目指していましたから。…さて、」

 

殺せんせーが手を止めた。子供の胸の傷は、傷痕を残さずに治されていた。

 

「霊夢さん、下ろしてください。これから蘇生を行います」

 

霊夢が地面に子供を置くと、殺せんせーは二つの触手を的確な場所に置き、子供の身体に電気ショックを流す。

 

「…まさか、」

 

優曇華院が信じられないという顔をした。子供が咳き込み、目を開いたのである。

 

途端、その周りで歓声が響き渡った。人里の住民の喜びの声である。

 

子供の母親と父親が駆け寄り、子供を抱きしめた。子供は何が起きたかわかっていない顔をしている。

 

「フゥ…、疲れました。あ、念のためしばらく様子を見てくださいね。体力を戻さなきゃいけませんから」

「…え、ええもちろん」

 

殺せんせーに話しかけられた優曇華院は、戸惑いながらも了承する。

 

「…どうして」

「ニュ?」

 

紫の小さな声に、殺せんせーが気づく。紫は半ば睨みつけるように、殺せんせーを見つめた。

 

「どうしてあなたは、そんなことができるの。自分を殺そうとしている奴らを、どうして助けることができるの」

 

殺せんせーはしばらく考えた。そしてさらりと答える。

 

「わかりません」

「っ!?」

「わかりませんが、これをしないと後悔することだけは、わかります」

 

殺せんせーは紫に歩み寄った。そしていつもの顔で、話を続ける。

 

「紫さん。あなたは、私に何があったかを知りましたね。私が教師のフリをして、生徒を人質にとったと」

「な、」

 

気づかれた、何で、と、紫は動揺する。それを落ち着かせるような口調で、殺せんせーは話した。

 

「私を暗殺対象とし、勉学や青春に忙しいはずの彼らに、暗殺の時間をも作らせることは、間違ったことかもしれません」

 

初めは賞金の100億円で彼らを釣り、暗殺を教室に取り入れた。強引なやり方は否めない。

 

「ですが私には、彼らを育てる義務があった。ここで逃げると、私が後悔するだけでなく、彼らも悲惨な運命を辿りかねない。かと言って、この姿で安全に教師をやるなど、不可能でしょう。

 

だから私は、自分を売ったのです。どうしても担任になる為に、私を危険な対象だと思わせ、その脅威の力で脅した。自分を悪者にするには、非常に勇気が要りました。ですがそのリスクを負ってでも、そうするべきだと、私は思ったのです」

「…でも結局は、生徒に殺されたのよね。ある後悔は避けても、新たな後悔が生まれなかったのかしら?」

「いいえ、そんなことはありません。私が全力を尽くした暗殺教室は、私の想像以上の存在になりました。思い残すことは無いに等しいです」

 

育てた生徒に殺されておいて、後悔がない…?生徒に憎悪を向けられても平気ってことなの…?

 

…いや、殺された時、向けられたのは、憎悪じゃない?

 

殺すことには、何か別の感情があるっていうの?

 

「さて、私はまた、幻想郷観光を続けますかね。今日はどこに行きましょう…、っと、ここなんかいいですねぇ。では」

 

バシュッ、と、殺せんせーがその場から消えた。警戒していなかった紫は、まんまと逃げられてしまったことに、遅れて気づく。

 

どこに行ったのかと、周りを見渡した時、気づいた。

 

「さっきの大男、どこに行った?」

「あれってさ、指名手配されてた怪物じゃない?」

「怪物なのに、あの子を助けてくれたのか?」

「ただ助けたんじゃない!生き返らせたんだ!」

「じゃあ何で、あの怪物は指名手配されているの?」

 

人里の住民がやいのやいのと言い合っている。殺せんせーの善行、及び指名手配の理由への疑問を。

 

「あーあ、手厳しいわね紫。彼を殺そう派が揺らいで来たわよ。多数決の差がどんどん広がるかもしれないわねぇ」

 

ニヤニヤと笑う霊夢。だが何も言い返さない紫に不審がる。

 

「…気味が悪いわね、何か言い返しなさいよ」

「…作戦を立てるわ」

 

紫はそれだけ言って、人里の住民に気づかれないように消えた。

 

「…まーだ懲りてないのかしら。やーねほんとおばさんは」

 

霊夢は諦めて、人里の後処理を始めた。




こんにちは。次また妖夢を召喚すると斬り殺されかねないのでやめときます。
ゆかりんはどんな作戦を立てるんでしょうかなぁ。
ちなみに地震や月の定義は当然作ってます。
東方原作と時系列が合わないのは内緒。一応暗殺教室の方は合わせてるつもりです。
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