_________________その日の放課後。
「鳴海!」
名前を呼ばれて咄嗟に構えた。
『ハイッ!』
菅原さんへとボールをレシーブであげる。
少し体勢が崩れたけれどなかなかにいい感じ。
返球されたところに菅原さんが
柔らかくトスを上げていく。
そこに木下さんがスパイクを打ち込んだ。
縁下さんがブロックをするが
弾かれてコート外へ。
「『ナイスー!!』」
3人でハイタッチをする。
「くそー…負けちゃったか…、
よし!休憩ーー!」
『「「あス!!!!」」』
皆で清水さんの持って
きてくれたドリンクを飲む。
いやほんと清水さん綺麗なのな……?
美人すぎて目が潰れる…田中さんの
反応もわかるわ…、惚れる……。
タオルで汗を拭きながら座り込む。
そう、今は部活で3対3をしていた。
朝の2対2といい今日は戦うのが多いなあ、と
練習内容を教えて貰った時
思わず乾いた笑いを漏らしてしまった。
正直運動部、ましてやバレー部の
部活内容なんて知らないし、
想像出来ないから
少し怯えてたところもあるけど。
経験を積めるのはいいことだ、と
大きく息を吐く。
あっつい。外は寒いけど体内が
熱を持っている。
サポーターもなんだか汗を吸って
気持ちが悪い。あんまり良くないの
買っちゃったか……?
眉をひそめながらサポーターを外せば
結構滑り込みでレシーブをしたから
膝のサポーターが
擦れていた。
買ったばっかりなんだけどなあ、と
体育着でパタパタと扇いでいれば
菅原さんに声をかけられる。
「そういえば鳴海めっっちゃ
上手くなったなー!
なんか、こう…慣れがでてきたというか」
ジェスチャーつきでわたわたと
手を動かしながら菅原さんが言った。
それに同意するように成田さんが口を開く。
「あー!分かります!」
特にレシーブに安定感出てきましたよね、
と言われて照れる。いやマジで照れる。
「秘密の特訓の成果だな!鳴海!」
田中さんに背中をバンバン叩かれながら
そう言われて頷けば澤村さんに
感心したように頷かれる。
「そうか、朝練少し早めに来ているんだったか
……偉いな、頑張っているんだな」
まるで父親のような眼差しで見られて
褒められて…いやマジで、照れる……。
『先輩達のおかげですわ……』
そう小さくこぼしつつ
視線から顔を逸らして鼻頭をかけば
照れ隠しと分かったらしい菅原さんに
頭をガシガシと撫でられた。
「も〜〜お前ってやつは〜!!」
「おりゃりゃりゃ!」
悪ノリした田中さんにもこづかれつつ
思う。なんだかんだいって
俺も頑張ってはいるけれど
その前に先輩達が色々教えてくれるから
上手くなってんだよなあ……。
でも口に出すのは恥ずかしすぎるので
黙っておくことにする。
自分で実感したように、
他の人にも見えるんだ。
何年かぶりに直球で褒められたそれに
俺は小さく笑ったのだった。
努力は報われる。
それだけで俺は救われた。
もっと頑張ろう。
「よし、次やるぞ!」
澤村さんが空気を変えるように
手を打ち鳴らす。
バラバラとドリンクを飲み干して
立ち上がる中縁下さんがボードを確認した。
「ローテは……大地さん、俺、鳴海対
スガさん、成田、田中ですね」
『縁下さんと澤村さんと一緒のチーム…!』
チーム分けに思わず声に出る。
主将と未来の主将と同じチーム…!
2人とも安心感かな
「はは、よろしくな」
「じゃあ、審判俺ですね
サーブはどちらから?」
「鳴海の練習の成果を見せてもらうべ!」
『ぎゃー……プレッシャー…』
からからと笑いながらボールを手に持った。
もう何度も手に馴染ませた感触。
他の人より歴は短いけど
それを埋めるために頑張った!
スゥ、と息を吸って
向かいのコートを見据える。
右肘をしっかり引いて、
ボールを高く上げすぎない。
上体をしっかり反らせ、
ボールの芯を叩く。
踵が少し浮いたがその代わり
ボールにしっかりと体重を乗せられた。
背筋がヒヤリとしたのも束の間、
ボールは綺麗にコート内へと入っていった。
「「「ナイスー!」」」
『ありがとうございます!!!』
内心ガッツポーズをしながら
コート内へと駆け込む。
そうしてハイテンションのまま部活を終えた
翌日、木曜日の事だった。
やっぱりアイツらはやばいんだって
肌で実感する。