慣れないステップを踏んで   作:迦楼羅。

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▼2話 慣れないことはするもんじゃない

さて、前回から日にちは飛ぶ。

 

あっという間に三日経って

今日が体験入部開始の日である。

勿論これもご都合主義。

 

ぼちぼちと始まった授業をこなし

さて、放課後である。

廊下には新入生を勧誘しようと各部活の

先輩達が集まっていた。

 

…まあ、俺は男バレ入るんですけどね!!!!

ちなみに入学式の日の夜母親にその事を話したら

「漫研に入るとか言ってたのにどうしたの?

天変地異の前触れかしら?」とか言われて。

 

でも新しいことに興味を持つのはいいことね、と

シューズとか部費を出してもらえることになった。

すごく有難い。とんでもなくかかるからね…。

 

運動部の方々に勧誘されつつ

それをやんわりと断りながら進む。

下へと降りる階段の先でアニメで

よく聞いていた声が響いていた。

 

「そろそろ部活開始時間だし

勧誘切り上げて行くか」

 

「そうだな…」

 

ひょい、と壁から顔を覗かせれば

そのうちの一人と目が合ってしまった。

し、しまった…気づかれる予定ではなかったのに…!

 

先輩と目が合っときながら何もしない俺ではない。

 

 

 

 

 

丁寧におじぎした。

 

 

 

 

いや声かけるとか無理。

爽やか笑顔で「こんにちは先輩」とかも無理。

普通に無理では????

 

「あっうん…?」

 

普通に会釈してくれた。

ちょっと呆気にとられた顔だったけど。

見つかってしまったものは仕方ない、と

とてとてと歩いて3人の横を通り抜けた。

 

『すみません、失礼します…』

 

「あっ、ねえ、君」

 

なんの前触れもなく声をかけられて

肩がびくり、と上がるが

何事も無かったのように振り向いた。

 

先輩の垂れ下がった眠そうな瞳と視線があう。

 

「部活どこに入るか、決めた?」

 

その言葉に思わず

ニヤリ、と口角を上げて答えた。

 

 

『男バレです』

 

 

その瞬間3人とも一瞬固まったあとに

口を緩ませた。

 

「そっか、じゃあ俺たちの後輩になるんだな」

 

俺は成田、と黒髪坊主の人が声をかけてくる。

それに便乗するように縁下先輩と木下先輩の

名前を教えてもらった。

まぁ、実は3人とも存じ上げておりましたけどネ!!

 

『1年4組 鳴海 出流です、よろしくお願いします』

 

改めて頭を下げた。

よろしく、と言う違う音色の声が降ってきて

思わず頬が緩む。

 

さて、部活の場所へと向かおう。

 

縁下先輩が勧誘用のプラカードを小さく振って

片付けがあるので先に行っていいよと

言ってくださる。手伝おうとすれば

着替える時間とかも含めたら早く行った方がいいと

成田先輩にまで言われてしまった。

 

その隣で笑う木下先輩を見て

苦笑いを零しつつお言葉に甘えることにする。

 

「じゃあ、また後でな鳴海」

 

そう言って3人は俺が降りようとした

階段の方とは逆方向へと歩きだそうとする。

俺ははた、と大事なことに気がついて

口を開いた。

 

『先輩』

 

そう呼び止めれば3人とも俺の方を向いて

不思議そうな顔をした。

 

少しいい感じで終わりそうだったけど

申し訳ねえ…!

こちとら死活問題なんだよォ…!!

 

 

 

『部活場所って何処でしたっけ』

 

 

その瞬間ずっこける音と呆れたような笑い声が

廊下に響いたのだった。

 

 

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