なんだこのカオス。
体育館についてまず最初に思ったことである。
顔の怖い先輩。ガンガン叩かれる脇側の扉。
散らばったバレーボールと
その側で困ったようにする先輩2人。
「いっ入れて下さいっ影山ともちゃんと仲良く
なかよくしますからああああ」
そしてフェードアウトする音声。
チベットスナギツネ顔になるのは
仕方が無いと思うんだ、うん。
「日向ともちゃんと協力します!
部活に参加させてください!!」
どういうことだってばよ…、と
原作知識あるけれど困惑していれば
気づいてくださった柔らかな髪色の先輩、
つまり菅原さんである、が声をかけてくれた。
「…もしかして入部希望者かな?」
『あっはい、1年の鳴海出流って言います』
ぺこり、と頭を下げればそうかそうかと
笑いかけてくれる。
これが噂の天使スマイル…ほわほわと
していれば田中さんにも声をかけられる。
2人に経緯を説明してもらい澤村さん、
影山、日向の名前も難なく知ることができた。
先輩の名前を紹介されてないのに知ってるとか
おかしいからね、そういうところも
考えなきゃってのが面倒臭いとは思う。
ピシャーーーン!!
はあ、と溜息を無意識のうちに
吐こうとしたところで
唐突に響いた音に肩をびくつかせる。
その音の方向へ顔を向ければ
澤村さんがちょうど扉を閉めて
こちらへと歩み寄ってくるところだった。
ああ、影山のあの馬鹿正直発言が
終わったところなのか。
漫画でも怖かったあの据わった瞳を
思い出して肩がこわばる。
いや、まじであれ現実で見たら無理な気がする。
がくがくぷるぷる…つまり
ひえぇ、ぼくわるいスラ○ムじゃないよぉ、と
怯えていれば菅原さんに
肩をポン、と叩かれた。
振り向けばすぐ側に菅原さんの笑顔。
あらまぁ素敵ッッ、とふざけたことを
内心で披露していれば菅原さんが口を開く。
「大地、そんな怖い顔すんなって!」
ほら、新入部員来たぞ!とそのままの勢いで
突き出されこれが噂の人身御供!!?と
怯える勢いのまま頭を下げた。
『いっ1年4組の鳴海出流ですっ
よろしくお願いしますっ』
あれ(変人コンビ)の二の舞には
絶対なりたくねえぞ…と緊張していれば
苦笑いする気配が頭上から伝わってくる。
カチコチになりながらも顔をあげれば
澤村さんが困ったような顔で頬をかきながら
どう言葉を出そうか悩んでいた。
「あー、主将の3年澤村大地だよ
ごめんな、変なところ見せちゃって」
ちょーーーっと問題児が来ちゃってな…と
眉を下げたまま笑う姿に
なんとなく肩の荷が下りる。
そんな人ではないだろう、と漫画を
読んでた時に予測はつけてたし
実際そうだったんだけれど3次元として
目の前に立たれるとまた違う。
心の準備はしてたつもりだったんだけどなぁ、と
澤村さんの笑う姿につられるようにして
笑みを零せば自己紹介が終わったと踏んだ
菅原さんが声をかけてきた。
「縁下達もそろそろ帰ってくるし
練習始めんべ?」
そう言われて思わずソワっとする。
俺以外1年生がいないっていうのが
不安要素ではあるけれど
アイツらも含めればのちのち4人入ってくるわけだし。
田中さんが準備すんぞ!鳴海!と
倉庫へ走っていったのについて
慌てて駆け出す。そして気づく。
あれ…2人組になったとき…
1年で俺、ぼっちじゃね…?
絶望しかなかった。