ありがとうございます…!
そう、したのだ。
「勝負して勝ったら入れて下さい!!!」
『「!?」』
ほのぼのとしていた中で突如響いた
大声に勢いよく振り向けば、
「とか言ってきそうじゃないスか?」
なんて田中さんが飲んでいたのであろう
ドリンクのボトルを振りながら
話しかけてきた。
唐突すぎてびっくりしたわ……。
飛び跳ねた心臓を宥めるように
胸を撫でて菅原さんを見れば
彼は苦笑いしていた。
「有り得るけどな!」
そう言いつつジャージの裾を直す。
「頭冷やしてちょこっと反省の色でも
見せればいいんだけどな」
な、なんて同意を求めてくるから
俺も頷いた。知ってはいるけど
俺その現場見てないからね???
「アイツらもそこまで単細胞じゃないだろ」
澤村さんがそう笑って言うから
俺は思わず口を開きそうになって
慌てて閉じた。
単細胞です……単細胞なんです…。
原作知識として知っているから
口を挟みたくなるけど
俺は知らないんだ、そう、ヾノ・ω・`)シラナイ…。
そわ、そわ、としていれば
田中さんが何を勘違いしたのか
こそこそっと近寄ってきて
今度教えてやるからな、なんて言うものだから
お願いします、と笑った。
今度(教頭のカツラ吹っ飛び事件)教えてやるからな、
ということなのだろうな。
くすくす堪えきれずに笑っていれば
でも、と澤村さんの低い声が響いて
笑いを抑えてそちらを向く。
「……仮にそう来るとしたら、
影山が自分の個人技で何とかしようとするんだろうな」
バレーは個人技ではない。
「影山は、中学から成長してないって事だな」
俺は思わず目を伏せる。
正直な話、個人的な意見だけど
あの環境下で成長しろっていうのは酷だと思う。
あの性格にあの環境、さらには周りとの
歯車の噛み合わなさ。噛み合っていた、または
成長出来ていたら烏野には来なかっただろう。
酷いことを言うようだけれど。
俺は、影山がその状態で烏野に来てくれて良かった。
白鳥沢に落ちて、烏野に受かって、
日向と出会えたから、烏野排球部に入ってくれたから
未来の影山があるのだと思いたい。
っていう勝手な自己主張は置いといて。
「中学でそうだったようにある程度までは
個人技で通用しても更に上へは行けない」
「「『……。』」」
澤村さんの言葉は、正しい。
あれは、身体も頭も出来上がっていなかった
中学までだったから出来たことだ。
空気が重い。首を振ってどうしようか、と
思考しようとした時だった。
「「キャプテン!!!!」」
「「!?」」
『ひぇっ……』
「何だっ誰だっ」
田中さんがばっと振り向いて声のした方へと向かった。
菅原さんと2人で胸を撫でて落ち着かせる。
怖……シーンとなってたから余計響いてたわ…。
心臓がバクバクとなっている。無理怖…。
「……あれっ、お前らっ」
田中さんの驚いたような声がしてそちらを向けば
開いた扉の隙間から黒髪と橙色の頭が覗いていて
ああ、と察した。
「ずっとそこにいたのかよ!?」
澤村さんと菅原さんが顔を見合わせて
扉の方へと向かっていくので
俺も野次馬精神で付いていく。
視界の隅に入った縁下さん達は
苦笑いしながらこちらを見ていた。
「勝負させて下さい!」
「俺達対先輩達とで!!」
その声が聞こえて思わず笑いそうになる。
す、と流れのまま扉付近まで近づけば
2人の顔が良く見えた。
「!!ブホッマジでかっ」
田中さんが噴き出す。
さっき言ってた通りに
なりましたからね…予言かな??
「「(せーのっ)」」
「「ちゃんと協力して戦えるって証明します!!」」
せーのって…もろ聞こえてるがな。
身を乗り出した田中さんのビバ単細胞!という言葉に
思わず頷いてしまった。