ジリリリリリリ、とけたたましく
耳元で目覚ましの音がする。
出たくない……寒い…
オイルヒーター付けてんのに寒い…。
てか外暗くねーか…今何時だよ……。
『うぇ…』
バチリ、と振動する目覚まし時計を
叩けば音が止む。寒いんだ寝かせてくれ…。
こちとら東京の人間じゃ…
寒さには弱いんだ…関係ないけど…。
ごろり、とベッドの上で転がり
薄らと目を開ける。
まだ学校まで時間あるよな…?
そう思いつつ時計に目を向けた。
『、アーーーーーッッ!!!!』
やっべ!!!?
思い切り飛び起きれば
少しくらりと頭が痛んだが
そんなこと気にしてる場合じゃない。
今!!4時!!!!半!!!!
集合5時!!!!!!!!!!!!
慌ててベッドから転がり落ちるように抜け
クローゼットを開けて体育着とジャージに
袖を通す。昨日のうちに詰めといた鞄を掴み
どたどたどた、と階段を駆け下りた。
リビングの電気がついていない。
ということはまだ自分の部屋で
母さんはまだ寝ているようだ。
は、と気づいて慌てて足音を立てないように
尚且つ素早く動くように務める。
こんな朝っぱらから起こすのも可哀想すぎる。
冷蔵庫の隣にあるパン用のボックスから
数個ほど適当にランチパックや惣菜パンを
抜き取りぎゅうぎゅうの鞄の中身の上から
押し込んで入れた。
昼には潰れてんだろうなこれ。
飲み物は学校の自販機が安かったので
そこで買えばいい。
時計を見ればもう40分になっていた。
髪の毛はぐしゃぐしゃのままでもいいが
さすがに顔は洗いたいし歯も磨きたい。
音を立てないように洗面所に駆け込んで
迅速に、なおかつ丁寧に事を済ませた。
ジャンパーを羽織り、ネックウォーマーを着け、
いざ出陣!先輩を待たせるわけにはいかないし
日向と影山は早めに着いてそうだ。
自転車の鍵を持って玄関の扉を開けた。
『いってきます』
小さな声で誰にも聞こえないように言ったはずなのに
上からか細く行ってらっしゃい、と
見送りの声がした。
うーん、なんとかなるもんだ、と
息を上げながら思う。
なんとか10分前には辿り着いていた。
『腹減った…』
ぎゅる、とお腹が鳴っている。
寒さと空腹で身体が不調を訴える。
やだ俺の体軟弱すぎ……?
朝練をこのまま行えば絶対的に
身が持たないので
持ってきた惣菜パンを朝食として食べながら
体育館へと向かう。
まだ誰も来ていないようで
入口付近はガラン、としている。
何だか雰囲気があって怖い。
扉の階段に腰掛けぼーっとしながら
パンを咀嚼した。
身を刺すような寒さだ。慣れないうちは
これは辛いだろうな、と思いながら
すぐ側にあった自販機で買った
ぐんぐんヨーグルを飲む。
田中さんとかいつ来るんだろ、と
空を見上げながらパンの包装紙を
握りつぶしたときだった。
じゃり、と石を踏みしめる音が聞こえて
バッと顔をそちらへと向ける。
特徴的な太陽の色の髪の毛がちらり、と見えた。
『お』
即座に立ち上がってジャージのケツ部分に
着いた砂埃を手で払う。
『おはよう』
「おはよう!」
俺は覚えてるけど日向は
覚えててくれてるんだろうか、と少し不安になった。
一日で忘れるということはないと思いたい…!
『昨日流れで紹介はしたけど
改めまして、俺は鳴海出流。よろしくな!』
「俺は日向翔陽!よろしく!!!」
差し出された手をしっかり握って握手握手。
何組?と聞かれ4組だ、と答えれば頭良いな!と
驚いたような、感心したような顔。
褒められたと思いたい。そして照れたい。
日向とは普通に良い友達関係を
築けそうで少し安心した。