既に忠義を尽くす主は無くした。
しかし、自らの使命はやりぬかねばならない。
心を無に、ひたすらに目の前の敵を狩るだけ。
最後に与えられる報酬も、私にとっては無意味になる。
ただ、使命を全うすればいい。
なのに、心を燻られる。
目の前のアレを、倒さなければいけない。
何故?
それは分からない。
けれど、私は、この感情を抑えられそうにない―。
こうして男は強い感情を知る。人間しか持ちえぬこの感情を、男はどう解釈するのだろうか。
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初めて見る狂気に私は恐怖を抱いただろう。
しかし、理性は保っていた。
どれだけ己が恐怖を抱こうとも、決して理性は私が慄く事を許してはくれない。
私が背負っているものは、たとえ泣き出したくなるような恐怖でも、投げ出すことはできないものだ。
共に闘ってくれる仲間がいる。守るべき仲間がいる。
それだけで私は闘える。
あの恐怖は私たちの手で乗り越えなければいけないものなのだろう。
私が知っている限り、いつの時代も恐怖に打ち勝つものは人間だと決まっているのだから。
男は決意を知る。人が持ちうる最も高潔な感情を、男は忘れてはいない。
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私には何もない。
だからあれを見たとき、ただ震えることしかできない。
彼は「それでいい」と言っていたが、彼女は「それではダメだ」と自分を奮い立たせている。
私はどうするべきだろう。
彼女のように立ち向かう勇気が欲しい。
彼のように守るための力が欲しい。
初めて、自身の無力さを恨んだかもしれない。
せめて、私に立ち向かうだけの勇気を。
せめて、私に立ち上がるだけの力を。
そして私は叫ぶ。
たとえ無力でも、私は立ち上がらなければならない。
たとえ非力でも、私は立ち向かわなくてはならない。
そうしなければ叶わない夢がある。
だから私は、全力で、叫んだ。
そうして男は夢を見た。
斯くも儚き純粋な夢を見る。
男は、どのような顔をしているのだろう。
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最後に、男の聖杯戦争は幕を下ろす。
最後の時に、男は何を思うのだろうか―