ゴブリンスレイヤー:ワンイヤー・ビフォア   作:ダラ毛虫

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少々思い付いたので、女魔術師の話と並行して徒然と

本編1年前時点のゴブスレさんの等級は不明ですが、多分まだ銅等級だろう、と



本作では、後述のダイスによりクエストの成否を判定します

試行したら8回目のクエストで1人死亡しましたが、次の冒険者はきっとうまくやるでしょう




ファースト・セッション

 15才になったら街に行き、3人で冒険者になろう。

 

 最初にそう誰かが言い出したのは、6、7才の頃だったか、或いは、もっと前だったか。

 

 いつからかもおぼろ気な、始まりの記憶。

 

 

 

 剣士、戦士、野伏。

 それぞれが自分の得意なことを鍛えて、やがて来る旅立ちに備えていた。

 

 

 

 鍛えていて良かった。

 もっと力があれば、良かった。

 

「……生きてるか……?」

「おう……。どうにかな……」

「わたしも……。でも……村が……」

 

 鍛えていたから、生き残れた。

 力が足りなかったから、故郷は、滅んだ。

 

 自分たち3人以外は、父も、母も、弟も妹も親戚も友人も隣人も、みんな死んだ。

 ゴブリンの群れに、殺された。

 

 

 

 よくある話。

 よくある話だ。

 開拓村がゴブリンに襲われて滅びるなんて、この西の辺境では、この四方世界では、幾らでも転がっている話だ。

 

 冒険者を志していた少年少女が必死に抵抗し、辛うじてゴブリン共を撤退させたことは、少しばかり珍しい。

 

 

 だが、結局、村は滅びた。

 ゴブリン共に、滅ぼされた。

 

 みんな、殺された。

 

 

「……なあ」

「おう」

「…………うん」

 

 

 みんな殺された。

 

 だからーー……。

 

 

 

 ーーゴブリン共は、皆殺しだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ゴブリンスレイヤーと女神官が出会う、1年前。

 3人組の、繰り返し繰り返し繰り返し繰り返しゴブリン退治を受ける一党(パーティー)が、辺境の冒険者ギルドに名を連ねた。

 

 

 これはそんな、よくある話。

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

「10匹くらいのゴブリンの巣、ですか……」

「はい。退治の依頼があれば、是非受けたいんですが」

 白磁等級に登録したばかりの3人に対し、冒険者ギルドの受付女性は笑顔で応じつつ、内心頭を抱える。

 

 ギルドに持ち込まれるゴブリン退治の依頼は、基本的に辺境各地の村から来ている。

 当然、村人から聞き取りした情報が全てであり、ゴブリン退治1つ1つについて巣の規模を調査できるほど、ギルドの予算は潤沢ではない。

 

 さてどうしたものか、と受付女性が悩んでいると、ギルドの扉を開け、1人の冒険者が入ってきた。

「おはようございます! ゴブリンスレイヤーさん!」

「ああ」

 即座に彼のところへ行く、同僚の受付嬢。

 書類整理で事務所の奥に居たはずなのだが、足音で誰が来たか判断したのだろう。他の冒険者には向けない、あからさまにとても良い笑顔だ。

 まあ、ストイックな冒険者が好みな同僚が、半ば彼の専属のようになっているのは、この4年間で見慣れた光景である。

 

「ゴブリンスレイヤーさん、教えていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「なんだ」

 それよりも、今重要なことは、彼、ゴブリンスレイヤーなら、依頼書の僅かな情報から巣の規模を判断できるのではないか、ということだ。

「こちらの依頼の中に10匹程度のゴブリン退治があれば、彼ら3人が受けたい、とのことなのですが……」

「そうか。

 ……これと……これ……いや、こっちは20匹以上の可能性があるな、俺が受けよう」

「ありがとうございました」

「では、ゴブリンスレイヤーさんの依頼については、こちらで処置させていただきますね」

「ああ」

 するりと、彼が受けると言った依頼書が、受付嬢に持っていかれた。

 別にそんなに警戒しなくても、友人の想い人を取りはしない。だから、その目が笑っていない笑顔で見るのはやめてほしい。怖い。

 

 

「……ゴブリンスレイヤー、か……」

 

 ぽつり、と目の前の新人冒険者が呟いた言葉に、受付女性はハッと我に返る。

 言うまでもなく、今は仕事中である。

 

「あの人は、どういう冒険者なんですか?」

「ゴブリンスレイヤーさんですか?

 そうですね……単独(ソロ)でゴブリン退治を専門とされている、現在は銅等級第4位、近いうちに、銀等級第3位になるかもしれない、なんて言われている方ですよ。

 ゴブリン退治の依頼は増える一方ですから、ギルドとしては非常に助けられていますね」

「なるほど……」

 剣士の少年、おそらく、3人組の頭目(リーダー)は、もう1度呟き、考え込む。

「彼もこれからゴブリン退治でしょうから、あまり長い時間はかけられないと思いますが、質問があれば聞いてみてはいかがでしょう?」

「はい。ありがとうございました。

 依頼は、このゴブリン退治を受けます」

 

 

 要望には応えた。助言し彼への質問を促した。職員として依頼の手続きもした。

 

 やるべきことはやった、と、受付女性は、同じく手続きを済ませ出発しようとしているゴブリンスレイヤーの元へ向かう3人組の背中を見ながら、考える。

 

 

 やるべきことはやった。

 それでも、あの3人が無事に依頼を達成し、生きて街へ帰って来られるかは、神々のサイコロ次第だ。

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

「襲撃は『夕方』か『早朝』……長い武器は洞窟では使えない……血脂で刃が鈍る前にゴブリンの武器を奪う……可能なら、巣穴に入らず(いぶ)り出す……水薬(ポーション)と松明とロープは最低限準備する……ゴブリンは毒や罠を使うこともある……横穴からの奇襲に注意……」

「トーテムがあったらゴブリンシャーマンがいる可能性が高い……田舎者(ホブ)とは正面から戦うな……捕まった女性が人質にされる可能性がある……子供だろうとゴブリンは見逃すな……同じ戦術を連続で使うな……必要となったら武器は投擲しろ……松明は武器になる……メモを残すな……」

「3人全員、治癒(ヒーリング)解毒剤(アンチドーテ)の水薬に、革鎧と鎖帷子と革帽子が買えて良かったよね」

 ぶつぶつと繰り返す少年剣士と少年戦士に苦笑しつつ、少女野伏が言う。

 ゴブリンに滅ぼされた故郷では、現金を置いて行っても誰も使えない。

 村中からかき集めた資金は、駆け出し冒険者ではなかなか手が届かない、それなりの装備と道具を3人分揃えるのに、どうにか足りる額だった。

 

 武器は元々、短めのショートソードと盾、ショートスピア、ショートボウに短剣という、閉所での戦いに適した物を持ってきている。

 

 

「あった……ここが依頼された、ゴブリンの巣だ」

「トーテムって言うのは、なさそうだな」

「見張りが2匹……もうそろそろ夕方……あいつらにとっての『早朝』ね」

 

 やれることはやった。

 

「…………行くぞ……!」

「おう……!」

「ええ……!」

 

 後はもう、全力を尽くして挑むだけだ。

 

 




自分が思うままに書いたら、本編開始直前くらいに、救援に来たゴブスレさんが3つの死体を見下ろして「……運が悪い」と呟くデッドエンドなので、こうなったらサイコロ任せだ! と吹っ切れました

つまり、次回の初陣がどんな結果になるかは、筆者もサイコロ振るまで分かりません






以下、興味が無い方は読み飛ばして問題ないダイス判定について


【クエスト判定】

各ダイスをそれぞれ剣士、戦士、野伏の判定とし、3d6(6面ダイス3個)のクエスト判定を実施

1,2が出たら負傷判定に移行
5,6が出たら、次回クエスト判定+1または負傷判定のフォローが可能


【負傷判定】

クエスト判定で1,2,5,6が出た人数の個数、6面ダイスで負傷判定
クエスト判定で5,6を出した者の目は、より目が低い者の負傷判定に加算

1:致死(1d2の判定を実施し、1で死亡、2で瀕死)
2:瀕死(《蘇生》の奇跡を要する)
3:重傷(《小癒》の奇跡を要する)
4:軽傷(次回クエスト判定-2)
5:軽傷(次回クエスト判定-1)
6以上:無傷

負傷判定の者が6を出した場合は、自力で切り抜けた、とし、フォローは不要

無傷または軽傷が1人以上居れば依頼達成


【復帰判定】

重傷、瀕死からの復帰は、1d20+(達成した依頼数)で判定

《小癒》:目標値10
《蘇生》:目標値20

復帰判定に失敗した場合、次回クエスト判定は参加不可
瀕死の場合、復帰判定失敗後、1d3の判定を実施し、1で死亡、2で引退、3で継続
クエスト終了毎に、復帰判定を実施する

復帰した者は、次回クエスト判定-2



【終了について】
作中時間1年経過、または全員が重傷、瀕死、引退、死亡となった時点で、完結とする
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