ゴブリンスレイヤー:ワンイヤー・ビフォア   作:ダラ毛虫

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さぁて今回のダイスさんは……


!?!




セカンド・クエスト

 今度の依頼も、当然ゴブリン退治。

 巣の規模は、前回の依頼書と見比べて、多分小規模だと思われるものを選んだ。

「正直、本当に小規模か、自信はないけどな」

「ゴブリンスレイヤーさんに聞けたら良かったんだけどね……」

「会えなかったんだから仕方ねぇだろ。前回は、ゴブリン退治の注意点だけでも、頭が痛くなる数だったしな」

「あれに加えて、依頼書から情報を読み取る方法まで教えてもらうとなると……」

「……わたし、頭割れるかも……」

 結論、実地で学ぶしかないのだ。

 3人が教わったゴブリン退治の要領(ノウハウ)も、ゴブリンスレイヤーが実戦の中で経験し、蓄積してきた情報なのだから。

 

 

 依頼を受けたゴブリンの巣穴を目指しながら、一党は前回同様、教わった内容をぶつぶつと繰り返す。

 

 知っているか知らないか。

 知った情報を活かせるか。

 

 それが生死を分けるのだと、彼らも前回、身をもって、命をかけた実戦で学んでいた。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「見張りがいないな……」

「……傷まないように返り血やらは拭き取ったが、装備の臭いは、臭い消ししなくても大丈夫だろ。

 問題は……」

「わたし、だよね……。はぁ……匂い袋が欲しいわ……」

「ないものねだっても仕方ねぇよ。で、どうする、頭目(リーダー)?」

 そうだな、と少年剣士は眉間に皺を寄せる。

 

 

 少女野伏を連れていけば、女の匂いを嗅ぎ取られて、奇襲はできないだろう。

 

 少女野伏を置いていけば、横穴や罠を見逃す可能性があり、戦闘でも弓矢の支援を受けられない。

 ただし、外から巣に戻ってくるゴブリンを警戒するのであれば、ここに彼女を見張りとして残すのは、妥当な選択に思える。

 

 

 どちらも一長一短。

 

 だからこそ、悩み所だ。

 

 

「決めた。3人で行こう」

 考えた末に、少年剣士は決断した。

「俺たちだけじゃ、奇襲できても仕留められるのは精々2匹。

 それより、3人で手数を増やして、横穴や穴を見落とさない確率を上げた方が、勝算は高い」

 多分。

「最後に『多分』って聞こえたんだけど?」

「まあ、判断としちゃあ妥当なんじゃねぇか? 多分」

「あんたたち……気が抜けるからやめてよ、それ」

「気を張り詰めすぎて失敗するよりは良いだろ」

「そうだな。多分」

「やめなさいっての」

 3人顔を見合わせて、苦笑し、それから切り替える。

 

 

 さあ、ゴブリン退治だ。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「これで5匹目、と」

 洞穴の奥へと進みながら、少女野伏の香りに誘われたのか、散発的に出てくるゴブリンを狩っていく。

 3人はまだまだ駆け出しだが、前回と故郷への襲撃、2度の戦闘を生き延びた冒険者。少数のゴブリンなど、問題にはならない。

「この調子で終われば、楽なんだがなぁ」

「……そんな言い方されたら、何か嫌な予感がするんだけど」

「とりあえず、気を抜かず、注意して行こう、2人とも」

 軽口を交わしていた少年戦士と少女野伏が、頭目(リーダー)である少年剣士の注意喚起に、了解、と頷く。

 

 トーテムらしき物は、見ていない。

 

 ゴブリンシャーマンは、居ないはずだ。

 

 

 しかしーー……。

 

「何だこいつ……!? デカイ……!」

田舎者(ホブ)って奴か!?」

 

 ーー渡りの用心棒が居るかどうかは、外からの情報では、判断が困難だ。

 

 

 

「2人とも! 正面から戦わないで!」

「……ッ! わかった! 1度下がって、守りを固める!」

「おう!」

 想像以上の巨体、とても自分たちの攻撃が通じそうにない相手に怯んでいた少年2人が、少女野伏の声で我に返る。

 田舎者(ホブ)から一党(パーティー)が距離を取ると、その隙間を埋めるように、ゴブリン共が殺到する。

 

 だが、守りに重点を置けば、田舎者(ホブ)の怪力がなければ、前衛2人で充分に食い止められる。

 

 田舎者(ホブ)にとっては、他のゴブリンが前を塞いで、冒険者たちに近寄れない状況。

 片手で手近な1匹をつまみ上げ、後ろに放り投げながら、おそらく「邪魔だ! どけ!」というような内容を、ゴブリンの言語で叫んでいる。

 

 

 大口を空けて、(わめ)いている。

 

「そこぉッ!」

 

 その口の中に少女野伏の矢が滑り込んだ。

 

 体格の差により、下から上へ。

 口内から脳幹を貫き、後頭部へ突き抜ける。

 

 

 致命の一撃(クリティカル)

 

 ぐるん、と白目を剥いた田舎者(ホブ)は、そのまま、2匹のゴブリンを巻き込んで、背中から倒れた。

 

「よくやった!」

「よっしゃあ! 大戦果だ!」

 用心棒の死に、びくりと動きを止めたゴブリンの群れ。

 好機(チャンス)とばかりに前に出る、少年2人。

 

 

 後はもう、掃討戦だ。

 

 油断せず、危なげなく、一党はゴブリン退治を完遂した。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「「「乾杯ッ!!!」」」

 

 2度目の依頼達成。

 しかも、前回とは違って、全員無傷の完全勝利。

 打ち上げも少し豪勢に、肉料理の大皿を注文した。

 

「いやぁ……誰も怪我をしなくて、本当に良かったよ……」

「おう。あのデカブツが現れた時には、ヤバイかと思ったな」

「ふっふっふーん♪ わたしのおかげねー♪ 誉め称えなさーい♪」

 上機嫌に酒杯を干す少女野伏。

 酔い潰れてはいないが、良い具合にほろ酔いだ。

 

「まったく……田舎者(ホブ)が出てくるなんて、実戦は何が起きるか、わからないな……」

「俺らは一瞬固まっちまったしな……。お前が冷静で助かったよ」

 しみじみと語る、少年2人。

 そんな仲間たちに、少々酒気の入った少女野伏も、真面目に応じる。

「ゴブリンスレイヤーさんから田舎者(ホブ)について聞いた時に、正面から戦えないなら、わたしの出番だ、って思ってたのよ。

 こっそり、話に聞いた田舎者(ホブ)の喉の高さに的を置いて、弓の練習してみたりとかね」

「なるほどなぁ……ってお前、口から頭を貫いたの、喉狙いが上に逸れたのかよ」

「う、うるさいわね! 結果的に致命の一撃(クリティカル)だったんだから良いでしょ!?」

「あはは……これもサイコロの出目、かな。何にせよ、誰も欠けずに田舎者(ホブ)を倒せたなんて、運が良かった」

 

 

「ほう……田舎者(ホブ)を倒したのか」

 

 盛り上がる一党に、ぬうっと近付く人影1つ。

 

「ゴブリンスレイヤーさん!?」

「お久し振りです!」

「色々と教えてくださりありがとうございました! おかげで助かりました!」

「ああ」

 ゴブリン退治の専門家(プロフェッショナル)小鬼を殺す者(ゴブリンスレイヤー)

 

田舎者(ホブ)を倒したのは、どんな状況だ」

「あ、はい。大物が出てきたので、俺たち前衛は1度下がって……」

「空いた隙間を詰めてきたゴブリンを、俺らが抑えて……」

「大声で喚いている田舎者(ホブ)の口を、わたしが矢で射貫いて倒しました!」

「そうか」

 口々に質問に答える少年少女に、男は頷き、言う。

 

「良い手だ」

 

 先達の言葉に、3人はぱあっと顔を輝かせて、歓声をあげた。

 

 




ゴブスレさんは本作では先輩兄貴ポジション
後輩に慕われるゴブスレさんが見たかったんだ!(クワッ!



【クエスト判定】
3d6:5,5,6
剣士・無傷(重傷からの復帰で-2)
戦士・次回クエスト判定+1
野伏・次回クエスト判定+1

合計依頼達成数:2


(´・c_・`)<なんだこいつら

データ上は5も6も同じ扱いですが、6出した少女野伏は、クリティカルかました、としてMVPにしました
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