普通科からの... 作:八幡宮来宮神社
初投稿でーす!( `・∀・´)ノヨロシク
俺は、転生者だと思う。
いや、ただ記憶を保持した、とでも言うのか。俺にはある奴の記憶がある。名前はよくは解らないが、神無月と、言う名字だけは知ってる。そいつは、いかに自分が人より劣っていようとも、それを認めず、人生を突っ走って来たやつだ。だがしかし、彼は死んだ。
理由は道に突如として現れた、通り魔だ。そして彼は死んだ。
しかし妙な事に、その後を少しだけ見ているのだ。自分がどれだけ人を悲しませたのかを....。
シリアスな話もここまでとしよう。
とにもかくにも、俺は、俺だ。俺が自分を自覚し、この記憶を受け入れたのは、三歳前後であった。神無月の記憶のせいなのか、俺の脳の成長は早かった。これが2010年代、なら、神童、などと讃えられただろう。しかし、この世界はちがかった。
この世界は、力がものを言える世界だった。俺的には悲しいが、神無月的には嬉しいだろう。
ここは――
―――『僕のヒーローアカデミア』の世界だ!
個性は!能力!と思った時もあった。しかし、僕には個性が発現しなかった。
そしてそのまま、小学3年生まで過ぎた。
やはり個性というのはものをいう。いじめ、というよりいじり、が結構あった。幸い個性の使用は禁止されているので、直接的な被害は出てない。
まあ、人口の二割は無個性なので、正直なところ、過激にいじる奴はいない。
俺は思考を手放し、目の前に書かれている黒板の数字を見る。俺には明らかに簡単だ。寝ようともするが、委員長がそれを許さないだろう。隣にいる奴は俺を寝かせようとしない。
「……また寝ようとしてるね?」
机に突っ伏しつつ横を向くと、委員長こと、前田冬夜がいる。こいつも無個性だ。しかし人望があつい。そのおかげで委員長に慣れたらしい。らしい、というのは俺がその授業を抜けたからだ。
「いや、寝てねぇよ。授業中に喋んな。くそ真面目メガネ」
彼が俺に突っかかるのは、俺が寝ているのにも好成績を取るからである。彼はそうゆう奴が嫌なのだ。
まあ、なんだかんだで世話になってはいる。
「連れてかないぞ。オールマイトの握手会」
彼はニヤニヤしながら俺にそう言う。俺は別に行きたくないが、親に話したところ、絶対に行け!と言われたので、行くしかなかった。親には逆らわないようにしている。ある程度は。
「わかった、わかった」
俺はもう彼の中では、オールマイトファンだと思われたらしく(彼もそうだが)、何かとその事を突きつけ、俺を操作しようとする。しかし、もう少しの心房だ。明日でそれも終わりだ。
俺は真面目に授業を受け、帰路についた。
次の日、俺と冬夜はオールマイトの握手会に行った。六本木の事務所の近くでその握手会は行われた。オールマイトにしては珍しいことだった。
そのせいか、隣の彼はとても興奮していた。
「うわぁ、楽しみだなぁ」
と、そう言う。そう言った彼の目は幼い子どもで、どう見ても普通の少年だ。
「はいはい、落ち着け。オールマイトは逃げねぇから」
「そうは言ったって!オールマイトだよ!No.1HEROの!」
「それぐらいわかってるわ!」
そう言い俺はスマホでゲームをする。
しかし、何分もしないうちに飽きてしまった。景色でも見ようと周りを見るが、すでに人の大衆。どこを見ても人しか映らない。
そう諦めた時だった。
「オールマイトの握手会!始まりまぁす!」
その声で、列が少しずつ進む。周りをヒーローも巡回していて、ヴィランと判断された者は、すぐに捕まるだろう。
あと何人かってときに、冬夜は早口に喋り始めた。
「あとすこしだ!」
「うんうん。そうだね」
そして、自分たちの番になった。
「おや?子供かい?嬉しぃねぇ!」
「は!はい!ぼ、僕、その、あなたにお会いしたくて!」
「ハハハハァ!その気持ち!嬉しいぞ!少年」
オールマイトはそう言い、彼と握手し、写真も撮らしてくれた。俺は嬉しかないが、彼のこの姿を話題にすれば、少しはいじれるだろう。
内心秘かに笑っていると、オールマイトが話をふってくる。
「君は、何か、必要かい?」
このまま帰るのも不自然、と言うよりオールマイトが不愉快にも思うかもしれないので、握手だけを求める。思えば、これが初めての握手だった。
その時、俺の中で何かが火をともした。
「…!どうしたんだい!」
オールマイトのその声すらも僅かにしか聞こえなかった。
体に熱が籠もっている。そう比喩してもいいだろう。余りの気分の不快さに、思わず机を殴ってしまう。
「ど、どうしたんだい!聖堂!」
聖堂、俺の、名前。聖堂黒谷。俺の、俺の。名前。
少しずつだが、落ち着きを取り戻す。
そして、目を開けると、俺に殴られたであろう机は、粉々に砕けていた。そして、俺自身を見ると、机を殴った手が、明らかに色が違った。
「少年!少年!君、すぐに救急車へ電話してくれ!」
俺は、その声と共に意識を失っていった。
俺が目を覚したのは、その二日後だった。右手は粉砕骨折。しかしここは個性のある世界。治癒能力を高める力や、治癒そのものをする人もいる。そのおかげが、明日には退院、という形になった。
「黒谷、僕、その、ごめん」
冬夜はその後、何度も謝りに来ていた。
正直気にしてないので別にいいが。冬夜はそれを良しとしなく、俺に謝罪ばっかりしていた。うんざりしたので、追い返したが。
俺はあの事件で個性が発覚した。皆には増強型だと思われたが、俺にはそう感じられなかった。
俺の個性は―――
「個性をコピーする力」
そう、感じた。あの時、明らかに俺はワンフォーオールの力を使った。しかし、あの時のオールマイトの顔を思い出す限り、俺に個性を譲渡したようには見えなかった。
俺はそれを確認するため、治癒をしてくれる人に、握手してみた。すると、今度は治癒の力が手に入った。
しかし、体からはまだ、あの時の熱があった。
まさか、と思い個性を使うと。今度はワンフォーオールが発動した。なら治癒能力は、と思い個性を使うと、やっぱり発動した。
多分、俺の個性は握手する事によってその個性をコピーし、ペーストする事ができるのだろう。
それはオールフォーワンに匹敵する力だった。しかし、発動条件は握手すること。握手をしなければ相手の能力はコピー出来ないのだ。多分元からの個性も盗めないだろう。
俺はその後病院を退院した。親は二人とも泣いていた。冬夜は未だにあの事を自分のせいだと思っている。
学校てでも話しかけてもキョドり落ち着きがない。
しかし、日が経つごとに、前の様に戻っていた。
そして、あれから五年が過ぎた。
今では中学二年生だ。俺は、ずっとある計画をねっていた。神無月が、夢に描いていた事だ。
それは。
「体育祭で、ド派手に決める事」
俺は神無月の妄想に感化された。実に面白い。そう思った。
「聖堂はぁ、普通科か。まあ、お前なら余裕だろうよ」
先生にそう言われ、俺は頷く。今の学力では雄英に受験するのは困難だと思い、俺は勉強した。そして、個性を強くするため、あらゆるヒーロとの握手会に行った。ベストジーニスにエンデヴァー、などの有名どころ。
しかし、一度失敗したのが、個性のコピーのしすぎで、ワンフォーオールが消えてしまった事だ。だが、オールマイトに会うことがまた出来た。彼自身が僕に会いに来たのだ。
「あの時、君を救えなかった」
と。ここまでくるとどこまで善者振るのだろう、とは思いはしたが、彼を見る限り本心でやっている事と思うのでそこまで考えなかった。
個性の強化、と言ってもやる事はたくさんある。ベストジーニストは繊維を操る個性だ。
「ファイバーマスター」この個性は実に面白かった。俺も彼と同じく、デニムなどが操りやすかった。しかもこの世界は進歩はしているようで、デニムが更に強くなっていたりする。
エンデヴァーの個性、「ヘルフレイム」は俺には向いてなかった。まあ、熱いのが苦手ということもあるが、炎なので個性を使う場所がすくないのだ(後に夜に海などに行って練習し始める)。
エッジショットの個性はよくわからなかった。俺には向いてないのだと思う。「紙肢」この個性は面白いと思うが、案外脆いものだった。紙の様にすると言い、本当に紙のようになった。鍛えれば強いだろうが俺は余り好みではなかった。
治癒の力。これは医者からコピーしたものだ。特に使う場面はないが、治癒しまくって、逆に壊す事も出来そうな個性だった。
オールマイトのワンフォーオールなどもあるが、皆知っていそうなのではぶく。
俺がコピーできるのは7つまでまだ。残りの2つは捨てた。誰からコピーしたかはわからないが、異形型の個性をコピーしていた。
この事でわかったのは、異形型はコピーしても使えない、という事だった。なので、捨てることは出来ないかと思い、何度もイメージし頑張っていると、いつの間にか消えていた。何の個性だったかは忘れたが、まあまあ強かったんだと思う。
個性の強化の話に戻ろう。原作でも書かれているのだが、ワンフォーオールの個性は体の上限を超えると体が壊れる、という事だった。俺は原作の知識が多少あり、緑谷の様な考えは省かれたが。
一部ではなく全身を強化すること。しかし、その時の体では俺はワンフォーオールを1%使うのでも苦労した。それから毎日鍛錬に励んでみると、中学2年の今では10%を操れるようになった。たまに山などで個性を使い遊ぶのにもはまってる。足場を意識し更に全身を意識しなければならないものだから、とても疲れる。
エッジショットの個性、紙肢は捨てようかと思った事もあったが、ワンフォーオール10%が使えるようになり、もしかすると、と思い使ってみると、紙ではなく、少し強度の弱い金属の様に感じられた。
つまるところ、体の強さによって個性も強くなるのでは、と思った。実際中学1年生の時と2年生の時の紙肢は強度がちがかった。
エンデヴァーの個性、ヘルフレイムは俺にとっては扱いやすいとは言い切れなかった。炎を使いまくると体に熱が篭もる。その為、ヘルフレイムの個性強化は海で行った。上限を超し、すぐさま海にダイブする。たまに水が蒸発する音が聞こえたりする。何度も繰り返していると、水を蒸発させるほどの熱量と体から湯気が出てくる。
何度も何度もしている内に、申し分ないほどに炎を操る事が出来た。酸素を沢山使い、青い炎も出せる様になり始めた。
治癒に関してはイチバン頑張った、と言っても過言ではない。最初に始めたのは、体に切り傷をナイフで付け、それを治癒することだ。段々とナイフの扱いにも慣れてき、今では、時間のかかるものの腕の1本や2本を治癒する事が出来た。まあ、なかなかスプラッタものだが、治癒とは、他者の命も自分の命も救う事ができる代物だ、なので1番に頑張った。
そして、勉強の方はと言うと――
「聖堂、お前、頑張ったなぁ...」
「..ありがとうございます、先生」
最初は飽きられていたものの、俺の最大限の努力で、何とかいける様にまで達した。先生方からは、絶対に行けないね。なんて言われた事もあったが、諦めず、努力した結果だ。
「聖堂、お前はウチの中学からは初めて雄英に行く者だ。しっかりしろよ?」
「わかってますよ、先生」
そう言い、俺は部屋からでで行った。
―――3ヶ月後、俺は見事に雄英に入学する事が出来た。普通科で。
校長の根津がモニターに出てきて、少し驚いた。合格と、言われた時には嬉しいばかりに唸った。声にならない涙が溢れた。
中学の奴らからは、褒め称えられ、ビールならぬオレンジジュースをかけられた。先生には怒られたが、そこまで気にしなかった。
そして、入試から4週間後ほど経った後、俺は雄英の制服に身を包み、雄英の門をくぐった。
入学式は思った通り、1年A組は居なかった。まあ、相澤先生の事はわかっている。校庭で個性把握テストでもしているのだろう。
そう思ったとき、隣の奴が声をかけてきた。
「1年A組か...なにやっているんだろうな」
「さあね、でも個性使って何かしてんじゃない?ヒーロー科だし。普通科とは違ってさ」
「...そうか」
隣に座っているのは心操人使。体育祭ではよくよく目立っていた少年だ。
人使の個性は洗脳、ヒーロー科にも挑戦したが、脱落した。しかし、性格は根っから良いやつだ。話してみると以外にも面白く、盛り上がっていることがあった。
入学式は校長の閉めの長い挨拶で終わった。その後はいろいろな事をしていた。
入学二日目、流石雄英とでも言えばいいか、次の日からスパルタ教育だった。しかし、俺は努力をして駆け上がってきた人間、生半可なものじゃあ動じない。
そして、何日かしたあと、雄英襲撃事件が起こった。
まあ、知っていた俺としてはそこまで酷いものではなかった。まあ、驚いてるの?と言われた時には焦ったが、何とか誤魔化せる事が出来た。
「てか、雄英襲撃ってヴィランはアホかよ。しかも、プロヒーローしかいないところに来るとか」
「んー、でもそれすら通り抜け襲撃出来たって事は、相当やばいヴィラン達じゃない?」
「でもまぁ、オールマイトがいるしなぁ!問題ねぇよ!」
そんな会話を盗み聞きし、襲撃の評価を知る(やっぱり、オールマイトって心の支え的なものなんだな)。
目の前でぶすっ、と顔をしかめている人使に話をふる。
「人使はどうなんだ?今回の襲―」
「イキってやがるA組をぶっ潰したい」
そう言う人使の顔はとても怖く、ヴィランを連想させる。賛成する者はいるものの、人使が怖くて話せないクラスメイトは成り行きをじっと見ていた。
「...そう、か。人使は強い個性の癖に、イキってるもんな」
「うるさい!」
その後冗談だとわかり、人使は笑う。マンガではそこまで器用に見えなかった、人使の笑う姿だ。彼のその姿はとてもヒーローに見えた。
それにつられて、クラスの何名かは笑う。人使はその後クラスに馴染んでいった。
「えー、今日は体育祭前日だ。よって普通科は通常の授業を少し早め、手伝うことになっている。すまないが、協力してくれ」
そう言う担任の先生を片目で見つつ、もう片方は目を器用に瞑る。
「おい聖堂、お前また眠るつもりだな」
俺は小学生と同じく、居眠りの常習犯になっていた。しかし、その割には成績は好成績なので、先生方は半分諦めている。因みに冬夜のポジションは人使が行っている。たまに起こして、ノートも写さしてくれる。
この後、裏切る事を思うと後ろめたい、すまない、と言う気持ちで一杯だ。たまに胸が張り裂けそうになる。
「はあ、取りあえず、人使、聖堂は任せたからな?
「は〜い」
人使はいかにもだるそうに応える。まあ、だるいのだろうが。
「では、SHRを終わる。起立ー!礼」
いつもどおりの挨拶を終え、俺は傾いていた体を直し後ろを向く。人使と話すためだ。
「なあ、体育祭だってよ?人使?頑張ろうな?」
「ああ、お前はまだいいよ、筋力倍加だからな。俺は洗脳だ、対一でしか発揮しない」
「いやー、そうでもないかもな」
「?なんでだ」
人使が少々苛ついた口調で応える。そりゃそうだ、余裕を持っている俺とは違い、人使は体育祭と言う体育会系の奴らが活躍しそうな場で、自分の個性を活かし、ヒーロー科相手に戦わなくてはならないのだ。
「まあ、まあ落ち着け」
人使を一度落ち着かせる。
「早く言えよ」
「俺らは、後ろから最初は観察するんだ」
「はあ?」
訳がわからない、と言う人使の顔をじっくりと眺める。人使のこういう顔は実に面白い。
「俺等の個性はあいつらは知らないし、あいつらの個性も俺等は知っていない。だから、観察するんだ。個性をよく知るために」
そう言うと、人使は驚いた顔をした。そのあと、意味がわかったらしく、ニヤニヤと微笑を浮かべた。
「お前の個性は?」
と言うと、笑みは大きくなっていった。
「つまりは、後ろから観察した後、あいつらを操っていくと?」
「そうさ、そうゆう事だ。これなら?行けるだろ」
周りの奴らもそれに乗り、ワイワイ騒ぎだした。
「そうだ!奴らをやっちまえ心操!お前の個性ならいけるぜ!」
その声を始めに、心操に次々と声がかかった。俺はそれを遠目で見つつ落ち着いた。これで、いいだろうと。
俺は、もしかすると、もしかするとだ。A組に入籍するかもしれないのだ。俺の個性は強個性。コピーしペーストする。そして、それを蓄える。
そんな個性を雄英が逃す筈もない。
俺はこいつらを裏切るかもしれない、ということを思うと、温かい体が急に冷え切っていく様な感覚に陥った。