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感想がもっと欲しいと思うのは罪だろうか。
のわゆの話が終わるまで、あと、三話から四話ほどです。
黒騎士は偽物という情報が一部の人達から広まり、大社も少しして認めた。
その情報が広まった理由はひなたが裏で手を回したのだが、誰もその事実を知らない。
負傷していた球子や杏達も無事に戻ってきた。
しかし、彼女達の傍に黒騎士、落合日向の姿はない。
誤解がとけたというのに、彼は勇者の前に姿を見せなかった。
されど、バーテックスは姿を見せる。
若葉が万全ではないため、友奈、千景、球子、杏の四人で連携しながらバーテックスと戦っていたのだが。
「なに、あれ?」
杏が戸惑った声を漏らす。
蝶を模したバーテックスは紫色の鱗粉をまき散らしながら勇者に攻撃を仕掛ける。
問題はそのバーテックスが千景を注視していたということだろう。
無事にバーテックスを撃退することは成功した。
だが、降りかかった鱗粉が勇者に悪影響を与えないかということで精密検査を彼女達は受けることになった。
長い検査だが異常なしということで勇者たちは解放される。
「しっかし、何だったんだ?あの蝶みたいなバーテックス」
「何か作戦とかだったら、まずいよね……向こうは天の神だけじゃなくて」
「腑破十臓がいる……んだ」
友奈は拳を作った。
あの強さを目の当たりにしたことで彼女は強敵だとわかっている。
ちらりと友奈は隣の千景をみた。
千景は外の景色を見ていて、上の空だ。
「ぐんちゃん?」
「……」
友奈が呼びかけるも千景は答えない。
ぼーっと外を見ている。
「おい、千景?」
「千景さん?」
ひらひらと球子や杏が呼んでも反応する様子を見せない。
「千景!」
流石に様子がおかしいと思って球子が大きな声で叫んだ。
しばらくして、ハッとした表情で周りを見る。
「あ、ごめんなさい……なに?」
「大丈夫か?タマ達がずっと呼んでいたのに、無反応だったぞ?」
「ごめんなさい、少し考え事をしていたの」
「悩み事か?悩みならタマ達に相談しタマえ」
「いいえ、大丈夫だから」
千景は首を振って立ち上がる。
そういって千景は部屋を出ていく。
「やれやれ、面白いことになっているなぁ」
勇者たちの同行を伺っていた流星光は口笛を吹く。
彼の視線は治療を受けた勇者の中の一人、郡千景をみていた。
千景の体から漂うオーラ。
常人にはみえることのできないオーラを流星光は捉えていた。そして、もう一人もそれに気づいていた。
「お前はどうする?“また”見捨てるのか、助けるのか…………どちらにしろ、お前を殺すのは俺だ」
流星光は決意する。
黒騎士とヤミマルの決戦の時は近い。
「風太郎、帰れ」
その頃、落合日向は風太郎という少年に絡まれていた。
「えぇ!嫌だよ!俺、もっと日向と話をしていたい」
「なぜ?」
「だって、カッコいいし!」
「カッコイイ……それだけか?」
「うん!それ以外、理由ってないと思う!」
「わからないな」
日向はため息を零す。
子供の純粋な心。
それは若き日向が黒騎士として、復讐者になったことから失われたもの。
ただバーテックスを滅ぼすため、今までのすべてを捨て去ることで闘いの日々で生きるのみ。
それ故に風太郎のような純粋な子供に接することで失われた何かを思い出そうとする。
ズキズキと心の奥底が痛みを訴えていた。
日向の気持ちを知らず、風太郎は話しかけてくる。
幸か不幸かわからないが風太郎の姿が弟の蔵人と重なってしまう。
だから、邪険にすることも出来なかった。
「ねぇねぇ、黒騎士と勇者って一緒に戦うの?」
「いいや、一緒に戦いはしない」
「どうして?」
「俺と彼らでは敵を倒すということは同じだが、倒す目的が違うのさ」
「結果?」
「勇者は四国を守るためにバーテックスを倒す、俺は天の神に復讐するためにバーテックスを倒す……違うから一緒に戦えないのさ」
「じゃあ、黒騎士が一緒の目的を持ったら戦えるの?」
「……一緒の?」
「そう!だったら、勇者と一緒に戦えるよね?黒騎士が四国を守るって目的をもつようになったら」
「……」
風太郎の言葉に日向は沈黙する。
少し考えようとしてもノイズが走ったように思いつかない。
「ねぇ、どうかな?」
「さぁな、そろそろ夕方だ。帰れ」
「ちぇっ、また明日!」
ひらひらと手を振る風太郎を見送り、黒騎士は無表情になる。
「誰だ?」
「警告するよ」
日向の背後に白髪の少年がいた。
ただ、いるだけなら日向は気にしないだろう。
そう、少年が宙に浮いていない限り。
「本体は別の場所にあるな?」
「流石だね……神樹も警戒を強めているようだけど、まだまだだね。だから、天の神に負ける」
「お前は天の神の使いか?」
「どちらかというと協力者さ」
いつでもブルライアットを抜けるようにしながら日向は問いかける。
「いっておくけれど、この姿は投影しているだけだから攻撃したところで無意味だから」
「……かといって、そちらが攻撃できないという保証はない」
「うん、惜しいね。本当に惜しい。そこまで頭が回るのに人間なんて、そうじゃなかったら天の神が勧誘していたよ」
「吐き気を催すな」
苛立ちを隠さずに日向は尋ねた。
「警告と言ったな。何に対しての警告だ?」
「この世界の終わりまでだよ。天の神はいつまで経っても滅びない人間に業を煮やしたみたいだね。最強の闇を呼び寄せることにしたのさ。代償として自らの命を縮めているけれどね」
「最強の闇……だと?」
「いくらお兄ちゃんや星獣が強くても滅びることは変わらない。それまで怯えていることだね」
挑発してきた少年に我慢の限界を迎えた日向はブルライアットをショットガンモードにして放つ。
光弾は少年の額を通過した。
どうやら言葉通り、実体がないようだ。
姿が見えなくなったことでブルライアットを鞘へ納める。
「ゴウタウラス……どうやら最後の戦いが近づいているようだ」
海岸、
そこで落合日向は人を待っていた。
「驚いたねぇ、まさか、お前から呼び出しを受けるとは……」
砂浜を歩きながら姿を見せるのは学ラン姿の流星光。
「色々と俺もやることがある。これ以上、お前に付きまとわれても迷惑だ……だから」
「素敵だねぇ、ここがお前の墓場になるわけだ」
にやりと笑い、流星光は流れ暴魔ヤミマルの姿になる。
日向も黒騎士の姿へ変わる。
流星剣とブルライアットを構えて、二人は砂浜の上でぶつかりあう。
一旦、距離をとれば、ブルライアットのショットガンモードと流星銃が火を噴いて、二人を撃ち抜く。
「くそっ、腐ってもバーテックスを殺し続けた男か、中々に手を焼かされるぜ」
「流石は二万年も生きている男だ」
二人は互いを賞賛しながらも確実に殺すための手を考える。
ブルライアットで斬りかかれば流星剣で弾かれ、
流星銃を使えば、ブルライアットのショットガンモードで撃ち返される。
「ならば、流星剣の奥の手をみせてやる!」
黒騎士の目の前でヤミマルが複数に分身する。
分身が剣を構えて襲い掛かって来る。
その斬撃を黒騎士はその体に受けながらブルライアットを繰り出す。
「黒の一撃!!」
黒騎士が放った必殺の一撃が本体のヤミマルを貫く。
「ぐっ!」
ヤミマルの一撃、
黒騎士の一撃、
互いの攻撃を受けた二人は同時に吐血する。
衝撃で後ろに吹き飛び、ヤミマルは砂の中へ、黒騎士は水の中へ倒れこんだ。
今の一撃によって二人は人間の姿へ戻る。
「まだだ、俺は、お前を許さない」
「流星ィ」
二人はずるずると体を引きずりながら近づいていく。
同時に拳を振るう。
流星の拳が日向の頬を殴る。
殴られた日向も反撃して、流星の腹を殴った。
二人は砂の上で取っ組み合いながら転がる。
やがて、二人は海水の中に飛び込む。
日向の拳によって流星の学帽が飛ぶ。
やがて、二人が争っているという情報が大社から、そして、勇者に伝わる。
彼女達が海岸へ駆けつけるとずぶぬれになりながらも殴り続けている二人の姿がそこにあった。
「アイツら!」
「待つんだ」
止めに入ろうとした球子を若葉が止める。
「若葉ちゃん!?」
「おい!なんで止めるんだよ!あのままじゃ」
「だが、止めたとして二人はすぐに始めるだろう。それに、あの二人のことを止めることは私達にはできない」
「ど、どうして!?」
「あの二人の溝は諏訪の出来事が原因だ。何も知らない私達が止めに入る権利がない」
若葉の言葉に千景は拳を作る。
「フッ、男の顔は履歴書、ここまでボロボロにしたのはてめぇが初めてだぜ」
「いちいちキザなセリフを挟まないといけない病気か?お前は」
日向の言葉に流星が殴りかかろうとした時。
~♪
どこからか笛の音のようなものが流れ出す。
突然、聞こえてきた音色に彼らは動きを止める。
それは勇者たちも同じだった。
「なんだ、この音!?」
「笛の音のようだが、どこから?」
「でも、何か……」
「すごく温かい……」
バシャァァァァン!と海面から巨大な怪獣が姿を見せる。
「あれは!」
「ドラゴンシーザー!」
現れたのはドラゴンの姿をした黒と緑のロボットのようなもの。
「バカな!なぜ、ドラゴンシーザーが!」
「……」
驚いている流星と日向の二人。
ドラゴンシーザーは二人を見下ろして雄叫びを上げる。
咆哮したドラゴンシーザーの上から降り立つ影。
その影は二人の前に降り立つと同時に。
「鉄拳制裁!!」
迷うことなく二人の頭にゲンコツを叩き込んだ。
「「「えぇえええええええええええええ!?」」」
突然の事態に球子、友奈、杏が驚きのあまり叫ぶ。
殴られた二人は大きな水柱を立てながら海面に沈む。
「全く!せっかく、華麗に登場しようと考えていたのに!なに二人で喧嘩をしているわけ!?折角の私の苦労が水の泡なんですけど!なんですけど!」
「ば、バカな!その声は歌野!?なぜ、生きている!」
「シャラップ!失礼な言い方ね!私が死んだような言い方じゃない!」
流星光の言葉に反論したのは歌野という少女。
ジーンズに「にだいめ!」と描かれている独特なデザインのシャツを着ていた。
彼女を知る者なら、白鳥歌野であることに気付くだろう。
諏訪の勇者としてバーテックスと戦ってきた少女。
「いや、その恰好……間違いない。お前は白鳥歌野……だが、どうして」
「歌野ちゃん~」
頭上からもう一人、大人しそうな少女がドラゴンシーザーの手にのっていた。
ドラゴンシーザーが少女を歌野の傍に下ろす。
「危ないよ、いきなり飛び降りるなんて」
「ソーリー!人の華麗な登場を台無しにしてくれた男二人に制裁したくて……あぁ、時を戻せるならもう一度、やり直したいわ。そうよね!ドラゴンシーザー!」
歌野の言葉にドラゴンシーザーは困ったように体を傾ける。
「どういうことだ!歌野だけじゃない、水都も生きているだと!?お前達は諏訪で死んだんじゃないのか!?どうして、どうして、生きているんだ!?」
「それは私達も知りたいな」
ひと段落ついたとみたのか、若葉達がやってくる。
「こうして、顔を合わせるのははじめてだな。私は乃木若葉だ」
「オウ!貴方が四国の勇者ね!こうして、顔を合わせるのははじめまして、私は白石歌野……諏訪の元勇者で、今は二代目、力の戦士よ。よろしくね!」
笑顔を浮かべる歌野に続いて、水都も挨拶をした。
「私達が生きている……まぁ、それはとんでもない奇跡とか、色々なものがあったのよね。落ち着いて話したいから、どこか話ができる場所はないかしら?」
「ああ、案内をしよう」
「ほら、貴方達もついてくる!」
「お、おい、俺達は自分で歩ける!落合日向!お前も何かを……コイツ、気絶してやがる!」
先ほどから無言の日向の方を見ると歌野のゲンコツの当たり所が悪かったようで意識を失っていた。
歌野は二人をひきずりながら歩きだす。
水都は苦笑しながら後に続く。
「日向は……渡さない、私の、もの」
そんな彼女達の様子を見ていた千景がぽつりと呟いた。
千景の瞳はどす黒い何かが渦巻いていた。
場所は変わり、丸亀城。
ドラゴンシーザーは中に入れないため、ゴウタウラスが休んでいる森で待機している。
教室内には若葉、球子、杏、千景、友奈、そして、巫女のひなた。
壁際に流星光と落合日向。
若葉達と向かい合う形で歌野と水都の二人が座る。
「さて、私達のことだったわね」
「ああ。我々は諏訪まで訪れた。だが、あそこに生存している者は誰もいなかった。黒……落合日向の言葉からキミ達は死んだと聞かされていた」
「「落合日向?」」
若葉の言葉に二人は首を傾げる。
「ああ、お二人はもしかして、黒騎士さんの中身を知らないんですね?あそこにおられる方が黒騎士さんの正体である落合日向さんです」
ひなたがすぐに察してフォローを入れる。
人の姿をとるようになったのは四国からだと聞いていたことをひなたは思い出したのだ。
「ワッツ!?」
「……ウソ、カッコイイ」
驚いている歌野、水都はぽつりとつぶやいて頬を赤くしていた。
水都の態度に千景はギリリと拳を握り締める。
「って、私達が死んだ!?酷いわね!ちゃんと足があるでしょ!」
歌野が叫ぶも日向は目線を合わせず、言葉を発しない。
「オーウ。その態度、間違いなく、アンタは黒騎士ね……殴りたいわぁ」
「話を戻して構わないか?」
「ソーリー……どこから話そうかしら、そうね。四国の勇者たちは諏訪を守っていた人たちのことについて、どれだけ知っているかしら?」
「いや、白鳥さんと黒騎士しか、知らないな」
「まずは、そこからね」
「勇者として戦っていたのは歌野ちゃんです。でも、他にも戦ってくれている人はいました。一人はそこにいる黒騎士さんと流星さん」
「あともう一人、自分の命を削りながら戦ってくれた人がいたわ」
歌野は思い出すように彼の名前を告げた。
「“ドラゴンレンジャー ブライ”私達を守るためにその命を散らした人」
ドラゴンシーザー
恐竜戦隊ジュウレンジャーに登場した六番目の守護獣。
見た目はドラゴン、単体でもドーラモンスターとやりあえる力を持つ。
この世界においても存在していらしく、バーテックスなどを自慢の尾で貫きまくった。
次回、なぜ、諏訪の二人が生きているのかわかります。
今回の話で大体の想像がついている人がいるかもしれませんけれど。
次回も楽しみにしていてください。
もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?
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パワーレンジャー
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リュウソウジャー
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ルパパト