黒騎士は勇者になれない   作:断空我

16 / 55
次回は本編に戻るつもりです。

うーん、思った以上にキャラ崩壊ができなかったなぁ。

あれは夜のテンションだからできたのだろうか。




番外編:赤嶺友奈の手駒

 

「さぁ!この調子で次の土地も取り戻すわよ!」

 

「風、キラキラだな!」

 

 拳を空へ突き上げる風の姿をみてジャンが言う。

 

「いつまでも落ち込んでいるわけないでしょ!赤嶺友奈めぇ、この私の女子力でぎゃふんといわせてみせる!」

 

「その意気だぞ!」

 

「……女子力って、こういう場面で使うもんなの?」

 

「「「違うと思う」」」

 

 アキラの疑問にマスクマンとゲキレンジャーの女性陣はなんともいえない表情をしていた。

 

 これから彼らは樹海の中へ向かう。

 

 造反神から奪われた土地を取り戻すための戦いだ。

 

 樹海の中にはおそらくバーテックスの他に赤嶺友奈やヴィランがいる。

 

 狂的を倒さないと次の土地の奪還を望めない。

 

 やる気を見せる勇者たち。

 

 今回は巫女と中学園子を除くフルメンバー、マスクマン、ゲキレンジャーに加えて。

 

「俺達も行くぜ!」

 

「ああ!」

 

 西暦で一度だけスーパー戦隊の力で変身した伊達健太と炎力。

 

 この二人も戦いに参加する。

 

 勇者でも巫女でもない二人だが、スーパー戦隊の力を使用したことからか、彼らはこの神樹の世界に呼ばれていた。

 

「赤嶺の友奈さんがどういう手を使ってくるかわかりません、戦力を集中させて挑むべきです」

 

 ひなたの言葉に若葉も同意する。

 

「相手は造反神側の勇者、どんな力があるのかわからない。全力でいく」

 

 若葉の言葉の合図とともに彼女達は突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁさぁ!讃州中学勇者部!スーパー戦隊がきたわよ!赤嶺友奈!勝負!」

 

 夏凜が大きな声で叫ぶ。

 

 しかし、赤嶺友奈の姿はない。

 

「赤嶺友奈さんが居ません……何かの作戦でしょうか?」

 

「うーん!」

 

「ジャン師匠、どうしたんですか?」

 

 唸るゲキレッドに高嶋友奈が尋ねる。

 

「モヤモヤだ、何か、モヤモヤする」

 

「遠くからバーテックスが来るわ」

 

 ジャンの言葉を気にしながらも美森が敵の襲来を告げる。

 

「姿を見せないのは気になるけれど、今はバーテックスを倒すべきだわ。乃木さん」

 

「三ノ輪銀がお供します千景さん。コンビ名は銀影隊というのはどうでしょうか!」

 

「……悪くないわね。三ノ輪と千景で三千世界の使者というのも」

 

「……」

 

「健太、いいか、余計なことは絶対に言うな。絶対だからな」

 

「わーっているって」

 

 二人のやり取りを見て微笑ましい目を向ける若葉。

 

 笑いを必死にこらえているメガレッドと釘を刺しているターボレッド。

 

 ここまで砕けた千景をみるのが珍しいのだろう。

 

 視線に気づいた千景が鋭い目で三人を睨む。

 

「な、何を微笑ましい目でみているの。号令よ、号令をかけて」

 

 千景の言葉と共に戦闘が開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ゲキレッド」

 

 

「さぁて、久しぶりの再会だ」

 

 その光景を遠くから漆黒の獅子と盗賊騎士が眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勇者部の部室。

 

 戦えないひなた、水都、勇者衣装を纏えない園子が部室で待機していた。

 

 戦えないことで園子は不安そうに外の景色を見ている。

 

 かくいうひなたも今回の戦いではとんでもないことが起こるかもしれないということで心配をしているが勇者を信じるしかない。

 

 何より今回はスーパー戦隊もいる。

 

 きっと、大丈夫のはず。

 

 そう、考えていたが世の中、甘くない。

 

 ガラガラと部室のドアが開く。

 

「こんにちはぁ~」

 

 ドアを開けて入ってきたのは赤嶺友奈。

 

 彼女の出現に三人は驚きを隠せない。

 

「まさか、直接ここを攻めるなんて」

 

「いやぁ、言ったじゃない。開始直前までは何もしないけれど、ゴングがなったら徹底的にやるって~」

 

 のびのびした口調で話す赤嶺友奈だが、その目は油断なく周囲を警戒している。

 

「ああ、ちなみにだけど、樹海の方も手加減していないよ?一応、役立つ駒は用意しているから」

 

 ひらひらと赤嶺友奈は言う。

 

「そのために、こっちはこういうことをするんだけどね。ほれ、どーん!ばーん!出番だよぉ~」

 

「ラーメンにトッピングするみたいにバーテックスを呼び出している!」

 

 驚く水都の前に現れる小型バーテックスたち。

 

「いやぁ、本当は手駒を使うつもりだったんだけど、アッチに回したからねぇ、こうやって数で勝負しようかと」

 

「手駒?」

 

「あっちが戻って来るのを期待しているようだけど、それは無理だから……手駒の中でそこそこ強い奴、用意してきたんだぁ」

 

 不敵に赤嶺友奈は微笑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海

 

「うわぁ!」

 

 衝撃を受けて吹き飛ぶブルーマスクとブラックマスク。

 

 吹き飛んだ二人の下へ駆け寄るイエローマスク、ピンクマスク。

 

「くそっ、何て奴だ!」

 

 レッドマスクは相手を睨む。

 

「フン、どうした?マスクマンとやら、お前達の実力はこの程度か?」

 

 鎖鎌を振るいながら不敵にほほ笑むのは盗賊騎士キロス。

 

 ただし、マスクマンたちの世界にいるキロスではない、西暦の時代、天の神と契約して高嶋友奈を妻として娶ろうと暗躍し黒騎士に倒された存在。

 

 それが、マスクマンと戦っているキロスである。

 

「レッドマスク、我が技に吹き飛ぶがいい!」

 

 キロスの放つ技に対して真っ向から挑むレッドマスク。

 

 剣を構えるレッドの拳が金色に輝く。

 

 

「クレセントスクリュー!」

 

「ゴッドハンド!」

 

 二つの技が同時にぶつかり合い、爆発が起こる。

 

 吹き飛ぶレッドマスクとキロス。

 

「うわぁ、すっごいわね」

 

「だが、こちらが不利なのは変わらない」

 

 二人の戦いを見て驚きの声を漏らす雪花。

 

 近くのバーテックスを蹴散らしながらも状況は変わっていないと棗は言う。

 

 離れた所でも爆発が起こる。

 

 高嶋友奈と結城友奈の二人が同時に「勇者パンチ」を放つ。

 

 その二人の拳を“黒獅子リオ”が正面から受け止める。

 

 臨気凱装し二人の拳を受け止めつつ、勢いを利用して投げ飛ばす。

 

「こんのぉぉぉぉぉ!」

 

 風と千景が同時に大剣と鎌で攻撃を繰り出す。

 

 黒獅子リオは臨気を足に込めて放つ烈蹴拳を放つ。

 

 攻撃を受けた千景と風が吹き飛ぶ。

 

「風ちゃん!千景ちゃん!」

 

 二人をゲキイエローが抱き留める。

 

「このぉぉおお!」

 

「狙います!」

 

 球子の武器と杏の狙撃、樹のワイヤーが美森の狙撃などが行われるがみえているのか黒獅子リオは拳や足で弾き飛ばす。

 

「コイツ、固すぎる!」

 

 大剣を構えながら風は叫ぶ。

 

「固いだけじゃない、技の切れ味も凄い」

 

 風の隣に着地して棗が忌々し気に言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うわぁ!!」」

 

 別の場所で大きな爆発が起きる。

 

 爆炎の中から転がり、倒れるレッドターボとメガレッド。

 

 そんな二人を炎の中から二つの剣を抜いて近づいてくる存在は暗闇暴魔ジンバ。

 

 ジンバの斬撃によって飛ばされた二人は起き上がる。

 

 勇者ではない彼らだがその力は勇者を超えるほどのものだ。

 

 そんな二人の攻撃を受けても暗闇暴魔ジンバは二刀流で弾き、斬り返す。

 

「くそっ、何て奴だよ!」

 

「だからって、止まるわけにはいかない!」

 

 起き上がるメガレッドにレッドターボ。

 

 武器を構えて立ち上がる二人とジンバがぶつかりあう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、樹海の外のある場所では小さな騒動が起こっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!いたか!」

 

「いない!まずいぞ!樽はここにあるというのに!」

 

 焼き鳥の屋台。

 

 そこで焼き鳥屋台の店主とアラクレボーマが必死に讃州中学校の周辺を走り回っていた。

 

「まずい、まずいぞ!ジルフィーザが探し物をしているという時に、奴がいなくなるとは」

 

「おそらく、本能的に自分を解放してくれるであろう存在に気付いたのかもしれねぇ、いそがねぇと……!」

 

 慌てた様子で“何か”を探し始める二人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、かつて、四国を襲った敵も……」

 

「そのとぉり、造反神も性質が悪いよねぇ?一歩間違えれば四国を滅ぼしていた敵も駒として利用するなんて、まぁ、私の目的のために使えるからいいけれどぉ」

 

 にこりとほほ笑みながら赤嶺友奈は拳を握り締める。

 

「ここはみんなの帰る場所なんだぁ、絶対にやらせないよ!」

 

 赤嶺友奈の前に乃木園子が立ちはだかる。

 

「へぇ、どうするのかな?乃木さん。勇者にもなれない貴方に」

 

 投げられた言葉に園子はたじろぐ。

 

「どうして、それを」

 

「赤嶺さんの友奈は何でも知っているんだぁ……まぁ、知らないのはあの人の場所なんだけれどさぁ」

 

「どうして」

 

 ひなたは少しでも時間を稼ぐために尋ねる。

 

「どうして、貴方はそこまで日向さんに執着するんですか?」

 

「うーん?」

 

「貴方は勇者にしては異常です。なぜ、そこまであの人に」

 

「時間稼ぎのつもりかなぁ?本当ならそんな話にのらないんだけどねぇ……どうせだし、話をしようかなぁ?」

 

 乗ってきたとひなたは心の中で思う。

 

「やっぱりやーめた」

 

 次の瞬間、赤嶺友奈が態勢を落としてひなたの前に立つ。

 

「前も言ったけれど、貴方達のことは尊敬しているよぉ。でも、彼のことにおいては別……あの方を手に入れるためなら邪魔者は潰すし、余計な情報は与えない」

 

 にやりと赤嶺友奈が拳を振り上げる。

 

 ひなたにとってその動きはスローモーションにみえる。

 

 彼女の放った拳は確実に自分の心臓を捉えるだろう。

 

 赤嶺友奈の拳が心臓に迫るという瞬間、ピョンと彼女の顔に何かが飛び移る。

 

 突然のことに赤嶺友奈はバランスを崩して近くの机に頭から突っ込む。

 

「……え?」

 

 驚きながらひなたは目の前を見る。

 

 何か小さなものが通過するもその正体がわからない。

 

「今の……間違いない!」

 

 ふらふらと赤嶺友奈は体を起こす。

 

 ちらりと周りを見渡す赤嶺友奈。その視線は何かを探しているように見えた。

 

「ここを滅茶苦茶にはさせないよぉ!」

 

 その時、巫女を守るように園子が前に出る。

 

 赤嶺友奈は肩をすくめた。

 

「何ができるのかなぁ?勇者になれないのにぃ」

 

「ちっちっち!甘いなぁ」

 

 園子は勇者アプリを起動する。

 

 光と共に乃木園子は勇者装束を纏う。

 

「今、この瞬間、勇者に変身できるようになったのだぁ!」

 

 そういって槍を突き上げる園子。

 

「へぇ、タイミングがいいねぇ、じゃあ、私の相手をしてもらおうかぁ」

 

 笑みを浮かべて園子に接近する赤嶺友奈。

 

 二人は狭い教室内でありながらぶつかりあう。

 

 最初は赤嶺友奈が優勢のようにみえた。

 

 しかし、徐々にエンジンがかかりはじめたのか園子が圧倒し始める。

 

「凄い……ねぇ!」

 

「あれが、切り札といわれる園子さんの力ですか……」

 

 攻撃を捌く赤嶺友奈、

 

 驚きの声を上げる水都。

 

 乃木園子は槍を突き出す。

 

 攻撃を受けて吹き飛ぶ赤嶺友奈。

 

「あーあぁ、流石は乃木さんってことかぁ……仕方ないなぁ、こんな早くにこれに手を出すことになるなんてなぁ」

 

 ため息を零しながら赤嶺友奈は手を叩く。

 

 すると、彼女の前に怪しい輝きを放つ一振りの剣が現れた。

 

「剣?」

 

「何ですか、その禍々しい力は……」

 

 巫女であるひなたと水都は彼女の持つ剣がただのものではないことを見抜く。

 

「魔剣ヘルフリード……地獄最強といわれる剣だよ?持つ人はぁとてつもない執念が必要らしいんだけどさぁ、うふふふ、私ってそういうところの素質はあるみたいなんだぁ」

 現れたヘルフリードを赤嶺友奈は握り締める。

 

 同時に彼女から放たれるオーラのようなものが増す。

 

 魔剣だけではない別の力も彼女は放っていた。

 

「さぁ、行くよぉ?乃木園子ちゃん」

 

「……」

 

 無言で自身の武器を構える園子。

 

 しかし、ヘルフリードから放たれた衝撃波で園子の体は壁にめり込んで動かなくなる。

 

「あれれ?もう終わりィ?ヘルフリードは全力じゃないし、私は少ししか臨気を使っていないんだけどなぁ」

 

「臨気?」

 

「アクガタともいわれているんだぁ、そっちのビーストアーツの対極にある獣拳だよぉ?まだまだ初手の方なのになぁ……がっかりだよ」

 

 肩をすくめながら赤嶺友奈はヘルフリードを構える。

 

「もう少しは相手になるのかと思ったけれど、がっかり……じゃあ、そろそろ消えてもらうね?」

 

 にこりと笑みを浮かべる赤嶺友奈。

 

 園子は壁から抜け出してふらつきながらも槍を構える。

 

「皆だって、頑張っているんだもん、私も負けない……!」

 

「バイバイ」

 

「園子さん!」

 

 ひなたが叫んだ時、園子の顔に何かが覆いかぶさる。

 

「わっぷ!?」

 

 突然のことにバランスを崩した園子。

 

 それが彼女を救った。

 

 直撃するはずだったヘルフリードの刃は園子を外して、背後の壁を貫く。

 

 衝撃と爆発で吹き飛ぶ勇者部の部室。

 

「え?」

 

「何が……?」

 

「わっふぅ~、びっくりしたよぉ」

 

 横に倒れたことで助かった園子は自分に覆いかぶさった存在を見る。

 

「わ~カエルさんだぁ~」

 

 園子の傍にはぺちょんと座り込んでいる“黒いカエル”がいた。

 

「貴方が助けてくれたの?ありがとう~」

 

 カエルを掌にのせて園子は感謝の言葉を告げる。

 

 ゲコゲコと黒いカエルは小さく鳴いた。

 

「カエル?どうやってここに」

 

「で、でも!カエルのおかげで園子さんが無事だったんですからよかっ――」

 

 バゴン!

 

 ひなたと水都は音の方を見る。

 

 赤嶺友奈は足で小さなクレーターを作っていた。

 

 瞳はどす黒い闇に染まって、視線は園子の手、その中に座っている黒いカエルをみている。

 

 

「それを、寄越せ」

 

 ヘルフリードを持っていない方の手を伸ばして赤嶺友奈は言う。

 

「な、何か様子がおかしいです!園子さん!ひとまずここから逃げ」

 

「寄越せぇえええええええええええええええええええええええええええええええ!」

 

 今までの飄々とした態度から一転して底冷えする声で園子に迫る赤嶺友奈。

 

 ヘルフリードを振り上げて園子の手を切り落とそうとする。

 

 逃げようとする園子。

 

「あ、カエルさん!」

 

 掌からカエルが跳んで赤嶺友奈の顔にとびつこうとする。

 

 しかし、その動きを読んでいた赤嶺友奈はひらりと躱しながら自身の手でカエルの足を掴む。

 

 暴れるカエルを覗き込む赤嶺友奈。

 

 しばらくして。

 

「ふふふ!うふふふ、うひひひ、ふふふふふ!アッハハハハハハハハハハハハ!」

 

 小さく笑いだし、それから大きな声をあげる。

 

 突然の奇行に園子達は動けない。

 

 カエルを注視して不気味な顔をしている。

 

「何が、おかしいの?」

 

 園子がおそるおそる問いかけた、その時。

 

 園子を始末しようと拳を振るう。

 

 茫然としていた園子は反応ができない。

 

 彼女の命を捉えるという瞬間。

 

 どうやって抜け出したのか、赤嶺友奈の手からピョンとカエルが園子の顔にとびかかる。

 

 突然の事態に対応できなかった園子の口とカエルの口がぶつかった。

 

 瞬間、まばゆい光が室内を照らす。

 

 あまりの輝きに赤嶺友奈は愚か、全員が動きを止めてしまう。

 

「くぅ~~~」

 

「え、えぇ!?」

 

 光が収まった時、園子が戸惑いの声を上げる。

 

 自分の膝の上に小さな男の子が寝ていた。

 

「え、え、えっとぉ、この子はどこの子なのかなぁ?」

 

 混乱している園子。

 

 茫然としていた赤嶺友奈はため息を零す。

 

「あーぁ、時間切れかぁ、今日は引き下がるしかないよねぇ」

 

 ガラガラと部室のドアを開けて勇者たちがやってくる。

 

 続けて、満身創痍ながらもマスクマンやゲキレンジャーのメンバーも現れた。

 

 流石にこの数の相手はしんどい。

 

 そう考えて赤嶺友奈は撤退することにする。

 

 だが、去り際に彼女はねっとりするほどの視線で園子の膝の上ですやすやと寝ている男の子をみた。

 

「(必ず、必ず、手に入れて見せるから少しの間、待っていてね?)」

 

 光のない瞳で笑みを浮かべながら赤嶺友奈は突風と共に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのっち!大丈夫!?」

 

「みーたん!エネミーは!!」

 

「ひなた!ケガはないか!?」

 

 美森、歌野、若葉が必死の表情でやって来る。

 

 荒れている部室。

 

 その中心で座り込んでいる園子と膝の上で寝ている男の子。

 

「これって、どういう状況?」

 

 困惑した様子で夏凜は呟いた。

 

 戸惑う勇者たちの視線は幸せそうに寝ている男の子に向けられるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけた、見つけた、見つけた、見つけた、見つけた、見つけたぁ!」

 

 赤嶺友奈は誰もいない部屋、そのベッドの上で嬉しそうに笑みを浮かべながら同じ言葉を繰り返している。

 

 部屋の中には赤嶺友奈以外に誰もいない。

 

 しかし、その部屋は歪だった。

 

 部屋の至る所に貼られている写真。

 

 そこにある写真は誰が、どのように撮影したのか不明だが、黒騎士、落合日向が収められている。

 

 ゴウタウラスと共にいる黒騎士。

 

 誰かと楽しそうに話をしている日向。

 

 バーテックスと戦う黒騎士。

 

 蕎麦を食べている日向。

 

 相手や周囲をくりぬいたような写真もあるが、そのすべてが落合日向のものだった。

 

 彼女は一枚の写真を眺めながら嬉しそうにしている。

 

「見つけたよぉ……ようやく、ようやくだぁ」

 

 ポロポロとベッドの上で彼女は涙をこぼす。

 

 笑顔を浮かべながら涙を流していた。

 

 しばらくして涙を拭い、彼女は体を起こす。

 

「でも、まだ、私の傍にいてくれるわけじゃぁない」

 

 赤嶺友奈は知っている。

 

 彼の傍には多くの雌猫がいる。

 

 今のままだと自分はその取り巻きの中に埋もれてしまう。

 

 一番ではない。

 

 彼にとって一番で、大事な存在じゃないのだ。

 

「駄目だ、ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ!絶対、絶対、私が一番になる!高嶋さんじゃない、結城ちゃんでもない、そう、あの人にとって一番は私になる……絶対に逃さない。何があろうと手に入れて見せる……うふふ」

 

 手の中の写真を眺めながら赤嶺友奈は微笑む。

 

「待っていてね。落合日向様、私がすぐに迎えに行くから……そうしたら」

 

――永遠に一緒だよ?

 

 

 




簡単な紹介です。

魔剣ヘルフリード

登場は恐竜戦隊ジュウレンジャーから。
ドラゴンレンジャーブライが登場した時に魔女バンドーラから与えられた魔剣。
後に獣奏剣と二刀流も行うも、改心すると同時に砂となって消滅した武器。
信じられるか?本来の専用ウェポンよりも先に出てきて、大活躍しているんぜ?




黒獅子リオ

獣戦隊ゲキレンジャーに登場した主人公達のライバルキャラ。
強さを求めて、激獣拳から臨獣拳へ移り、トップに君臨した人物。
今回は鎧を纏った状態のみで登場。
しかし、その強さはかなりのものである。


番外編は本編やってからやる予定。

次回の番外編は激走戦隊カーレンジャーを出す予定、ただし、あくまで予定のため、別の戦隊になるかもしれません。

てか、戦隊が多すぎて、どれを出すのか悩んでしまうんですよねぇ。

選定が難しい。


もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?

  • パワーレンジャー
  • リュウソウジャー
  • ルパパト

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。