黒騎士は勇者になれない   作:断空我

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本編です。

おそらく、病みは薄い。

次回は番外編。


尚、今回の話から第一話の続きになっていきます。



黒騎士と恋する乙女たち

「はぁあ!?マジかよ!?」

 

「声がでかい」

 

「いや、いやいやいや!驚くって!」

 

「健太ほどじゃないけれど、俺も驚きだ。全員から告白されるなんて」

 

「お前達だって告白くらいされているだろ」

 

 俺達、三人しかいない銭湯。

 

 そこで俺は二人にこの前起こった出来事を相談していた。

 

「いやいやいや!流石に諏訪と四国の勇者と巫女に告白されるほどの展開はねぇって!!漫画じゃないんだからな!力はともかく」

 

 バシャバシャと湯水を跳ね飛ばしながら健太が叫ぶ。

 

「その漫画みたいなことが起こって困っているからお前達に相談しているんだ」

 

「相談してくれるのは嬉しいけれど、俺達も協力できないぞ?」

 

「おいおい、そういうこというか?お前、月影さんといい雰囲気じゃないか」

 

「健太だって、この前、小さい子に弁当を貰ったって聞いたぞ?」

 

「いやいや!人気者の力には及ばないって!」

 

「人気者はお前もだろ!」

 

「互いの褒めあいはいい。どうすればいい?」

 

「「うーん」」

 

 困ったように二人は唸る。

 

 場所を変えてサウナで話をしているが結論が出る様子がない。

 

 

「しかし、急にどうしたんだ?」

 

「何だ?」

 

「いや、少し前の日向ならそういうことに興味はない、どうでもいいっていいそうだからさ」

 

「……心境の変化みたいなものだ」

 

 あの頃なら告白など一切、無視していただろう。

 

 だが、少し前の事件から俺の中で小さな変化が起こっている。

 

 それは俺だけじゃない。

 

 だから、困っていた。

 

「よし!牛乳!牛乳!」

 

「風呂上りは牛乳!これは譲れないな」

 

「そこは同意だ」

 

 健太が牛乳を俺や力に差し出してくる。

 

 ここでフルーツ牛乳やコーヒー牛乳で争いになるのだが、俺達は風呂に入る際の牛乳は入るたびに変えている。

 

 今回はシンプルに普通の牛乳だ。

 

「でもさ」

 

 俺に牛乳を渡して健太が言う。

 

「いいじゃねぇか!どういう変化かわからないけれど、今の日向はとても活き活きしているぜ!」

 

「そう、みえるか?」

 

「ああ!いいじゃん、告白がどうなるかなんてわからねぇけどよ!」

 

「そうだな、健太の言うとおりだ。悩むよりかは彼女達と話してみたらいいんじゃないか?」

 

「話すか……全く、面倒だ」

 

 肩をすくめた俺を見て力と健太がほほ笑んだ。

 

 三人で飲んだ牛乳はとてもおいしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、これからカラオケでも行こうぜ!」

 

「いいなぁ!男三人で仲良く!」

 

「……俺は構わな――」

 

「ウェイト!」

 

 了承しようとしたところで目の前にビシッ!と白鳥歌野が現れた。

 

 傍にはおずおずと顔を出す藤森水都の姿がある。

 

「何だ?」

 

「探しまくったわよ!日向!」

 

「あの、炎さん、伊達さん……日向さんをお連れしてよろしいですか?」

 

「「どうぞ」」

 

「お前ら!?」

 

「いいか?日向、お前の悩みを解決できるのは彼女達と触れ合うことだけだ……だから、しっかりと遊んでくるんだ」

 

「そうそう!邪魔者は静かに立ち去るのみ」

 

「……本音は?」

 

「「お前の後ろ二人の目が怖い」」

 

 振り返ると二人は光のない瞳で笑顔を浮かべている。

 

 ちなみに日向が振り返ると瞳に光が戻っていた。

 

「よくわからないが……二人と遊んでくればいいんだな?」

 

「ああ」

 

「楽しんでこい!」

 

 力と健太に背中を押されて日向は二人と共に歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、俺は風呂に入った直後なんだが?」

 

「ノープロブレム!また入ればいいわ!」

 

「……まぁ、お付き合いお願いします。私達の告白を保留にしているんですから」

 

 痛いところを突かれた日向は静かに畑を耕すことに力を入れる。

 

 現在、日向、歌野、水都の三人で土地を借りて畑を耕していた。

 

「農業ソウルは不滅よぉ!」

 

「……おい、藤森水都」

 

「……」

 

「……おい」

 

「つーん」

 

「水都」

 

「はい?何ですか?」

 

 ファーストネームだけで呼ぶと嬉しそうに水都は笑顔で答える。

 

「どうして、ゴウタウラスとドラゴンシーザーの近くの森で畑を耕しているんだ?」

 

 見上げるとこちらを見つめているゴウタウラスとドラゴンシーザーの姿がある。

 

 二体は不思議そうにこちらをみていた。

 

「うたのんは多分、ドラゴンシーザーさんと長く居たいんだと思います」

 

「まさか、ブライのことか?」

 

「はい、今は普通そうにしていますけれど、ドラゴンシーザーは時々、ブライさんのことを思い出して遠くを見ている時があるってうたのん、言っていたので」

 

 ドラゴンシーザーのパートナーだったドラゴンレジャー ブライ。

 

 彼と共に戦った期間は少なくとも強い絆があったのだろう。

 

 二代目、力の戦士として継承した歌野は少しでもパートナーとしてドラゴンシーザーとも共にありたいということだ。

 

「ドラゴンシーザーは良き相棒に巡り合えたということか」

 

「当然です。うたのんですから」

 

「ワッツ?二人して何の話をしているのかしら?」

 

「白鳥歌野がいかに素晴らしい存在かを語っていただけだ」

 

「て、照れるわね!?そんなことをしても何にもないわよ!」

 

「何も求めてない」

 

「それはそれで納得できないわ!」

 

「理不尽すぎるだろうが」

 

「あははは」

 

 楽しい会話をしながら三人は畑を耕し続けた。

 

 そうしている間に三人とも汗びっしょりとなり、銭湯……ではなく、丸亀城にある浴室にきている。

 

 逃げようとしていた日向を連行して。

 

「俺は銭湯でいい!」

 

「ここまできた以上!一蓮托生よ!」

 

「その使い方は違う!断じて違う!」

 

「あ、諦めてください!わ、私も恥ずかしいですけれど!告白を保留にしているんですから!」

 

「それをいえば、何をしても許されると思うなよ!」

 

 流石に我慢ができずに日向は叫ぶ。

 

 尚、勇者と巫女の二人は恥ずかしいのかタオルを巻いている。

 

 日向は私服のままで抵抗していたのだが、いつの間にかタオル一枚にされていた。

おそるべしコンビネーション。

 

 とどめを刺すべく水都が囁く。

 

「そんな大きな声を出すと他の人がきちゃいますよ」

 

 ぴたりと動きを止める日向。

 

「ここは大人しく入って終わらせるべきだと思いますよぉ」

 

 悪魔のささやきともいえる言葉に日向は渋々、頷いた。

 

 後ろで歌野と水都がハイタッチしたことに気付かない。

 

 浴室内で水滴の滴り落ちる音が響く。

 

 三人でお風呂に入りながらも会話がない。

 

「(何か話すべきかしら?でも、どんな話題を?あぁ、もう、こういうことなら少しくらい、農業以外にも力を入れておけばよかったぁ!)」

 

「(い、勢いとはいえ……男の人とこうしてお風呂に入るなんて、心臓が口から出てきそうだよぉ)」

 

「……悪いな」

 

「「え?」」

 

 突然、日向が謝ったことで二人は戸惑った声を出す。

 

「俺が答えを延ばしているからこんなことをしたんだろう」

 

「「(ばれている!?)」」

 

「すまない、いつかは答えを出せるようにしたいと思っている……だから、もう少し、待っていてほしい」

 

 日向はそういって体を湯船に沈める。

 

 しばらくして、反応がなさすぎることから横を見た。

 

「!?」

 

 どういうわけか歌野と水都の二人は顔を真っ赤にして湯船の中に沈んでいた。

 

「何なんだ?」

 

 首を傾げながら二人を介抱する。

 

 幸か不幸か、四国の勇者たちにばれることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーんて、思っているなんてな!」

 

「甘いです!」

 

 翌日、海岸へ向かっていたら待ち構えていたように土居球子と伊予島杏の二人に連行されて、俺はショッピングモールにあるフードコートへきていた。

 

 外に出たところでいきなり左右から掴まれて現在になる。

 

 

「いきなりこんなところへ連れてきてなんだ?」

 

 

「歌野さんと水都さんの二人とお風呂に入りましたね?」

 

「タマ達は知っているんだ。観念しタマえ」

 

「知っていることはどうでもいい。お前達の目的は何だ?」

 

 ニヤニヤと笑みを浮かべている土居球子、申し訳なさそうにしていない伊予島杏の二人。

 

 ここは逃げるようなことはせずに真っ向から聞くとしよう。

 

「脅しなんてことはしません。ただ、私達とデートをしてください」

 

「いいぞ」

 

「いいか、もし……って、なにぃ!?」

 

 驚いた表情で二人がこちらをみている。

 

「何だ?」

 

「いや、あっさりと受け入れるから」

 

「……告白を保留にしているんだ。デートくらいはする」

 

 全員からの告白を保留にしているのだ。

 

 何もかも拒絶していたら流石に申し訳がない。

 

 だから、二人の提案を受け入れることにした。

 

「これはこれで……いいのかな?」

 

「そうかもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありじゃなぁああああああああい!」

 

 数分後、土居球子の後悔した声が響く。

 

「素敵だよ!タマっち先輩!」

 

「杏!どうして、どうして、タマがこんなフリフリしたスカートをはきゃねばならんのだぁああああ!」

 

「似合うからだろ」

 

「日向ぁ!お前は黙っていタマえ!」

 

 訳が分からない。

 

 いつもズボンしかはいていないコイツがスカートをはいている姿を褒めただけだというのに、なぜ、ここまで言われなければならないのだろう。

 

「伊予島杏、俺はおかしなことをいったのだろうか?」

 

「全然!当然のことです!」

 

「ならば、どうして俺は怒られた?」

 

「タマっち先輩は素直じゃないから」

 

「成程」

 

「納得するんじゃなぁぁぁあい!おかしいぞ!当初の予定では日向のコーディネートのはずだ!どうして、タマのコーディネートに!?」

 

「デートなんだし、こういうことをしてもいいんじゃないかな?」

 

「うっ、デートのことに疎いから杏の言うとおりなのだろうか」

 

「俺もわからないから、その通りなのじゃないか?」

 

「うぅ、そもそも、タマにスカートとか、女物が似合うなんて」

 

「何を言っている」

 

 俺は真っ直ぐに土居球子をみる。

 

「少しガサツなのかもしれないが、お前は誰よりも優しい、他者を心配できる素敵な女の子だ。そんな女の子がオシャレをすれば可愛いというのは当然のことのはずだ。何も周りはお前をからかっているわけじゃない。伊予島杏も本心からお前のことを可愛いと言っている。素直にその言葉を受け取ればいい」

 

「…………あの、その」

 

 俺の顔を見て、視線をさ迷わせる土居球子。

 

「その、さ」

 

「なんだ?」

 

「ひ、日向も、タマがその、女の子らしい格好をすれば可愛いと、その、本当に思うか?」

 

「当たり前だ。お前は可愛い。少しは女の子らしい格好をしてみるといい」

 

「よ、よし!言ったな!責任を取るんだぞ!」

 

「……?よくわからないがいいだろう」

 

 俺の言葉に“なぜか”やる気を出した土居球子は試着室の中に消えた。

 

「グッジョブだよ!日向さん」

 

 隣を見ると滅茶苦茶笑顔の伊予島杏。

 

 何かしたのか?

 

「俺は何かしたのか?伊予島杏」

 

「うん!とても素晴らしいことを……あとぉ」

 

「なんだ?」

 

「そろそろ、私達のことをフルネームじゃなくて、名前だけで呼べませんか?」

 

「……わかった」

 

 俺の言葉に伊予島……杏は笑顔を浮かべる。

 

 その後、女の子らしい格好をした球子と杏、その二人と一緒に楽しくショッピングをすることになった。

 

 道中で俺の服装について色々と二人が意見をしている間、立ちっぱなしでとても疲れてしまった。

 

 たかが、俺の服で何をヒートアップしているのだろうか?

 

 最後まで、わからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デートは楽しかったですか?日向さん」

 

 夕方。

 

 二人と別れて、丸亀城にある訓練場へ俺は来ていた。

 

「ひなた、機嫌が悪そうに見えるが?」

 

 目の前で笑顔を浮かべているがどこか不機嫌なひなたに俺は問いかけることにする。

 

「……」

 

「おい?」

 

「ハッ!いえいえ、こちらへ来てください」

 

 帰り道に勇者たちから渡されていた端末にメールが届いた。

 

 送り主はひなたでここへくるようにと記されていたのだ。

 

 中に入ると道着姿で大太刀を目の前において正座している乃木……若葉の姿がそこにある。

 

「何の用だ?」

 

「来たな?落合日向」

 

 真剣な表情で彼女は俺を見る。

 

「私と模擬戦だ。勝利すれば、夕食は私とひなたの三人で共にしてもらうぞ!」

 

「別に夕食くらい誘われれば同席する」

 

「今まで断っていた癖に何を言うか!」

 

「……おい、ひなた」

 

「……」

 

「む?どうしたのだ?ひなた」

 

 俺が呼ぶと反応しなかったひなたに若葉が不思議そうに視線を向ける。

 

「あ、ごめんなさい、考え事を……とにかく、若葉ちゃんは日向さんを信じたいので、ここはひとつ、模擬戦を引き受けてください。でないと、梃子でも動かないので」

 

「……わかった」

 

 少し前なら断っていたが……俺はこいつらに甘くなったのだろうか。

 

 そんなことを思いながら腰からブルライアットを取り出す。

 

「攻撃が相手へ直撃したと判断すれば、その時点で止めます。いいですね?」

 

「ああ」

 

「構わない」

 

 互いに頷いて得物を構えあう。

 

「はじめ!」

 

 合図とともに俺は前に踏み出す。

 

 若葉の大太刀の居合の脅威を知っている。だが、ここで踏みとどまっていても俺に勝利はない。ならば、どうするか?

 

 正面から挑む。

 

 何より若葉の大太刀や動きは奴を連想させる。

 

 奴との戦いの参考になるかもしれない。

 

「私を前に考え事とは余裕だなぁ!」

 

 叫びと共に放たれる居合。

 

 直撃すれば大ダメージだっただろう。

 

 俺はギリギリのところで回避する。

 

 居合の後はわずかに隙ができる。

 

「甘い!」

 

 俺の予想に反して若葉は大太刀を自分の体の一部みたいに操っていた。

 

 本来なら居合をした後はわずかなスキができるというのに彼女にそれがない。

 

 強敵だ。

 

 腑破十臓が目をつけるだけはある。

 

「だが!」

 

 俺はすべてのバーテックスを滅ぼすために戦っている。

 

 こんなところで立ち止まっている暇はない!

 

 振るわれた大太刀を上空へ薙ぎ払う。

 

 そのまま彼女目がけてブルライアットを振り下ろす。

 

 が、眼前で止める。

 

「そこまで!」

 

 ひなたの声で俺はブルライアットを鞘に納めて、落ちてくる大太刀を掴んで若葉へ差し出す。

 

「俺の勝ちだ」

 

「ああ、私の、負けだ」

 

 悔しそうな表情を浮かべる若葉を見て、少し考える。

 

「俺が勝利した時のことを決めていなかったな。若葉、俺とひなたの三人で夕食を取ろう」

 

「……なぬ!?」

 

「あら?」

 

 驚いた表情をする二人。

 

「ど、どういうことだ?そもそも、先ほどからお前はなぜ、名前だけで呼んでいる」

 

「……杏に言われたんだ。そろそろ名前を呼んでほしいとな」

 

「杏が……そうか、だが、嬉しいな。日向に名前を呼ばれると温かい気持ちになる」

 

 胸元に手を当てながらはにかんだ表情を浮かべる若葉。

 

 いつも凛々しい姿か険しい表情しかみてこなかったからだろうか。

 

 その姿はとても。

 

「可愛いな」

 

「!?」

 

「あらあら!」

 

 ボン!という音が聞こえたような気がした。

 

 前を見ると口をパクパクして、目をぐるぐると回している若葉の姿がある。

 

 隣では嬉しそうに目を細めているひなたの姿があった。

 

「な、な、何を、何を言っているのかわかっているのか!?」

 

「素晴らしいです!日向さんもようやく若葉ちゃんの素晴らしさに気付いてくれたみたいでとても嬉しいです!ええ、とても!」

 

「ひなた!少し、黙っていてくれないか!?」

 

「……夕食にいかないのか?いかないなら」

 

「行こう!今すぐだ!」

 

 嬉しそうに俺の手を掴んでくる若葉。

 

 だが、すぐに慌てて手を放そうとした。

 

 俺はその手を掴んで歩き出す。

 

「お、おい!手を」

 

「夕食を食べに行くんだろう?早く行こう」

 

「……まさかと思うが蕎麦ではないだろうな?」

 

「朝昼晩も蕎麦を食べるほど、蕎麦好きじゃない」

 

「そ、そうか……まて、まさか、朝か昼に蕎麦を食べたんじゃないだろうな?」

 

「さて、夕飯は何だろうな」

 

「待て!まだ話は終わっていないぞ!!」

 

「うふふ、楽しそうでよかったですね。若葉ちゃん」

 

 足早に歩き出した俺を追いかける若葉と嬉しそうについてくるひなた。

 

 夕食は騒がしくもとても楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで!」

 

「夜は私達のターンよ」

 

 丸亀城にどういうわけか存在する俺の部屋。

 

 その部屋で俺はちぃちゃんとたかし……友奈の二人に見つめられていた。

 

 夕食の後、ゴウタウラスのところへ向かおうとしたらいきなりこの部屋へ連れてこられてしまう。

 

 少し前に部屋を用意したといわれていたが滅多に足を運ばなかった。

 

 室内は最低限の家具と一人が寝るにしては少し大きい目のサイズのベッドがある。

 

 そのベッドの上で寝間着姿のちぃちゃんと友奈がこちらをみていた。

 

 どうでもいいことだが、ちぃちゃんは赤色のパジャマで友奈は桃色のパジャマである。

 

 俺は何を実況しているんだ?

 

「二人のターンといのは?」

 

「昨日と今日!日向さんはみんなと楽しく遊んでいました!」

 

「まぁ、そうだな」

 

「私達はその間、寂しくしていたわ……ねぇ、高嶋さん」

 

「ぐんちゃんの言うとおり!日向さん!私達は寂しかったんです!」

 

「……つまり、構えと?」

 

「言い方が幼くて嫌なのだけれど、夜は私達と一緒に寝るのよ」

 

「このベッドにか?」

 

 俺の言葉に二人は迷わずに頷く。

 

「それは流石に問題があるんじゃないか?」

 

 十四、五歳の少女達がこんな男と一緒に寝るなど、大社知れば問題になる。何より世間のマスゴミという存在が騒ぐ格好のネタになってしまう。

 

 それは不味いと思って断ろうとしたら。

 

「しくしく……」

 

「ああ!ぐんちゃんが泣いている!」

 

 目の前でちぃちゃんが泣きだした。

 

 ウソ泣きじゃない、本当に泣いている。

 

「悲しいわ。他の皆とは素敵な時間を過ごしているというのに、私や高嶋さんとは過ごしてくれないのね?そうよね……所詮、私は噛ませのような存在よ。恋愛ゲームでも幼馴染が噛ませなことが多い……どうせ、私もその種類なのよ。こんな私を、日向は好きになってくれるはずがないわよね、そうよね。こんな私なんか……」

 

「ああ、ぐんちゃんが!?困ったなぁ、誰かぐんちゃんと私の心を癒してくれる素敵な人はいないかなぁ?」

 

 チラチラとこちらをみてくる友奈とちぃちゃん。

 

 俺はため息を零す。

 

「わかった。二人と一緒に寝る。これでいいか?」

 

「「うん!」」

 

 嬉しそうにほほ笑む二人はすぐに一人分がすっぽりと収まるスペースを作る。

 

 ここでウジウジしていても仕方ないから真ん中に入ると待っていたように左右から抱きしめてきた。

 

「三人で寝るのは狭くないか?」

 

「そんなことないよ!とぉっても暖かいもん!」

 

「高嶋さんの言うとおりね、ポカポカしていて気持ちいい」

 

 嬉しそうに二人はこちらへ顔をうずめてくる。

 

 たった寝るだけのことなのによくわからない奴らだ。

 

 そんなことを思いながら俺は睡魔に襲われて瞼を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと、視線を感じて目を覚ます。

 

 すると、こちらをじぃっと覗き込んでいるちぃちゃんの姿があった。

 

「ちぃちゃん?」

 

 目を覚ました直後、だからか頭がぼんやりする。

 

「日向って、寝起きは弱いのね」

 

 ぼんやりみていると急にそんなことをいってちぃちゃんが頬を突いてくる。

 

「にぁにぃ?」

 

 普通に尋ねたつもりだったのだがのんびりした声になっていた。

 

 俺の姿にちぃちゃんが笑みを浮かべる。

 

「可愛いわね」

 

「そんにゃこと」

 

 指を突いてくるちぃちゃんを払いのけようとするが、やんわりとその手を掴まれてしまう。

 

 手を重ね合わせるようにして握り締めあっていた。

 

 ちぃちゃんは顔を近づけてくる。

 

「ありがとう、日向、大好き」

 

「……」

 

「そんな困った顔をしないで、貴方のおかげで私は私をもっと好きになれた。高嶋さんも貴方に好意を寄せている」

 

 ちらりと隣で寝ている高嶋友奈をみる。

 

 すやすやと気持ちよさそうに寝ているが両手は俺の腕を掴んで離さない。

 

 大事なものを扱う様に大事に、とても大切そうに俺の腕を抱きしめている。

 

「俺は……」

 

「無理に答えを出す必要はないわ……いつか、貴方の中で自然と答えが出るはず……ただ、できれば」

 

 ちぃちゃんがそこで笑顔を浮かべる。

 

 魅入られるほどの綺麗な笑顔。

 

 もし、月の光が差し込んでいたら女神と錯覚していただろう。

 

 それほどまでに綺麗だった。

 

「できれば、私と高嶋さんを選んでほしいわ」

 

 そういってほほ笑んでくるちぃちゃん。

 

 いつかは答えを出してあげたい……不思議と、そう思うようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、それは叶わぬ願いだと俺は知っている。

 

 はじまりがあれば、終わりがある。

 

 この日々に終わりが近づいていた。

 

 




本編はおそらく、後二話ほどで終わり。

ゆゆゆはやるかどうか未定……なんだよなぁ。

次回の番外編は幼子のために起こる暴走が予定。


ところで、アキバレンジャーは非公認だけど、スーパー戦隊にカウントすべきだろうか、

非公認だからいれなくてもいいのかなぁ?

もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?

  • パワーレンジャー
  • リュウソウジャー
  • ルパパト
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