黒騎士は勇者になれない   作:断空我

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なんとか、書き上げた。

誤字脱字があるかもしれませんが、本編、最終話手前の話です。

色々詰め込み過ぎて、遅くなってしまった。





黒騎士と最後の戦い

 

 

「お前が俺に話っていうのは珍しいな」

 

 俺は白鳥歌野が耕している畑の近くで流星光と向き合っていた。

 

 前に水都に見かけたら声をかけてほしいと頼んでおいた。場所と時間を指定して、その場で待っていると奴が現れる。

 

「お前に頼みがある」

 

「こりゃ、天変地異の前ぶれか何かかねぇ?」

 

「ふざけるな……わかっているだろ」

 

 俺の言葉に流星光が目を細める。

 

「この世界の終わりねぇ」

 

「いずれ、いや、近いうちに俺達の前にヤツは姿を見せる。そうなれば、勇者の連中は“死ぬ”。その未来を俺は、変えたい」

 

「変えたいかぁ、お前にどういう変化が起こったのやら、まぁ、話は聞いてやろう。お前の頼みとはなんだ?」

 

「ああ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?日向?」

 

 昼休み、高校でお昼を食べようとしていた力は校門の前に立っている日向を見つけた。

 

「どうしたんだ?日向!」

 

「ああ、力か。高校をみておきたいと思ってな」

 

「高校を?」

 

「ああ、色々あってちゃんと通えなかったからな」

 

「そっか」

 

 日向は黒騎士になる前は学生。

 

 しかし、復讐者になってからというものの、彼はまともに学生生活を送ってこなかった。

 

 そんな彼が高校にどうして興味を示したのだろう。

 

 不思議に思いながらも力は高校の中を案内することにする。

 

 許可を取らなければならないのだが、一緒に同行していた上里ひなたの言葉によってすんなりと許可が通った。

 

「力!何やっているんだ?」

 

「お!誰だよ!その人」

 

「みたことないな!力の友達?」

 

「はじめまして!私達、力の友達です!」

 

 笑顔を浮かべて力のところへやってくる四人のメンバー。

 

 高校で力と仲良しの友達だ。

 

「日向は初めてだよな。俺の友達だ。みんな、彼は落合日向だ。俺の友達」

 

「落合日向だ、力とは小学校の時からの付き合いだ」

 

「へー!あ、俺は山形大地!陸上部所属だ!」

 

「俺は浜洋平!水泳部に所属しています!ちなみに高校生ながらにインストラクターの資格もっております!」

 

「自分でいうか!?俺は日野俊介!体操部なんだ!」

 

「最後は私ね?森川はるなよ。生徒会長でバトン部に属しています」

 

 力の仲間達の自己紹介。

 

 彼らを見て、日向は一言。

 

「お前の友達は個性的すぎないか?」

 

「ごめん、日向……お前も人のこといえない」

 

 ポンと力が日向の肩を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お!日向じゃん!こんなところで何してんだ!」

 

 ある教室から飛び出した健太が力たちと一緒に歩いている日向の姿を見つけて声をかける。

 

「いや、少し、高校をみておきたくて」

 

 日向は健太に小さく微笑む。

 

 その時、大きな声が響いた。

 

「おい!テスト勉強中だろうが!何やっているんだ!」

 

「健太!補習を受けているとまずいから助けてくれっていったのはお前だろう!」

 

「もう!健太ぁ!」

 

「あ!イケメンがいる!」

 

 教室の窓から顔を出している生徒たち、

 

 次々と顔を出したことからぎゅうぎゅうと窓に挟まり、最初に顔を出していた一人が顔をしかめていた。

 

「あれ、大丈夫なのか?」

 

「いつものことだ」

 

 日向の質問に力は短く答えた。

 

「デジ研はあの通りだからな」

 

「…………デジ研?」

 

 大地の言葉に日向は首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ!ここがデジタル研究会だ!」

 

 健太が両手を広げて部室に入る。

 

「デジタル研究?パソコンとかだよな。健太……お前、パソコンできたのか?」

 

 日向は知っている。

 

 健太はゲームができるけれど、パソコンを触ろうとすれば蕁麻疹がでていた。

 

 そのことを覚えていた日向は不思議そうに健太をみる。

 

「ま、まぁ、最初は出ていたけれど、今は、ほら、なんとかできる!」

 

「手が震えているし、タイピングできていないぞ」

 

 日向の指摘に周りが笑う。

 

「しっかし、炎と健太のバカが仲良しなのに疑問だったが、これで謎が解けたな」

 

 並樹瞬が二人のやり取りを見ながらうんうんという。

 

「確かに……おっちょこちょいの健太と成績優秀で野球部のエースである炎力の組み合わせには誰もが疑問を抱いていたが……間に一人いたわけだ」

 

「納得だけれど、でも、あの三人のやり取りを見ているとすっごいぴったりだと思う」

 

 彼の言葉に続けて遠藤耕一郎と城ケ崎千里が同意する。

 

「やっぱり、イケメンだよなぁ……彼女とか」

 

――彼女とかいるのかなぁと言おうとした今村みくは背中に寒気を感じて、続きを言うことをやめる。

 

 ちなみに彼女の言葉に四国に住まう勇者と巫女が前触れもなく殺気を出したことで周囲の一般人は寒気を覚えたらしい。

 

「力たちもそうだが、健太も部活に入るんだな」

 

「そりゃな!この学校は入部絶対だからな」

 

「入部の後に幽霊部員になる奴もいるが」

 

「全くだ」

 

 瞬の言葉に耕一郎が同意する。

 

 この学校は全校生徒部活に加入する校則が設けられていた。

 

 そのため、必ずどこかの部活に在籍する必要がある。

 

 入った後にこなくなり、三年間を過ごすといった幽霊部員も当たり前に存在する。

 

「健太もそうなるかと思ったんだが、意外と根性がある」

 

 デジタル研究会の会長を務める耕一郎が感心!感心!というように頷いた。

 

 その姿に健太は調子に乗っていたが誰も反応しない。

 

「それよりさ!今日は日向君と出会ったことを記念して打ち上げしない?」

 

「あー!賛成!いいかも!」

 

 はるなの言葉にみくが同意した。

 

「いいかも!やろうぜ!力!」

 

「おいおい、日向の許可を取ってやれよ」

 

やる気になる洋平に大地が待ったをかける。

 

 そこで全員の視線が日向に向けられた。

 

「俺なんかのためにやってくれるのか?」

 

「当然だって!」

 

「皆、日向と仲良くなりたいんだよ」

 

 左右から健太と力が肩を叩く。

 

 二人に言われて日向は頷いた。

 

「よし!」

 

「早速、準備を!」

 

「貴方達!」

 

 デジタル研究会のドアが開いて教師の女性が姿を見せる。

 

「ゲッ、山口先生!」

 

 俊介がやってきた女性を見て驚いた顔をした。

 

「貴方達!もう授業ははじまっているのよ!すぐに教室へ戻りなさい!」

 

「はい!申し訳ありません」

 

 耕一郎は頭を下げると出ていく。

 

「あら?貴方は?」

 

「俺は学校の見学を」

 

 日向は問われて胸元のプレートを見せる。

 

「そう、じゃあ、授業も見学していく?」

 

「いい……んですか?」

 

「当然よ!」

 

 山口先生に言われて日向はその日、授業を見学する。

 

 黒騎士になってからというものの勉学から離れていたが、すんなりと理解できた。

 

 それは教師である山口先生の教えが良かったからなのかもしれない。

 

 放課後、掃除まで参加した日向は健太と力に連れられて校舎の外に出る。

 

 そのまま近くのファミレスで大地や瞬たちと楽しく会話や食事を味わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ~~!日向君!連絡アプリ使っていないの!?」

 

「インストールしましょ?みんなで連絡を取るのも楽しそうだもの!」

 

「ほとんどの人が利用しているのに珍しいな」

 

「もし、高校へくるならデジタル研究会に入ってほしい!キミなら大歓迎だ!」

 

 みくの言葉にはるなが促し、大地と耕一郎が会話に参加する。

 

「おい!お前、ファミレスで焼肉なんか頼むなよ!」

 

「そうだぜ!割り勘なんだからなるべく、みんなで味わえるものを選べって!」

 

 瞬と洋平が焼肉を頼んだ健太に叫ぶ。

 

 その光景を千里が写真に収めて、俊介が偶に写真に割り込んだ。

 

 高校生十人以上ということでファミレスの中はとても騒がしかった。

 

 だが、日向は不思議と楽しい時間に思えた。それは高校生活を復讐者になる際に捨ててしまったからなのかもしれない。

 

 満喫したことで彼らはそれぞれ解散する。

 

 日向は力と健太の三人で夜道を歩いていた。

 

「なぁ、日向」

 

「なんだ?」

 

「本当はさ、何で高校にきたんだ?」

 

 力が日向へ問いかける。

 

「あ、それ聞くんだ。まー、俺も気になっていたんだけどね!」

 

 健太も同意した。

 

「やっぱり、二人に隠し事はできないな」

 

「当然だって!俺ら親友なんだからよ!」

 

「短い付き合いかもしれないけれど、俺達は強い絆で結ばれている。そう、俺は信じているんだ」

 

 二人の言葉に日向は嬉しく思えた。

 

 もしかしたら、自分が復讐だけに走り切れないのはこの二人がいてくれたおかげなのかもしれない。

 

 勇者たちの関りもあっただろう。だが、彼らが自分のことを覚えていてくれたからこそ、四国に来て自分は人間らしさを出せるようになったのだろう。

 

「なぁ」

 

 日向は夕焼け空を見上げながら二人へ声をかける。

 

「俺は、お前達にとって親友なんだよな」

 

「当然だ」

「当たり前だっての」

 

「そっか」

 

 迷わずに肯定してくれる彼らの姿に日向はとても嬉しく思えた。

 

「話しておきたいことがある――」

 

 日向は大事な話を二人に切り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは一体、どういうことなの!?」

 

 白鳥歌野は目の前の光景に息をのむ。

 

 ドラゴンシーザーたちが住まう森。

 

 その前に作られた歌野のための、歌野による、歌野のための畑。その名も“うたのんファーム”。

 

 “のうぎょうおう!”という文字がプリントされて、愛用している鍬を手にしてやってきた歌野は叫ぶ。

 

「どうして、誰もいないの!」

 

 歌野は叫ぶ。

 

 彼女の言葉にドラゴンシーザーは首を傾げた。

 

「ドラゴンシーザー!奴は!奴はぁ、どこにいったぁ!」

 

 ドラゴンシーザーが怯えるほどに歌野の目は必死だった。

 

「日向はどこいったぁああああああああああああああああああああああああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、俺は歌野に呼び出されて」

 

「知らないな。何より!お前は私を蔑ろにし過ぎだ!」

 

「そんな覚えはないのだが」

 

 日向は若葉と共に歩いていた。

 

 彼は歌野に呼び出されて森に向かっている途中、待ち伏せしていた若葉によって別の場所を目指している。

 

「どこにいくんだ?」

 

「貴様をうどん派に染め上げる」

 

「洗脳のようなことをいうな」

 

 さらりと告げた本気の言葉に日向は真面目に答える。

 

 事実、この前は五円玉に紐を通して古典的な催眠術を行おうとしていた。

 

「何より、これ以上、白鳥さんと藤森さんのコンビにリードされるわけにはいかない」

 

「ん?」

 

「いや、何でもない。今日は一緒に昼食を取ろうと思う」

 

「そうか」

 

「では、行くぞ」

 

 日向と若葉はあるうどん屋にきていた。

 

「そういえば」

 

 椅子に腰かけたところで日向は気になっていたことを尋ねる。

 

「……ひなたは来ないのか?姿を見ないんだが」

 

「む?ひなたは来ないぞ」

 

「そうなのか?」

 

「そうだ、なんだ……その、私と二人っきりのデートは嫌なのか!?」

 

 後半は大きな声で日向に向かって若葉は叫んだ。

 

「……そんなことはないさ」

 

 少し顔を赤くしながら若葉は日向を見つめる。

 

 見つめられた彼は小さく笑みを浮かべて首を振った。

 

「座ったらどうだ?周りの視線を集めているぞ」

 

「……うむ」

 

 頷いた若葉は座る。

 

「その、すまない」

 

「謝ることはないさ。俺もすまない……その、デートだということに気付けず」

 

「いや、私がもっと普通の女の子らしくあれば、よかったのだ……こういう時にひなたを羨ましく思う……私はとても不器用だ」

 

「それは俺も同じことだ」

 

 俯いた若葉に日向は優しい言葉をかける。

 

「俺だって、不器用だ。お前達の好意へ答えることもなく、ぶらぶらと……普通なら嫌われて当然なのに、お前たち、いや、お前はそれでも俺に好意を寄せてくれる。そのことがとても嬉しい」

 

「は……」

 

「は?」

 

「恥ずかしいことを言うな!」

 

「……すまない」

 

 日向の言葉に若葉は顔を赤らめながら叫ぶ。

 

 その後、食べたうどんの味を二人は覚えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、日向さん」

 

「杏か、そこで何をしているんだ?」

 

「ゴウタウラスさんとドラゴンシーザーさんをスケッチしていました」

 

 森の中でのんびりしているゴウタウラスとドラゴンシーザーを眺めながら杏はスケッチしている絵をみせる。

 

「中々にうまいな」

 

「ありがとうございます。実は、絵本でも書いてみようかなと思っていまして」

 

「絵本?」

 

「はい!この星には不思議な生き物がいるってことで、色々な伝承とか、神話を調べて、そういう絵本を」

 

「そうか、いい物ができるといいな」

 

「はい!あ、そうだ。少し、教えてもらっていいですか?」

 

「なんだ?」

 

「ゴウタウラスさんって、別の星の生き物なんですよね?ドラゴンシーザーさんって?」

 

「ドラゴンシーザーはこの星の生き物、太古の時代に人や生き物を守護していた存在の一体、守護獣だ」

 

「そうなんですね、じゃあ、他にも?」

 

「いるだろうな」

 

「そうなんですね。会ってみたいなぁ」

 

「いつか会えるだろう」

 

「そうだったら嬉しいなぁ」

 

 遠くを見る杏に日向は言う。

 

「杏、頼みがあるんだが」

 

「頼み、ですか?」

 

「ああ、お前や俺達のことを記録した話をいつか、書いてくれないか?」

 

「え、わ、私がですか!?」

 

「ああ」

 

「そんな、私なんか」

 

「これだけ綺麗な絵をかけるんだ。きっとできるさ。そして、いつか、みんなに伝えてやってほしい」

 

「……頑張ってみます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、日向」

 

「球子か……どうし」

 

 振り返った日向は言葉を詰まらせる。

 

 目の前にいた球子はいつものズボンや動きやすさを重視した格好ではなかった。

 

 スカートなどを履いて、フリルなどがついた服を着ている。

 

「に、似合うか?」

 

「……」

 

「は、速く、答えタマえ!」

 

「ああ、似合う。とても可愛いぞ」

 

「!!」

 

 ボン!とわかりやすいくらい顔を真っ赤にする球子。

 

 その姿に日向は小さく笑う。

 

 

「な、わ、笑うんじゃない!」

 

「すまない、あまりに可愛かったからな」

 

「むぅ、杏もお前も、タマを何だと思っているんだ」

 

「可愛い女の子」

 

「そういうことじゃない!もうぅ!」

 

「その服を見せたかったのか?」

 

「ま、まぁな!いいか!今度はお前がタマ達にコーディネートされるんだからな!それを忘れるんじゃないぞ!」

 

 ビシッと指を突き付けて球子は去っていく。

 

「なんだ?一体」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日向さん!お、お背中を流します!」

 

「……友奈か」

 

 丸亀城の入浴施設。

 

 そこで日向が入っているとタオルを巻いて、高嶋友奈がやってきた。

 

 彼女が来ることを分かっていたのか、日向はあまり驚く様子を見せない。

 

「あ、あれ、驚かないんですか?」

 

「緊張しているのはいいが、メールを送る相手はちゃんと確認した方がいいな」

 

 日向の言葉に友奈は顔を真っ赤にする。

 

「え、えぇ!?私!日向さんに送っていたんですかぁ!?そんなぁ……」

 

 座り込みながらもすぐに高嶋友奈は立ち上がる。

 

「でも!やることは変わりません!日向さん!お、お、お背中をお流ししますぅ!」

 

 顔を赤らめて緊張しているのか上ずった声で話す友奈に小さく笑いそうになりながらも日向は背中を預けた。

 

 今までの生活ならそんなことは決してなかっただろう。

 

 それだけ、高嶋友奈にも気を許していた。

 

「うわぁ、日向さんの背中って大きいんですね」

 

「そうか?普通の人と変わらないだろう」

 

「そんなことないですよ!とぉっても大きいですほら、私よりも大きいんですから!」

 

「おい、何を抱き着いているんだ」

 

「えへへ、温かいなぁ」

 

 背中にぴったりと抱き着いてくる高嶋友奈。

 

 伝わってくる温もりに日向は少し驚いた声を上げた。

 

「日向さんの背中はやっぱり大きいです。それに、とぉっても安心します!」

 

「そういわれるとくすぐったいな」

 

「えへへ!」

 

 笑顔を浮かべる高嶋友奈。

 

 それから二人は湯船に体を鎮める。

 

 少しばかりの距離を開けようとしていたのだが友奈が日向に近づいたために、肌と肌が触れ合う距離だ。

 

「日向さん、ドキドキしています?」

 

「そうか?」

 

「はい、日向さんの心臓の音が聞こえます」

 

 コトンと日向の肩に頭を乗せながら友奈は言う。

 

 その顔はどこかほっこりしたような表情だ。

 

「友奈、お前もドキドキしていないか?」

 

「ふぇ?」

 

 日向に指摘されて友奈は自分の胸に触れる。

 

「あ!本当だ!ドキドキしています!おそろいですね!」

 

「そういうおそろいってどうなんだろうか」

 

「いいことですよ!絶対!」

 

 そういう友奈の笑顔はとても綺麗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかとは思ったが、ちぃちゃん、キミが計画の立案者か」

 

「提案者は上里さん、考案者は私よ」

 

「……どちらにしろ、加担しているということか」

 

 肩をすくめた日向。

 

 ゴウタウラスのいるところへ向かおうとしたのだが、友奈から「ぐんちゃんが待っています!」といわれてこの部屋へ来ていた。

 

「日向ももう少し、この部屋に家具とか置くべきだわ」

 

「……家具、ねぇ」

 

「必要ないと思っているの?」

 

「あくまで、ここは借りているところだ。俺が住むという訳じゃない。なら、家具なんか置かない方がいい」

 

「そう……わかった」

 

「一応、聴くがちぃちゃん、もしかして」

 

「ええ、一緒に寝るわ。二人でね」

 

 “二人”を強調して答える千景に日向は苦笑する。

 

 なんとなく、そんな流れになるという気はしたのだ。

 

 朝から勇者たちと遭遇して何かしらのことが起こっている。もしかしたら、千景ともという予感は見事に的中する。

 

「さぁ、明日も早いのだからそろそろ寝ましょう」

 

 そういって一人が入るスペースを作る千景。

 

 ここで逃げるという選択肢をとった場合。

 

 翌日、ガチ泣きして、皆の前で報告する姿が何故か日向は鮮明に想像できた。

 

 

――別に断る理由もないか。

 

 

 千景にはとても甘い日向はそう考えるとベッドへ横になる。

 

 寝るとすすすと彼女が抱き着いてきた。

 

「寝にくくないのか?」

 

「いいえ、とても気持ちよく寝られるわ……日向と寝ていると嫌な夢も見ないから」

 

「……」

 

 彼女の言う嫌な夢。

 

 それはバーテックスによって彼女のトラウマを刺激されてから時々あるらしい。

 

 小学校時代のいじめなど、彼女にとっての嫌な記憶が夢となって現れる時があるという。

 

 それだけ、彼女の傷が深いということ。

 

 日向にできるのはなるべく、彼女が気持ちよく寝られるようにすること。

 

 果たして、それを自分がやっていいのか?

 

 疑問を抱きながらも苦しそうな表情をしている千景をやさしく抱きしめる。

 

 抱きしめただけで千景の険しい表情が消えていく。

 

 日向に眠気が襲う。

 

 自然と日向はそのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少しして、千景は目を覚ます。

 

 嫌な夢を見てしまった。

 

 昔の嫌な記憶を思い出した千景は体を起こす。

 

 すぐ隣では静かに寝ている日向の姿があった。

 

「日向……」

 

 手を通して感じる日向の温もり。

 

 もし、彼がいなかったらどうなっていただろうか。

 

 何かに固執していただろうか?

 

 それとも、何もかも諦めてバーテックスの餌食に?

 

 もしもの未来を考えるもどれも暗いものばかり。

 

「私は暗い性格だから、碌でもないものばかり考えるわね」

 

 小さく、千景はため息を零す。

 

「けれど」

 

 千景の傍には日向がいる。

 

 温もりを感じて彼女は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「貴方のことが大好き、いつまでもこの思いは消えないわ……絶対」

 

――だから、私はちゃんと生きる。

 

 千景の両親は駆け落ちをして、自分を生んだ。

 

 その後の人生は語るまでもない。愛が消えると、二人は冷めきってしまった。

 

 だから、あの二人にならないようにしたい。

 

 その気持ちがあるからこそ、彼を永遠に愛し続けると自らに誓う。

 

 

 後悔しない道を選ぶ。

 

 そうして、幸せになる。

 

 千景は小さな誓いを抱きつつ、愛しい日向の頭を撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽しい日々も終わりか」

 

 俺の言葉にゴウタウラスが悲しそうな声を上げる。

 

「別れ……確かに別れかもしれない、だがな……ゴウタウラス」

 

 相棒に俺は告げる。

 

「この別れは彼女達が幸せな日々を送るためのもの……そして、俺の復讐を果たすための戦い……この戦いに正義や義といったものはない。それでも、俺と共に来てくれるか?ゴウタウラス」

 

 バカにするなというようにゴウタウラスが吼える。

 

 振り返るとこちらへ近づいてくるゴウタウラス。

 

「ありがとう、ゴウタウラス」

 

 感謝の言葉を告げながら俺とゴウタウラスは四国の外へ出る。

 

 目的を果たすため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだ!ひなた!」

 

「みーちゃん!どういうこと!」

 

 丸亀城の一室。

 

 そこに集められた勇者たちは巫女であるひなたと水都へ叫ぶ。

 

 集められた彼女たちはそこで衝撃的な事実を告げられる。

 

「黒騎士、落合日向さんが四国の外に出ました」

 

「外に出て……天の神と戦うために」

 

 ひなたと水都から告げられた言葉に彼女たちは茫然としたがすぐに感情が沸き上がる。

 

 怒りと戸惑いの感情が。

 

「どうして、どうして、日向が!」

 

「……そうだ、何も言わずに姿を消すなど、どうして」

 

「お前達のためさ」

 

「貴方は!」

 

「流星光……!」

 

「待ってください。今、私達のためっていいましたよね?一体、どういうことですか」

 

 杏が流星光へ尋ねた。

 

「まずは、お前達が知らないことが二つある。一つは大社が神の怒りを鎮めるためにある儀式を行おうとしていること……もう一つは大サタンが四国を滅ぼそうと近づいているのさ」

 

「鎮めるための儀式?」

 

「大サタン?」

 

「どういうことなの?」

 

 突然、告げられた知らないワードに勇者たちは困惑する。

 

「まず、一つ目の儀式、それは神話の国譲りとやらに則って六人の巫女を生贄して行う奉火祭を行うことで天の神に赦しをこおうとしているのさ」

 

「なっ!」

 

「そんなことって……」

 

「なぜ、天の神に赦しなど!」

 

「その理由が大サタンさ」

 

 流星は話す。

 

 大サタンとは悪の根源、太古の昔、恐竜と共に住まう種族たちを滅ぼそうとした“史上最大の悪”。

 

 その悪が天の神に加担して四国を滅ぼそうとしている。

 

 大サタン接近を知った大社は勝ち目がないことを悟り、天の神に人類存続の許しを請おうとしていた。

 

「バカな!助かるために他者を犠牲にして生き残る?天の神に屈することなど、あっていいわけがない!」

 

 若葉が拳を壁に叩きつける。

 

 皆が同じ気持ちだった。

 

 友奈も、球子も、千景も、杏も、歌野も。

 

 誰もが認められない。

 

「だから、奴が動いたのさ」

 

 彼女達の気持ちを察して流星が言う。

 

「奴は奉火祭のことをしった。それを阻止するためにゴウタウラスと共に戦いに出向いた……そして、お前達、勇者にあることを託した」

 

「託した?」

 

「どういうこと?」

 

 若葉と千景が尋ねる。

 

「お前達は本当に幸運だな。天の神、大サタンを何とかする方法がこの四国にあるのさ」

 

 流星光は笑みを浮かべる。

 

 方法がある。

 

 その言葉を聞いて若葉は前のめりながらも尋ねた。

 

「どういうことだ!奉火祭と大サタンを何とかする方法があるのなら教えてくれ!」

 

「……“究極大獣神”を目覚めさせるのさ」

 

「究極?」

 

「大獣神って、何だ?」

 

「太古の昔、大サタンと戦った神さ。天の神と違い、この星の命を守るために戦う六大神の一つさ。かつて、大サタンと戦い……退かせることに成功した」

 

「そんな存在が四国に?」

 

「正確に言えば、四国に究極大獣神を“復活させる方法”があるということだ」

 

「どうやって?」

 

「白鳥歌野」

 

「ワッツ!?どうして、ミーに話が振られるの!?」

 

 流星に呼ばれて歌野が戸惑った声を上げる。

 

「お前がそのカギの一つを持っているからさ」

 

「ど、どういうことよ!?そんなもの、持っている憶えなんてないわよ」

 

「“ダイノメダル”」

 

「ダイノ……メダル?何それ?」

 

「こ、これ!?」

 

 歌野はポケットからドラゴンレンジャーブライから授かった“三つ又の槍のようなマークが描かれているメダル”を取り出す。

 

「このメダルと残り五つのメダルを用意して、ある場所へ行けば究極大獣神を呼び出すことができる。だが、その前にお前達はやらなければならないことがある」

 

「やらないといけないこと?」

 

「魔法の世界だ」

 

「はぁ!?魔法の世界?何だそれ!」

 

 球子が叫ぶ。

 

 既に彼女の頭は混乱を始めていた。

 

 神様の存在からさらには魔法とまできている。

 

 混乱するのは当然だった。

 

「残り必要なダイノメダルは魔法の世界に封印されている。その封印をお前たちが解かなければならない。そうしなければ、究極大獣神は目覚めない」

 

「行こう!」

 

 流星が話し終えると高嶋友奈が叫ぶ。

 

「行こう!みんな!日向さんが私達に黙っていったのは辛いけれど、私達にもやれることがあるのならやろう!」

 

「……高嶋さんの言うとおりね」

 

「タマっち先輩!やろう!」

 

「そうだな!タマ達にこういうことを任したのなら、やってやろう!タマ達に任せタマえ!」

 

「そうだな。日向が私達に頼るというのなら……その思いに応えなければ、いや、応えない。何より大社のやろうとしていることは認められない。天の神に必ず報いを受けさせよう」

 

 五人の勇者たちは頷いた。

 

「こりゃ、強敵ネ!」

 

「頑張ろう!うたのん」

 

「あらあら」

 

 決意の表情を見せる勇者たちに巫女と元勇者は微笑む。

 

「全く、ここまで真面目に愛を語る連中がいるとはなぁ……染みるぜ」

 

 背を向けながらも流星光は小さく笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 四国の外。

 

 神樹に守られた世界以外に人は住んでいない。

 

 全ての人がバーテックスによって食い尽くされた世界。

 

 それがこの世のすべて。

 

 人の住まう場所は天の神によって奪われた。

 

 荒廃した世界に次々と爆発が起こる。

 

 廃墟と化した大地の中を二つの影が突き進む。

 

 黒騎士とゴウタウラス。

 

 うなりを上げて小型バーテックスを踏みつぶすゴウタウラスの上で黒騎士はブルライアットで近づいてくるバーテックスを切り裂く。

 

 二つの存在を滅ぼそうと至る所から現れる小型バーテックス。

 

 離れたところでは小型バーテックスが集まり、巨大なバーテックスへその身を変えていく。

 

「ゴウタウラス!」

 

 黒騎士は叫び宙を飛ぶ。

 

 そんな彼にゴウタウラスの光が降り注ぐ。

 

 重騎士へ姿を変えて、目の前の合体バーテックスをゴウタウラスと共に蹴散らす。

 

「!」

 

 ほとんどのバーテックスを蹴散らした時、重騎士とゴウタウラスの周囲で地震が起こる。

 

 揺れと共に地面の中から巨大なバーテックスが六体、現れた。

 

『合体型じゃないよ。完成した個体だ』

 

 どこからか子供の声が響く。

 

 四国に現れた大サタンの使者であることに重騎士は察する。

 

『勝てるかな?』

 

 挑発するような声を戦闘開始の合図として六体のバーテックスが襲い掛かって来る。

 

「行くぞ!ゴウタウラス!」

 

 重騎士の言葉と共に雄叫びをあげて突き進むゴウタウラス。

 

 相手は完成した六体のバーテックス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今から魔法の国の扉を開ける……だが、油断はするなよ」

 

 流星光と勇者と巫女がやってきたのはゴウタウラスとドラゴンシーザーが住まう森。

 

 そこで彼らは戦装束で準備をしていた。

 

 謎の呪文を流星が呟くとともに目の前にドアが現れる。

 

「ドアだな」

 

「ドアだ」

 

「これが魔法の国に繋がる扉だ。それと」

 

 流星は近くの太い木に複数のロープを用意した。

 

「このロープは?」

 

「お前達が無事に帰ってこられるようにするための繋ぎだ」

 

「どういうことだ?」

 

 疑問を若葉はぶつける。

 

「魔法の国といっているが、あそこは何でもありの世界だ。怨念が現れることもあれば、摩訶不思議な存在が姿を見せることもある。そんな世界に勇者とはいえ、普通の人間が入ればどうなるかわからない。最悪、その世界の住人になる危険もある。無事にお前達が帰ってこられるようにこのロープで体を縛って進め。安心しろ、魔法のロープだ。目的地につくまで永遠に伸び続ける」

 

「便利だな、魔法って」

 

「魔法って素敵!」

 

「けれど、地味ね」

 

「そういうなら、お前達も魔法を取得することだな」

 

 球子、杏、千景に流星は言う。

 

「私と水都さんはここで皆さんの帰りを待っていますね」

 

「うたのん!気を付けてね」

 

「オフコース!必ず帰って来るからね!」

 

「ひなた、必ず帰るから、待っていてくれ」

 

「はい!」

 

 歌野と若葉は体にロープを巻き付けて、扉の前に立つ。

 

 並ぶ勇者たち六人。

 

 互いの顔を見ながら彼らは扉の中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛び込んだはいいけれど、真っ暗じゃないか」

 

 魔法の世界。

 

 そう呼ばれる空間に飛び込んだ勇者たち、しかし、そこには何もない真っ暗な空間が広がるのみだ。

 

「タマっち先輩、何が起こるかわからないから油断しない方がいいと思う」

 

 全員が武器を構えながら警戒をしている。

 

「白鳥さん、残りのメダルのある場所は?」

 

「ミーの持っているダイノメダルが示してくれるから迷う心配はないと思うわ。光の強くなる方向にあるはず」

 

 歌野の手の中にあるダイノメダル。

 

 輝きが増す方向へ彼女達は歩いていた。

 

「もっと、いきなりドバーっと何かが出てくるもんだとタマは思っていたんだよなぁ」

 

「気持ちはわかるなぁ、でも、何も無い方がいいよ!」

 

 球子の言葉に同意しながらも厄介な敵が出てこない方がいいという友奈。

 

「高嶋さんの言うとおりね。でも、こういう空間だといきなりトラップが起こる可能性もあるから注意を」

 

 ぴたりと千景たちは立ち止まる。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

 球子は急に前のメンバーが止まったことで尋ねる。

 

 前を見ると青いタマゴのようなものが沢山、置かれていた。

 

「何だあれ?タマゴか?」

 

「そうみたいだけど」

 

「こういう展開の場合に出てくる卵っていうのは決まって」

 

 千景が最後まで言葉を発する前にタマゴに亀裂が入ってそこから不気味な人型の怪物“ヒドラー兵”が次々と現れる。

 

「キモ!何だ、この気持ち悪さ!」

 

「数は多いが知能は低い!今は先を急ぐ、一点突破で先を急ぐぞ!」

 

 球子が武器でヒドラー兵の顔を叩き潰しながら叫ぶ。

 

 若葉が刃で切り伏せながら指示を出す。

 

「じゃあ、私が行くよ!勇者パァアアアンチ!」

 

 叫びと共に放たれた友奈の一撃によって宙を舞うヒドラー兵。

 

 勇者たちはダッシュでその場から離脱する。

 

 だが。

 

「あ、あれ?」

 

 突如、勇者たちは都会の地下へきていた。

 

「え、どうなってんだ?」

 

「私達、真っ暗な空間にいたはずなのに……」

 

 戸惑った声をあげる球子と杏。

 

「考えていても仕方ない。先を急ぐしか私達には方法がないんだ」

 

 誰もいない広い通路を勇者たちは進む。

 

「さっきのおぞましい怪物は何だったのかしら?」

 

「わからない、だが、油断はしない方がいいだろう……流星光がいっていた。ここは何が起こるかわからない」

 

「そうよねぇ、いきなり壁が爆発なんて笑えないわ」

 

 けらけらと歌野が言った直後。

 

 彼女達のすぐそばの壁が音を立てて壊れた。

 

 その壁の中から現れた妖怪ヌリカベ。

 

「「「「…………」」」」

 

「そ、ソーリー」

 

 咎めるように視線を向ける五人に歌野は申し訳ないと謝罪する。

 

 近づいてくるヌリカベに友奈のパンチが振るわれる。

 

 直後、ヌリカベの姿が消えた。

 

「あ、あれ?」

 

 突然の事態に困惑する声を上げる友奈。

 

「高嶋さん!」

 

 何かに気付いた千景が友奈の腕を掴んで引き寄せた。

 

 直後、彼女のいた場所にキュウリ爆弾が落下する。

 

 少し遅ければ友奈は爆弾の餌食になっていただろう。

 

「ありがとう!ぐんちゃん!」

 

「どういたしまして……高嶋さんを狙うなんて許さない!」

 

 千景は目の前に現れたカッパに鎌を振り下ろす。

 

 カッパが刀で防ごうとするも――。

 

「甘い!」

 

 鎌を操り、刀を弾き飛ばしてがら空きの胴体に刃を振るう。

 

 しかし、その刃は空を切った。

 

「また……どうなっているの?……あら?」

 

 千景は周りを見る。

 

 いつの間にか、他のメンバーが消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐんちゃーん!若葉ちゃーん!みんなぁ~!」

 

 友奈は薄暗い地下洞窟の中を歩いていた。

 

 連絡も取れず、仲間の行方がわからないため、前に進むしかない。

 

 皆の無事を願いながら友奈は地下を歩く。

 

 光の差し込まない世界はとても暗く、肌寒い。

 

 戦装束を纏いながらも体に伝わってくる寒気に友奈はなんともいえない感情を抱く。

 

「どこなんだろう、ここ」

 

「ここは地底帝国チューブ」

 

「!?」

 

 聞こえた声に友奈は体を震わせる。

 

 否定したい。

 

 しかし、悪夢として友奈を蝕んでいたあの声を忘れることは出来なかった。

 

「貴方は……」

 

 高嶋友奈の前に現れたのは死んだはずの盗賊騎士キロスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分断されてしまったか」

 

 若葉は誰もいない森の中を進む。

 

 腰に巻いてあるロープを辿れば元の世界に帰れる。

 

 だが、それは黒騎士を助けることを諦めることに繋がってしまう。

 

「皆も目的地に向かっているはずだ。真っ直ぐ、この道を突き進む!」

 

 ふと、若葉は歩みを止める。

 

 目の前に立っている存在に気付いた。

 

「待っていたぞ、乃木若葉」

 

 目の前に現れたのは腑破十臓だった。

 

「腑破…………十臓」

 

「言ったはずだ。俺は強き者との戦いを望む……黒騎士がいないのなら乃木若葉、お前が俺の相手だ」

 

 裏正を抜いて十臓が若葉の前に立ちはだかる。

 

「悪いが、お前の相手をしている暇はない」

 

「そうはいかん、貴様が戦わぬというのなら、この足で俺は四国の人間を切り伏せるまでだ」

 

「なに!」

 

「何を驚く?俺は外道に身を落とした存在だ。目的のためなら手段を択ばない。そう同じ人間であろうと俺は斬る」

 

「……貴様は既に死んでいるのだったな」

 

「その通りだ」

 

「私は勇者として、一人の女としてやらなければならないことがある。だが、腑破十臓、お前は乃木家の者として、いや、人間としてお前を放置するわけにはいかない!」

 

「やる気になったか、待ち望んでいたぞ」

 

 大太刀を抜いた若葉に十臓は嬉しそうにほほ笑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 荒廃した大地に爆発が起こる。

 

 煙の中から姿を見せたのはブルタウラス。

 

 彼の手の中には倒された六体のバーテックスだった亡骸。

 

 ブルタウラスは亡骸を投げ捨てる。

 

『流石は黒騎士っていうことだね』

 

「いい加減に姿を見せたらどうだ?大サタンの使者!」

 

『使者っていう言い方はやめてほしいね。僕にはカイっていう名前があるんだ』

 

 ブルタウラスの前に現れたのは大サタンの使者、カイ。

 

 そして、彼の操るドーラタロス。

 

『本当は真っ向から叩き潰したかったんだけどね。大サタンと天の神からあることを試すように言われていたから』

 

「何を」

 

 眩い閃光がブルタウラスを包み込んだ。

 

 それは黒騎士、落合日向の意識すら飲み込んでしまう。

 




今回、スーパー戦隊の方でも色々でてきたので補足説明を。

次回も本編……のわゆの最終回です。

山形大地

浜洋平

日野俊介

森川はるな

四人とも高速戦隊ターボレンジャーのメンバー。
今作では普通?の高校生。力とは仲良しメンバー。
ちなみに個々人の個性がとても高い。


遠藤耕一郎

並樹瞬

城ケ崎千里

今村みく

四人とも電磁戦隊メガレンジャー。
今回は普通の高校生で、原作と同じデジタル研究会に所属している。


ちなみに上から黒、青、黄、桃と戦隊の色が同じという。







山口先生
高速戦隊ターボレンジャーに出てきた主人公達の担任。
担任のため、主人公達の身を案じて、事件に首を突っ込んでひどい目にあったりなどしているが生徒を思っている心優しい人物。
どんな人だって話し合えばわかると思っている。
今作ではただの教師。けれど、生徒達に慕われている。



大サタン
恐竜戦隊ジュウレンジャーに出てきた真のラスボスのような存在。
神に近い存在であり、一度はジュウレンジャーに撃退されるも最終決戦に登場。
最後は倒される。
今作では天の神と同等の立場にあり四国を滅ぼすために活動を開始しようとしていた。


究極大獣神
恐竜戦隊ジュウレンジャーに出てくる最強ロボット。
神様でもあるため、ロボットという言葉に語弊があるけれど、とにかく強い。
出番は少ないけれど、負けなし。
太古の戦いで大サタンと戦い、傷を負い、本来の姿を保てなかった。
原作で、ジュウレンジャーの手によって復活。大サタンと戦いを繰り広げる。






ヒドラー兵

電撃戦隊チェンジマンにでてきた戦闘員。
卵から生まれて襲い掛かる恐ろしい存在。初登場シーンを見た時、恐怖する人がほとんどだと思う。
ちなみに最終回で強敵としてチェンジマンを苦しめてもいた。


ヌリカベ
番外編でも登場したがカクレンジャーに出てきた妖怪


カッパ

忍者戦隊カクレンジャーにでてきた妖怪。ちなみにコイツがカクレンジャーはじまりの元凶。人間姿は特撮でも有名な人物。
カッパなのでキュウリを模した爆弾などを使ったり、忍者刀で攻撃をするなど。
ロクロクビと夫婦らしい?



カイ
恐竜戦隊ジュウレンジャーに出てきた敵対組織のボスの息子。
大昔に死亡しているが大サタンの手によって復活。
しかし、死んでいるために体は冷たい。
今回も大サタンの使者として登場。
黒騎士を翻弄する。


もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?

  • パワーレンジャー
  • リュウソウジャー
  • ルパパト
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