黒騎士は勇者になれない   作:断空我

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次回くらいからオリジナル展開になっていきます。

ちなみに次回は番外編、ようやく西暦組のギャグ?をできそうです。



魔獣合体と重星獣と重騎士

「えっと、どういう展開?」

 

「わかりません……でも、あの人は味方なんでしょうか?」

 

「…………凄い」

 

 風が驚きの声を漏らす。

 

 目の前で爆発が起こる。

 

 煙の中、吹き飛んで姿を見せるのは狼鬼。

 

 勇者たちの攻撃を受けても平然としていたあの狼鬼。

 

 圧倒意的な強さをみせていた狼鬼が圧されている。

 

 黒騎士ブルブラックを名乗る存在によって。

 

 ブルブラックは水晶のようなものが埋め込まれている剣を逆手にもってゆっくりと煙の中から姿を見せた。

 

 ゆっくりと姿を見せたことでより狼鬼が苛立ちの感情を吐き出す。

 

「苛立つ!何故かはわからないが黒騎士、貴様の存在が俺を苛立たせる!」

 

 叫びながら狼鬼は懐から三つの宝珠を取り出そうとして手を止める。

 

 彼の体が徐々に粒子を放っていた。

 

「貴様!まさか」

 

「ああ、お前と共に進軍していたバーテックスはすべて倒した」

 

 黒騎士ブルブラックの言葉に狼鬼は顔を歪める。

 

 そうしている間も体は粒子を放っていた。

 

「赦さん!この怨み!必ず晴らすぞ!ハイネスデュークオルグ!狼鬼が!」

 

 怨念の声を放ちながら狼鬼は消える。

 

 徐々に崩壊を始めていく樹海。

 

 その場にいるのは勇者部と黒騎士ブルブラック。

 

 沈黙が場を支配している中、東郷はいつでも狙撃できるように武器を構えている。

 

 風も警戒しているのか大剣を握り締めている。

 

 状況がわからず困惑している樹と友奈。

 

「私は」

 

 そんな空気が漂う中、黒騎士が言葉を紡ぐ。

 

「黒騎士ブルブラック……バーテックスとはわけあって敵対関係にある」

 

「じゃあ、私達の」

 

「だが、俺は勇者の味方でもない」

 

「え?」

 

 驚きの声を漏らすメンバー。

 

「時間か」

 

 崩壊を始める樹海を見上げて黒騎士は呟く。

 

 白い世界に勇者たちの視界が包まれる中、黒騎士の言葉を友奈は訊いた。

 

「300年の月日が流れても勇者は相変わらず清い乙女か」

 

 その言葉の意味を理解する暇もないまま、友奈達は元の世界に戻される。

 

「何なんでしょうか?あの黒騎士っていう人」

 

「声からして男の人みたいですけれど……勇者とも違うみたいでした」

 

「あの狼鬼を追い詰めていました……とてもすごいです」

 

「あぁああああああ!」

 

 疑問を浮かべている勇者たち。

 

 だが、そこで風が叫ぶ。

 

 唐突ながら風達のいる場所は学校の屋上。

 

 樹海が起こる前は勇者部の部室にいたのだ。

 

 つまり。

 

「ヤバイ!蔵人さん、部室に置いてきちゃっている!」

 

「急いで戻らないと!」

 

「わわ!急ごう!」

 

「うん!」

 

 勇者部一同が屋上から部室へ戻ろうとした時。

 

「あれ、ここにいたんだ?」

 

 扉の向こうから蔵人が姿を見せる。

 

「あ、く、蔵人さん」

 

「驚いたよ。急に部室から大急ぎで飛び出すからさ、何かあったのかなって」

 

「だ、大丈夫!ほら、勇者部に急な依頼の相談があってね」

 

「そっか、勇者部も大変だねぇ」

 

 朗らかな笑顔を浮かべる蔵人に風は苦笑いを浮かべる。

 

 神樹のおかげというべきなのか、全くの疑いを持たない彼に助かったと一同は心の中で思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後。

 

 いつもはうどんを食べるために寄り道をしているのだが、蔵人がきていたことで勇者部のメンバーは学校で別れて、風と樹の二人と共に蔵人は歩いていた。

 

「風ちゃんに樹ちゃん、笑顔だけれど、いいことでもあった?」

 

「え?そうみえるかしら?」

 

「うん」

 

「お姉ちゃん、蔵人さんと帰れて嬉しいんですよ」

 

「え、僕と?」

 

「わーわー!樹!変なこと言わないの!蔵人さんに迷惑でしょ!」

 

 顔を赤らめながら叫ぶ風に樹は苦笑する。

 

 蔵人はわかっていないのか首を傾げていた。

 

 心が落ち着ける距離感。

 

 それが落合蔵人と犬吠埼風と犬吠埼樹の関係だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 風は大赦に連絡を取っていた。

 

 連絡の内容は黒騎士ブルブラックが樹海の中に姿を見せたということ、強敵、狼鬼を退けてくれたということ。

 

 それらの内容を報告して大赦からもたらされたことを風は勇者部の部室で話す。

 

「黒騎士ブルブラックについては発見次第、撃破、もしくは不要な接触を禁止する……だって」

 

「そ、それだけですか?」

 

「ええ、どうやら大赦も黒騎士ブルブラックについて、詳しいことはわかっていないみたいなの」

 

 東郷が尋ねると風は肩をすくめた。

 

「あまり良くない結果ですね」

 

 樹も趣味でやっているタロットカードの結果を見る。

 

 カードの結果はこれから良くないことが起こることを示していた。

 

「でも!私、黒騎士さんが悪い人だなんて思えないんです」

 

 友奈の言葉に全員の視線が集まる。

 

「何ていうか、まだ一回しか会っていないですけれど、狼鬼とは違う……悪い人とは思えないんです!」

 

「友奈ちゃん」

 

「まぁ、それぞれが思うところがあるかもしれないけれど、今はバーテックスと狼鬼のことを考えましょう……黒騎士のことについて警戒はしましょう。最低限、ね」

 

 風の言葉に皆が色々と思いながら頷いた。

 

 同時に樹海の出現を知らせる警報が端末に鳴り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、勇者部に新しい子が入ったの?」

 

「はい!三好夏凜さんっていうんです」

 

「かなり個性的なんだろうね……」

 

「蔵人さーん?どうして、私を見ながら笑顔で頷くのかその理由を色々と問い詰めたいところなのだけれど?」

 

「さて、何のことやら?」

 

 風がニコニコと笑みを浮かべて手招きをするが蔵人は近づかず、樹の横へ腰かける。

 

「その言い方だと、私は面白い人たちしか勇者部にいれているみたいな言い方じゃない!」

 

「言い方はともかく、みんな、個性的だと思うよ?」

 

「あー、うん、否定できません」

 

「樹!?」

 

 妹の言葉に叫ぶ風。

 

「まぁ、ほら、皆ならすぐに仲良くなれるんじゃないかな……懐が広いというか、みんな良い子達ばかりだし」

 

「そうですね」

 

「まー、友奈たちは良い子だから!」

 

「風ちゃん、そういう言い方はお母さんみたいだよ」

 

「ちょっ!?」

 

 叫ぶ風の声を聴きながら蔵人と樹は笑いあう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタ、なに?」

 

「え?」

 

 勇者部のボランティア活動に参加している蔵人。

 

 そこで初対面の三好夏凜に挨拶をしたわけだが、眉間へ皺を寄せながら蔵人に尋ねた。

 

「えっと、なにっていうのは?」

 

「アンタ、気持ち悪いわね。笑顔が偽物くさい」

 

「夏凜ちゃん!?えっと、ごめんなさい、蔵人さん」

 

「いや、いいよ。彼女の言っていることはその、事実だしね」

 

 首を傾げる夏凜に蔵人は困ったような表情を浮かべながら。

 

 一瞬で無表情になる。

 

 その顔を見た夏凜は目を見開く。

 

 無表情だった蔵人の顔はすぐに困った様な表情になった。

 

「ごめんね。気を張っていないとすぐにこうなるから……ごめん、僕はあっちにいくよ」

 

 頭を下げて蔵人は離れていく。

 

「何だったの、あれ」

 

「夏凜ちゃん、蔵人さんは記憶喪失なんだ」

 

「記憶喪失?」

 

「うん……風先輩達と出会うまでの記憶が何もないんだって、自分が誰で、どこで生まれたとか……その、名前も」

 

「え、じゃあ、あの名前は?」

 

「蔵人さんが持っていたペンダントに名前が掘られていて、その名前を使っているの」

 

「そ、そう……」

 

「あー、その話しちゃったのね」

 

 夏凜の後ろから風が現れる。

 

 困った様な、悲しいような表情で風は話す。

 

「蔵人さん、出会った時は全く笑わなかったの……さっきみた無表情で会話とかも全くない……そんな人で、私は樹が何度も話をして、色々なところを見て回ったりして今みたいな表情を浮かべるようになったのよ」

 

「……」

 

「でも、それでも、時々、気を抜くとあぁいう無表情になっちゃうのよ。だから、友奈とか、夏凜みたいな直感タイプはすぐに感じ取っちゃうのよね。気持ち悪い笑顔だって」

 

「私……」

 

「まぁ、初対面だから仕方ないわよ。これから、うまくやっていけばいいから」

 

「え?謝りに行けとかいわないの」

 

 風の言葉に夏凜は尋ね返す。

 

「それさ、嫌がるんだ」

 

「どういうこと?」

 

「自分のために、誰かが謝罪されるってこと、あの人は苦手みたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勇者部のメンバーは樹海で狼鬼と戦っていた。

 

 二刀流の夏凜の斬撃を狼鬼は三日月剣で防いでいく。

 

 横から風と友奈の斬撃と打撃が行われるが狼鬼はひらりと躱す。

 

「何よ!コイツ……」

 

「狼鬼よ」

 

「とっても強いんだ!」

 

「狼鬼……報告にあった鬼」

 

「どうした?この程度か?勇者ァ!!」

 

 叫びながら狼鬼の斬撃が襲い掛かる。

 

 樹が攻撃を防ぐが衝撃で吹き飛んでしまう。

 

「樹!大丈夫!」

 

「お姉ちゃん……うん」

 

 起き上がった樹をみて風は考える。

 

 奥の手を使おう。

 

 風が奥の手である満開を使おうとした時。

 

 ふらりと彼女達の前に黒騎士が現れる。

 

「黒騎士さん!?」

 

「……お前は?」

 

「あ、私!結城友奈といいます!」

 

 名前を聞いた時、ブルブラックが一瞬、動きを止める。

 

「そうか、結城友奈。下がっていろ……狼鬼は私が相手をしよう」

 

「ちょ、な、何よ。コイツ!」

 

 黒騎士ブルブラックをみた狼鬼が苛立った声を上げた。

 

「貴様、また、貴様だ!なぜだ、なぜ、貴様をみているとこうも苛立つのだ!」

 

「……」

 

 狼鬼は黒騎士を睨む。

 

 向かい合う両者をみて夏凜は叫ぶ。

 

「な、何なの、アイツ。まるで隙がない」

 

 ブルブラックと狼鬼。

 

 両者は驚くほどに隙がない。この中に夏凜が突撃してしまえば……すぐに二人の手によって倒されてしまう。

 

 ギリリと拳を握り締める。

 

 彼らは強い。

 

 その事実を夏凜は思い知る。

 

「黒騎士ィ、貴様を潰す!」

 

 狼鬼は懐から三つの宝珠を取り出す。

 

 小さな魔笛を取り出すとそこに三つの宝珠をはめ込み音色を奏でる。

 

 どこか不気味で悲しい音色に勇者たちは周りを見る。

 

「あ、あれ!」

 

 樹が空を指す。

 

 樹海の空。

 

 そこから複数の影が姿を見せる。

 

「デカ!?」

 

 風が叫ぶ。

 

 彼らの前に現れたのは巨大な動物たち。

 

「ガオウルフ!ガオハンマーヘッド!ガオリゲーター!」

 

 狼鬼は叫ぶ。

 

「魔獣合体!」

 

 叫びと共にガオウルフ、ガオハンマーヘッド、ガオリゲーターが一つになることで生まれる邪なる王がその場に姿をみせた。

 

「ガオハンター!」

 

 狼と鬼を重ねた巨大な存在に勇者部の面々は息をのむ。

 

「……あれ」

 

 遠くからみていた東郷はその姿に何か違和感を覚えた。

 

 全員がガオハンターの前で臆している中でブルブラックが前に出る。

 

「ゴウタウラス!!」

 

 ブルブラックが叫ぶ。

 

 直後、地面が揺れる。

 

「え、地震!?」

 

「じゅ、樹海の中で!」

 

「あ、あれ」

 

 巨大な地割れと共にそこから巨大な影が現れる。

 

「う、牛?」

 

「で、でかい……」

 

 ガオハンターに匹敵するほどの巨体に勇者たちは息をのむ。

 

「ゴウタウラス、行くぞ!」

 

 ブルブラックの叫びにゴウタウラスは雄叫びを上げると赤い光と放つ。

 

 光に包まれたブルブラックは重騎士ブルブラックへ姿を変える。

 

「さらにでっかくなった!」

 

「もう、ついていけない……」

 

 目の前の光景に風や夏凜は声を漏らす。

 

 ブルブラックはゴウタウラスに跨りガオハンターに突撃する。

 

 ガオハンターの攻撃をものともせずにゴウタウラスの一撃を受けて大きくのけ反った。

 

「くそっ、なぜだ!なぜ、俺は貴様を見るとこうも苛立つのだ!」

 

 リゲーターブレードにガオハンターは邪気を込める。

 

 ガオハンターは必殺技“リゲーターブレード魔性十六夜斬り”を放つ。

 

「騎獣合身!」

 

 爆発の中、ゴウタウラスはブルブラックに姿を変えて必殺の一撃を繰り出した。

 

 攻撃を受けたガオハンターは姿を消す。

 

 同時にブルブラックもいなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大赦の一室。

 

 そこで祭られている少女がいた。

 

 全身を包帯で巻かれている痛々しい姿ながらも顔立ちが整っていることで儚い印象がより増している。

 

「誰、かな?」

 

 少女は部屋に入り込んだ存在に尋ねる。

 

 異変に気付けば大赦の人間がすぐに駆けつけてくるだろう。

 

 御神体に何かあれば一大事だといって。

 

 しかし、人がやってくる気配はない。

 

 コツコツと靴音を鳴らしながらその人物はやって来る。

 

「お前が乃木園子だな?」

 

「……誰?」

 

 現れた人物はかぶっていたフードを脱いだ。

 

「俺は落合日向……西暦の時代に黒騎士として戦っていた男だ」

 

「黒騎士……様?」

 

 驚いた表情で園子は見上げる。

 

「大赦が抹消した存在が目の前に現れると驚くか?」

 

 ニヤリと日向は笑う。

 

 園子は身構える。

 

 大赦は西暦の時代に戦っていた勇者と異なる存在の記録を抹消している。

 

 その彼が勇者たちのまえに姿を見せているという報告も聞いていた。

 

「まぁ、そんなことはどうでもいい」

 

「え」

 

「俺は名誉や栄光が欲しかったわけではない……俺はあるものを探している。乃木園子。その場所をお前は知っているか?」

 

「何を、探しているの?」

 

「…………ギンガの光」

 

「え?」

 

「ギンガの光。それの居場所をお前は知っているか?」

 

 日向はそういって顔を近づける。

 

 

 

もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?

  • パワーレンジャー
  • リュウソウジャー
  • ルパパト

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