次回は神世紀のお話……ヤンデレが起こるかも?
もしくはゆゆゆいの編、赤嶺友奈の暴走があるかもしれない。
てか、ゆゆゆいは終わらせられるかわからないんだよなぁ。
「ジルフィーザ殿、これはなんだ?」
「人の心を自分に向けさせる薬だ」
「それはほ、ほ、ほ、惚れ薬というのでは!?」
「人の心を自分に向けさせる薬だ」
乃木若葉はジルフィーザから与えられたものをみて目を見開く。
紫色の液体が入っている小瓶。
「この瓶の中に自分の体の一部を入れて飲ませることで、飲んだ相手は飲ませた相手のことを考えるようになる。ただし、相手に飲ませるだけではない。半分ほど残して自分も飲まなければ意味がないのだ」
「……だが、それは」
「そうか、では、西暦の他の勇者に与えることに」
「私が手にする!」
ジルフィーザが瓶を片付けようとしたら信じられない速度で若葉が回収する。
一瞬、驚きながらもジルフィーザは頷いた。
「よかろう、だが、気をつけろ?狙うものが多い薬だからな」
「わかっている。だが、負けぬ。それが私だ」
乃木若葉にジルフィーザは頷いて立ち上がる。
「惚れ薬…………これで日向を!」
力拳を作る若葉の姿を遠くから見ている“者達”がいることに若葉もジルフィーザも気づかなかった。
「見つけたわよ!日向!」
早朝、歌野は水筒を手に日向の家へ突撃しようとしていた。
水筒の中に入っているのはジルフィーザから強奪した惚れ薬。
「フフフ!みーちゃんがいないのは残念だけれど、今は日向を独占するチャーンスを逃すわけにいかない。覚悟!」
「させん!」
背後から襲撃を受けて歌野は地面に倒れた。
歌野を襲撃したのは大太刀を構えている若葉だった。
「日向をやらせはせん……」
日向はふらふらと四国の町中を歩いていた。
「さて、今日はゴウタウラスの様態を」
「日向さーん!」
向こう側から日向に手を振ってやって来るのは高嶋友奈。
笑顔を浮かべて彼女はこちらにやってくる。
「何だ?友奈か」
「はい!高嶋友奈!参上しました!」
ビシッとポーズをとる友奈。
「それで、俺に何の」
「あ、はい、実はこの飲み物をどうぞ!」
水筒から友奈はハイッと飲み物を差し出す。
中を見ると桃色の液体だった。
「……なんだ、これ?」
「あ、えっと、ピーチジュースなんです!ですから、えっと、飲んでもらえませんか」
「……なぜ?」
本当に疑問だった。
喉が渇いていないというのにどうしてか?
「えっと、ほら、私の愛が詰まっているので!」
「飲むな!日向!」
ブン!と日向が飲もうとしたところで上空から大太刀が振り下ろされる。
ギリギリのところで日向は回避した。
「な、なんだ?」
「日向!まだそれを飲んでいないな!」
目の前に現れたのは若葉だった。
「一体、どういうことだ」
「若葉ちゃん!邪魔しないで!」
何やら必死な様子の友奈に日向は首を傾げる。
若葉は太刀を構えて日向を、正確には日向の手にしている水筒へ狙いをつける。
「日向、大人しくその飲み物を捨てろ」
「駄目!ちゃんと飲んでください!日向さん!」
真剣な目で言う若葉と友奈。
二人に見られて、日向は仕方なく。
飲み物を飲もうとしたところで横からやってきた球子と杏に拉致される。
「日向!」
「邪魔はさせないよ!若葉ちゃん!」
若葉を阻むように攻撃する友奈。
これは一体、何が起こっているのだろうか?
困惑している俺は杏と球子によって近くの公園へ連れ込まれた。
「さぁ、日向。これを飲むんだ」
「飲んでください。日向さん」
そう言って飲み物を俺に差し出す球子と杏。
中の液体は紫と黄色が混ざり合っている。
香りもしないから怪しさ満点だ。
「なんだ、これは?」
「いいから飲むんだ!タマ達のために!」
「飲んでください。私とタマっち先輩のために!」
必死さを通り越して不気味さが漂い始めている二人。
逃げようとするとベンチの左右に腰かけて逃げられないように腕をがっしりと掴む。
あまりの痛みに顔が歪む。
「仕方ない。お前が悪いんだぞ。タマ達から逃げようとするんだから、なぁに大丈夫だ。痛みを感じることはない、目を覚ましたら幸せな日々が待っている。タマと杏達のなぁ」
「あまり乱暴なことをしたくなかったけれど……仕方ないよね。日向さんが拒否するのが悪いんだもん」
「おい、何をぐぅ」
そういって無理やり俺の顎を押さえて口を開ける。
「大丈夫!大丈夫!」
「タマっち先輩の言うとおり、全ては私達に任せて、ね?」
球子が俺の口に何かを飲ませようとしてきた。
このままではマズイ。
無理矢理逃れようとした時、バチバチという音を立てて二人が崩れ落ちる。
「日向!大丈夫!」
二人を気絶させた本人であるちぃちゃんがやってきた。
その手にはスタンガンが握られている。
「ちぃちゃん、その手にあるのは」
「恋する女の子の必須アイテムよ」
「いや、それはスタ――」
「恋する女の子の必須アイテムよ」
光のない瞳で真っ直ぐに見つめられて俺は言葉を失う。
これ以上の追及は命がないことを知った。
バチバチとスタンガンが雷撃を放っているのだから。
「ところで日向、今、喉が渇いていないかしら?」
「唐突の話だな、目の前で気絶している二人については」
「何の事かしら?私の前には愛しい愛しい日向の姿しかみえないわ」
俺の足元で気絶している球子と杏のことはみえないらしい。
尚、余計なことを言えばバチバチとスタンガンを当てられるかもしれないのは明白。
ならば、沈黙しよう。
二人には申し訳ないけれど。後で謝罪でもしよう。
そう考えているとがしりと腕を掴まれる。
「ところで日向、喉は乾いていないかしら?」
「いや、大丈夫だと」
「そう、喉が渇いているのね……これを飲んで」
腕を掴んだままこちらへ差し出してくる飲み物を見て俺は言葉を失う。
何をどうやればこんなものが生まれるのか。
コップの中には真っ黒で何が温めたのか、何か特別なことをしたのかグツグツと水泡を立てている。
いや、これ、飲んだらお腹壊すんじゃないかな?
躊躇っているとちぃちゃんが俯く。
経験上、この時のちぃちゃんは。
「私が作ったの……飲んでくれないの?」
「ぐふぅ」
涙目+上目遣いというコンボに俺は大ダメージを受ける。
元からちぃちゃんに弱い俺は抵抗できない。
「飲んでくれないの?日向は私のこと……嫌い?」
「そんなことは」
「じゃあ、飲んで」
差し出される黒い飲み物。
これを飲まなければちぃちゃんは泣いてしまう。
俺に残されている選択肢は一つしかなかった。
いや、一つしか元からなかったのだ。
差し出された飲み物を受け取る。
グツグツと湯気を立てていた。
ちらりとちぃちゃんをみる。
未だに涙目だ。
飲まなければ本当に泣いてしまうだろう。
覚悟を決めよう。
俺は飲み物を口へ近づける。
ニヤリとちぃちゃんが笑った気がした。
「させん!!」
上空から現れた若葉の手によってドリンクは宙を舞う。
「させないわ!」
ちぃちゃんが俺の口を掴んで上へ持ち上げる。
開けた口の中にドリンクが入り込む。
「う、ぐぅ!」
見た目と裏腹にとてもおいしい味だった。
ぐるぐると視界が揺れて、地面に膝をつく。
「日向!しっかりしろ!大丈夫か!」
「あ、あぁ」
「赦さんぞ!千景!」
「何を許さないのかしら?貴方も同じ穴の狢の癖に」
「な、何を」
「惚れ薬」
「!?」
ちぃちゃんの言葉に若葉が動揺していた。
惚れ薬?
「貴方だけじゃないの、話を聞いていたのは……私達は脅……お願いして薬を手にしたの……貴方だけに日向を独占させないわ」
「わ、私はそんなつもりは」
「どうであれ薬を手にした時点で同じ穴の狢なのよ。他の人を潰して回ったようだけれど……彼が飲んだ時点で結果は見えているのよ。あとは私が」
「ならば!」
若葉は青い液体の入った飲み物を俺の口中に押し込んだ。
少し苦みがあったような。
「乃木さん!貴方!」
「誰か一人に独占させるくらいなら!」
若葉は次々と俺に液体を飲ませる。
色々な味で俺の舌は狂ってしまいそうだ。
「こうすればいい!」
次々と飲まされたことで意識が暗転した。
「なぁ、これってさぁ。今までと変化ないんじゃないか?」
「うーん、そうかもね」
球子と杏は目の前の光景をみて呟く。
「日向さん!ケーキ食べにいきましょう!」
「え、あぁ」
「待って高嶋さん、日向は今日私と一緒にゲームセンターに行く予定なの」
「そんなはずはない、今日は私と鍛錬の予定だ」
騒がしくも日向は彼女たちに囲まれている。
そこに他の誰かが入って来ることはないだろう。
「まぁ、この結果でいいんだろうな」
「うん!私達も行こう!」
「だな!」
「あ~、嫉妬する若葉ちゃんも戸惑う日向さんも素敵です」
彼らの様子を遠目から視ていたひなたがいたとかなかったとか。
ちなみにジルフィーザが惚れ薬を若葉に差し出すように仕向けた張本人はひなたであることを後に知ることとなる。
もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?
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パワーレンジャー
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リュウソウジャー
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ルパパト