「日向さん!はい、どーぞ!」
「え、あぁ、どうも」
「日向、これも食べるといい」
「あぁ」
食堂。
そこで日向は左右を乃木若葉と高嶋友奈に挟まれて食事をしていた。
蕎麦を食べようとしたら二人にうどんを選ばれてしまう。
天ぷらうどんを食べている友奈が天ぷらを。
肉うどんを食べている若葉がうどんの肉を。
釜あげうどんを食べている日向へ「あーん」をして食べさせている。
「杏」
「タマっち先輩……」
「なんなんだ!あれは!タマの目がおかしくなったのか!?目の前で桃色の空間ができている気がするんだが!」
「気のせいじゃないよ。タマっち先輩!羨ましいね!素敵だよ!あんなことを私とタマっち先輩でやりたいね!フリフリの服をきたタマっち先輩と一緒に、うふふふ」
「駄目だ、杏も壊れている……そういえば、千景はどこにいったんだ?」
球子は周りを見るも千景の姿はなかった。
「このままでは……マズイわ」
千景は自室でゲームを手にせず呟いた。
焦燥感に包まれている彼女の手の中には複数の写真がある。
写真には乃木若葉、高嶋友奈、土居球子や伊予島杏、白鳥歌野といった西暦組の勇者たちが写っていた。
そして、もう一人。
服装は変わらず、表情に変化のない男の子。
名前を落合日向。
黒騎士として勇者と戦った者。
誰よりも強くて、誰よりも優しい。
そして、勇者と巫女から好かれている者。
「……マズイわ」
もう一度、同じ言葉を漏らして千景は写真を見る。
写真の日向の表情に変化はない。しかし、一緒に居る者達は違う。
誰もが幸せそうに笑顔を浮かべている。
もう一度、言おう。
落合日向は勇者と巫女に好かれている。
そのため、様々なアプローチで彼女達は気をひこうとしていた。
「私だけ……遅れている」
少し前に乃木若葉が日向とお風呂に入って「夫婦」になろうと叫んだ。
高嶋友奈が日向と「結婚式」をした。
千景は決意する。
「日向……待っていて」
そういう彼女の手の中のゲーム機。
ゲーム機の中ではヒロインの「幼馴染」がバニーガールを着て主人公に迫っていた。
「むぅ」
悩みながら落合日向は四国の町中を歩いていた。
少し前に赤嶺友奈に拉致されてとんでもない目にあいかけもしてからというものの彼女達のアプローチはすこしばかり過激なものになりつつある気がする。
この前の乃木若葉然り、高嶋友奈然り。
彼女達の好意に気付いてはいる。
しかし、猛烈なアプローチは流石に困っていた。
誰か一人でも受け入れれば変わって来るだろう。
だが、踏み出す勇気が日向にはない。
この世界の日々はいつか終わりが来る。
神世紀組ならともかく、西暦組とはこの日々が終われば二度と会うことがない。
そんな状況下で誰か一人と関係を結ぶことに抵抗があった。
「そういって、踏み込むことが怖いだけかもしれないが……」
ため息を零しながら日向は指定された部屋に向かう。
少し前に日向は千景から「大事な話がある」ということで指定された部屋に呼び出されていた。
夕方だった空は既に夜空に変わっている。
こんな時間に呼び出されることで少しばかり警戒するところなのだが、付き合いの長い彼女に断りをいれることに抵抗があった。
色々と迷惑もかけていることだし、こういうことくらい付き合ってもバチは当たらないだろう。
どうせ、彼女のことだしゲームの攻略を手伝ってほしいとか、そういうものだろう。
呼び出された部屋の前で日向はノックした。
「ちぃちゃん、俺だ、日向だ」
「…………入って」
言われて中に入った。
しかし、千景の姿が見えない。
「ちぃちゃん?」
「中に入って、ドアに鍵をかけて」
どこからか千景の声が聞こえる。
日向は少し考えながらドアに鍵をかけた。
「部屋の中央にきて」
声に言われるまま日向は部屋の中央に行く。
しばらくして、暗闇の中から毛布で全身をすっぽりと包んだ千景?らしきものがいた。
「えっと、ちぃちゃん?」
「そうよ」
「どうしたの?」
毛布ですっぽりと包み込んでいる姿に日向は戸惑い電気をつけようとする。
「つけないで」
止められた日向が振り返る。
「どうして?」
バサッと音を立てて毛布が地面へ落ちる。
その中から現れた千景の姿を見て日向は言葉を失う。
ぴょこんと天井へ伸びる二つの白い耳のような布。
細身の体を包み込んでいる露出度の高い服。
すらりとした足を包み込んでいるタイツ。
いわゆるバニーガールという格好の千景がそこにいた。
「ち、ちぃちゃん?」
「変かしら?」
「そんなことはない……ただ、驚いているだけで」
千景が自分から進んでバニーガールの格好をしている。
性格からしてありえないと思っていた日向は少し衝撃を受けていた。
茫然としている間に信じられない力で千景に引き寄せられて日向はベッドの上に倒れこむ。
その上からのしかかるように覆いかぶさって来る千景。
「ち、ちぃちゃん」
「重たいかしら?」
「むしろ軽すぎ、心配なんだけど」
のしかかってきた千景はちゃんと食事をとっているのか心配になるくらい軽い。
いきなりのことで頭が混乱している日向。
その間に千景はすりすりと自らの体をこすりつけてきた。
両手は彼女によって抑え込まれていて抵抗すらできない。
「ちぃちゃん」
「なぁに?」
「その、どうして、こんなことを」
「……私のことをちゃんとみてもらうため」
「え?」
ウサミミを揺らしながら千景は真っ直ぐに日向を見る。
暗闇でありながらどういうわけか千景の目を日向は真っ直ぐみることができた。
「日向はちゃんと私を見てくれている?」
「それは」
「ただの友達として?幼馴染として?」
「え?」
驚いている日向に千景は顔を近づける。
「私は貴方のことを一人の男として愛しているわ」
「それは……」
「でも、貴方は私を女として愛してくれているかしら?」
千景の言葉に日向は沈黙してしまう。
彼女の求める答えはとても重たい。
日向はそう感じていた。
「貴方は答えられない。それは貴方が私のことをちゃんとみてくれているか怪しいから……だから、ちゃんと意識してもらいたいの。私を、ちゃんと……みて」
瞳を見つめながら千景は日向に顔を近づける。
そして、キスをした。
抵抗しようとする日向だがそれを許さないように千景のキスによる猛攻は続いた。
キスによって彼の呼吸ができないようにしていく。
息を求めて暴れる日向。
しかし、千景はそれを許さないようにキスで彼の抵抗力をそいでいく。
少しして千景は口を離す。
つぅーと日向と千景の間に糸のように唾液が伸びる。
空気を求めていた日向へ千景は冷静に攻めていく。
「日向、ちゃんと私を見て、これはそのために必要なこと」
「ちぃちゃん……」
「貴方のことを好いている人は多い。でも、一番を私にしてほしい。ちゃんと、私を意識して」
ぎゅっと上から覆いかぶさるようにして千景は抱きしめる。
「ねぇ、知っている?」
耳元で千景は日向に囁く。
その声はねっとりと何かが含まれていた。
「ウサギって、性欲が盛んな生き物なの」
「それは」
にっこりと微笑みながら千景は告げる。
「私は世界で誰よりもあなたを愛しているわ」
翌日から千景も他のメンバー同様、日向へ猛攻撃するようになる。
次回と次々回は本編の予定。
もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?
-
パワーレンジャー
-
リュウソウジャー
-
ルパパト