これを除いてあと、二話で終わります。多分、メイビー
勇者の森。
全身を痛みに包まれながら日向は起き上がる。
ナイトアックスを手にして飛来する砲弾を切り裂く。
「前よりも使いこなせているようじゃないか」
ヤミマルの言葉に日向はナイトアックスを構えようとして落とす。
「おいおい、流石に二日間ぶっ通しはきついようだな」
「問題ない。前はバーテックスと一カ月間戦ったこともある」
「消耗が激しいんだよ」
呆れたようにいうヤミマルの言葉に日向はナイトアックスを布で包み込む。
「ゴウタウラス、頼むぞ」
相棒にナイトアックスを預けた日向は森を抜け出す。
ゴウタウラスは心配そうに日向を見下ろしていた。
「大丈夫だ。帰って休む……お前も休んでおけよ」
吼えるゴウタウラスに笑みを浮かべながら日向は外へ向かう。
四国の商店街に入ったところで立ち止まる。
「何の用だ?」
目の前に停車したのは大赦の印が入っている車。
そこから一人の男が降りてくる。
「お初にお目にかかります。黒騎士様、大赦の三好春信といいます」
頭を下げる大赦の人間。
その名字に覚えがあるけれども日向は反応しない。
「何の用だと聞いている?」
「まずは」
三好は日向の目の前で土下座した。
突然のことに日向は反応しない。
「今までの無礼をお許しください」
「突然だな」
「本来なら貴方様が目覚めた時点で謝罪へ向かうべきでしたが、過激派の力が大きかったために……ここまで遅くなり申し訳ありません」
「俺に謝罪などいらない。謝罪すべき相手は誰かわかっていないのか?」
「勇者達です。ですが、西暦の時代から貴方に大きな借りが我々はあります。そのことを含めての謝罪です。もし、お許しいただけないのであれば、私の命を」
懐から短刀を取り出そうとした手を日向は止める。
「俺は命を奪うために戦ってきたわけじゃない……無駄なことをするな」
短刀を投げ捨てて日向は真っ直ぐに三好を睨む。
表情は変わらない、しかし、その瞳に宿した怒りに彼は気づく。
「申し訳……ありません」
「謝罪だけなら結構だ。俺は行くぞ」
「お待ちください」
三好は立ち上がって日向を呼び止める。
「神樹から神託が下されております。貴方様に」
「……話を聞こう」
日向は場所を変える。
「単刀直入に言います。今のままでは貴方はひと月も経たずに死んでしまいます」
「そうだろうな」
「本来ならば、私も呪いを口に出した時点で呪われてしまいます。ですが、今回は神樹の加護を受けているので、辛うじて無事です。だが、勇者から吸い取る形で受けている貴方の体はボロボロだ。今も生きているのが奇跡と言えるはずです」
「さぁな、痛みなど慣れたら気にしなくなる」
「二つの神託が貴方に下されております。聴いていただけますか?」
「聴くだけだ」
「一つ目は呪いを抱えたまま、天の神へ贄として……これは貴方が一番、受けないことでしょう。もう一つは……呪いを抱えたまま、四国から立ち去ってもらうことです」
「そうすれば、この国は呪いによる被害を受けないからだろう?」
「はい、西暦の時代から我々を守ってもらっている貴方に対して、最低の仕打ちだと思っております。だが、我々は」
「お前達は大を取って、小をとる組織だ。俺はそれが嫌いだった」
日向は立ち上がる。
「どうするかは俺が決める。勇者たちにこのことを話したら俺は大赦を潰すだろう」
「心得ております。最後に、黒騎士様」
「なんだ?」
「本当に申し訳ありません」
心の底からの謝罪に日向は振り返らずに歩く。
数日後、
「日向さん?大丈夫ですか」
「あぁ、問題ない」
日向と結城友奈の二人はデートに来ていた。
告白してからそこそこの時間が過ぎてからの初デート。
そのために友奈は緊張している。
緊張していたがデート直前まで神経を研ぎ澄ませてきた。
デートを尾行されないように、バレないように必死に偽装を続けてきた。もう大丈夫だろうという妥協を一切せずに彼女は頑張った。
ようやくたどり着けたデート。
誰にも邪魔されるわけにはいかない。
拳を握り締めようとした友奈の手に日向は手を重ねた。
「ひゅ!日向さん!?」
「どうした?人ごみで迷子になったら困るだろう……それとも嫌だったか?」
「そんなことないです!とぉっても!とっても幸せです!!」
はにかんだ笑顔を浮かべる友奈に日向は笑みを浮かべてデートを開始する。
「すまないな。こっちが色々と都合が悪くてなかなかデートの時間を作れなかった」
「い、いえ!こうしてデートしてくれるんですから嬉しいです!それに……夢だと思っていたので」
「夢?」
「はい、その、日向さんが私に告白してくれたのが……その、風先輩とか、東郷さん、園子ちゃん……日向さんのことを好きな人が沢山いたので……私なんかが選ばれるとは」
「友奈には友奈にしかない魅力がある」
「私にしかない魅力?」
「あぁ、そこに惹かれた」
日向の言葉が恥ずかしくて友奈は顔を真っ赤になる。
「さて、デートだが、こういう場合は服などを見て回ろうと思っているが友奈は何かリクエストあるか?」
「いいえ!お願いします!」
友奈が強く握り返したことで日向も同じようにしてショッピングモールへ繰り出す。
当然のことながらその後ろから尾行する者がいた。
「まさか、友奈ちゃんが日向さんとデートに繰り出すなんて予想外だった……いえ、友奈ちゃんが私にまで秘密にしたことが驚きだわ」
「うふふふ~、おっかしいなぁ、日向さんがゆーゆとデートしているぅ~、これは写真に撮って日向さんに私とデートしてもらうようにお願いしようかなぁ~」
友奈の偽装は完璧といえた。
しかし、東郷と園子の前には無意味に等しい。
瞳から光を失いながら二人は一定の距離で尾行を続ける。
風や樹、夏凜はいない。
デートと言うことでショッピングモール内にて食事をとった。
フードコート内で友奈はうどん、日向は蕎麦をチョイスする。
「日向さんって、蕎麦好きなんですね?」
「まぁな、昔、やたらと蕎麦を勧めてきた奴らのせいかな、それ以来から蕎麦を選ぶようになってしまった」
「そうなんですか……大事な思い出なんですね」
「……そうだな、大事な思い出だ」
日向は小さく告げる。
「一つ一つが大事な思い出だ、だからどんな些細なことでも大事にすべき何だろう。三百年前の最期の瞬間、俺が学んだことだ」
「うーん」
「どうした?」
「いいえ、あの、私、かなり年上の人とお付き合いしているだぁって思いまして」
「三百年と二十年ほどだ」
「普通の人じゃありえない!」
「良い体験と思っておくといい」
「はい!」
笑顔で二人は食事を続ける。
その後ろで怨念のようにみている存在には気付かなかった。
デートが終わり日向は帰り道を歩いていた。
「グッ!」
突如、胸元を抑え込んで近くの壁にもたれる。
胸元に襲い掛かる痛みは日に日に大きくなっていた。
「やはり、そろそろ決着をつけないといけないようだ」
服をめくる。
胸元には不気味な模様が浮き出ていた。
「今度こそ、全てを終わらせよう。そうだ、全てだ!」
拳を壁に叩きつけて日向は立ち上がる。
次回から最終決戦を予定。
かなりの長さになる予定です。
もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?
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パワーレンジャー
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リュウソウジャー
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ルパパト