黒騎士は勇者になれない   作:断空我

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これほど最低なタイトルはないだろう。


高嶋友奈はケッコン願望全開である

 

「そういうわけで私と結婚してください!」

 

「……食事にするけど、食べる?」

 

「いただきます!」

 

 高嶋友奈。

 

 年齢は19歳、ただし、外見においてという前書きがつく。

 

 その実態は西暦の時代に戦っていた勇者の一人。

 

 今は勇者ではなく獣拳の使い手として、子供に獣拳を教えている。

 

 高嶋友奈だが、ことあるごとに日向へ結婚を申し込んできていた。

 

 その事に対して日向は断り続けている。今や扱いがかなり雑になってきているがそこは仕方のないことだろう。

 

 高嶋友奈を含め、西暦の勇者たちは様々なアプローチをしてきている。

 

 未だ行動の少ない郡千景など不安要素が多い中で積極的、否、本音をバンバンとぶつけてきていた。

 

 このことに対して親友たちは。

 

「結婚式はいつだ?」

 

「まぁ、高嶋友奈ちゃんも三百年、たまりにたまっている……から、仕方ないんじゃない」

 

 という反応で日向を助けてくれるというわけではない。

 

 無邪気な笑顔で朝食をとっている高嶋友奈の姿を見て日向は思う。

 

 こんな純粋な子に好かれているということに実感がない。

 

 本当に大好きという気持ちをぶつけられていて、日向は戸惑っている。

 

 復讐者として今まで生きており、人間らしき感情を取り戻し始めているけれども戸惑いが多い。

 

 そんな戸惑いの隙を埋めようとするように西暦の勇者はおろか神世紀の勇者たちもどんどんアタックしてくる。

 

 先日の風とのデート騒動の後、東郷と友奈が暴走してひどい目に力と健太の二人があってしまった為に距離を取られていた。

 

「日向さん!真面目な話があります」

 

「ミルクのお代わりいるか?」

 

「はーい!」

 

 嬉しそうに牛乳を飲む友奈。

 

「って、流されるところでした!今日は本当に大事な話があるんですよ!日向さん」

 

「一応、話は聞こう」

 

「はい!結婚体験イベントがあります!私に付き合ってください」

 

「それを拒否することは」

 

「ハハッ、面白いことを言いますね?」

 

 ニコリと微笑む高嶋友奈。

 

 だが、その目は全く言っていいほど、笑っていない。

 

「そんなこというなら無理やりにでも行きます。できるならぁ仲良くいきたいですね?そう思いませんかぁ?あれ?どうしたんです?変なこと言いました?うーん、300年くらい眠りについたせいかなぁ?偶に他の人とズレているんじゃないかと不安になるんです。でもでも!日向さんが気にしないでくれるなら大丈夫ですよ!」

 

「落ち着け、逃げないし、ちゃんと行くから」

 

 ハイライトオフの温かい目を前にして日向は大人しくついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 尚、西暦組の勇者たちはというと。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ、千景ぇ、タマは……タマ達はいかねばならないんだぁ!」

 

「千景さん!邪魔をしないで、ください」

 

「そうはいかないわ」

 

「くっ、千景、邪魔をするというのなら友であるお前ですら……斬らねばならぬ!」

 

「郡さん、まさか貴方が立ちはだかるなんて!」

 

 球子、杏、若葉、ひなたの三人の前で邪悪といえそうなオーラを放つ郡千景。

 

 彼女は鎌と共に気力を全開にしていた。

 

 一触即発の空気を漂う中、両者はにらみ合う。

 

 千景は親友である友奈の手伝い、無論、只ではない。

 

 協力する代わりに自分のターンの時は邪魔をしないこと。そういう鉄の誓いを交わしていた。

 

 最終的に二人で幸せになろうね♪という約束をしている。

 

 そのために邪魔する者は叩き潰す。

 

 全ては日向と幸せになるため、千景は鎌を握り締める。

 

「邪魔はさせないわ。高嶋さんの幸せと私の幸せのためにも!」

 

 そうして彼女は構える若葉達に攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、これか」

 

「えへへ、だって!前は中学生でしたけれど、今は大人なんですもん!」

 

「……そうか(逃げないように腕を掴まれている)」

 

 ニコニコと歩いているが高嶋友奈の目は周囲を警戒している。

 

 邪魔がないか心配なのだろう。

 

「楽しみです!日向さん!」

 

「わかったよ」

 

 そうしてやってきたのは結婚式場。

 

 神樹の中で日向と友奈の二人は結婚式を仮ではあるが行った。

 

 現代でもやろうということで結婚式を仮ですることになった。

 

 今回は―。

 

「まさかの着物か」

 

「はい!どうです?」

 

「似合うぞ」

 

 友奈は髪を結いあげて化粧をしている。

 

 結婚式の時と別により女性という姿を意識させられてしまう。

 

 何より中学生で子供だと思っていた彼女が化粧をするだけで大人の女性みたいな姿になってドッキリしてしまったことは秘密だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

 

 

「えへへへ」

 

「笑顔だな」

 

「当然ですよぉ!日向さんと現実でも結婚式ができたんですから」

 

「大きな声で言わないでくれないか?」

 

 道行く人がちらちらとこちらをみている。

 

 今の発言で周りの視線が集まり始めていた。

 

 日向は目立つことがあまり好きではない。

 

 黒騎士の時と比べて人間らしさが戻ってきている証拠なのだろう。

 

 友奈は嬉しそうに抱き着いてくる。

 

「お、おい」

 

「日向さんは結婚したいという気持ち、ありますか?」

 

「正直、わからない」

 

 復讐者から人へ戻ったにしてもまだまだ失われた感情が多い。

 

 急に結婚と言われても日向は戸惑う。

 

 恋愛感情というものにまだ不慣れ。

 

 その姿を見て、友奈は微笑む。

 

「可愛いなぁもう~」

 

「おい!?」

 

 思いっきり抱き着いてバランスを崩れそうになりながらも日向は友奈を支える。

 

「チュッ」

 

 隙をついて、友奈が日向に軽くキスをした。

 

 にっこりと微笑む友奈。

 

 日向が何かを言おうとした時。

 

「「何をしているのかな?」」

 

 ぞっとするほど低い声に日向が振り返る。

 

 修羅がいた。

 

 笑みを浮かべているはずなのに全く笑っていない。

 

 それどころか笑みだけでバーテックスや天の神すら滅ぼせそうだ。

 

 恐ろしいと日向は思う。

 

「な、何をしているんだ?お前ら」

 

「買い物帰りなんだけどさぁ、ねぇ、樹、今、何が見えた?」

 

「うん、お姉ちゃん、私の気のせいじゃないなら高嶋の友奈さんとキスをしたね」

 

 ニッコリと笑みを浮かべている風と樹。

 

 犬吠埼姉妹はアシュラを凌駕する勢いであった。

 

「うふふふ、犬吠埼姉妹ちゃん、残念だけど、日向さんは私と結婚するんだから!ほら!」

 

 友奈がみせるのは体験イベントで撮影した写真。

 

 白無垢の友奈と日向の二人。

 

 その姿を見て、犬吠埼姉妹は笑顔を浮かべる。

 

「人というのは怒りを超えると笑ってしまうというのは本当らしい」

 

 ぽつりと日向が言葉を漏らした直後、風と樹VS友奈の戦いがはじまった。

 

「返してもラウ!」

 

「日向さんは私とお姉ちゃんガ幸せにするカラ!」

 

 人として何かを失いつつも二人が高嶋友奈へ攻撃を仕掛けようとする。

 

 対峙している友奈は。

 

「私はすべてを蹴散らして日向さんと結婚するんだぁあああああああああああああああああああ!」

 

「穴があれば入りたい」

 

 街中で、大きな声で愛を叫んだ高嶋友奈の傍にいた日向はぽつりと漏らした。

 

 

神世紀アフター、次は誰がいい?

  • 結城友奈 
  • 乃木園子
  • 乃木若葉
  • 古波蔵棗
  • 赤嶺友奈
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