それが終われば、番外編でもやろうかな?
ちなみに、かなり短いです。
――この怨み、消えぬ!赦さぬ、必ずやこの怨みをぉ。
深い闇の中、肉体を吸いなったそれはただ、呪詛を吐き続ける。
長い年月、果てることのない怨み、消えることのない黒い感情は止まることを知らない。
――根絶やしにする。人間を、醜い人間を滅ぼすぅ。
決して消えることのない憎悪。
そこに天の神は目をつけた。
「あら?」
上里ひなたは偶然にも古本屋に黒騎士の姿を見つける。
「黒……落合日向さん、何をしているのですか?」
今の彼は黒騎士としての鎧を纏っておらず、人の姿をしていた。
後でわかったことだが、元は普通の人間で、バーテックスと常に戦うという意識から鎧を纏っていたという。
今は黒で統一した上着とジーンズ、ソフト帽をかぶっている。
そんな彼が古本屋で本を読んでいることに少なからず興味があった。
「上里ひなたか」
「ひなたと呼んでも構いませんよ?」
ひなたの言葉に日向は一冊の本をみせる。
「これは?」
「文献だ」
「随分と古いみたいですね」
「ああ、二万年前に起こっていたとされる出来事の記録だ」
「に、二万年ですか」
「ああ、その時期にある帝国と種族の存在が記されている」
日向の言葉にひなたは首を傾げた。
「地底帝国チューブ、暴魔百族」
「何ですか、その物騒な名前」
「あくまで存在していたかもしれないという記録だ。その中で、ああ、あった」
目を細めて彼はあるページをみている。
「コイツだ」
「これって……」
ひなたは目を見開く。
そこには盗賊騎士キロスの姿が描かれている。
「どうして、ここに」
「乃木若葉からの報告を聞いているだろう?奴は既に人としては死んでいる存在だ。魂をバーテックスと融合して生み出された存在……だが、その基がなんなのか、気になっていた」
「……あの、日向さん」
「なんだ?」
「どうして、ここにキロスの記録があると?」
「昔、読んだだけだったのだが……奴の言葉の端々を思い出して、至ったんだ」
「まるで考古学者ですね」
ひなたの感想にぴくりと日向の手が止まる。
「日向さん?」
「何でもない……後で伝えようと思っていた情報だが、そっちから乃木若葉達に伝えてくれ」
「え、あ」
止めるひなたの言葉を聞かずにそのまま日向は姿を消す。
「困った人です」
盗賊騎士キロスとの激闘から少なからず、距離感が縮まったと思っていたのだが、未だに溝のようなものがある。
深くも浅くもないそんな溝。
どうすれば埋められるのか。
ひなたは姿のない彼の姿を見て、そんなことを考えていた。
突如、樹海化が起こる。
いきなりのことに勇者たちは戸惑う。
何より。
巫女であるひなたも樹海の中に呼ばれてしまっていた。
「どうして、私まで」
何が起こっているのかわからないひなたは勇者たちと合流しようとする。
ひなたを狙う様に次々と小型バーテックスが姿を見せた。
戦う力のないひなたはひたすら逃げるしかない。
だが、所詮は人。
バーテックスの速度に彼女は追いつかれてしまう。
巨大な口を開けて迫るバーテックス。
「若葉ちゃん!」
親友の名前を呼んだその時。
「黒の一撃!」
バーテックスの背後から黒騎士が現れ、ブルライアットで切り裂く。
周りにいたバーテックスは黒騎士、そして、やってきたゴウタウラスが蹴散らす。
敵がいないことを確認して、黒騎士はブルライアットを鞘に納める。
「大丈夫か?」
「あ、はい」
「どうして、お前が樹海の中にいる?」
「わかりません。ですが、ここのところ、今までにないイレギュラーのようなものが起こっています」
「イレギュラーか、それはあれも同じか?」
黒騎士はある方向を指す。
「え?」
先を見たひなたは言葉を失う。
樹海の中、彼らの視線の先に何かがいた。
まるで陽炎のように揺らめいて、姿をはっきりと捉えることができない。
だが、巫女であるひなたはそこにいる存在がとても危険であることがわかる。
どこからかバーテックスが現れてそこに群がっていく。
集まることで合体していくバーテックスだが、それは大きくなることはなく、人の形へ変えていく。
「大復活」
鎧武者のような風貌、腰に携えている刀。
なにより素顔が見えない。
素顔がみえないから、より相手が危険であることが嫌でもわかってしまう。
「暗闇暴魔……ジンバ!」
「暴魔って」
ひなたは先ほど、黒騎士と読んでいた文献を思い出す。
「キロスと同じ……」
「貴様、黒騎士でござるな?」
ジンバの言葉に黒騎士はため息を零す。
「だったらなんだ?」
「貴様を殺す。そして、四国の勇者も殺す。某の目的でござる」
「そうか」
ジンバが二本の暗黒魔神剣へ手をかける。
黒騎士がブルライアットに手を伸ばす。
「しかし」
突如、ジンバがその手を戻す。
「今宵は挨拶のみ。これから、我が復讐がはじまる」
「……復讐だと?」
「左様、某は人間を滅ぼす。だが、まだ復活したばかりで力が足りない……我が分身の封印も解かねばならない……」
ジンバの様子を伺う黒騎士。
そこに乃木若葉達、勇者もやって来る。
「ふん!」
「チッ!」
ジンバが繰り出した斬撃が迫る。
黒騎士は咄嗟にひなたを庇う。
球子達が攻撃を防ぐ。
「再び、姿を見せるとき、お前達の最後でござる」
そういって、ジンバは姿を消した。
同時に樹海の現象もなくなる。
「ひなた!無事だったか!」
「ええ、若葉ちゃん。黒騎士さんがきてくれたおかげで」
「よかった。お前に何かあれば、私は……」
「大丈夫ですよ。若葉ちゃんの親友である私は、若葉ちゃんを置いていなくなったりしません」
「ああ」
若葉はひなたの無事に安堵すると離れようとしていた黒騎士に声をかける。
「ありがとう、貴方がいなかったら、ひなたはどうなっていたか」
「心配するなら、傍にいてやれ。俺はたまたまいただけにすぎん」
ちらりと若葉を見て、黒騎士は去ろうとした。
「待ってください」
そんな黒騎士にひなたが声をかける。
「ひなた?」
「黒騎士さん、明日、勇者の皆さんとあの件のことで話をします。絶対にきてください」
「……バーテックスはより脅威になる。警戒は続けることだ」
黒騎士はゴウタウラスと共に姿を消す。
「ねぇねぇ、ぐんちゃん」
「なに?高嶋さん」
「気のせいかな?日向さん、笑っていたような気がするんだけど」
「奇遇ね。私もそう思うわ」
「ひなたちゃんと何かあったのかな?」
「そうね、後でしっかりと問い詰める必要があるわね」
「うん!そうだね!ぐんちゃん!」
「……なあ、杏」
「タマっち、先輩、言わない方がいいよ」
「いや、あの二人、なんか、怖いんだけど」
「知らない方がいいこともあるよ……きっと」
今回の敵
暗黒暴魔 ジンバ
高速戦隊ターボレンジャー、初期から中盤まで登場した幹部。
下は人ながら、最愛の人に裏切られ、魂を暴魔に売った戦士。
かなり強く、中盤ではターボレンジャーの主力ロボだったターボロボを合体解除まで追いやった人物。
そんな彼の半身ともいえる暴魔が今回のボスみたいな感じになるかと思います。
ちなみにチョイスは作者の好みから。
あと、色々とやりたいことのチョイスで選びました。
もし、スーパー戦隊が絡んで新たな戦いがあるならどれがいい?
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パワーレンジャー
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リュウソウジャー
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ルパパト