駄文ではございますが付き合っていただければ幸いです。
プロローグ、あるいはかつてありふれた日常。
私は復讐者という人間を知っている。
それは、ありとあらゆる事象や感情を集約し、その対象を焼き尽くすまで止まらない炎。
対象に向かって放たれる人の形をした弾丸。
かつての私もそれであり、その目的を果たすことが出来た。
でも、私は真の復讐者というモノを知っている。
バイアスグラップラーをたった三人と一匹で壊滅させた、正真正銘の化物。
三人の中の中心、七つの顔を持つ賞金稼ぎ、人間戦車。
その人間の名前はレナ。
そして私は、その彼女を横から見ていた、同じ復讐者であった。
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今の今まで眠っていた意識は目覚まし代わりのスマートフォンのアラートによって強制的に覚醒。
「ふぁ……」
まだ少し眠たいが、何ら問題なし。
いつもの様にコーヒーメーカーのスイッチを入れ、マグを用意する。
サーバーに落ちる漆黒の液体とそれに付随する香ばしい香りを嗅ぎながら、いつもの習慣を行う。
「―――」
太ももにくくりつけたホルスターからデザートイーグルを抜いて構える。
ホルスターに戻してから数度繰り返し、感触を確かめる。
「うん、快調」
ホルスターを外し、シャワーを浴びる。
すっきりしたところで淹れておいたコーヒーを飲む。
新聞とネットニュースを交互に見ながら、ラジオから流れるニュースを聞く。
特に気になる情報もなし。
コーヒーを飲み終え、昨日のうちに用意しておいた朝食とレベルメタフィンを平らげる。
コーヒーをもう一杯入れながら、軽く一伸び。
「うーん、優雅。昔じゃ考えられない生活だわ」
あの頃のように砂塵と汚染された大気、そして
それなりにしがらみもあるけど、それ以上に平和な世界。
鉄と火、そして悪徳がありふれた世界では無く、穏やかな世界。
「大破壊前、最高……!」
私、棗マリアンナは心の底からこのありふれた大破壊前の世界を謳歌していた。
かつて私は錆びた荒野を銃と戦車を駆り、仲間達と共にモンスター共を駆逐する仕事をしていた。
いろんな人と一緒に戦った。
共通の敵を持った復讐仲間のレナ、成り行きで一緒に旅をした記憶喪失のドラムカン、大破壊前のホットシードであるヒナタ。
彼らと旅をし、殺し殺されミンチに復活され、必死に生きて生き抜いて、ようやく終わった大往生人生。
終わったと思ったらまた生まれて、おそらく大破壊前の世界。
思えばわりかし気が合うが私以上の狂犬だった
愛に生きた化物の
まともかと思えば順応性が高過ぎる
こいつらと行動してよく最後は平穏無事に生きられた物だ。
あの世界で寿命で死ぬとか割と快挙では無いかと思う。
あ、駄目。思い出しちゃ駄目。
レナ、それもう死んでるから。それ死んだふりじゃなくてご臨終だから。
ドラムカン、アンタうろつきポリタンで変身しないで。
ヒナタ、それは食べられないから無理矢理料理しようとしないで。
身に絡みつく過去のトラウマを振りほどき、マグに残ったコーヒーを飲み干す。
顔を洗い、歯磨きをしてから制服に着替えて、鏡の前で微調整。
「よし!」
そして、スマートフォンで時間を確認する。
指し示す時間は十一時半。
「―――ふぅ……遅刻だ」
我が身に起きた出来事を、静かに受け入れるだけだ。
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「棗さん、前に約束しましたよね?」
「はい」
「どんなにのめり込んで止まれないような状況だったとしても、必ず遅刻せずに学校に来ると」
「はい」
「今、何時ですか?」
「―――十二時です」
「遅刻じゃないですかー!」
うがー! と咆哮を上げるのは担任の畑山愛子先生。言ってはいけない愛称は愛ちゃん先生。
その小さな体を余すことなく使い、私怒っているんですアピールをしている。
その様は小動物の威嚇行動に見える。
さしずめパラボラットかビームハチドリといったところ。
「聞いているんですか!?」
「ちゃんと聞いてますよ?」
なお、このお説教は教室で行われている。
あの後遅刻を確認した上で、学校へ向かい、誰にも気付かれることなく着席。
そして何食わぬ顔で最初から居ましたオーラを出せば問題なかったはず。
昼休みになった瞬間に愛ちゃん先生が飛び込んでこなければ。
なお、クラスメイトはその瞬間ようやく私が居ることに気がついた。
良かったな、これが大破壊後だったら皆脳天に穴が空いて死んでるところだったぞ。
「そうは言っても先生、オイホロトキシンの動物投与実験の反応を纏めた論文が面白くて面白くて」
意識の混濁無しで鎮痛可能な、医学界を震撼させる世紀の薬ですよ?
ちょっと量間違えると中毒になっちゃう依存性の強い奴だけど。
ちなみにこのオイホロトキシンと治療用ナノマシン、それらを活用した回復カプセル。
全部私がかつて得た知識を持って一足先に開発し、特許を取得。その特許料で一生働かなくていい金額を稼いでいる。
しかしそのせいでそれらの技術における第一人者として扱われているのでそれなりに忙しい。
愛ちゃん先生にはその辺りはしっかりと話をしてあるが、それでも学業はおろそかにしないでというお願いもされている。
この学校では唯一と言っていいほど私の事情を理解してもらっている希少な人だ。
基本無碍にはしないようにしているのだが、結果的に反故にしてしまっているだけだ。
「オイホロトキシンだろうがテトロドキシンだろうがマイトトキシンだろうが、遅刻は遅刻です!」
ちなみに、今月に入ってからすでに十三回目の遅刻、ほぼ毎日遅刻している。
それもこれも全てオイホロトキシンが悪い。QED証明完了。
「全く、罪作りですね、オイホロトキシン」
「棗ちゃーん?」
あ、笑顔だけど完全に怒ってるパターンだ。少しやり過ぎちゃった。
誰か私に助け船を出せそうな存在、出来ればまとめ役の八重樫さん辺りが適任と見渡す。
が、彼女は彼女で南雲君の辺りで話をしている。
友人の白崎さんや天之河君、坂上君と一緒にいる。
こちらの事はあまり意識が向いていない様子。
「こうなったら……!」
袖口から無針注射器を取り出し、少量のスイミンDXをセット。
これで『愛ちゃん先生疲れて眠っちゃったの☆作戦』を実施しよう!
そう思った瞬間、かつて味わった何者かに悪意を持った意志を向けられた感触がした。
咄嗟に太もものホルスターからデザートイーグルを抜き、スイミンDXのアンプルを外して様々な毒を混ぜ込んだ禁断の注射器用の薬剤をセット。
目の前の愛ちゃん先生が驚いた表情をしているがそこに気をやる時間すら惜しい。
そのまま感触のあった方向へ振り向きながら銃を向ける。
そして、床に描かれる魔法陣とそれから放たれる光に包まれた。
息抜きで書いている作品の為、反響あれば続けたいと思います。