ありふれた職業と荒野の芸術家   作:ふじのん

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け、結局連続更新になってしまった。どんだけストレス溜まってるんだ……

唐突な用語解説。

マグナムガデス
冷血党No.3・百銃のムガデスが持つ銃。
無属性四連攻撃というふざけた属性を持つ銃だが、初出の3では各攻撃間モーションが長く、2Rでは迎撃されるようになってしまった。
しかしその威力は健在、三丁揃えてソルジャーがぶっぱなすを行えばかなりの威力になる。

本当はNo.4? 戦闘イベントを無視出来る? こまけぇ事は気にするな。


そろそろこの迷宮とおさらばしようか。

反逆者の住処で生活を始めてから一週間ほど経過。

今後のために周辺の魔物を食いながら様々な武器を作る毎日。

 

「ハジメ、今日はどうする?」

 

迷宮の奥で得た特別なパートナーであるユエとともに、これまでに比べて穏やかな生活を送っていた。

 

「そうだな、ドンナーの改良は終わったからそろそろ義手と義眼に本腰を入れてみようと―――」

 

そう思った時、出入り口の方から爆発音が聞こえる。

何事だ、と思いドンナーを手に持ち、向かう。後ろからユエも付いてくる。

 

そこにいたのはあの時倒したのと同じヒュドラと、二人の人間(・・)だった。

 

一人はその右手に巨大な注射器を持ち、左手の拳銃で首に対して銃撃を繰り返す。ナースキャップとガスマスクを組み合わせたようなものをしていて顔はわからない。

その攻撃は的確にヒュドラの顔面にある目を狙って放たれる。立て続けに放たれる銃弾にヒュドラの首が複雑に動くが、それを見越した射撃が繰り出される。

 

もう一人は銃身が四つある銃を撃ちながら、右手に構えた巨大な大砲のようなものから光線を放っていた。こちらは豚のような緑色のガスマスクだ。

片方が攻撃しきれない首を狙ってそれを浴びせ続ける。

そのうちヒュドラの首のうち、黒い頭が力を失ったように崩れ落ちるが、白い頭が光を放つと同時に起き上がる。

 

注射器をもった方がそれを見て、注射器をその場に落とし、背中に手をまわして構えるのは、

 

「RPG-7!?」

「……なにそれ?」

「俺の故郷の武器だ!」

 

両肩に構えられた二本のそれを寸分たがわず白い頭に向けて放つ。

首の根元と頭に一発ずつ放ち、跡形もなく吹き飛ばす。これで再生の心配がなくなったといわんばかりに更に攻撃を続ける。

 

その後も左手でRPG、右手から火炎放射でヒュドラの撹乱を続ける。

 

四連装銃の方がその場で身構える。

腰を深く落とし、手を下に。

 

しばらく目を閉じていたが、見開くと同時に凄まじい速度でヒュドラとの距離を詰める。

 

黄色い頭が防御に入るが、そんなものお構いなしと言わんばかりに超速の四連チョップを繰り出して根元から断つ。

かなり硬かったはずなのだが、それすらお構いなしだ。

さらに離脱時に手榴弾を数発置いていき、本体自体にもダメージを与える。

 

注射器側もひたすら攻撃を続け、着実に欠損部分を作っていく。

その間にも四連装銃側がチョップを叩き込み、残りの首を叩き込む。

 

無論、ヒュドラ側もそれを無傷で成させようとは思っていない。

赤い首が火を吹き、それ以外の首も噛みつきを敢行する。

 

噛みつき攻撃をした首はチョップで迎撃された頭をザクロのようにされるが、火炎放射は直撃。

しかし、それでもひるまず、放たれるエルボーで赤い頭の頸椎を折る。

 

すべての首が行動不能になった後、四連装銃の方がヒュドラから離れ、注射器側の横に付く。

注射器側から魔法の光があふれ、四連装銃側に降り注ぐ。おそらく回復魔法だろう。

 

「まだだ」

 

首を失ったヒュドラから、白銀の首が生える。

それを見た瞬間に二人が左右に散る。

 

先ほど手ひどくやられた四連装銃側に首を向け、その口から極光を放つ。

俺の目を奪ったあの猛毒の一撃だ。

 

極光自体の直撃は避けられたものの、左の脇腹を持っていかれている。

そのまま攻撃をひたすら避けながら自分の体に小さい注射器のようなものを打ち込んでいる。

 

傷自体は塞がっていないが、あの光線砲を放ちながらひたすらヒュドラの気を引く。

 

そして、注射器の方がその胴体に向かってその注射器を突き刺し、中の薬液をすべて注入する。

その瞬間、ヒュドラが大暴れを始める。

 

注射の痕から煙が立ち上り、白銀の首も極光をそこらじゅうにまき散らす。

それを危なげなく避けながら追加で攻撃をたたき込んでいく。

 

そうしてしばらくした後、ヒュドラは動かなくなった。

 

「……強い」

「ああ、とんでもなくな」

 

ヒュドラに挑んだあの時と比べ格段に強くなっているが、少なくとも油断していたら負けるくらいには実力がありそうだ。

いや、元から俺に油断は許されない。油断して死ぬのはごめんだ。

 

「はー、あっつい!」

 

四連装銃側がマスクを取る。

注射器側も同様にマスクを取る。

 

そこにはかつて見た顔。アルバイト先の雇用主に、あの夜守ってあげると言われた人。

 

「棗……白崎……なのか?」

 

 

○ - - - - - - - ○ - - - - - - ○ - - - - - - ○

 

 

グラトノザウルスみたいな奴には驚かされた。

なんか七本首生えるし、銀色のブレスで脇腹えぐられるし、エナジー注射まで使ったのは久しぶり。

治りが遅いけどたぶん毒だろう。まぁ香織に治療してもらえば問題なし。

 

被っていたブルメットを脱ぐ。香織も戦闘が終わったと判断してメディカルマスクを取る。

 

「棗……白崎……なのか?」

 

わずかな声に視線を向けると、奥にある扉の所に人影。

即座にiゴーグルを確認すると、その人影からシグナルが発せられている。

 

私が走り出すよりも先に、香織が凄まじい勢いで走り、その人影に飛びついた。

 

「南雲君!」

「白崎!?」

 

うん、感動の再会。とても絵になる構図だと思う。

私も走って近づく。

 

「やっと追い付いた! 追い付いたんだよぅ……!」

 

香織が南雲君の胸で泣きじゃくる。

抱きついている間も、約束守れなくてごめんなさいと、泣きじゃくりながら呟いている。

 

「やっほー助けに来たよって、遅かったかな?」

「棗、か?」

 

まぁ、学校の制服じゃなくてサラトガスーツにブルメットじゃなぁ……

 

「だいぶ様変わりしちゃったね」

 

左腕と右目は欠損し、身長も二十センチほど伸びたうえで白髪になっている。

 

「おまえは変わらないな。外見はともかく」

「まぁね、鍛えてるから。ごめん、香織は少しだけ変わっちゃった」

 

香織も相変わらず泣きじゃくっているが、ようやく落ち着いた様子。

そして決心したように南雲君を見る。

 

「南雲君、いや、ハジメ君。私はあなたの事が好きです!」

「はい?」

 

落ち着いたと思ったらこの発言。恋する女の子は強いわ。

そんな状況の中、南雲君の後ろにいた女の子が動き、南雲君から香織をひきはがす。

 

「ハジメは私のもの。離れて」

 

そのまま南雲君に抱きつく女の子の後ろに何か陽炎のようなものが立つ。

 

「ハジメ君、この子は誰かな?」

「ハジメは私のもので、お前なんかが立ち入る隙なんてない。徹頭徹尾私のもので私もハジメの所有物」

 

次の瞬間、二人の背後から暗雲を背負った龍と刀を持った般若が飛び出す。

アビィさんとラッキーナが初めて出会ったときみたい。

 

「……うーん、修羅場」

「見てないで助けてくれ」

 

そのまま私は手を合わせ、合掌。

南雲君は絶望の表情を浮かべた。

 

 

○ - - - - - - - ○ - - - - - - ○ - - - - - - ○

 

 

私たちが反逆者の住処に辿り着いて、二か月が経過した。

その間、魔物肉で料理したり、ユエと香織が南雲君に夜襲(夜這い)したり、

銃器の手入れや戦闘訓練をしたり、ユエと香織が楽しそうに喧嘩したり、

南雲君が二人に純潔(はじめて)を散らされたりといろいろなことがあった。

 

そして現在の私たちはと言うと……

 

「エバ=グレイ博士か、サイバーウェアの第一人者というのは伊達じゃないな」

「私としては非常に不愉快だけど、役に立つからね」

 

南雲君の欠損部位を補う義手と義眼作成にあたり、デビルアイランドから根こそぎ奪ってきた研究データとグレイ博士のレポートを渡した。

それを元に作られた義手と義眼は元の体のように馴染み、それでいて言われなければ気付かないレベルの精巧さを誇っている。

 

中に何か仕込んでいるようだが、詳しい製造工程は見ていないので後の楽しみにしよう。

 

「こっちのバトー博士の設計図面も中々」

「あー、口は超がつくほど悪いけどまぎれもなく天才だから……」

 

よくレナはあんなあだ名(ゴキブリ)と付けられて切れなかったものだ。

私だったらその場で銃を抜いている自信がある。

晩年はバイクや大型車などの設計図も暇つぶしに書いていたこともあり、遺品整理の時に設計図面をちょろまかしておいた。

 

ところどころにゴキブリ用とかハナクソ用とかうすのろ用とか書いてあるのはご愛敬。

 

「しかし、エンジンの実物があって助かった」

「今見てるの文字通り炎神だし」

 

目の前に置いてあるエンジン(炎神)を眺めつつ、呟く。

 

いくつかだぶついていたエンジンを解体し、それをたたき台にして魔力駆動二輪と四輪を作り上げた。

その上技術協力の代わりにある物も作って貰った。これでアーチストとしての真価も発揮できる。

 

「銃器も現物があると精度が段違いだな。生成魔法と錬成で再現できる銃器も増えるし」

「私としては銃弾の補充が容易になったのはありがたいにゃー」

 

ショットガンに重機関砲、それに二丁目のリボルバー(シュラーク)の作成に大いに役立った。解体された漢マグナム、プライスレス。

専用スピードローダーの開発も行ったので、リロードも楽になるだろう。

 

南雲君は錬成と生成魔法を完璧に使いこなしているが、私は生成魔法でせいぜい弾丸と治療用ナノマシン(消耗品)を作り出すのが精一杯。

 

ただし、時間は掛かったが一つだけ切り札たり得る物を作っておいた。

出来ればこれが日の目を見る機会が無ければいいと思っている。

 

「私は神水と回復ドリンクの新たな可能性が一番の収穫だね」

「魔法と超科学の融合とかどんなラノベだよ」

 

出来上がった薬に超神水と名づけようとしたら南雲君に止められた。解せぬ。

とりあえずアムリタと名付けられたそれは、傷の超再生と共に超回復効果による身体強化(改造)を行う現代化学に基づいた魔法薬となった。

 

試作品を飲んだ際、ちょっと激痛と共に体が強化されつつ傷が治るという体験をしたが、痛くなければ強くなれませぬ。

あって良かったオイホロトキシン。

 

「ところで、部屋の外からこちらを眺めている二人はどうすればいいのかな?」

「俺は知らん」

 

ドアの隙間からこちらを怨念のこもった眼で見る二人。

私たちはあくまで研究の徒であり、やましいこととか一つもないのに。

 

「むしろこの副産物のやたらとぬるぬるした液体とか二人にとって便利なのに」

「おいやめろ」

 

次の瞬間には二人が扉の影から出てきて私の手を握り、ハグしてくる。

 

「ありがとう、これでもうちょっといろんな事が出来るよ!」

「ん、ありがとうマリー。出来れば何か夜の生活をもっと楽しめる物が欲しい」

「お前等少し自重しろ!」

 

南雲君が叫びを上げる。

とりあえず二人には振動する楕円形の物体を渡しておいて、真面目な話をする。

 

「今後どうする?」

 

生成魔法を得るときに知ったこの世界の真実に対し、ここに居る全員の思いは一つ。

 

「俺は帰還の方法を探す。神だの解放者の意志だの、そんな物に興味は無い」

「私もハジメの居ない世界に未練は無いし、ハジメの故郷に行ってみたい」

「そうだね、帰ってハジメ君と結婚したいし。ハジメ君はドレスと白無垢どっちがいいかな?」

 

その言葉にユエが香織につかみかかり、取っ組み合いを始める。

これもまた最近ではありふれた光景だ。

 

私自身の回答も同じだ。

 

「まぁ、私もこんな神の居る世界に居られるか、先に帰らせて貰う! ってところ」

「それ死亡フラグみたいに聞こえるから止めろ」

 

それに、と前置きをして、

 

「―――私が留守にしてる間、どれだけの仕事と査読が溜まるかと思うとぞっとする」

「俺はその処理に駆り出される訳か……」

 

頑張れ助手。超頑張れ。宛名書きと製本作業は任せた。その分給料弾むから。

そうして約二ヶ月間に渡るオルクス大迷宮地下における活動を終える。

 

「忘れ物はない?」

「ん、大丈夫。ローションもばっちり持った」

「ちゃんとオモチャもばっちりだよ!」

「このエロ二人は……!」

 

次の目的地は、ライセン大渓谷。

元の世界への帰還の為、新たな神代魔法を得る為の旅が、始まる。




オルクス編はこれにて終了。今度こそ不定期になる予定です。

唐突な用語解説。
ブロイラーボンベ

皆のトラウマテッドブロイラーが落とす武器。
火炎属性では最強クラスの装備で、装備出来るジョブが多い事から狙う人も多い。
しかし、リメイクで即死攻撃と眼からレーザー撃って迎撃追加するとか、スタッフも分かっていらっしゃる。

おかげで汎用アーチストが秒殺されましたがな!


※2018/07/28 22:45 微修正。
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