ふたりはVSプリキュア!   作:カードは慎重に選ぶ男

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特オタムーブをしているだけなのに色々と勘違いされるオリ主が居るらしい。







番外編
番外編:キラリ☆彡 サマーン星人が来た!


とある辺境惑星の闇夜に紛れて。

星空連合に未所属の惑星を調査するために、調査員ララは足を運んでいた。

確か、文明レベルは有人宇宙飛行が辛うじて可能というぐらいの星だ。

いつものように人気のなさそうな山中へと宇宙船の到着地点を定めたララは、特に事故もなく目的の惑星へと降り立ったのだった。

 

 

「なんだか、ひかる達の星と似ている気がするルン」

 

遠くに見える街の明かりに目を落としつつ。

この辺境惑星に関するデータを頭の中で反芻しながら、ララは呟いた。

データによれば、この辺境惑星の人間は、サマーン星人から頭の触覚を引いたような容姿で……ひかる達と非常に近い生態らしい。

 

ララは半年前まで一緒だった友達のことを思い出してしまっていた。

ダークネストとの戦い以来、行き来する手段が失われてしまったため、会えていないのだ。

 

何となくセンチな気分になったララだったが、任務も忘れるべきではない、と一瞬だけ瞑目して気持ちを切り替えた。

たしか、ノットリガーと似通った存在の反応を、星空連合は察知していたらしいのだ。

歪んだイマジネーションの怪物であるノットリガーが発生しているとなれば、放置しておくのは好ましくない。

その正体を突き止め、星空連合へ報告するのが今回の調査任務だった。

 

 

『ララ様。こちらを監視している現地人が居るようです』

「オヨ……。バレるのが早すぎるルン。ひとまず、その現地人の映像を出すルン」

 

宇宙船のAIによると、ララの到着を察知して監察に来た現地人がいるということだが……。

夜間なうえに樹木が多いせいで、肉眼では現地人がどこに隠れているのか全く分からない。

星空連合未所属の惑星で、異星人の存在が知られるのは宜しくない。

とりあえず、AIに頼んで、画像データを手袋一体型端末へ送ってもらった。

 

 

「……!」

 

画像を見て、ララは息を飲んだ。

光量が足りないために画質は荒いが、監視者の姿にララは見覚えがあった。

ピンク色のツインテールの先には、輝く輪が重力を無視して浮いている。

ドレスは白とピンクを基調としている。

その姿は……!

 

 

「ひか、る……?」

 

データに示された方角を注視すると……太い木の陰からこちらの様子を覗っている人影が見えた。

ララは、考える前に走り出していた。

冷静に考えれば、この惑星に星奈ひかるが居ないことは分かるはずだった。

星空連合の最新技術をもってしても、ひかるの星まで10年はかかってしまうのだから。

しかも、ダークネストとの戦いの後にプリキュアの力を失ってしまった星奈ひかるが、変身できるはずもない。

 

それでも……ララは走った。

心が抑えられなかった。

今のララは……星空連合の調査員ララではなく、ただの羽衣ララだった。

 

ララが走り始めたのを見て、監視者は夜の森林へと逃げ出した。

見覚えしかないシルエットを、ララは必死に負った。

 

 

「待つルン! ひかるっ! 私ルン! ララルン、羽衣ララルンっ!!」

 

森の夜道は、全力で駆けるような場所ではない。

足場も悪く、視界も悪い。

逃亡者の背中が、瞬く間に遠のいていく。

 

 

「ひかる! 行かないで、ひかるっ!!」

 

地面に空いた穴に足をとられて、ララは転倒してしまって。

ララの泣き声が、森の中へと空しく響いた。

 

 

「ひかるううっ!!」

 

倒れ伏したララは、頭から伸びた触覚先端のセンサーを力の限り発光させた。

闇夜の中に一瞬だけ照らされた後ろ姿は、すぐにララの視認できる世界から消えていった。

返事は、ついぞ聞こえてこなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふたりはVSプリキュア!』

番外編:キラリ☆彡 サマーン星人が来た!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――もしもーし? こりゃあ結構深く寝入っているみたいかなぁ……?

 

微睡みから覚醒しつつ。

調査員ララは、今までの経緯を頭の中で整理していた。

たしか、ロケットの中で眠れない夜を過ごしたのち、昼間は町中で任務のための聞き込みをして。

疲れてきたところで、公園のベンチで一休みしようとして……そのあと、どうしたのだったか。

 

 

「……オヨ?」

「大分お疲れみたいだね? ほれ、差し入れ。フタ空けといたから気を付けてね」

 

手渡されたスチール缶の中身を、寝ぼけ頭のララは啜った。

暖かくて、甘い。

スチール缶の中身は、御汁粉だった。

お蔭で、少しだけ頭の働きが戻ってきた。

 

周囲を見回すと、ララは自分が公園のベンチに座っていることを理解できた。

どうやら、一休みのつもりが寝入ってしまっていたようだ。

まだ気怠いが、調査任務の続きをしないと。

スチール缶を捨てるためのゴミ箱が無いかと、ふたたび周囲を見渡そうとして……ここでララは、気付いた。

 

……この御汁粉、誰から貰った?

 

 

「やっほ。ようやく頭が働いてきた?」

 

ひかる、と声が喉から出そうになった。

冷静に見てみると、全然違ったが。

肩にかかるぐらいの茶髪の、からからと笑う女の子がララの隣に座っていた。

見た感じ、もうすぐ15歳のララと大体同じぐらいの年齢だろう。

 

誰ルン……?

 

 

「飲み物、ありがとうルン。ええと……」

「あたしの名前? 朝加ショーコだよ。そっちは何ていうの?」

 

「ララという者ルン」

 

ララルン、と言いそうになったが、ちょっと考えて言い回しを変えた。

ここでララルンと言ってしまうと、「ララルン」が1単語として誤解されてしまうことがあるからだ。

サマーン星人の独特の訛りは、ノットレイダー謹製の自動翻訳機を通しても解消されることが無いのである。

 

 

「まだ疲れてるなら、ちょっとウチに寄って休んでいかない?」

「そこまで御世話になる訳にはいかないルン」

 

ぐいぐい来る、この感じ。

どこかで見たような気がする。

確かに宇宙船の停泊地点までは大分距離があるので、申し出は有難いのだが。

 

 

「実はあたし、宇宙人にはちょっとした縁があってね。ララさんはこの星に来たばっかりっぽく見えるし、色々大変でしょ?」

 

遠慮せずに御世話になっちゃいなよ、とショーコは続けた。

まだ完全に覚醒していない頭で、ララは思った。

正体がバレてはいけない星空連合の事情を知る者が居るなら非常に心強い、と。

 

 

「ルン……。そういう事なら、少しだけ御世話になるルン……」

 

欠伸を噛み殺しつつ。

ショーコに手を引かれて、ララは朝加家への道を歩き始めた。

 

 

「ララさんって、所属と出身は? この星には、観光で?」

「私はサマーン星の生まれで、星空連合の調査員ルン。今回は任務でこの星に着たルン。あと、名前はただの『ララ』で良いルン」

 

何の変哲もない道を歩きながら。

ララは、現地人の朝加ショーコと、何でもないような会話を交わしていた。

ショーコがあまり人通りの多くない道を選んで進んでいるせいか、周囲に会話を聞かれる心配も無かった。

 

そんなこんなで、ララは……朝加家の敷居をまたいだのであった。

 

 

「ソファーで寝させるのも悪いし、とりあえずあたしの部屋のベッド使って良いよ。あたしはリビングに居るからさ」

「ふぁ……。そうさせてもらうルン……」

 

案内された部屋に入り、ララはベッドの中へと潜り込んだ。

だんだんと意識レベルを低下させていく最中、ぼんやりと視線を部屋の中に向けると、一つの木棚が目に入った。

棚の中には、20センチぐらいの人形が所狭しと並んでいた。

 

最前列には、黒い肌に黄色の外骨格を持った異星人の人形が赤い目を光らせていた。

他にも、右半身が緑で左半身が紫の異星人や、目のところが文字になっている異星人などの人形が目を引いた。

異星人にちょっとした縁があるとショーコは言っていたが、数えるのも億劫になるような数の人形たちを見れば、「ちょっとした」なんてレベルではないのは分かる。

 

 

「この宇宙には、まだまだ私が知らない異星人が一杯いるルン……」

 

……まるで、星奈ひかるの部屋みたいだ。

ララは、そう思った。

自分の趣味をとことん突き詰めてマイペースに生きる人間。

宇宙や星座が大好きだった星奈ひかるの部屋には、趣味に関する本やグッズが沢山輝いていた。

そういう趣向を、ショーコの部屋からも感じた。

 

 

結局、未明にララが見たキュアスターは一体何だったのだろう。

不鮮明とはいえ映像記録が残っているので、ララの妄想では無かったようだが、何故ララから逃げ出したというのか。

考えても考えても、ネガティブなイマジネーションばかりが頭をもたげてくる。

やはり、しっかり寝た方が良さそうだ。

 

目を閉じたララは……数分後には、静かに寝息を立てていた。

 

 

「ひかる……」

 

一筋の涙が、枕を濡らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ララは、暗い部屋の中で目を覚ました。

今回はスッキリと意識が覚醒したのが分かった。

確か辺境惑星で出会った、ショーコという現地人の御世話になったのだ。

 

時刻を確認すると、20時を回ってしまっていた。

道理で暗いはずだ。

何時間ぐらい寝ていたのかと考えたが、そもそも就寝時刻を覚えていないので答えは出なかった。

 

ショーコの部屋から出てリビングへ降りると、何やら良い匂いがした。

美味しそうな、食欲を誘う匂いだった。

 

 

「ララ。おはよう……って時間でもないか。こんばんは」

「ルン。こんばんはルン」

 

ショーコが、大き目の鍋に入った汁物の料理を、火にかけてゆっくり掻きまわしていた。

おそらく、物音でララが起床したのに気づいて、鍋の中身を温めなおしてくれたのだろう。

多めに作っておいて、温めなおしても食べやすいものを用意しよう……という思考から選ばれた料理であると推測できた。

白く濁った粘性の強い汁の中に、刻まれた植物の根や茎と思しき具材が煮込まれた謎の料理だった。

 

きゅぅ、なんて小さい音が胃から聞こえた。

身体は正直だ。

公園のベンチで転寝をしてしまったせいで昼食を食べていなかったララは、空腹感を思い出していた。

 

 

「お腹すいてるでしょ? 体質・宗教・心情的に、何か食べられないものってある? 平気そうなら遠慮なく食べていきなよ」

 

サマーン星人と会うのは初めてだから何か気に障ったらごめん、なんて言いながら。

ショーコは、白濁のスープで煮込まれた野菜料理を小皿に盛ってくれた。

ざっくりとした説明によると、主成分はデンプンや食物繊維に動物の乳といったところらしい。

 

食材が石油とか鉱石とかじゃなくて良かった、なんて思いつつ。

軽く礼を言って、ララは提供された食事を口にした。

適度に塩気が効いていて、寝起きでも食べやすい。

 

 

「……優しい味ルン」

「そうでしょ? 今朝から帰省しちゃった、我が家の自慢の嫁が作って置いていったんだよね」

 

この星って同性婚はアリのエリアだったっけ。

サマーン星人なら成人している年齢だが、この星ではどうだったか。

そんな疑問が湧いたララだったが、さすがに現地の細かい法律までは覚えていなかった。

ショーコが冗談めかして言っているところを見ると、本当の婚姻関係にあるわけでは無さそうだ、とララは思った。

 

 

「というか、ホント素直だね。こういうのって、もっと警戒して慎重になるところかなって思ったけど」

 

……ショーコの指摘を聞いて、ララは思い出した。

本来、星空連合の調査員は現地食を摂取しないことを推奨されているのだ。

予期せずに体質に合わないものを食べてしまう事故も有り得るし、現地人に毒を盛られるなんてケースもあるからだ。

基本的にサマーン星人は、携帯宇宙食兼用のコスモグミを食べるものなのである。

 

なのだが、一度食べ始めてしまった限りでは、少なくとも体質的な危険は感じなかった。

というかララに危害を加えるつもりなら、ララが寝入っている間に幾らでも出来たわけで、その心配は今更だと考え直した。

 

 

「……食べてないのに決めつけは無し、ルン」

「おっ、チョー良いね! 誰かの受け売りかな?」

 

あたしも他人の受け売りの台詞をよく口に出しちゃうから何となく分かるんだよね、なんてショーコは笑ってみせた。

そういえば、星奈ひかるが頻繁に口にしている「キラやばーっ!」も父親からの受け売りなんだっけ。

ひかる達の星に居た時間は1年にも満たなかったのに、えらく濃かったように思えた。

 

 

「私の、友達ルン」

「そっか。大切な人なんだね」

 

中身があるような無いような、そんな会話を交わしつつ。

ララは、白色の野菜スープを完食したのであった。

 

 

「ご馳走になったルン。ありがとうルン」

「それは良かった。大分気持ちも上向きになったみたいだね。食べるというのは人が良くなると書く、って言うもんね」

 

人差し指を上に向けながら。

相変わらず朝加ショーコが、人好きのする笑顔を見せてくれた。

 

そして、ララはショーコの言葉から新たに察した事実があった。

気持ちが上向きになったことを見抜かれているということは、ララが落ち込んでいたことも見抜かれていたわけで。

初対面の人間からでも一目で分かるぐらいに、ララは凹んでいたのだろう。

どうもこの星に来てから、星奈ひかるを思い出すことが多すぎて、いけない。

変に感傷的な気分になってしまう。

 

 

「気分転換ついでに、ララのことも聞かせてよ。知りたいんだ。ララが出会って、好きになったのが、どんな人達だったのか」

 

――私は、知りたい。あなたのイマジネーションも。

 

……本当に、この星に来てから星奈ひかるの事を思い出してばっかりで、いけない。

 

でも、人に話すことで、自分自身の思考や感情がまとまることだって、あるかもしれない。

そう思ったララは、ゆっくりと話し始めた。

ぽつり、ぽつり、と。

 

 

 

 

サマーン星で生まれたララは、何をやってもダメな子だった。

ララの故郷は機械技術の中でも特に人工知能が発達した星だったため、AIの助言を受ければ10歳児でも簡単な外科手術なら出来るほどで。

そんな中、ララはAIとの付き合い方が不得手という致命的な欠陥を持って育ってしまった。

ある程度AIの指示に従うことは出来るが、自分がどう指示を出せばAIが的確なレスポンスを示してくれるのか、理解できなかった。

空を見上げれば、双子の兄をはじめとした同年代の子供たちが自分の手足のようにホバーボードを操って空を飛ぶのが見えるのに、ララは歩いて移動した。

隣で一緒に歩いてくれる人は、誰も居なかった。

 

そんなララが成人したとき、サマーン星のマザーAIから提示された最も適正が高い職業は、スペースデブリの調査員でランクは8だった。

がっかりしたと同時に、やっぱり最低のクラスだとも思ってしまっていて。

AIが推奨する職業適性に必ずしも従う必要は無いが、ララは自分がマザーAI以上に的確な判断を下せるとも思えず、推奨に従った。

 

幸か不幸か、サマーン星の職業は任務の難易度の差はあっても、待遇は殆ど変わらなかった。

着ているものの見た目の差がある訳でもないし、住民は等しくコスモグミを常食している。

だからこそ……優秀な両親も、天才の兄も、ララの抱く劣等感と孤独に気づかなかった。

 

そんなララの人生に転機が訪れたのは、13歳の時。

とある特別任務の最中で、クラゲ型異星人のプルンスと妖精フワに出会ったのだ。

謎の組織であるノットレイダーに襲われて宇宙船も半壊しつつ、とある辺境の星でサバイバルを余儀なくされたララは……その星で運命の出会いを果たした。

 

 

――食べてないのに決めつけは無し!

 

最初は、あんな能天気なだけのヤツが伝説の戦士プリキュアとして覚醒するなんて、何かの間違いだと思った。

それ以上に、ララは認めたくなかった。

ひかるの星はサマーン星ほどの科学力をもっておらず、人間以上の能力を持つAIも存在しない。

ということは、AIを上手く扱えない故に落ちこぼれだったララは、ひかるの星の人と比べる場合には特にハンデを負っていないはずだったのだ。

そう無意識に期待していた。

 

にもかかわらず、星奈ひかるは妖精フワに会ったその日にプリキュアへの覚醒まで至ってしまったのだ。

その事実が……どうしようもなく腹立たしくて、惨めだった。

AIを扱う手腕が無いという同じ条件の上に立っているはずなのに、それでもララは落ちこぼれなのだと思い知らされた気分だった。

ララの方が、長くフワと一緒に居たはずなのに。

 

 

――なりたいならさ。なればいいんだよ、プリキュアに!

 

正直に言って、煽られているのかとさえ思ったこともある。

ケンカもした。

だが相手をよく知るうちに、ひかるはただ真っすぐに生きているだけだと分かった。

自分の興味に正直で、ぐいぐい来て、でも頭のどこかに冷静な部分の線引きをして一応周囲のことも良く見ている。

そんな星奈ひかるに、ララはどんどん惹かれていった。

歪んだイマジネーションを使って作り出された怪人ノットリガーたちを、プリキュアチームは悉く対処していった。

 

ララ自身を含めて、ついに5人にまで増えたプリキュアチームは、様々な星をめぐって宇宙を救うための鍵を集めた。

毛深さが美徳とされる星や、鼻の長さが尊ばれる星。

重力が強すぎる星や、石化した住人達だけが残された悲劇の星。

全部が全部楽しかったわけではないが、ララにとっては掛け替えのない経験だった。

 

最後には、ノットレイダーの首魁だったダークネストの凶行を止めて、ララたちは宇宙を救った。

しかしその過程で、身に貯めていたイマジネーションの力を全て使い果たした妖精フワは消滅してしまう。

プリキュアたちの力を全てつぎ込んで、何とか妖精フワの復活には成功したものの、妖精フワが貯め込んでいたイマジネーションの力は戻らず、長距離ワープの能力も失ってしまっていて。

結局、ダークネストが最後に残してくれた1回だけの長距離ワープのチャンスを使って、ひかる達を故郷へと返してやった。

 

それが、およそ半年前の話だ。

フワがイマジネーションの力を貯めて最盛期と同程度までに成長すれば、また長距離ワープでひかるの星に行くことは出来るだろうが、それがいつになるかは分からない。

下手をすれば、ララが生きている間には実現しないかもしれない。

 

 

「そして、今の私は……専門はスペースデブリじゃなくなったけれど、こうして星空連合の調査員を続けているルン」

 

一つ一つの輝く思い出が、大きな一つの物語になっていくように思えた。

まるで、名前の無い星々をつないで、星座を作ったみたいに。

 

 

 

「……奇麗で、美しい話だったよ。いい物語だ。感動的だな」

 

語っているうちに随分と気持ちが高ぶってしまっていたララは、気付かなかった。

ショーコの声が、低く濁ったことに。

 

 

「だが気に食わない」

「オヨ?」

 

ショーコは、少なくとも怒っている訳では無さそうだった。

少し機嫌が悪そうだったが、その内容にまではララは想像が及ばなかった。

 

 

「奇跡の再会を期待して、いつかの明日を待ち続ける二人。確かに美しい物語だ」

 

思わずウルっと来ちゃったのも本当だし、ケチ付けて悪いとも思ってるよ。

そう、ショーコは続けた。

 

 

「でもあたしは、醜くたって御都合主義だって、理不尽でも友達を生き返らせて再会した魔王の方が好きだ」

 

魔王まで知り合いにいるなんてショーコは良く分からないヤツだ、とララは思った。

それに、人間を理不尽に生き返すとは、なかなかに穏やかじゃない発言である。

サマーン星やグーテン星の技術をもってしても、一度失われた生命の完全再現には至っていないというのに。

 

 

「それは……私だって、会えるなら会いたいルン。でも方法が無いルン。それとも、ショーコには良い方法があるルン?」

 

実際、星空連合の最新ワープ航法を用いれば、10年でひかるの星には行ける。

言い方を変えれば、宇宙最先端の技術を集めた星空連合でも10年かかってしまうのだ。

それを一日二日で移動できる最盛期の妖精フワが規格外だっただけで、基本的には『無理』と同義である。

ましてや、有人宇宙飛行が精一杯のショーコの星では、ひかるの星まで行く技術なんて、ある訳がない。

 

 

「あるぞ」

「そうルン、やっぱりある訳無いルン。だから仕方が……オヨ? オヨ?? 今なんて?」

 

嘘だろオイ。

ショーコが即答した簡潔な内容を、ララは暫しの間、理解できなかった。

冷静に考えて、そんなものはある訳がない。

AIに計算させたって、期待値は1%にも満たないだろう。

それでも、ララは期待してしまっていた。

 

 

「ララの任務とも関係がある話なんだけどね……」

 

ショーコは、語り始めた。今から一年と少し前に、カナシミーナと呼ばれる漆黒の巨人が大量発生したことを。

悲しみの種と呼ばれる黒い物体を植え付けられた人間は、怪人カナシミーナを生み出す。

そのカナシミーナを作って遊んでいた愉快犯と戦っていたのが、この星の都市伝説の戦士……プリキュアだったのだ。

 

 

「ルン……。任務の関する情報提供は助かるルン。でも、それが長距離ワープとどう関係があるルン?」

 

確かに、それは調査員ララが知りたかった情報ではある。

ただ、ララは話の流れが読めなかった。

ララの前に、ショーコは漆黒の種子の現物を見せてくれた。

なんでも、1年前の大騒動の夜に、芽吹くことなく路上に転がっていた悲しみの種をショーコは拾っていたそうだ。

 

 

「カナシミーナは人間の感情を……ララたちの言うところのイマジネーションのエネルギーを増幅して、頭に実を付けて蓄える。その果実を採取すれば良い」

「……!」

 

そこまで説明されれば、ララにもわかった。

その果実を妖精フワに与えれば、成長を促せる筈だ。

しかし同時に、ララは気付いていた。

ショーコが、意図的に伏せている情報に。

 

 

「ショーコ。……その悲しみの種を植え付けられた人間は、どうなるルン?」

「やっぱりそこ、気付いちゃう? 放置すれば魂に加速度的に負荷がかかって廃人になるよ」

 

そうなる前にカナシミーナを倒せば症状は治るけどね、なんて軽い調子でショーコは続けた。

ララは…ここで初めて、ショーコに不信感を抱いた。

倫理観が違うのか?

どことなく、ショーコの笑顔が軽薄に思えてきた。

 

 

「そんなの……ノットリガーと同じ、歪んだイマジネーションルン。他人を犠牲にする手段なんて、どうかしているルン」

 

ひかると、再会できる。

たしかに……それは魅力的だ。

しかし、そのために他者の命を危険に晒して良いとは思えなかった。

だから、ララは首を横にふった。

 

 

「さすがに他人には食べさせないよ。やるときは、あたしが食べる」

 

……狂っているのは倫理観じゃなくて、危機管理能力かもしれない。

ララは、予想外の返しに対して言葉を詰まらせた。

 

 

「あとさ、話の最中にも思ってたけど。『歪んだイマジネーション』って、何なの?」

「それは……」

 

……言われてみると、歪んだイマジネーションって何だろう。

歪んでいないイマジネーションがあって、その逆を考えればいいのか?

 

 

「娘を亡くした狂科学者が、他の誰を犠牲にしてでも娘を生き返らせようとしたら、『お前のイマジネーションは歪んでいるからやめろ』って言える?」

「……!」

 

「俺が迷惑だからやめろ、なら分かるけどね」

 

言えないかもしれない。

正直にララはそう思った。

ユーマと別れる時も、ひかるたちと別れる時も、ララは胸が引き裂かれる思いだった。

生きている人間と別れるよりも、死別の方が辛いのは想像できる。

そして、そんな悲しみを背負った人間が暴走するのも、少しだけ分かるような気がした。

 

 

「そもそも、歪んでるかどうかなんてどうやって決めるよ? 同じイマジネーションに対して、A氏とB氏が異なる判断をしたらどうする? お前達の平成って醜くないか?」

 

ララはそこまで考えたことがなかった。

だが、ショーコの言うことは、もっともだと思った。

イマジネーションが歪んでいるかどうかという基準は……究極的には、見る側の認識の中にしか無いのだ。

ならば、プリキュアのイマジネーションを「歪んでいる」と感じる者は、プリキュアからノットリガーを生み出せる……?

そこまで考えてから……ララは急に気分が悪くなった。

気付いてはいけないことに、気付いてしまったような気がした。

 

 

「……じゃあ、それなら、もしかして。私たちのトゥインクル・イマジネーションと、ノットリガーの原理は、同じもの……?」

「ありゃ? ライダー民的にはむしろエモいポイントなんだけどなぁ。ショックだった……? なんか……ゴメン」

 

歪んだイマジネーションというものが存在しないとすれば。

ノットリガーの原動力もトゥインクルイマジネーションも、ただの強い想像力でしかない。

自分が今まで立っていた足場を急に壊されたような、気持ち悪い浮遊感が湧き上がった。

 

 

「意地悪な言い方して、悪かったね。もっと単純に考えよう。今考えるべきは……」

 

ショーコは手をひらひらと振りながら、軽薄な笑みを崩さなかった。

本当に、ショーコの言う通りに話を進めて良いのだろうか。

言っていることは筋が通っているように思えるのに、この人の言う通りに全ての物事を運ぶのは、それはそれで怖さがあるというか。

 

 

「自分の命をチップにしてでも、ララの心を守りたいって思っちゃった朝加ショーコさんのイマジネーションを、歪んでいると思うか? ってことだ」

 

あんただけに聞いてるんだ、とショーコは付け加えた。

ララは……答えられなかった。

ひかるに会いたい、という思いは消えていない。

むしろ、この星に来てから募るばかりだ。

 

 

「分からないルン、まるで悪魔の囁きルン……。心の一番弱いところを突かれて、全てを試されている気分ルン……!」

 

ララには、答えが出せなかった。

ショーコの命を危険に晒していいのか。

ひかるに会いたい。

二律背反に、胸が引き裂かれそうだった。

 

 

「悪魔かぁ、それも良いね。さしずめ、ララ達の美しい世界を破壊する悪魔ってところか。ララ達の物語における、あたしの役割は!」

 

悪魔なんて言ったせいで、流石のショーコも怒るかもしれないと危惧したが。

どうやら……杞憂だったらしい。

むしろショーコは、楽しげに笑っていた。

もしかしたら悪魔より恐ろしい存在かもしれない、とララは思った。

 

 

「……どうして、会ったばかりのわたしのために、そこまでしてくれるルン?」

「そうだなぁ。守りたくなったとか、情に絆された……って言っても信じないよね。じゃあ、こことは違う星の話でもしようか」

 

ショーコの語り口に、ララは耳を傾けた。

ブレイドとカリスという人たちの話だった。

とある星を救うために戦った親友2人は、運命に引き裂かれた。

永遠に会うこともないと覚悟した二人は……結局、14年後になって再会することになるのだ。

その二人を誰よりも近くで見ていた10歳の少女は、24歳になっていた。

 

 

「14年……!?」

「あたしは当事者じゃないけどさ、その苦しみの一端を想像しちゃったことがあるから……ララにはそうなって欲しくないんだ」

 

もちろん14年というのは、あくまでその人たちの一例である。

ララの場合は、もっと短いかもしれない。

……逆に、もっと長いかもしれない。

そうなる未来は、十分にあり得る。

 

 

「ララはさ、ひかるちゃんに会いたいって思いながら、14年苦しみ続ける自分の未来を想像できる?」

「……!」

 

ララは、自身の手が震えているのに気付いた。

嫌ルン、と口を突いて出そうになった。

怖いと思った。

 

明日会えるかもしれない、と自分自身に言い聞かせ続けて一日ずつを重ねていたら、何とかなったかもしれない。

痛みを誤魔化して、何とか生きていけただろう。

でも、ララは想像してしまった。

14年もひかるに会えない、苦しさを。

もう、絶望に気づかないフリをしていた頃の調査員ララには戻れない。

気持ちが、ぐちゃぐちゃだった。

 

ひかるに会いたい。

心の天秤が、重石に負けて腕を折ってしまいそうだった。

 

 

「どっちを選ぶかは、ララ次第だよ。今のララは何者かな? 『羽衣ララ』か『調査員ララ』か」

「それは……」

 

かつてのララなら大見得を切って答えられた筈だった。

自分はサマーン星人のララで、観星中学校2年3組の羽衣ララで、キュアミルキーだ、と。

 

でも今のララは、サマーン星人の調査員と呼ぶには私情に流され過ぎていた。

観星中学校2年3組の羽衣ララと呼ぶには、学校から遠すぎた。

キュアミルキーだと名乗るためのスターカラーペンダントは、既に失われていた。

 

 

「私は、私は……!」

 

プリキュアとして宇宙を救って、故郷に帰ったら英雄のような扱いで。

ララは、自分が何者かになれたと思っていた。

それなのに、今のララは何者でもなかった。

 

 

「……しばらく、考えさせてほしいルン」

 

よろよろと椅子を立ったララは、朝加家を後にしようとした。

足元がおぼつかず、テーブルの脚に躓いて転倒してしまった。

両手を地面について、ララは暫く動けなかった。

ホバーボードに乗ろうとして何度も転倒した、幼少期の思い出に襲われた。

まるで、クラス8のデブリ調査員ですらなかった頃に戻ったみたいだ。

 

地に両手をついて動けないララの背中に、何かが当たった。

視線だけを向けてみれば、ショーコが背中合わせに、胡坐をかいて座り込んでいた。

 

 

「いつもなら抱きしめて、胸を貸して泣かせてやるんだけどね。ララがそれをして欲しい人が、あたしじゃないことぐらいは分かるよ」

 

あたしじゃぁ、ララと目の高さを合わせてやることしかできない。

そんなふうに軽々しく言うショーコの顔は、背中合わせのララからは見えない。

ひかるも、よく胡坐をかいて座っていたっけ。

そんなことばかり、思い出してしまっていた。

 

 

「大丈夫。ララなら間違えたりしないよ」

 

背中越しに。

ショーコが、落ち着いた声をかけてきた。

静かで、優しい声だった。

 

 

「羽衣ララか調査員ララか、ってさっき聞いたけどさ。物語的にはどうやっても『どっちもだ!』が結論になるのが見え見えじゃん?」

 

そう言われるとその通りではある。

かつてノットレイダーの幹部だったカッパードに対して、ララは同様の切り返しをした覚えがある。

やはり、結論はそこになってしまうのだろう。

 

 

「大切なのは、過程だよ。ララが、ちゃんと悩んで、自分の決断で全てを決めるならさ……それは絶対に、ララだけの『正解』だ」

 

ララが自分の脚で立ち上がるまで。

ショーコは、背中合わせに座り込んでいてくれた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとかロケットまでたどり着いたララは、操縦席に座ったまま、しばらく天を仰いでいた。

睡眠は足りているので、体力にはまだ余裕があった。

でも、心はクタクタだった。

一緒にひかるの星で過ごした日々と、一緒に宇宙を冒険した日々を、頭の中で反芻した。

 

 

「AI。昨晩の、目撃者の画像を出すルン」

『了解しました』

 

船内のモニターに映った人影は……やはり、キュアスターであるように思った。

人影は、白とピンクを基調にしたミニドレスを纏って、ピンクのツインテールの先に光輪を輝かせている。

こんな特徴的なシルエットの人間が、そう何人もいるとは思い難い。

 

この惑星に星奈ひかるが居るわけがない、とララの中で冷静な部分が囁いた。

ひかるに会いたい、と心が言っていた。

今日は本当に、ひかるを思い出してばかりだ。

 

朝加家に行った時もそうだった。

色とりどりの異星人の人形が並んだ棚は、ひかるの部屋を思い出させた。

異星のテクノロジーの産物と思しき、見たこともない規格のデバイス(おそらくレプリカ)が、棚の下の段にはいくつも顔をのぞかせていた。

 

ララはショーコ自身にも、ひかるの面影を求めてしまっていた。

茶髪にアホ毛を立てているショーコは、見た目には星奈ひかるとの類似点などない。

それに、ショーコには得体のしれない、何かを超越したような雰囲気があった。

アレは、明らかに星奈ひかるには無かったものだ。

 

それなのに。

 

荒唐無稽と言われてもおかしくないプリキュアの話を全部聞いてくれて。

独自の切り口をもって、意見が言えて。

ララがショックを受けて座り込んでいるときには、胡座をかいて一緒に座り込んでくれた。

 

 

「やっぱり……ショーコを危険に晒すのは、いけないルン」

 

ララは、ロケットを発進させた。

夜空に一筋の雲を作りながら、ロケットは宇宙へと到達した。

宇宙から見たこの辺境惑星は、青くて、少し歪んでいるけれど球体で。

……外観まで、ひかるの星と瓜二つだった。

 

 

「AI。カナシミーナというのが出現したら、ロケットの外に追い出すルン」

『了解しました』

 

言うが早いか。

ララは、悲しみの種を奥歯で砕いて、飲み下した。

苦くて渋くて、最悪の味だった。

 

見る間にララの体の中から、体調2メートルほどの黒いマネキン人形が姿を現した。

頭に植物の双葉のようなものを生やしたカナシミーナは、不気味な呻き声を発しながら立ち上がった。

 

 

「カナシミ・ミルキィ……!」

 

同時に、ロケットの扉が解放された。気圧の違いによって、船内の空気が外に吸い出される。

ララは操縦席に身体を固定していたが、カナシミーナは瞬く間に宇宙空間へ放り出された。

ハッチが、締まった。

 

 

「これで、後はこの星のプリキュアに……」

 

言いかけたララは……意図せずに、身震いをしてしまっていた。

暑いのに、寒い。

風邪を拗らせたような倦怠感もある。

そして、一つ一つの症状は致死性のものではないのに、自分がもうすぐ死ぬのだという根源的な恐怖が湧いてきた。

ララは下半身を固定していたために床に倒れることこそ無かったが、操縦席のコンソールの上に突っ伏してしまっていた。

 

後は、この星のプリキュアに任せるしかない。

 

……昨晩のプリキュアには逃げられたのに?

どうせ誰も助けてくれない。

ひかるは私を見捨てたんだ……そんなネガティブな事ばかり考えてしまう。

 

 

「やっぱり、こうなるよね」

 

そんな時だった。

ララの背中側から、毛布をかけてくれる手があった。

全てを見透かしたような顔で、朝加ショーコが立っていた。

 

 

「ショーコ……? どうやって……?」

「ララの後をつけてね。ロケットに近づいたらAIに話しかけられたから、事情を話して中に入れてもらった」

 

え……?

そんな話は一度も聞いていないのだが……?

 

 

「まったく、持ち主に嘘をつくなんて、優秀すぎる相棒じゃん」

『虚偽報告の事実はありません。報告しなくても良いと判断しました』

 

「そういうロースペックなAIのフリを自分で使い分けられるところ、個人的には結構ポイント高いぞ」

 

ララの行動は……全部お見通しだったのだろう。

ショーコを巻き込みたくないことも、自分の命を張ることも。

 

 

「毛布、ありがとうルン。……最悪、私が動けなくなった場合でもロケットを誘導できる人員がいるのは、有難いルン」

「そりゃどうも。あたしも嬉しいよ。一度は宇宙に来てみたいって思ってたからね。正直、無茶苦茶テンション上がってる」

 

ひかるも……初めて宇宙に出たときは興奮していたっけ。

ララは、今でも鮮明にその時のことを思い出すことができた。

 

 

「あとまぁ、さっき乗り込むときにAIには説明したし、もう隠す意味もなさそうだから……プリキュア・ビクトリー・チェンジ!」

 

ショーコが、桜色の輝石を握り込んで、合言葉を口にした瞬間。

ショーコの姿が、変わった。

白地に桜色の上着を着込んで。

足元まで伸びたピンクのツインテールの先には、光輪が浮かんでいた。

 

 

「勝利の光! キュアビクトリー!」

「キュアスターに、そっくりルン……」

 

手の甲を見せる独特のVサインを構えながら。

この星のプリキュアが……ようやく、ララの前に姿を現したのだった。

その姿をよく観察してみると、色合いとシルエットは似ているが、細部に違いが見受けられるようだった。

一番の違いは……キュアスターの背中側にあった巨大なリボンが、ビクトリーには存在しないことだろうか。

 

 

「そのキュアスターにどれぐらい似てるのかわからないけど、奇縁でもあるのかもね。と言ってもまぁ……」

 

軽い調子で笑いながら。

ビクトリーは、窓の外へと視線を向けた。

 

 

「気にしてる余裕がなさそうだ」

『ララ様。カナシミーナが接近しています』

 

体長2メートルほどの黒いマネキン人形形態だったはずのカナシミーナは、フォルムを変化させていた。

下半身は球体のような形状となり、尾部から謎の光を噴射して推進力を得ているようだ。

さらに、頭部からは……二本の極細触覚が生えていた。

カナシミーナはロケットへと近づいてきている!

 

 

「あたしが出る! ハッチを開けろ!」

「ちょっと待つルン!? ビクトリーは宇宙空間に出ても平気ルン!?」

 

さっき、宇宙は初めてだと言っていた気がするのだが。

キュアビクトリーは、本当に宇宙空間で生きていられるのか?

主に呼吸の問題がクリアできない生物種は、非常に多いのだ。

あれだけ強かったガルオウガさんも、宇宙服無しでは生きていけないというハンデは重かったわけだし。

 

 

「大丈夫! 空気が要らないのは、自宅の風呂で確認したことがあるよ!」

「まずどうして、お風呂で変身しようと思ったルン……??」

「宇宙人を見るような目やめろ」

『ハッチを開きます』

 

宇宙対応インカムを渡してやりつつ。

なんやかんやで、ララはキュアビクトリーを宇宙空間へと送り出したのであった。

 

モニターに映っているビクトリーのポーズを見た瞬間、ララは……思わず息を飲んだ。

ビクトリーは両脚を肩幅以上に開き、左手を腰の高さに構えつつ、右の掌を天に突き出していた。

天の星を掴もうとする者を連想させる、そのポーズを……ララは、誰よりも近くで見てきた。

 

決めポーズなんて、教えた覚えはないのに。

やっぱり……キュアスターとキュアビクトリーの間には、何か奇妙な縁があるのだろうか。

と思っていたらビクトリーはポーズを変えて、両拳を天に掲げながら……叫んだ。

 

 

『宇宙っ、きたあああああっ!!』

 

 

ロケットが壊れるかと思うぐらいの巨大な声が、通信機から溢れ出した。

くわんくわん、とララの視界が揺れた。

耳の奥がキンキンして、痛い。

 

「オ、オヨ……オヨヨ……」

『あれ、もしかしてインカムの音量調整ミスった? ゴメンね』

 

通信機ごしに聞こえてくるビクトリーの声から察するに、ララのダメージを故意に狙ったわけでは無さそうだが。

出来れば、気を付けて欲しいものである。

目を回しながら、ララは痛切に思った。

宇宙空間に出た喜びを全身で表現している姿は……誰かさんを連想させた。

 

 

「オヨォ……。と、とにかく。宇宙は重力が無いぶん、地上戦とは勝手が違うルン」

『知識としてはある程度知ってるけど、慣れに頼る部分はどうしてもあるだろうね。まぁ見ててよ!』

 

ビクトリーは、ロケットの側面を蹴ってカナシミーナへと迫った。

カナシミーナが漆黒の拳を振るって、ビクトリーへと襲い掛かった。

対処としてビクトリーは……宙に桜色の小さな障壁を張って、一瞬の足場として使って攻撃を回避した。

 

 

『でりゃああっ!!』

 

ツインテールの左右の金環を、それぞれ左右の腕に付け替えつつ。

右手の単輪を回転させながら、ビクトリーはカナシミーナへと殴り掛かった。

カナシミーナは腕の甲で拳をガードした。

次の瞬間には……両者の距離が、大きく開いてしまった。

 

 

『あっ、そうか。反作用か! 打撃を当てると自分が後退するの、すっごく面倒くさい!』

 

カナシミーナの重量は、軽く見積もっても100キロぐらいあると見た方が良い。

その半分あるかどうかというビクトリーでは、打撃を当てるたびに反作用で後退してしまうというわけだ。

一応地上戦でも反作用はあるのだが、普段は意識せずとも地に足をつけて反動を吸収しているものなのである。

 

 

何だかんだで初体験の事態への理解も対処も早いビクトリーの戦闘を眺めながら。

ララは……ぼそりと、呟いた。

 

「……ここまで似てて、本当にただの偶然ルン?」

 

宙にシールドを張って多段ジャンプする動きも。

ハードパンチャーなところも。

さっきの決めポーズも。

宇宙に来てテンションが上がりっぱなしなところも。

遠距離攻撃の手段に乏しいなんていう欠点までも。

 

全てが……ララに連想させた。

離れ離れになって会えない、星奈ひかるを。

 

 

カナシミーナが、触覚の先から電撃を繰り出した。

ビクトリーは、既に大分慣れてきた宇宙空間での多段ジャンプを使って回避していく。

 

 

「くらえ! スペース四次元殺法! プリキュア・ビクトリー・マグナムっ!!」

 

小さな障壁を無数に作ってカナシミーナの周囲を跳びまわりながら、ビクトリーが決め技を繰り出した。宇宙に適応しすぎである。

金環を二つ右手に付け替えて、全力の右パンチをお見舞いしたのだ。

カナシミーナが、大きく吹き飛ばされる。

ということは……吹き飛ばされた分だけダメージが軽減されたということな訳で。

 

 

『相手も後退するのが面倒だなぁ……。強打してもダメージ入んないじゃん、コレ』

 

宙を漂いながら唸っているビクトリーの呟きを聞いた……直後だった。

今までと比べ物にならない悪寒が、ララの背筋に走った。

ロケットの外に見えるカナシミーナが、ミシミシと身体を震わせながら、形態変化を遂げていた。

体長は4メートルほどに膨れ上がり、頭の2本の触覚は、カニを思わせる甲羅を纏ったハサミへと変貌していた。

ついに頭の植物も育ち切って、実をつけた。

 

 

『カニが宇宙(そら)を飛ぶなぁっ!!』

「カニの何が悪いルン!? 全宇宙の蟹座生まれに謝るルン!!」

 

事前にショーコに聞いていたよりも、大分成長が早いのは……宇宙空間のせいで変な進化でもしたのか?

サマーン星人との体質的な相性もあるのかもしれない。

何はともあれ、実が付いたということは、これが最終形態ということだ。

先程の要領で接近して殴り掛かったビクトリーは、しかし3手ほど打撃をぶつけ合ってから、すぐに距離をとってしまった。

 

 

『お互いに後退する宇宙だと、あの甲羅の硬さは厄介だ。どうするかな……』

 

カナシミーナが完全体になってから、ビクトリーは旗色が悪いように思えた。

普段は剛腕で相手の防御力を突破するスタイルなのだろう。

ところが、宇宙空間での打撃の通りの悪さが、相手の防御力と相まって最悪の状況を生んでいる。

 

 

……ララには、見ていることしか出来ないのか。

そんなネガティブな考えが、思考の中に浮かんだ。

自分がもうすぐ死ぬのだという悪寒も、ますます強まっていた。

 

心に暗雲が広がった。

その中に、ララは輝く道しるべを探した。

厚い雲にさえぎられてもなお輝く、一番星を……ララのイマジネーションは、確かに見た。

 

 

 

 

 

 

 

――ララは、ララだよ。

 

 

 

 

 

 

「……たい、ルン」

『ああん? なんだ、聞こえないな! もっと大きな声で言え!』

 

苦戦の真っ最中のはずなのに。

ショーコの声は、どこか嬉しそうに思えた。

 

 

「ひかるに、会いたいルン! 生きて、任務もカンペキにやって、宇宙中の人達も助けて、なりたい私になって……ひかるに会いたいルンっ! 全部全部、私のイマジネーションで選んだ、私だけの未来ルンっ!!」

『ようやく、あたし好みの答えが聞けたな! そうだよ! この状況で、ちゃんと欲張れるのは……あんただけだ!』

 

 

ララは、自然とポシェットの中から、ミラクルライトを取り出していた。

かつて、ユーマの力で無限に増殖したミラクルライトの一つを……ララは密かに手元に残していたのだ。

ミラクルライトは、淡い光を発していた。

 

心にかかった暗雲を振り払うすべを、ララは既に知っていた。

それが同時に、他者へとイマジネーションを伝える手段となることも。

口元へミラクルライトを寄せたララは……静かに、歌い始めた。

 

 

――おもい ねがい よぞらをかける

――きもち とどき こころはひとつ

――ほしは ひかり みんなをてらす

 

 

『ここで挿入歌とか、最っ高だな! これはもう、負ける気がしねぇ!!』

 

カナシミーナが、硬い甲羅に包まれたハサミを突き出して、ビクトリーに迫った。

あわやカニバサミに挟まれるかと思われたビクトリーは……身体を少しだけ引いて相手の突進の勢いを削ぎながら。

 

 

『ハサミには、ハサミってな!』

 

両手の拳を打ち合わせる要領で、カナシミーナの右手側のハサミへと2つの拳による挟撃を加えた。

宇宙空間なので、破砕音は聞こえてこなかった。

だが、ビクトリーの両拳は、確かにカナシミーナの右手側の強靭な甲羅を砕いていた。

衝撃の逃げ場を失くすことで、打撃の威力を最大限に伝えたのである。

 

 

――「淋しい」はどこから来るの?「会いたい」想いが連れて来る

――「会いたい」は ほら、ふれあいで積もる気持ち 未知との遭遇

 

 

右手側のハサミを砕かれたカナシミーナは、今度は突き出しではなく、左手側のハサミを横なぎに振るう攻撃に出た。

横なぎに振るわれるカニバサミを、両手で挟み撃ちにして砕くのは困難だ……という見込みを持った攻撃なのだろう。

そんな横なぎの攻撃に対して、ビクトリーは右手に付け替えた双輪をフル回転させながら応えた。

 

 

『プリキュア・ビクトリー・マグナムっ!!』

 

ビクトリーの右拳が、カナシミーナの左手側の甲羅を打ち砕いた。

画面越しに見ていたララからは、何が起こったのか手に取るように分かった。

打撃を当てる瞬間に、カナシミーナの左手側のハサミに隣接するように小さな障壁を展開して、衝撃を余すことなく伝えたのだ。

 

 

――気づいたら友達 ともに過ごして

――紡ぎ合った思い出 おそろいだね 宝物

 

 

先程両拳で挟撃を行ったのと同じ要領で、今回は拳と障壁で挟んだということである。

障壁展開のタイミング的にもかなりシビアなはずなのだが、失敗の危険性を全く危惧していない顔に見えた。

これが、強いイマジネーションの力というヤツなのかもしれない。

 

カナシミーナの触覚が変化した2本のカニバサミは失われてしまったが、まだ自前の両腕は残っている。

ボールのような形状の下半身から謎の光を噴出しながら、カナシミーナが最後の悪あがきとばかりに殴り掛かった。

 

 

『もう一発っ! プリキュア・ビクトリー・マグナムっ!!』

 

カナシミーナの自前の左拳と、双輪を輝かせたビクトリーの右拳が衝突した。

結果は言わずもがな。

ビクトリーの右拳は、カナシミーナの左腕を粉砕した。

間髪おかずに……ビクトリーの右手は、カナシミーナの左側に辛うじて残った上腕を掴んでいた。

 

 

――わたしたちは星 一所懸命 一瞬に 一生に

――生命を燃やす

 

 

ビクトリーの攻撃の要である右手で相手を掴んでしまったら、ビクトリーは決め手がない。

そのはずだった。

 

だが、ララは……ララのイマジネーションは、確かな勝利を見ていた。

幾度となく見てきた、星を掴む拳を。

 

 

「みんなの想い! 重ねるルン!!」

『あたしにも、見えた! ララの……ララたちの、イマジネーションっ!!』

 

 

ビクトリーは、左腕を肩から回転させて、力を貯めた。

左拳の先に、五芒星を模した障壁を纏いながら。

一度も見たことのないはずの技を、完璧に再現していた。

 

 

――どんな夜にも灯る  熱い願い 煌めくよ

――それは愛の光 彼方まで照らす

 

 

「『プリキュア・スター・パンチっ!』」

 

声が、重なった。

ビクトリーの右手に掴まれて、逃げ場を失っていたカナシミーナへと、最後の拳が突き刺さる。

空を覆う雲が晴れるように。

胴体の中央へと拳を打ちこまれたカナシミーナは、粉々に砕けて、消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

『ララ、体調は?』

「お蔭様で回復したルン。……ショーコ、ありがとうルン」

 

無事に不幸の果実を回収して、ビクトリーがロケットへと戻ってきた。

船内に戻ってきたビクトリーは、朝加ショーコへと姿を戻して、相変わらずヘラヘラと笑っていた。

だが……ララは、いい加減に気付いていた。

軽薄そうな笑顔は朝加ショーコの本質ではない、と。

 

ショーコは足元がふらついて、倒れそうになっていた。

そんなショーコに、ララは歩み寄って、肩を貸してやった。

 

 

「お礼に、胸を貸して抱きとめてあげても良いルン。私はショーコと違って、包容力のある大人ルン」

「……にゃろう、人の恥ずかしい台詞を掘り起こすのは悪趣味だぞ。別にいいよ。自慢の嫁が帰省から戻ったら、やってもらうから」

 

何となく、ショーコの扱い方が分かってきたララだった。

この透明で歪んだイマジネーションの仮面をかぶった異星人と話す時は。

心の底から本気で思っている言葉か、明らかに冗談だと分かる言葉をかけるのが効率的だ。

 

 

「ルン。ショーコは、たぶん自分で思っているよりも、ずっと素直な性格ルン」

「あはは。そうかもね。……おっと、ここは『お前に何が分かる!』って返すのが御約束だったかなぁ」

 

疲れ切っているショーコを、ララは円卓の席の一つへと座らせてやった。

ショーコを座らせてから、気付いた。

その席は……ララの最も大切な人が、かつて座っていた席だった。

無意識に、ララはその席を選んでいた。

 

 

「はい、不幸の果実。一応言っとくけど、それ一つで妖精フワの成長に必要な分を全部賄えるかどうかは分からないからね?」

「そういえば、そうルン……」

 

不幸の果実を手渡してくれながら、ショーコが予防線を張ってきた。

確かに、フワの成長に必要なイマジネーションの量なんて、データでは測れない。

もしかしたら、完全体に戻るまでの時間が、100年から90年に変わるだけだったりするかもしれない。

そんな可能性も、決して無いとは言い切れない。

フワが復活してから既に半年待っている訳で、年単位で時間がかかるというのはあり得る話だ。

 

 

「ああ、そういえば。もう、日付は回っちゃったかな」

「ルン。ショーコの居た地域の時刻で言うと、とっくに午前0時は回っているルン」

 

なんかイケる気がする、なんてショーコは軽々しく笑いながら続けた。

ララは、ショーコが何を思っているのか測りかねて、首を捻った。

 

 

「あたし達の星の言い伝えでね。今日は、離れ離れになった恋人が1年に一度会える日なんだ」

 

ひかるの星にも似た言い伝えがあったっけ。

そういえば、意識したことも無かった。

1月の初めごろに星奈ひかるたちと別れて、半年後なら……ちょうど、そのぐらいの日付だろう。

 

そうだった。

今日は、羽衣ララの……大切な日だ。

 

そんな日に貰った、最高に気が利いたプレゼントなら。

イケる気がする、というショーコのイマジネーションも外れていないように思えた。

運命のイタズラのような巡りあわせに、胸の奥が温かくなった。

 

 

 

「それでも足りなかった時のために、もう一つだけショーコさんが、とっておきの魔法を教えてやろう」

「オヨ?」

 

悪戯好きの子供を思わせる笑顔を張り付けながら。

ショーコが、さらにサービス精神を見せてくれた。

 

 

「あんたたちは、歌を用いることでも、他人にイマジネーションを伝えられる。それなら、惑星サマーンの全員で歌うように頼んで、フワの成長を促してやれ」

 

……そう言われると、確かにララも思い当たる節があった。

先程のキュアビクトリーの戦いの時もそうだったが、ララ達は歌によってイマジネーションを伝達したり増幅したりできるのだ。

ダークネストの作った闇に閉ざされたときも、5人で歌って、お互いのイマジネーションを高めあうことで脱出できたことがあった。

 

 

「さすがに、サマーン星人全員を説得するのは大変ルン。時間がいくらあっても足りないルン」

「そういう時のためのマザーAIでしょ? 使えるものは使っていけ」

 

言われてみれば。

惑星の人工知能を統括するマザーAIを活用すれば、サマーン星人全体へと告知をするのは、難しいことではない。

 

 

「ルン……。マザーAIのことを今日初めて知ったショーコの方が、私より上手く使えるのは、さすがに理不尽ルン……」

「ははっ。今回のあたしの役割は、世界の破壊者だからね! 理不尽ぐらいお手の物っしょ!」

 

なんだか、とんでもない奴とロケットに相乗りしてしまったかもしれない。

改めて、ララはそう思った。

 

 

「なんなら、宇宙を救った『英雄ララ』としてのネームバリューも存分に利用してやれ。羽衣ララも調査員ララもキュアミルキーも、全部アンタの顔であるのと同じように、『英雄ララ』もアンタの一つの顔だ」

「それもそうルン。使えるものは全部使うというのは、確かに効率的ルン」

 

英雄ララのネームバリューを使えば、サマーン星人だけでなく、他の星の人達だって巻き込めるかもしれない。

そうやって総数を増やしていけば、フワの再進化のためのイマジネーションは、どんどん集まるだろう。

 

 

何から何まで、本当に朝加ショーコには御世話になってしまった。

底知れなくて、何かを超越していて、でもどこかに熱さを秘めているその姿は……ララにとって、眩しく思えた。

 

 

「ありがとうルン。こんな凄いイマジネーションの持ち主に会えて、本当に良かったルン」

「どういたしまして。そんな真っすぐに言われると、なんかくすぐったいな。それに……あたし一人のイマジネーションじゃないし、ね」

 

ショーコが言うには、ショーコの尊敬する人達のうちの一人が繰り返し言っていた言葉があって。

それがショーコにヒントを与えたのだという。

人生の師匠とまで言われたその人達がどんな人達なのか、ララは想像できた気がした。

きっと、ひかるやショーコみたいにマイペースで、自分を貫く人達だ。

 

 

「ショーコの師匠たち……なんだか、無茶苦茶な人達な気がするルン」

「無茶苦茶とかいうなってーの。あの人達は、瞬間瞬間を必死に生きてるだけだよ」

 

ひらひらと手を振りながら。

軽い調子で答える朝加ショーコは、どこか嬉しそうだった。

 

 

「それで、その言葉ってどんなのルン?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――みんなの絆で、宇宙を掴む!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・今回のNG大賞

微睡みから覚醒しつつ、調査員ララは今までの経緯を頭の中で整理していた。

寝ぼけオヨルン「ルン……。なんだか、さっきまで魔進戦隊キラメイジャーと一緒にダンスをしていた気がするルン……」


スーパー戦隊MOVIEパーティ、本日公開!
劇場でまたキュアスターに会えるルン!(ダイマ)





・次回予告!

長い入院生活を終えてクラスに復帰した悠木ノドカを待ち構えていたものは……?

体長2メートルにも及ぶ筋肉質な二足歩行のカエル(自称ヒーリングアニマル)だった!

ヌメヌメしているうえに筋肉が気持ち悪いカエルと二人三脚で、悠木ノドカの新生活が今、始まる!

心の肉球がキュンと来ちゃったらしいからね。仕方ないね。

カエルに、肉球…………??
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