ふたりはVSプリキュア!   作:カードは慎重に選ぶ男

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第二話:DANZEN! 勝利の光 キュアビクトリー!

まだ4歳だったころの、朝加ショーコは。

何の因果か、見知らぬ神殿のような場所に迷い込んだことがあった。

 

どうやってその神殿を訪れたのか?

どうやってその神殿から帰ってきたのか?

その辺りの記憶は、殆ど残っていなかった。

 

 

「……ショーコ」

 

ただ、13歳の朝加ショーコが覚えているのは、たった2つだけだ。

1つは、奇麗な台座の上に安置されていた桜色の輝石を手に入れたこと。

 

 

「……ショーコ。起きて」

 

もう1つは……空いっぱいに広がる、奇麗な茜色に心を動かされたことだ。

感動っていうのは、あんな感じのことを言うのだろう。たぶん。

 

 

「……おはよう。ショーコ」ゲシッ

「ウェッ……うぐっ! シズちゃん、おはよー……」

 

……朝加家の自室のベッドから蹴り落されて、朝加ショーコは目を覚ました。

これが、いつもの朝加ショーコの起床方法である……。

 

 

 

 

 

 

「いっただきまーす! むぐぐっ! また腕を上げたなオヌシー!」

「……いただきます。お褒めにあずかり至極光栄?」

 

ショーコのとりとめもない言葉に対して、いつもの抑揚の少ない声が返ってきた。

毎日ショーコの家にやってくる独り身のクール系美少女は、今日も変わりがないようで。

幸せな日常ってこういう事なんだろうなー、なんて何かのフラグのような考えが脳裏をよぎったりなんかして。

 

 

「そーいえば、メグミちゃんって今日から学校に復帰する予定だったっけ?」

「……先生たちは、そう言っていたわね」

 

ふとショーコが思い出したのは、1週間ほど前に失恋を果たした『人助けメイツ』の仲間のことだった。

どうやら、朝加ショーコと藩田ヒメが押しかけて励ました日の夕方に、中島メグミは事故にあったらしい。

だが一昨日、中島メグミの意識が戻ったという一報が、病院から学校へと届いたとのこと。

 

なんとなく、クール系美少女シズエの顔が一瞬だけ曇ったように思えたショーコだった。

シズちゃんも意外とメグミのことを心配してるのかな?

 

 

「……私も、一つ思い出した。もしブルー先生のように選択を迫られたときに、例えば友情と恋が天秤に載ったら……ショーコは、どうする?」

「何それ、心理テスト?」

 

恋バナとか興味無さそうなのに、一体どうしてシズエはそんなことを聞いてきたのだろう?

ヒメとショーコが恋愛話を始めたときも、すこぶるどうでも良さそうだったよね?

まぁ、シズエとて13歳の中学生なのだから、先週と今週で考え方が少し変わっているなんてこともあるのかもしれないが。

適当に思考を打ち切りつつ。

 

 

「天の道を往き総てを司る男が言ってた。『二兎を追う者は二兎とも獲れ』ってね!」

 

ショーコは右手の人差し指を立てて、天を指さしながら、ドヤ顔で引用句を口にしてみせた。

何だかんだで天道総司語録は大体暗唱できているあたり、筋金入りである。

 

 

「……私、がんばる」

 

シズエが何かの決意を新たにしているような気がする。

頑張っているシズエを応援したい!

 

「よし、ガンバレ! 応援の証のオロナミンCは冷蔵庫から適当にピックして良いよー!」

 

こんなときも、ショーコの反応は特オタの鑑だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふたりはVSプリキュア!』

第二話:DANZEN! 勝利の光 キュアビクトリー!

 

 

 

 

 

 

 

 

「イチカちゃんもダメだったんだね……」

「メグミちゃんの屍を超える気概で行ったけど、ダメだったでござる……」

 

久々に登校したメグミに声をかけようとしたショーコだったが、二の足を踏んでしまった。

中島メグミが、クラスメイトの美山イチカと額を突き合わせて、どんよりしていたからである。

ショーコは、大体の事情を察した。

美山イチカは、学校医の森アキラ先生にお熱だったハズなのだが、この様子だとおそらく断られたのだろう。

 

 

「ノゾミちゃんも、この機会に玉砕して失恋しよう!」

「レッツ・ラ・玉砕! 今なら失恋メイツ歓迎キャンペーン中ですぞー!」

「待って待って!? 私は玉砕なんてしたくないもん!?」

 

しかも、何故かメグミとイチカの二人で、別のクラスメイトに絡み始めた。(困惑)

そういえば、三瓶ノゾミにも意中の先生が居たはずだ。

でも、ノゾミは確か脈アリなんじゃなかったっけ……?

 

 

「……中島さん、元気になったみたい」

「そーみたいだね。もっと面倒くさい問題が発生してる気もするけど……考えるの、やーめた」

 

まぁ、メグミ達が楽しそうなのだから、シズエとショーコも安心である。

今日は穏やかな日になりそうだ、と二人は思った。

もちろん、前フリである。

 

 

 

 

その日一日中。

なんとなく、クラス委員2名の様子がおかしいように思えた。

本名ナギサと野上ホノカの両名が、目を合わせようとしないのだ。

ざっくり言うと、本名ナギサはラクロス部に所属する活発な少女で、野上ホノカは科学部に所属するオットリ系女子である。

 

で、そんな二人が一触即発状態になっていれば、さすがにクラス中の人間が異変に気付くというものである。

放課後、ショーコは野上ホノカへと単身接触を試みるのであった。

 

 

「ホノカちゃん。ド・ストレートに聞くけどさ。ナギサちゃんと何があったの?」

「実は……」

 

大分落ち込んだ様子の野上ホノカは、詳しく事情を話してくれた。

 

本名ナギサはサッカー部の某先輩に惚れている。

→某先輩は野上ホノカの従兄だ。

→野上ホノカが某先輩と本名ナギサの仲を取り持ってやろうとしたが、ナギサの反感を買ってしまった。

→「余計なことしないでよホノカ! あんたなんか、同じクラス委員ってだけで、友達でも何でも無いんだから!!」

 

 

だいたい分かった。

けどコレ、仲裁するのは結構骨が折れるなぁ……。

 

 

「人助けって、意外と難しいよね。良かれと思ってやったことが裏目ったー、なんてこともあるし」

「人助けメイツの人たちでも、そういう事ってあるの?」

「しょっちゅうだよ」

 

今回は、ショーコはライダーに例えて説明するのは諦めた。

良かれと思ったことが裏目に出た事例としてアマゾンズ2期の千翼抹殺問題を挙げようかと思ったのだが、色々ショッキングな話が多くて脱線しそうだったためである。

 

 

「今回に関して言えば、ナギサちゃんの地雷がそこにあるって分かったんだから、次は同じ間違いはしない。それで良いんじゃないかな」

 

同じ地雷を何度も踏むのはダメだけど。

そこまでいくと、もはや御節介の皮をかぶった性格の悪い愉快犯だが、野上ホノカはそうではないだろうし。

もしかしたらオーズの募金のエピソードが使えたかな、と今更気づいたショーコだったが、話が進み過ぎてしまったので別の機会に回すしか無さそうだ。

 

 

「それで良いのかしら……?」

「良いっていうか、そうするしかないよ。他人の地雷の場所を予測するのは怠っちゃいけないけど、全部回避するのは無理だし。ある程度割り切りは必要でしょ」

 

その結果、疎遠になる相手が出てくる可能性もあるが、そこは縁が無かったと思うしかないだろう。

もっとも、ショーコの見立てでは、ナギサとホノカの縁はまだ切れていないように思えるが。

 

 

「でも、ナギサが許してくれるかどうか……」

「ナギサちゃんの方には多分シズちゃんが行ってるから、大船に乗った気で居るといいよ」

 

「シズちゃんって、夜野さん? あんまり口が上手いイメージが無いけれど、大丈夫なの?」

「大丈夫。シズちゃんは説得を諦めたら実力行使に出るから。ナギサちゃんを蹴り倒してでも連れてくると思うよ」

 

あたしもよくベッドから蹴り落されてるし、なんてショーコは笑ってみせた。

これには思わずホノカさんも苦笑いである。

まぁ、流石に物理的に蹴り倒すのはシズエとて最終手段になるだろうが。

 

 

 

……と思っていたら、ひょっこりと夜野シズエが現れた。

 

「……待たせたわね。意気地なしを連れてきたわ」

「痛い痛いっ!? 地面に色々擦れてるからっ!? 自分で歩くから離してよぉっ!!?」

 

シズエは片手で、ズルズルと何かを引きずっている。

よく観察してみると、テニスとかバレーボールとかの時に使う網で、本名ナギサを捕獲して強制連行してきたらしい。

多分、体育倉庫の近くで二人は遭遇したのだろう。

そこそこ長い距離を引きずられていたであろう本名ナギサの身体には、ところどころに擦過傷が見られた。

 

 

「思ってたより酷い目にあってる!?」

「シズちゃん、お疲れー! これは、ナギサちゃんがウジウジしてたからとか、そういうこと?」

「……この意気地なしが、変に意地を張って動こうとしなかったから、実力を行使したわ」

 

案の定、本名ナギサも野上ホノカのことを気にしていたらしい。

私のためを思ってくれたホノカに酷いことを言ったから嫌われたに違いない、なんて落ち込んでいたようなのだ。

にもかかわらず、謝りに行くには心の準備がまだ……なんてことをナギサは言い出したとのこと。

なので、夜野シズエが割とバイオレンスな手段で背中を押してやったという次第であった。

 

 

「ナギサ、大丈夫……?」

「ホノカ……! その、えーと……」

 

捕獲網の隙間から、本名ナギサは野上ホノカの存在に気付いたらしい。

だが、変に意地っ張りというか、ナギサは喉から言葉が出てこないようだ。

ショーコは、カバンからオロナミンCを取り出しながら「よし、頑張れ!」をする準備をしていたりして。

 

もっとも、シズエは待つ気が無い様子で。

ネットに絡まって動けない本名ナギサのお尻を、夜野シズエは踏みつけ始めた!

本名ナギサは割と本気で痛がっている模様である。

野上ホノカは、おろおろしながらナギサを心配している。

朝加ショーコは、面白がっている!!

 

 

「……野上さんを見てみなさい。意気地なしの貴女を心配しているわ。あの姿を見て、貴女は何も思わないの?」

「イイ事言ってる雰囲気だけど、まずアタシを踏みつける事について何かを思ってよ!? こんな仕打ち、ありえなぁい!!」

 

良い正論だ。

感動的だな。

だが無意味だ。

 

一応靴を脱いで踏んでいるところが、夜野シズエなりの良心だと信じたいところである。

ここで、朝加ショーコは優しく、野上ホノカの背中を押してやった。

ホノカは振り返らなかったが、何となくショーコの意図を察したのだろう。

 

 

「私、ナギサの迷惑がることをしてしまって、本当にごめんなさい。それでも、もし良かったらもう一度私と……」

 

見上げるナギサ。

見下ろすホノカ。

交差する二人の視線が、絆を結び直そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

「おーっと! せっかく見つけた悲しみが消えそうニョロ! 勿体ないニョロ!」

 

……と、そこに巨大なヘビが突然現れた!

何の脈絡もないが、太さ50センチはあろうかという巨大なヘビが、とぐろを巻いてショーコ達に話しかけてきたのである。

プリキュア的ファンタジー感とは別に、普通に恐怖の生命体としか言いようがない。

 

 

「シャベッタアアアアアアア!!?」

「絶対に新種だわ! モルモットにしないと!」

「二人ともふざけてないで、逃げられないアタシを早く助けてぇ!!」

 

ニチアサ民と理系女子の違いがよく分かる反応の差である。

なお、本名ナギサはいまだに捕獲ネットの中から抜け出せていない模様。

そんな3人をよそに、シズエは懐から『静寂の輝石』を取り出そうとしたのだが、

 

 

「お前ら煩いニョロ! ちょっと黙ってるニョロ!! カナシミーナ・栽培ニョロ!」

 

巨大ヘビが振り回した尾によって、4人とも弾き飛ばされてしまった。

背中を打ち付けた痛みに顔をしかめながら、朝加ショーコが目にした光景は。

漆黒の種子のようなものを植え付けられた野上ホノカが……3メートルほどの黒いマネキン人形へと作り替えられていく姿だった。

怪人カナシミーナの頭部には、植物の双葉のような形状のモノが生えているようだ。

 

 

「カナシミ・ホワイトォ!!」

「間に合って良かったニョロ。とりあえず、そこのオトモダチを潰して、悲しみを深めるニョロー!」

 

巨大ヘビが尻尾で指し示した先には……気を失っていると思しきシズエと、網に絡まって動けないナギサが居た。

ショーコは、吹き飛ばされた方向が違ったため、巨大ヘビと怪人カナシミーナの背後から位置関係を把握することが出来た。

 

このままでは、シズエ達が危ない!

朝加ショーコは、ただ守りたいと思った。

自身の大切な人たちを守るために、命を懸けなければならない、と。

 

通学カバンの中で桜色の輝石が光ったのにも気づかないままに。

ショーコは、巨大ヘビへと走り寄り、跳び蹴りを食らわせていた。

 

 

すると、意外にも巨大ヘビは黒いマネキン人形を巻き込みながら派手に吹き飛ばされて、学校の外壁を半壊させながらダウンしてしまった。

こんなに簡単にダウンをとれるとは、跳び蹴りの主のショーコもびっくりである。

あたしにはライダーキックの才能があったのかな、なんて一人で首を傾げてみるものの、答えは出てこない。

 

 

「ニョロぉっ!? まさかこんなに早くプリキュアが駆け付けたニョロ!?」

「えっ? プリキュア!?」

 

ショーコは、思わず辺り一面に視線を回してしまった。

左右には居ない。

上空にも居ない。

プリキュアなんて何処にも居ないじゃないか。

もしくは視界に入らないぐらいの遠距離攻撃で巨大ヘビたちをブッ飛ばしたのかな?

 

 

「持ちネタが古いニョロ!! 誰がどう見ても、お前がプリキュアニョロ!!」

「うぇっ?」

 

巨大ヘビの尻尾が指し示す先には、どう考えてもショーコだけしか居ない。

思わずショーコが自身の身体に視線を落とすと……そこには、見慣れた中学校の制服は無かった。

白の下地と桜色の上着が目立つ全体的にフリフリな衣装を、いつの間にかショーコは纏っていた。

しかも、髪もピンク色のツインテールになっている。ショーコの13年の人生で、こんなに長く髪を伸ばしたことは一度もないのに。

そのうえ、ツインテールの先には金色の輪が重力を無視して浮かんでいる。物理法則なんて無かった。

 

 

「なんじゃこりゃああっ!?」

「だから持ちネタが古いって言ってるニョロ!!」

 

巨大ヘビが、再び尻尾を振り回して攻撃してきた。

さっきより遅いな、なんて思いながらショーコは後ろ跳びで回避しながら。

ようやく、事態を飲み込みつつあった。

いつの間にか、ショーコはプリキュアになっていた、と。

 

 

「大体わかった! そのとき不思議なことが起こった系のヤツだコレ!」

 

校舎の壁で三角飛びをかましながら。

ショーコ――桜色のプリキュアは、再び巨大ヘビへと強襲をしかけた。

 

 

「プリキュアパンチ!」

「ニョロォッ!?」

 

そのまんまライダーパンチな攻撃にて、また巨大ヘビを怯ませることに成功した。

どうも、巨大ヘビはフィジカルがあまり強くないのかもしれない。

苦し紛れに噛みつこうとしてきた巨大ヘビから、すぐさま飛びのきつつ。

桜色のプリキュアは、3メートルほどの黒いマネキン人形が立ち上がったのを視界の端に収めていた。

 

 

「紫のプリキュアが来る前に逃げさせてもらうニョロ! カナシミーナ、足止めするニョロ!」

「カナシミ・ホワイトォ!!」

 

すたこらさっさと。

巨大ヘビは逃げ出してしまった!

 

 

「逃がさんっ! ……っと、追撃すると挟み撃ちにあいそうだね」

 

巨大ヘビを追おうとした桜色のプリキュアだったが、深追いすると巨大ヘビとカナシミーナに前後から攻撃される危険があった。

なので、深追いせずに怪人ことカナシミーナを倒した方が良いだろう。

素体になった野上ホノカの安否も気になることだし。

 

と、マネキン人形が駆け寄ってきたかと思いきや。

強烈な回し蹴りが桜色のプリキュアを襲った。

 

 

「おわっ!? おっとっと!?」

 

とっさに腕を上げてガードしたものの、踏ん張り切れずに距離をあけられてしまう。

さらに、追撃を加えようと、3メートルの黒い人形が踏み込んできた。

体勢を立て直したプリキュアも、迎撃のために再び拳を繰り出すが……。

 

 

「カナシミ・タイジュツゥ!」

「うそぉ!?」

 

なんと、カナシミーナは器用にプリキュアの拳を掴んだ。

流れるような動きで、そのまま地面に叩きつけられるプリキュア。

もし変身していなければ、既にショーコはアマゾンズの世界にありがちな地面のシミになっていただろう。

クレーターに沈む桜色のプリキュアに対して、容赦の無い拳が浴びせられた。

 

 

「このぉっ! ぐ、ぬぬっ……!」

 

なんとか両手で突っ張って、プリキュアはカナシミーナの拳を受け止めた。

プリキュアがよくやっている、伝統と信頼の重量挙げである。(※潰されたら死ぬ)

 

 

「カナシミ・サンダーッ!」

「はぎゅうううっ!!? 死ぬ死ぬ死ぬっ!? 初変身補正が欲しい゛よ゛お゛お゛っ!!?」

 

カナシミーナからの唐突な電気攻撃は、さすがに予想できなかった。

しかも重量挙げを強いられているせいで、プリキュアは絶対に回避できない。鬼か。

 

電撃の痛みに涙を堪えて、重量挙げを続けながら。

ショーコは必死に考えた。

何か打開策はないか、と。

すると、ピンクのツインテールの先に付いた金環が目に入った。

 

なかば直観的に。

ショーコのイメージに従って、金色の輪は右腕の手首の周囲へと装備された。

 

 

「プリキュアパンチ!」

 

次の瞬間には、カナシミーナの巨体が浮き上がった。

カナシミーナの黒い拳には大きなヒビが広がっており、プリキュアパンチ(改)が有効打であったことは間違いない。

これ幸いと、桜色のプリキュアは一気呵成に攻撃へと転じた。

 

 

「あだだだだだっ!!」

「カナ、シミィ!?」

 

考えるよりも早く、プリキュアはひたすら拳を打ち込んだ。

カナシミーナは防戦一方だが……それでも、プリキュアは攻め切ることが出来なかった。

というのも、金環を手首にまとった右手の攻撃は有効打になっているのだが、左手の攻撃のダメージが少ないようなのだ。

 

ここでショーコは、みたび気づいた。

ツインテールなんだから、金環は2つあるじゃん、と。

 

何も躊躇わず、ショーコは右手に二つ目の金環を重ねて装備した!!

バチバチと不穏な音を立てている2つの金環は、ショーコのイメージに従って回転を始めた。

イケる!

確信めいた勘を働かせた桜色のプリキュアは、防御で手一杯のカナシミーナへと、フィニッシュブローを打ち込んだ!

 

 

「ひっさぁつ! プリキュア・ビクトリー・マグナム!!」

 

重低音を響かせながら。

桜色のプリキュアの右拳が、3メートルほどの黒マネキン人形の胴に吸い込まれて。

次の瞬間には、カナシミーナは爆炎に飲まれて消えていったのであった……。

 

 

 

 

カナシミーナの中からドロップした野上ホノカの口元に手をかざして、息があることを確認して。

桜色のプリキュアは、夜野シズエと本名ナギサの安否を確かめようと、二人が倒れている地点に戻った。

すると……。

 

 

「朝加さん……その姿、何なの? 変身? したように見えたけど??」

 

……見られていたようだ。

夜野シズエは気絶しているようだが、本名ナギサはバッチリ目撃していた模様である。

全員に息があることを喜ぶべきなのだろうが、目撃者が居るのは地味に面倒だったりして。

 

通りすがりのプリキュアだ覚えておけ、なんて台詞が脳裏をよぎった桜色のプリキュアだったが……。

ふと、何故か自身の今の姿の名称が、頭の中に浮かんだ。

何故かと言われても桜色のプリキュア自身でも説明できないのだが、だいたいのプリキュアの仕様である。

 

 

「勝利の光! キュアビクトリー!!」

 

相手に手の甲を向ける独特のVサインを作りながら。

桜色のプリキュアは、高らかに自身の『勝利』を誇ったのであった。

重量挙げと電撃と乱打戦のせいで割かし初戦からボロボロなのは、御愛嬌である……。

 

 

 

 

 

「怪物を倒してから名乗り口上を言うの……? ありえな~い……」

「言わないでよ! 名乗るタイミング無かったんだってばホントに!!」

 




・今回のNG大賞

ナギサ「なんか敵幹部の巨大ヘビが弱い気がするんだけど、下手したらゲスト怪人より弱くない??」
???「プリキュアシリーズは、たまに変身前のプリキュア1人より弱い幹部もいるから、良いんじゃないかしら。嫌いじゃないわ」

幹部がヘタに強いと、自分で戦えよってなっちゃうので……。





・次回予告!

クラスメイトの引坂ハナの家に同居している留学生の田村ルールーには、人には言えない秘密があるんだって!

だけど、学校のみんなが見ている前で田村ルールーの頭がとれて、正体がアンドロイドだってバレちゃった!

どうなる第3話!


次回『We can!! うるさい! お前なんてロボットだ!』めちょっく!
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