暁剪理(あかつきせんり)
暁切歌の実の兄。
大学生、リディアンの近くにある料理学校の生徒。
二課のこととかは周知済みで皆とも仲良し。
そういうことで切歌の過去が変わることになります。
※この作品は作者が勢いで作ってしまったものです。駄文にしてめちゃくちゃな内容かもしれません。それでも良いかたはどうぞ。
突然だが、人間ならば誰だって好きなものはあると思う。体を動かすことが好き、音楽を聴くことが好き、ゲームをすることが好き、料理することが好き、美味しいもの腹一杯食べるのが好き、などなど挙げていけばキリがないだろう。ちなみに今挙げたものは俺が好きなものだ。でも一番じゃない。
「兄さんとお買い物、デースっ!」
繋いだ俺の左手を満面の笑みで、ぶんぶん振り回す金髪ショートヘアでバッテン髪止めを付けている我が妹の暁切歌。この俺、暁剪理(あかつきせんり)がこの世界で一番好きなもの、と言えるだろう。というか一番好きとかそういう次元じゃないから。天使だから。マイラブリーエンジェルきりかたんだから!あーもう今すぐ思いっきり抱きしめたい!
「ほら剪兄、早く歩くデスよ!スーパーのタイムセールが始まっちゃうデス!」
「おっとと!?ちゃんと急ぐから引っ張らないでくれ~。」
怒ったような切歌の表情もまた可愛いなぁ。知ってるか?これ俺の妹なんだぜ?
「さて、着いてしまったな。」
「うん、着いてしまったデスよ。」
普段なら通うことのない大型スーパーの入り口付近で俺達は最終確認を行う。
「切歌。今回の俺たちの任務はなんだ?」
「晩御飯のカレーを作るために食材を確保する事デス!」
「よろしい。だが心せよ。これから始まるのはタイムセールという名の...戦争だ。」
「なんデスとっ!?」
「この時間帯のこのスーパーは他所様のスーパーと違い、桁が一つ分少ないのだ。つまりは激戦区。周りをよく見てみるんだ。」
「デ、デース?...あっ。」
俺の言葉に周りを見渡す切歌。
「気づいただろう?あそこで談笑してる奥様方も、あっちで携帯いじってる奥様も向こうで野菜を物色してるおばさんも目の前を見てるようで見ていない。そう、タイムセールの掛け声を今か今かと待っているのだ。」
「なんとぅっ!?さすが剪兄ぃデース!」
「そんな誉めてくれるな我が妹よっ!そういうわけで兄さんは、あの奥様方と血で血を洗う争奪戦に参加してくるから、切歌は俺がとってきたものを籠にいれて死守するのだっ!」
「死守デスか!?」
「そうだ、この戦争に参加する奥様方は基本スポーツマンシップに則り、他人が手に取ったものを取ることはしないのだが、たまに他人のかごから奪おうとするトンデモな輩もいるのだ!」
「そんな人がいるなんて、許せないデス!」
「だからこそ、切歌には俺がとってきた食材達を死守してほしいのだ、この重大任務...やれるな?」
「任されたデス!海賊船に乗ったつもりで任せるデース!」
「頼んだぞ我が妹よ!」ワシャワシャ!
「あぅぅ、あんまりワシャワシャしないでほしいデスー!」
はっはっはっ!頭撫でて照れる妹可愛いなぁ!
でも俺が海賊船に乗るんなら俺が他所様のかごから食品奪う悪い輩になるのでは?
ザワ...ザワ...。
「剪兄ぃ...!」
「あぁ、店員さんが動き出したな。周りの奥様方も動きだしている。それじゃあ、行ってくる!」
「ご武運をっ、デース!」
店員さんが何食わぬ顔で野菜コーナーの一角に立つ。そして、
「タイムセール始めますっ!まずはこの玉葱!」
戦争が始まった。
「玉葱とったどぐふぉ!?誰だ肘鉄してきやがったぐふっ!」
「剪兄ぃ!?」
「大丈夫だ、この程度かすり傷。さぁ次行くぞっ!」
「その人参もらったぁぁぁぁ!!!がはぁ!?今度はアッパーカットだとぉ...!?」
「剪兄ぃ!?」
「何も問題はないぞ我が妹よ!こんなところで立ち止まっているわけにはいかんのだっ!」
「最速でがはっ!最短でぐっ!真っ直ぐにぃだはぁっ!?一直線にぃぃぃぃぃぃ!!!じゃがいもを掴むぅぅぅぅ!!!」ガシィ!
「剪兄ぃ!?大丈夫デス!?」
「大丈夫だ、問題ない。」
「その返事は問題しかないデスっ!?」
「さぁ次がラストだ切歌。油断せずに行こう。」
「俺のこの手が光って唸る!お肉を掴めと輝き叫ぶぅぅぅぅぅ!」ガシィ!
「だめデスよ剪兄ぃ!技名叫んでから掴まないとっ!」
「ハッ!?やってしまったぁ...!あ、クリスちゃんこれどーぞ。それではっ!」
あの戦争の間に飛び込む前に、視界に入った銀髪女の子、というかクリス先輩に取ってきたお肉を手渡しする。
「へ?あ、オイ待てって!?あー行っちまった...ってあの中に飛び込むのかよっ!?」
「今剪兄ぃはやってはいけないことをしたデス。だからここは心を鬼にして送り出さなければならないのデスっ...!」グッ
「いや、全然わけがわからないんだが。」
「よし切歌、確認するぞ。」
「おっけーデスっ!」
「玉葱!」
「デースっ!」
「人参!」
「デースっ!」
「ジャガイモ!」
「デースっ!」
「お肉!」
「デースっ!」
「つまりは?」
「「ミッションコンプリート!」」デース!
いやぁ長かった。いや辛かった。主婦の皆さんの執念(家計的な意味)ちょっと舐めてたわぁ。主に物理ダメージが酷い。俺は体育会系ではないしなぁ。
「その返事でよく伝わるな?」
「当たり前だ、俺の妹だぞ?」
「当たり前デスよ、剪兄ぃデスから!」
「この妹にしてこの兄貴あり、かぁ。」
「よせよ照れるぜ///」
「照れちゃうデスよ~///」
「誉めて無いんだけどなっ!」
何故かまだ残っている、きねクリ先輩からお褒めの言葉をいただいた。やったね!
「で、どうして残ってたんだ?」
「う、あーまあ、なんだ。あの争奪戦の中に飛び込んでいきやがったから、その...怪我してないか気になっただけだ。まぁ大丈夫そうだし!?アタシは帰るからなっ!」
暁剪理の家
「第六回!」
「チキチキ!」
「カレー大作戦はーじまーるよー!!!」
「デース!」
ひゅーひゅーどんどんぱふぱふぅ!あ、俺のセルフ音声でございます。
「...なぁ?」
「んー?」
「どうしたデスかクリス先輩?」
クリス先輩の一声に同時に首を傾げる俺達。
「どーしたもこーしたもなんでアタシは此処にいるんだよ!?帰るって言っただろっ!?」
「いやぁ、結局買った食材全部使いきるにはクリス先輩いてくれた方が助かるんだよねぇ。」
「だから拉致ってきたデース!」
「さらっと拉致ったとか言うんじゃねーよ!つか兄貴は大学生だろうがっ!?先輩呼びしてくれるなよっ!?」
「かびーん!?もうクリス先輩って呼んじゃ駄目デスかぁ!?」
「ちげーよ!お前じゃなくて兄貴のほうだよっ!?」
「この前S.O.N.Gの人達から「剪理さんって子供よねぇ」とか言われたから精神年齢はきねクリ先輩より下のはずっ!」
「それで先輩呼びしてて悲しくならねぇのかよ!?」
「むしろ若返ったことに歓喜。青春時代よ!私は帰って来たぁ!」
「帰れよ!青春18きっぷ使って元の居場所に帰れよぉ!」
「青春時代って何歳から何歳までのことを言うんデスかね?」
「第7回!」
「チキチキ!」
「カレー大作戦はーじまーるよー!!!」
「デスデス、デース!」
「はい拍手~!」
「...。」パチパチ
あ、クリス先輩、無言で拍手してる。心なしか目のハイライトが暗くなってきてる?
「テンション低いですな~クリス先輩ぃ?」
「...お前らにいちいちツッコミ入れてたら永遠に終わりそうにないからな。あと腹減った。」
「あー確かに。俺もあの戦争の後で流石に腹減ったわ。」
「あたしもお腹空いたし、調もそろそろ帰ってきちゃうデース。」
我が妹もお腹が空いているらしい。ならばふざけている場合ではないか。
「んじゃま、ぱぱっと作ろうかぁ!」
「デース!」
「お、おう!」
一時間後
「うん、これならいい感じじゃね?」
「ほわぁ、これぞカレー!って感じデース!」
隠し味~とかやってもよかったんだけど、味がどう変わるかもわからないのに試すわけにはいかないよねぇ。今度一人の時に試そうっと。
「あーいい匂いだな。というか兄貴は普通に料理できるんだな。」
「こんなんでも一応、料理学校の学生なんでね。これぐらいはできるわな。むしろクリス先輩ができることに驚きだわ。」
「アタシはまぁ、昔いろいろあったのと、今も独り暮らしで自炊してるからな。生活に困らない程度にはできると思うぞ?」
ピンポーン
クリス先輩と話してたらインターホンが鳴った。タイミングどんぴしゃだね。
「きっと調デース!」
「空いてるから入っていいぞー。」
「おじゃまします。あ、カレーの匂い。」
うむ、予想通りに調ちゃんだった。もし郵便とかのお兄さんだったらロシアンシュークリームの刑に処してやるところだったが。女性だったら?何もしないよ。
「お帰りデース調ぇ!」ダキッ
「ただいま切ちゃん。まぁ私たちの家じゃないけどね。」
「おつかれさん。メディカルチェックは問題無かったか?」
「クリス先輩!?どうしてここに?」
さすがに調ちゃんもクリス先輩がいることまでは予想だきていなかった模様。まぁ確かに偶然会っただけだからなー。
「戦争で勝ち取った戦利品が思ったよりも多くてね、人数増やすために拉致ってきたZE☆」
「買った食材が思ってたより多かったから全部食べきるにはもう一人必要だったと。」
調ちゃんの言葉にクリス先輩が凄く驚いた顔をする。
「お前、よく今の発言でコイツの言いたいことがわかるな。」
「だって思考回路が切ちゃんと大体同じだから。」
「青春時代よ!私は帰って来た!」
「元の場所に帰れよぉ!?」
「クリス先輩。ここは剪兄ぃの家ですよ?」
「今ここでマジレス返すんじゃねぇよぉ!!!」
カレーは普通に美味しかったデース!by暁切歌
お読みいただきありがとうございました。
切歌ちゃんを書きたかったはずなのに、どうしてこうなってしまったのだろうか。