『お次はお洗濯デース!』
「...。」
『えっと洗剤の分量は決まってるって調が言ってたデスが...。』
「よかった、覚えてた。」
『えっと...あったあったデス!ふー、適当に入れたら服を駄目にしちゃうデスからねー。あの時は大変だったデスよ。』
「前に偉い目にあったもんね...。」
「俺にも泣きついてきたもんなー。」
『柔軟剤と漂白剤?どっちを入れれば?ど、どーするデス!?』
「あ、教えるの忘れてた。だいじょうぶかな...。」
『ここは両方キャップ一個分で入れるデース!』
「ホッ...。」
それでも少し多いかもしれないけど許容範囲かな。
『これで確かいいはずデース!電源入れて、ポチッと、デース♪』
「「ぐふっ!?」」
切歌の「ポチッと、デース♪」の声が可愛すぎて横にいる調ちゃんと二人して吐血してしまった。
さて、俺達が今何をしているかについて説明しようか。
まずここは俺の家だ。俺の横には調ちゃんがいて、テーブルの上にはビデオカメラとパソコン。そしてケーブルはパソコンからテレビへと。そしてテレビからはさっきの音声と映像が流れている。
これで大体は察しがついただろう。そうさ、これは切歌と調ちゃんの二人の家に仕込んであるビデオカメラの映像だ。
ちなみに今流しているのは、我が妹の切歌が家に一人でいる時の映像である。
あ、もちろん調ちゃんが俺と一緒に鑑賞会してることから、調ちゃんはこちら側の協力者だよ?
【暁切歌はマジ天使同盟】を結んでいる間柄だ。調ちゃんからは自宅での切歌の様子を教えてもらい、俺からは撮った映像の編集と鑑賞会のための場所の提供をする。そういう関係であり、今は月に1.2回ある鑑賞会の真っ最中ってなわけさ。
「いつもいつもありがとうございます。」
「いやいや、礼を言うのはこっちの方だよ、調ちゃんがいなかったら、こんなに可愛い切歌の映像なんて見れないからな!」
「そんなこと言ったら、撮った動画を編集してより見やすく、コンパクトにまとめてくれる上にディスクやメモリの管理もしてくれて、感謝してもしきれません。」
そう、今までの編集した動画はUSBに保存した後、金庫的な物に入れて、俺の部屋の人目につかないところに厳重保存しているのだ。
「動画編集は知り合いから頼まれてやり始めただけだったが、まさか役立つ日が来るとはなぁ。今度アイツにデザートの試作持ってってやるか。」
学校で何故か知らんが、作った料理の記録のために俺が動画編集の技術を叩き込まれた。あのときはちょっと迷惑だなぁとか思ったが、今の状況考えるとすこしは感謝している。
「じーっ。」
「もちろん切歌や調ちゃんにも試作品の試食をお願いするからね?」
「やりました。」
ホントに嬉しいのか笑顔を見せる調ちゃん。この子も美少女だよなぁ。というかシンフォギア奏者は皆美少女ばかり。一人は成人してるけど、アイドルやってるしな。
「...あ、あの。」
「ん?...あ。」
調ちゃんに声をかけられて気づく。右手が調ちゃんの頭にあった。
「すまん、ついな。そろそろ続きを観ようか。」
「はい、りょーかいです。」
というわけで半ば強引に元の路線に戻し、一時停止した映像をリスタート!
『洗濯機が回ってる間に掃除機をかけるデース!と、その前に。』
お?何やらゴソゴソと...あ、あれはっ!?
『これで完璧デスッ!』
「ごほおっ!?」
頭に三角巾をつけて、緑の下地に白いバッテンの入ったエプロンを装着した我が妹の姿があった。
「調ちゃん」
「はい、なんでしょう?」
「グッジョブ!いいセンスだ!」
俺は調ちゃんとがっちり握手をする。さすが調ちゃん、切歌に似合う物をバッチリと選んでくれてお兄さん大歓喜!
「大好きな切ちゃんのためなら、これぐらいは当然です。」
言い切ったよこの子。でもだからこそ安心して切歌を任せられる。たやマさんや他の皆も信用してるけど、切歌のことに関しては、やっぱり調ちゃんが一番だ。
「うむ、これからもよろしく頼むぞ。」
「任せて。」
『コイツでホコリを吸いとってやるデスよ!』
画面の中では切歌が掃除機を使い始めた。だが、引っ張りだしたコードは乱雑に放られており、このままだと、
『わ!?わわ!?』ガタン!
掃除機のコードに足を引っ掻けて見事に前に倒れた切歌。
「やりやがったよ。コードに引っ掛かって倒れる人初めてみたわ。でも」
『いたたー...。掃除機に、こんな罠が仕掛けられているなんて。お掃除も油断ならないデスね...!』
「「涙目切歌(切ちゃん)可愛い。」」パン!
無言のハイタッチ。
「よくハイタッチわかったね?」
「剪理お兄さんの思考回路は切ちゃんと大体一緒だから。」
うん、兄妹だからね。当然だね。え?ちがう?
『ピンポーン』
「あ、もしかして...。」
『あぅぅ、このタイミングでお客さんデスか。ちょっとお待ちくださいデース!』ドタドタ
『はーい、どちらさまデスかー?』
『よーっす...ってなんで若干涙目なんだよ?なんかあったのか?』
やってきたのはビニール袋を引っ提げたクリス先輩だ。
『実は掃除をしていたのデスが、コードに足引っかけて転んじゃったデスよー。』
『掃除機のコードですっ転んだぁ?ハハハッんなことやるやついるんだなぁ!』
『そ、そこまで笑わなくてもいいじゃないデスかぁ!』
『わりぃわりぃ。とりあえずぶつけた所冷やしとけ。掃除機はアタシがやってやるからよ。』
「やっぱ、きねクリ先輩は優しいよなー。」
「うん、言葉と食べ方は汚いけど優しくて頼りになる先輩。」
「調ちゃん言うねぇ。」
なんだかんだ言いつつ手伝ってくれるきねクリ先輩まじでツンデレ過ぎて可愛い。
結局クリスちゃんの押しに勝てなかった切歌はソファに座り、掃除機はクリス先輩が終わらせた。
『うっし終わりっと。』
『先輩ありがとうございましたデス!』
『気にすんな。アタシが勝手にやっただけだからな。』
『お茶をどうぞデス!それで今日はウチに何しにきたデスか?』
『あ、そうだった。あの馬鹿からオマエにだ。あの時はありがとうってよ。確かに渡したぜ。』
「響のやつ、切歌に何をしてもらったんだ?」
「確か人助けを手伝った、とか言ってたかな?」
いつもの趣味の人助けかぁ。響の場合は趣味じゃなくてもはや病気レベルだけどな。
『そんな気にしなくていいデスのに...でもなんでクリス先輩が持ってきたデスか?』
『アイツまた相方のやつとの約束すっぽかしやがったみたいでな。これ持って慌ててた所に出くわしたらアイツ有無を言わさず頼んでいきやがった。』
『あはは、響さんらしいといえばらしいデスね。』
『明日あったらぜってぇ締めてやる。魚みたいに。』
『待つデスよ!?それじゃあ死んじゃうデス!ほどほどにしてあげるデスよ!?』
「うわぁ、クリス先輩だいぶ怒っていらっしゃるなぁ。これは後日どうなったの?」
「宣言通り、朝一で響さんは活け締めされました。倒れた響さんピクピクしてましたね。」
いつものツッコミの延長線上のやり取り、目に浮かぶわぁ。響も、もう少し落ち着きがあればなー。あーでも元気印が美点でもあるから、やっぱりあのままの方がいいな。
『あーそうだ。アイツの話してたら思いだしたが、そっちのクラスも近いウチになんかテストあるんだろ?準備はできてんのか?』
『うっ!?クリス先輩嫌なことを思い出させないで欲しいデス...。』
『おいおいなんだよ、そこは全く問題ないデス!って元気よく言うところだろ?』
『思ってたより勉強難しいデスよ。ついていくのがやっとデス。』
『お前んとこの兄貴に頼るのは駄目なのか?』
『うー、剪兄ぃなら頼めば何でも引き受けてくれる気がするデスが...なんでもかんでも頼んでたら剪兄ぃに迷惑になっちゃうデス。だから、大抵のことは自分達の力でどうにかしたいんデス!』
切歌のやつそんなこと思ってたのか。俺としては頼ってくれたりとか何時でもいくらでもカモーンって感じなんだが、あーやっべ嬉しすぎて涙でるわ。
「今の発言に全世界の俺が泣いたわ。あとでこの部分だけ音楽データとして残そう。そして墓まで持っていってやる。」
「切ちゃんとっても優しいから。私にもよく剪兄ぃは自慢のお兄ちゃんデース!って皆にもよく言ってるよ。」
涙でるところじゃないな。今ならこの部屋を涙の海で一杯にできるかもしれない。
「それは物理的に無理だと思います。」
「まだ何も言ってないんだけどな。」
「切ちゃんと思考回路は同じ。」
そうだったね、納得しました。
『なかなか殊勝な心がけじゃねぇか!しかたねぇ、アタシが見てやるよ。このまま帰ってもなんもねぇしな。』
『え!?でも先輩にも悪いデスよ!』
『気にすんなよ、ほらわかんねぇとこの問題見せなって。』
この後、結局クリス先輩は調ちゃんが帰ってきた後も二人の勉強を21時ぐらいになるまで見ていったのでした。やっぱりクリスちゃんツンデレ可愛い。
「それで、テストはどうだったの?」
「先輩のおかげでバッチリ。ぶい。」
「おーけー!ならばテスト突破祝いを用意しようじゃないか!くふふっ、みなぎってきたぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「先輩の後ろにオーラが見える...!」
「というわけでまずは買い出しからだっ!調ちゃん手伝ってくれるか?皆の好みがわからんからな、アドバイザーを頼みたい。」
「もちろん、喜んで。お兄さんの料理には学ぶことが多いから。」
小さな鑑賞会の後片付けをしっかりした後、テスト突破祝いを俺の家で盛大にやりました。
「あれ?私のだけ小さくない?」
「ん?響はテストの平均点下回ったから皆のより小さくしたぜ。」
「そんなぁぁぁぁぁ!!!」
「うっせぇバカ!」スパーン!
「はうっ!?」
また気が向いたら投稿するかもしれません。
お読みいただきありがとうございました~。