十人十色   作:monタカ

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十和田幸(とわだ さち) 美紀の中学からの友達。美紀の共感覚のことを一つの個性として理解している。


自分でも何を目指しているのか分からないのですが、なんとか形にできれば思ってます。




目に映るもの

 やっと終わった。分かってはいたが休み時間になる度に質問攻めにあうと、流石にまいる。興味を持ってもらえるのはありがたいのだが。とはいえ、心配事の一つであったクラスの雰囲気だが、これならうまくやっていけそうだ。決して話すのが得意ではない俺にとって、話題を振ってもらえることは、自分を表現する数少ないチャンスをもらっていることになるのだ。つまり、転校生として周知され興味を持ってもらっている間に、自分の存在を主張しなければいけない。そういう点でいえば、今回の成果まずまずといったものだろう。だが、一人気になっている人がいる。自己紹介の時に目が合った女の子だ。話しかけてみたかったが、机の周りに大勢で集まってくるものだから、自由に行動することができなかった。たとえできたとしても、初対面の相手に対して、自分から話しかけるという行為を自分が行えるか?答えは否だ。確かに彼女からは、他の人とは違う何かを感じたような気がする。運命なんてものを信じているわけではないが、そういったものが、もしかしたら存在しているのかもしれないと、思っている自分がいることも事実だ。

 

 まあ、あれこれ考えていても仕方がない。今日、学校でするべきことはすべて終えたのだ。家に帰ってゆっくりするとしよう。初日ということもあって、もうへとへとだ。鞄に荷物を入れ、帰る用意を済ました俺は、下駄箱の方へと向かった。校舎内には、まだ多くの生徒が残っていた。部活のために着替えている者、教室に残り勉強をしている者、廊下で友人たちと話をしている者。何気ない日常の風景はやはり良いものだ。毎日、当然のように行っていることが、ちょっとしたことで崩れてしまうことを、俺は知っている。もうあんな濁った音を二度と感じたくない。暗い音とはまた違ったものだ。人の心が決定的に変わってしまう音だ。「俺はもう、間違えたりなんかしない」「何を間違えるの?」不意に後ろから声をかけられた。つい口に出してしまったものを聞かれてしまったようだ。「いや、その、ただの独り言だよ」突然のことでうまく舌が回らない。「ふーん。君、転校生だよね?2組の。私は1組の十和田幸!よろしくね!」隣のクラスか、なるほど、道理で見覚えがないわけだ。「あぁ、桂馬音也だ。よろしく」素っ気ない自己紹介だ。つくづく自分は話すことが苦手なんだと痛感する。「桂馬くんか、もう少し君とおしゃべりしたいけど、友達を待たせてるから。またね!」肩まで伸びた髪を靡かせ、彼女は下駄箱の方へと小走りで向かっていった。窓から射してきた西日が彼女を照らす。自分も早く帰らねば。陽は少しづつ長くなってきてはいるが、もたもたしていれば、直ぐに陽は落ちてしまう。明るいうちに家に帰るとしよう。俺は足早に帰路についた。

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 噂の転校生とのおしゃべりをもう少し楽しみたかったが、友人をこれ以上待たせるわけにはいかない。名前が知れただけでも御の字だ。コミュニケーションの基本は、お互いに相手を認識することだ。相手に認識されることが大切なのだ。「お待たせ!さぁ帰ろう!」下駄箱の前で私を待ってくれていた友人に声をかける。彼女は、中学の時からの私の友人だ。「幸はいつも楽しそうだね。ほんと、あんたは眩しいよ」彼女は、下駄箱に軽くもたれかかり、私の到着を待っていた。「だって毎日楽しいよ!全く同じことなんか起きないんだから!」毎日同じことの繰り返しなどという人な気持ちが、私には理解できない。確かに、学校や会社に行く道は同じだし、家に帰る時間も、余程のことがない限り、大体同じ時間帯になるだろう。それでも、全く同じなんてありえない。晴れている日もあれば、雨が降っている日もある。車が多い時があれば、すれ違う人が少ない時だってある。今日なんて隣のクラスに転校生がやってきた。「そういえば、さっき美紀のクラスに転校してきた子にあったよ。二枚目なうえに、中々面白そうだったよ」「今時、二枚目なんて言葉使わないでしょ」確かに、おじさん臭いと言われることが多々あるが、意味を理解できるならそれで十分だ。私にとっては、今の女子高生の話す言葉が理解できない。「伝わればいいの!さ、行こ!どっか寄り道でもしていく?」校門を通り、いつもの帰路へと着く。「今日はいいや。帰って明日の予習したいし」彼女が誘いを断るときは一人で何か考えたいことがるときが大半だ。今日の学校で何かあったのか?一日を振り返ろうとしたが、そうするまでもなく彼女が何について考えたいのか、あたりがついた。「転校生のことでしょ?ん?一目ぼれした?」私は腕で軽く彼女の体を小突いた。「ち、違うよ!そろそろ勉強も難しくなってきたから予習しておきたいの!」どうやら図星のようだ。こうなったら私は友人の恋の応援でもしましょうかね。まずは、転校生君の情報集めでもしましょうか。明日から一段と楽しくなりそうだ。

 

 

 

 




過去に何があったのか、私が一番気になります。
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