東方義(偽)妹守護録   作:桔梗 桜

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早速、訂正させて頂きました。これからも、誤字・脱字等ございましたらご報告よろしくお願いいたします。<m(__)m>


十話

朝の静けさは去り蝉が合唱を始めた頃、俺たちは愚かな作戦の下準備をするため大きな湖の側まで来ていた。

 

「チルノー、ここにいたよー」

 

「オッケー!」

 

リグルの合図をきっかけに、チルノが側まで飛んでいく。カエルがいた場所を大まかに伝えてから、リグルがその場で大きく飛び跳ねる。すると、それを真似たようにカエルも大きく水の中から飛び出てきた。

 

「えいっ」

 

チルノが手を伸ばし、気合の入った掛け声をかけると飛び出たカエルはたちまち氷に包まれてしまう。

もう何度も見ている光景ではあるが、何度見ても目を見張るものがある。聞いたところによると、”能力”と言われているものだそうで、この幻想郷には多種多様な能力を持った者が多くいるそうだ。

 

「その能力ってのは、身に付けられるものなのか?」

 

「うーん、それは難しいですね。能力は生まれながらにして持っているものなので…。その人の個性みたいなものなんです。稀に頑張って習得する人もいるみたいですが…」

 

「大ちゃーん、零ー、喋ってないでしっかり見つけてよね。カエル」

 

ミスティアに注意され、作業に戻る。それにしても、よくこんな霧の中でカエルをポンポン見つけられるな…

実はこの湖かなり霧が深い。ルーミアの闇に比べれば大したことはないのだが、見にくいことに変わりはない。

こうしてカエルを見つけてはチルノを呼ぶを何度も繰り返し、想定していた量よりも遥かに多くのカエル入りの氷塊を集めることができた。

 

「これどうやって運ぶんだ?」

 

目の前に積み上がったカエルの標本を改めて前にして、自然と言葉がこぼれでる。

 

「「「「えっ?」」」」

 

呆けた声を全員発し、顔を見合わせた。

 

 

「よーし!あたいに続けー!」

 

絶賛、俺は氷塊の山を抱えさせられ、山中を歩かされている真っ最中である。本来ならば、暑さに最適である氷は大歓迎のはずだが、あまりにも冷たすぎる。しかも、この一つ一つにカエルが入っており、これをずっと至近距離で眺め続けなければならないのだ。特にカエルに好き嫌いはないが、だからと言って気持ちの良いものではない。

 

「零ー!遅いぞー!零が飛べないから、あたいたちも歩いてるんだから!」

 

先頭を歩くチルノから野次が飛んでくる。迷惑を掛けているのは申し訳なく思うが、チルノも少しくらい持ってくれても良いのではないだろうか。チルノの右手にはただ木の枝が一本握られているのみである。

 

「チルノちゃんも持つの手伝ってよ~」

 

「あたいは隊長だからい~の」

 

「そ、そうなのかー…?」

 

そうこうしている間に目的地付近に到着したようで、騒がしかったチルノも静かになり、行動も慎重になっている。更に進んで行くと、森の出口らしきものが見えてきた。その奥には神社の境内らしきものが顔を覗かせている。氷塊を持つ手に汗が滲み、元々滑りやすい氷が更に滑りやすくなり、落とさないよう気を配る。

森と境内の境目にある茂みに移動し、神社の様子を見る。見たところ人はいないようだ。

 

「チルノ、本当にやるのかー?」

 

ルーミアは小声でチルノに尋ねる。

 

「あったりまえじゃん!あたいがいるから大丈夫だって!」

 

そう言うと、チルノは氷塊を一つ握り、俺たちに向き直る。

 

「これをあの箱の中に一人ずつ、霊夢に見つからないように入れていこう!」

 

もちろんだとも。見つかってしまえば退治されてしまうかもしれないし、約束の為にもやるしかない。

そう。約束。今朝、チルノたちのイタズラを手伝う代わりに、俺の服や食糧の調達を手伝うという約束をしたのだ。俺は絶賛、おたずね者の為、人里で服や食糧を得ることが出来ない。そこで、チルノたちに代わりに買ってきてもらう算段である。そう。これは俺にとって命懸けのイタズラなのだ。

 

「じゃあ、あたいから行ってくるね!」

 

そう言ってチルノは賽銭箱に向かって飛んでいく。そして、賽銭箱に一つ目の氷塊を入れることに成功し、戻って来た。

 

「次、大ちゃんね」

 

氷塊を手渡され、少々迷う素振りを見せたが、意を決したのか賽銭箱に向かって勢い良く飛んでいく。これもまた無事に成功し、チルノ、大妖精、ミスティア、ルーミア、俺の順番で交互に賽銭箱に氷塊を入れて行く。

 

「よし。丁度これで最後だな」

 

最後の氷塊を握り、俺は賽銭箱に颯爽と向かう。もう既に、賽銭箱はカエル入りの氷塊で満たされており、最後の一つを入れるため隙間を作るのに手間がかかる。

 

これさえ入れてしまえば、無事に帰ることができる!

 

この時に生じた油断により、俺は氷塊を手から滑らせた。慌てて受け止めようと体をくねらせたその時

 

ジャラン!ジャラン! と、鳴らしてしまったのだ。神社の鈴を。

 

一瞬、体が硬直してしまったが、逃げ去ろうと後ろを振り向いた瞬間、障子が開く音をはっきりと体全身で聞き取った。

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