東方義(偽)妹守護録   作:桔梗 桜

2 / 10
二話

おはようございます。朝食を作っている慧音に後ろから声をかける。

 

「おはよう。鬼にしては規則正しいですね。」

 

うん。やっぱり夢じゃない。この角は本物で俺は鬼らしい。そうなると、昨日俺は自分自身の存在を否定した事になるな。昨日の自分の発言を思い出し自然と顔がひきつる。

 

「丁度料理も出来上がった所です。朝食にしましょう。」

 

 

 

 

 

 

ごちそうさまでした。食後の麦茶を飲みながら、ふと疑問が頭をよぎる。どうして慧音はこんなにも自分に親切なのだろうか?記憶喪失で何者なのかもわからない上に白装束を着てうろうろしているような不審者、自分で言うのもなんだが、俺だったら周りの人々のように避けて行動していただろう。考えてもキリがないため会話の途中でそれとなく聞いてみたがその答えはとても単純で誰が聞いても納得するような内容だった。

 

「あなたが本当に里の人間に危害を加えないかを見定めるために私の寺子屋に招きました」

 

疑問が解かれ、なるほどと納得する反面自分の事を全く信用されていなかったと考えるとやはり少々頭を垂れてしまう。まあ、それも仕方がない事なのだが。

 

「幻想入りしたばかりの新参者でしたら、誰かが幻想郷のルールを教える必要がありますし、それにまだ住居も決まってないでしょうから丁度いいじゃないですか」

 

慧音のいう通りだ。実際、右も左もわからない幻想郷でたとえ監視が理由だったとしても寺子屋に置いてもらっていることは本当に感謝している。昨晩教えてもらった幻想郷の話は正直まだ半信半疑なのだが、自分が鬼となると意地でも信用せざるをえない。

 

「零。あなたに言わないといけない事がある」

 

慧音は元々良かった姿勢をさらに伸ばす。それに連れて自分の姿勢も正す。なにやら重要な話らしい。

 

 

 

 

 

 

周りの人々からの視線が痛い。今は慧音が用意してくれた着物を着ているが、昨日あれだけ目立ったせいだろう。

 

慧音に言われた事。それは、昼の間だけ外に出て行ってほしいとの事だ。どうやら、昼は寺子屋があり子供たちが怖がってしまうからだそうだ。しかし、やはり俺は監視されている身。一人でうろうろさせる訳にはいかないと村一番の怪力の持ち主で妖怪退治屋の男が俺の監視役になる事になった。その男の名前は燗兵(かんべい)。予想通りのゴツい男だったが見た目に反して性格はとても陽気な男だった。

 

「何か食いたいもんがあったら何でも言えよ。おごってやっから」

 

それじゃあ、おかまいなく。

 

 

 

 

 

 

有無。やっと満足した。昨日から焼きそばが食べたくて仕方がなかった。しかし、やはり腹がなかなか膨れない...。全然腹が膨れないのでこれでもかと大量の麺を詰め込んだのだが、途中で燗兵にもうやめてくれと懇願されたので仕方がなく箸を置いたのだ。会計時の看板娘と燗兵の顔といったらあれこそ対照的というべきだろう。思い出す度に自然に口角が上がってしまうが、罪悪感も湧いてくるような気もする。さって、これからどうするか?まだ寺子屋が始まってそう経ってないので帰ることも出来ない...。

 

これからどうするかと悩んでいた時だった。フラフラと一緒に歩いていた燗兵の元に三人組の男たちがやってくる。

 

「燗兵さん。いつになったらあの人喰い妖怪を退治してくれるんです?」

 

男は拳を握りしめ真っ直ぐ燗兵の目を見ている。

 

「その件は少し待ってくれ」

 

燗兵はそれだけ言うと三人の間を通り過ぎようとするが、三人のうちの一人が燗兵の肩を掴んだ。

 

「いっつもそればっかりじゃないですか」

 

燗兵は投げかけられた悲痛な声を無視しそのまま歩き出す。

 

はて?一体何のことだろうか?察するに妖怪退治...つまり燗兵の仕事の事だろうが...。

 

そこである考えが思いつく俺が先に退治してしまえばいいのだ。燗兵には悪いが、ここで退治する事が出来れば俺が人間側の味方

だと証明できる。それに、妖怪というのを見てみたい(自分も妖怪だが)

 

最初はふっと頭に浮かんだ軽い案だったのだが、考えれば考える程魅力的な案だったため早速情報を集め今夜実行する事にした。もちろん、慧音や燗兵には内緒で。




喋り方があれですが、青年です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。