東方義(偽)妹守護録   作:桔梗 桜

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三話

俺は布団の中に潜り込み今日の昼間に集めた情報を頭の中で整理していた。燗兵に気づかれないように聞き込み調査…いや、脅迫…になってしまうか?まあ、とにかくだ。俺が聞くと怯えた様子で全員答えてくれた。

 

出現場所は、博麗神社という神社に行くために必ず通る道に夜現れるらしい。道順を覚える為に燗兵に連れて行ってくれと頼んだのだが、あそこには行きたくないと断れてしまった。そこをなんとかと頭を下げたら渋々途中まで連れて行ってくれたのだが、どうしてあんなにも神社に行くのを拒んだのだろうか?

 

そして、皆口を揃えて例の人喰い妖怪のことを黒い球体と呼んでいる。黒い球体が人を喰う...。全く想像がつかないが、今から確かめに行くのだここで考える必要はないだろう。

 

さって、慧音も眠った頃だろうしそろそろ行くか。布団からのそのそと這い出て大きく息を吸う。布団の中の熱気から解放され大きく吸った空気はとても冷たく感じた。

 

 

 

 

 

 

寺子屋から抜け出す事に成功し、人喰い妖怪が現れるという現場に到着した。周りを見た限りでは人の気配はもちろん黒い球体らしき物も見当たらない。...無駄足だったか。そう思いつつも、草原に寝そべり空を見上げる。

 

折角一人でここまで来たのだすぐに帰るというのは勿体ない。涼しい夜風に当たりながら満天の星空を眺めていたのだが、いつに間にかこれからの事について考えていた。

 

これからどうやって生活していこうか?このまま慧音の世話になりっぱなしも良くない。

 

そんな時だった。突如、空を美しく飾っていた星たちが消えた。雲で隠れたのだろうか?そう思い体を起こしてみるが、周りの景色も同様一寸先も見えぬ闇が広がっていた。冷や汗が一気に吹き出る。

 

今すぐにでも逃げ出したかったが、そういう訳にもいかない。あくまでも俺の今回の目的は妖怪退治を成し遂げ人々の信頼を得ることだ。

 

冷静に行こう冷静に...

 

「あなたは食べてもいい人類?」

 

声と共に何者かに後ろから抱き着かれる。

 

瞬時に冷静さなどというものは吹き飛びパニック状態に陥った。拘束から逃れる為に腹を抱きしめている手を掴むと同時に里の人間から聞き出した絶望的な情報を思い出す。

 

『俺は目の前で親友を喰われた。あいつに捕まったら終わりだ。助け出そうと手を引っ張ったが力負けしたよ』

 

ああ、俺もここまでか...。だが、何もしないで喰われるのはもどかしい。俺はもう一度しっかりと手を掴みささやかな抵抗を試みる。

 

すると、呆気なく拘束していた手を引き剥がす事が出来た。

 

俺は一時的に恐怖も忘れただ手の主がいるであろう方向を見つめる。

 

そして、頭の中である決断が下された。

 

この勝負、勝てる。

 

俺は身を縮め手の主がいると思われる方向に全速力で突っ込む。

 

キャッ!!という悲鳴が聞こえ、周りの闇が同時に消えた。

 

 

 

 

 

 

どうしようか?妖怪退治に成功し、闇が消えたと思ったら目の前に女の子が倒れている...。

 

闇の正体はこの子なのだろうか?それとも、肝心の妖怪は逃げ、道を歩いていた女の子に攻撃してしまったのだろうか?

 

後者の場合最悪である。人々の信頼を集めるどころか、完全に敵とみなされてもおかしくはない。

 

…木に頭をぶつけ気絶しているようだが目立った外傷は特にない...。良かった。いや、良くない。

 

慧音の所に連れて行こうか?いや、それも駄目だ。俺は監視されている身、夜な夜な勝手に抜け出していた事がバレたらさらに疑いがかかってしまう。

 

「いたたた...痛いのだー...」

 

女の子が起き上がり目が合う。気が付いたようだ。うん?

 

...赤い。女の子の目は赤かったそれが普通の人ではないという事を俺に確信させた。

 

大丈夫か?そう声をかけようとしたが、俺が声をかけるよりも早く森の中に逃げ入ってしまった。

 

待て!女の子の後を追いかけようとした時だった。

 

「零!そこにいるのか!?」

 

慧音の声である。瞬時に頭の中に二つの選択肢が生まれる。

 

このまま女の子を追うか、慧音と合流するかである。

 

 

 

 

 

 

俺は足を止め後ろを振り返る。やはり、声の主は慧音であった。

 

「こんな夜中に何をしてるんです?」

 

…散歩だ。星が綺麗だったので、散歩をしたくなったのだ。

 

慧音はガッチリと俺の肩を掴む。

 

…?一体何がしたいのだろうか?慧音一体何を?慧音と目を合わせた瞬間それは来た。

 

ゴンという鈍い音が響く。頭突きだ。

 

「あなたはもう少し自分が監視されている身だという事を自覚して下さい」

 

俺の思考は停止した。

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