東方義(偽)妹守護録   作:桔梗 桜

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令和でも頑張っていきましょー!!


六話

ハァ…ハァ…どのくらい…走っただろうか?

 

早鐘のような鼓動を落ち着かせながら、すぐ側の木陰に入り木にもたれかかる。

 

ひんやりとした木が、熱くなった肌を冷やしとても心地良い。

 

…今考えてみれば、別に逃げ出す必要はなかったのかもしれない。

 

もっと…もっとちゃんと話せば分かってくれたかもしれない。

 

だが、どうしても、慧音の目といい…本当に殺されるのではないか?

 

そう思ってしまったのだ。

 

だから…俺は逃げた。

 

「俺も慧音を信用しきれていなかった訳だ…」

 

誰にも言うわけでもなく、呟いた言葉は蝉時雨によって掻き消された。

 

 

ドオォォン! という爆音で目が覚める。

 

どうやら眠ってしまっていたらしい。

 

空の真上にあった太陽はもう既に沈みかけ、辺りを赤色に染め上げている。

 

何事かと爆音がした方向を向く。

 

木々に阻まれ、発見に少々手間取ったが、夕焼けに似合わない多彩な球体状の物が空を飛び交っている。

 

あれが爆発の原因かどうかはわからないが、多分、間違ってはいないだろう。

 

あまりに突然なことで、呆気にとられ球体状の物が飛び交う様を眺めていると、徐々にこちらに近づいて来ていることに気づく。

 

こいつぁ、ヤバい。

 

俺は回れ右をして全力で走り出す。

 

初めてあんな物を見たが、当たれば大変なことになることぐらい容易に想像することが出来る。

 

そして走りながらも俺は球体の愚痴を心の中でこぼしていた。

 

俺は以前、球体に何か無礼でも働いたのだろうか? 黒い球体といい。この大量の球体といい。

 

まぁ、黒い球体は関わったのは俺の方からではあるが、どっちみち関わったら碌なことがない。

 

焦りと呆れが入り混じった汗を流しつつ、木々を縫うようにして森の奥へと俺は逃げる。

 

しかし、悲しいかな。今朝の全力疾走や、草や木々に阻まれていることもあってか、多彩な球体は離れるどころか近くまで接近してきていた。

 

ドオォォン! という爆音がもう一度森に響き渡る。

 

しかし、その爆音は先程とは違い自分の真上から聞こえたものだった。

 

見てみれば、一瞬人影のようなものが視界に映り込み、そのまま俺の顔面に直撃する。

 

もちろん耐えられるはずもなく、後頭部をそのまま地面に叩きつける。

 

ゴンっという音がしたが、慧音の頭突きに比べ然程痛いものでもない。

 

「いや~、やっぱり妖怪退治は楽しいですねぇ~」

 

声が聞こえたと思えば、青と白を基調とした巫女装束を着た少女がスーっと上から降りてくる。

 

そ、空から女の子が!! と、驚きはするも、妖怪退治と言葉を聞き冷静さを取り戻すのに時間はかからない。

 

カエルと蛇の髪飾りが特徴的だと気付いた頃にようやく向こうもこちらに気付いたようで、

 

「あ!もしかして貴方が噂に聞いた地獄の鬼じゃないですか!?」と、指をさしてくる。

 

おおよそ、俺を退治することが目的だと見えるが...。こいつが博麗の巫女なのだろうか...?

 

「さては貴方、そのお仲間さんを助けに来ましたね?」

 

そう言うと、緑巫女は俺に向かってさしていた指を俺の傍らに移す。

 

指に釣られ、さし示された方をみる。

 

黒い服に濃い茶髪それを飾っている赤いリボン。紛れもなく、妖怪退治の日に遭遇した少女だった。

 

確か新聞に名前も載っていたはず...名前は...ルーミア...だったか?

 

「それにしても、探す手間が省けました。貴方を退治すれば里の人間も安心しますし、守矢神社の信仰も多く集められそうです」

 

緑巫女は微笑み、お祓い棒を構える。そして、それと同時にあの多彩な球体がいくつも周りに現れた。

 

「ちょっと待ってくれ!それは誤解だ!」

 

俺は慧音にすることが出来なかった弁解を試みる。

 

ちゃんと話せば分かってくれるはず!、がしかし、そんな希望は次の一言であっけなく打ち砕かれる。

 

「問答無用!!」

 

命の危機を感じた俺は、咄嗟に土を握り、緑巫女に向かって投げる。

 

「キャッ!何するんですかぁ!目に入っちゃったじゃないですか!」

 

緑巫女が怯んだ隙を付き、俺はルーミアを背負ってその場から全力疾走で逃げだした。

 

 

カビ臭い壁に深くもたれかかる。

 

俺はあの後、森の奥へ奥へと逃げ込み、今は使われていない小屋へと辿り着いた。

 

昔は猟師か何かの休憩小屋として使われていたんだろうが、今では蜘蛛が巣を張り巡らし、埃が溜まっている。

だが、今の状況において雨風凌げる場所を得られたことは有り難い。

 

正直、逃げ切れるとは思ってもいなかったが、鬱蒼と木々が生えた森の奥へ逃げ込んだことが良かったのかもしれない。

 

それにしても...空から落ちてきた癖に大事に至らなかったこの子に驚きだ。

 

未だ気絶したまま目を覚まさないルーミアに目をやる。

 

いや…その直撃を食らってどうもない俺も俺か...。

 

ハァ、と息を吐き。これからせねばならないことを考える。

 

俺は今まで、人々の信頼を得ようとして来たが、今となってはもう無理に等しい。

 

ならば何をすべきか?

 

俺は幻想郷のこと、何より自分の事をもっと知る必要があるだろう。

 

だからと言って、ひょいひょい自分の事を思い出せる訳でもないので、まず第一に、ここ幻想郷のことを知る必要があるだろう。

 

もっと慧音に詳しく話を聞いておけば良かったと後悔していると、ルーミアが呻き声を上げ、ゆっくりと起き上がる。

 

「ここは...?」

 

「えっと、ルーミア...で、良いか?」

 

声を掛けると素早くこちらを見る。鋭い目つきを浴びせられるが、すぐに驚きへと変わったのが伺えた。

 

「お前はこの間の!!」

 

「そう。お前が取って食おうとした奴だ」

 

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