東方義(偽)妹守護録   作:桔梗 桜

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お久しぶりです。
サブタイトルをシンプルな形に変えました。


七話

「そう。お前がとって食おうとした奴だ」

 

黒い球体の正体であるルーミアを目前にして、俺は半信半疑に陥っていた。

本当にこの幼い少女が人を喰うのだろうか? と。

だが、俺も一度襲われた身。

強気に出るため敬語を使わずに話してみる。

 

「怪我はないか?」

 

「……大丈夫なのだー」

 

ルーミアはボソリとそう答える。

どうやら警戒しているようだ。まぁ、無理もないか。

少しの間、どうやって話を切り出すか悩むが直ぐに打開策を思いつく。

相手は妖怪といっても小さな子供なのだ。無難に自己紹介から話に入ることにする。実際の年齢が子供かどうかは定かではないが、現状これといった方法は考えつかない。

 

「よーし!まずは自己紹介だ。俺の名前は柊零。お前は何て言うんだ?」

 

「……ルーミア」

 

「そうか。ルーミアか。いい名前だな。ところでルーミア、好きな食べ物とか何かあるのか?俺はそーだな~。基本何でも好きだな」

 

「人肉」

 

先程とは違い。今度はハッキリとそう答えたルーミアの目はキラキラと輝いていた。想定済みといえば、そうだが。やはり、直接幼い少女の口から好物は人肉だと言葉が飛び出れば、驚かずにはいられない。それを悟られぬよう矢継ぎ早に言葉を発する。

 

「そ、そうか!人肉か!ルーミアは男と女だったらどっちの肉がいいんだ?」

 

「どっちも!どっちも大好きなのだー!」

 

こうして、自己紹介をきっかけに人肉の話が始まった。

最初の内は、零自身から質問をしてそれを返す形で会話が成立していたが、ルーミアも徐々に慣れてきたのだろう。いつのまにか、零が質問せずとも自分から楽しげに話をするようになっていた。話を楽しげに出来ることは良いことだと安心する傍ら、この人肉の話はいつ終わるのだろう?と、疑問になる。

話を振ったのは、自分の方であるから責任を持って最後まで聞くのが常識だろうと、話に耳を傾けていたが、どの部位が美味しいとか、老人はあまり美味しくないとか、第三者(人間に限る)が聞けばドン引きするような内容の話が続くだけで、一向に知りたい情報が出てくる気配はない。このままでは埒があかないので、先程からずっと気になっていたことを直接聞くことにする。

 

「それでね。足の肉の方は…」

 

「ところでルーミア。さっき、緑の巫女に球体のような物で攻撃されてたみたいだが、あれは何だ?」

 

「…。弾幕ごっこのことか?」

 

話を途中で遮ったので、怒りはしないだろうかと不安だったが、どうやら大丈夫のようだ。それよりも、弾幕ごっこというフレーズに聞き覚えがあり、顔をしかめる。どこかで聞いたのは間違いないのだろうが、どうしても思い出せない。モヤモヤとした気持ち悪さを胸に抱きながら、頭の中にある記憶を捻り出す。少し経って、頭の中に雷が落ちたような衝撃が走る。

ああ!思い出した!慧音から聞いたのだ!

適当に話を受け流していただけだったので、思い出すのに時間がかかったが、確か、幻想郷での揉め事はこれで解決するとかなんとか言っていたような気がする。

 

「ルーミア。その弾幕ごっこを教えてくれないか?」

 

ルーミアはきょとんとした顔になる。やはり、弾幕ごっこを知らないというのは、ここでは非常識のようだ。

 

「弾幕ごっこ…したことないのかー?」

 

「ああ、したこともないし。ルールもしらない」

 

「そーなのかー」

 

そーなのだー。

 

「分かった!私が教えてあげるのだー!」

 

ニコリとルーミアは微笑むとその場からヒョイと立ち上がる。

その動作を見て、どうやら本当に怪我はなさそうだと、ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、ルーミアが立ち上がるとその周囲にあの多彩な球体が周りに出現する。

 

「まずはこうやって、次に…」

 

否応無しに説明?を始めるルーミア。

この後、必死でルーミアを止めたのは言うまでもない。

 

 

早朝、寝ぼけ眼を擦りながら起き上がる。

見慣れないボロ屋に一瞬戸惑いはするも、すぐに寺子屋から逃げ出してきたことを思い出す。

部屋を見回すと人喰い妖怪ことルーミアが、まだ小さな寝息を立てて眠っていた。こうして見れば本当に可愛らしい普通の少女である。

昨夜、そんな彼女と俺はある一つの約束を交わした。

その約束とは弾幕ごっこを教えてもらうことである。

弾幕ごっこを教えてもらえることは大変喜ばしいことなのだが、一つ不安な点があった。それは、弾幕ごっこを教えてくれる相手だ。

もちろん、ルーミアも教えてくれるらしいのだが、彼女の”友達“も一緒に教えてくれるらしいのだ。

人喰い妖怪の友達。不安にならない者が果たしているだろうか?少なくとも俺は不安だ。

そんな事を考えながらルーミアの寝顔を見ていると、「んー...」っと眠そうな呻き声を上げ体を起こし始める。

慌てて目を逸らし朝の挨拶を口にする。

 

「おはよう。約束のこと頼んだぞ」

 

「うん」

 

眠そうにしながらも、ルーミアはニコリと微笑み縦に頷いた。

 

 

ズドーン!!という爆音と共に俺は宙に浮いていた。

そう。俺は絶賛弾幕ごっこの練習?の最中である。もう何度吹き飛ばされたかわからないが、こんな状況でも一つ弾幕ごっこについてわかったことがある。

この多彩な球体...改め、弾と呼ぶことにするが、この弾当たってもそれ程痛くないのだ。それがそういう物なのか、俺が鬼だからかは定かではないが大きな発見と言っていいだろう。

ゴツン!とそのまま木に頭をぶつけ、ドサッと地面に落ちる。

 

「あたいったら最強ね!」

 

人の心配もせず、そう発言したのは、髪は薄い青色で青い服を着ており、氷の結晶に似た羽が生えているチルノという少女である。

こいつが飛ばしてくる弾は氷柱のようなものが混じっており、当たるととても冷たく少々痛い。

 

「チルノちゃん!しっかり教えてあげないと可哀そうだよ!」

 

俺の味方に付いてくれたのは、髪の色は緑色で左側頭部をサイドテールにまとめており、虫とも鳥ともつかない縁のついた一対の羽が生えている大妖精だ。

名前としてどうなのだろう?と思うが、周りから大ちゃんの愛称で呼ばれており差し支えなさそうだ。

 

「大丈夫だよ大ちゃん!今やってるのは避ける練習なんだから!そうだよね!みすちー!」

 

「そうだよチルちゃん!弾幕ごっこは避けられないとダメなんだから!」

 

みすちーと呼ばれた少女。本名は確か...ミスティア・ローレライだったか?

茶色のジャンパースカートに身を包んでおり、鳥のような羽が生えている。それに加え耳や爪も到底人間のものとは思えない。最初に鋭い爪を見た時はひょっとしたら食われるのでは...と不安になったほどだ。

 

「もう二人ともやめようよ~」

 

この弱気な少女がリグル・ナイトバグ。緑色のショートカットヘアに燕尾状に分かれたマント、白シャツ、紺のキュロットパンツを身に纏っている。これもまた一見普通の人間だが、異様なのは頭から生えた触角である。

さっきから、大妖精と共に抗議してくれてはいるが、聞く耳を持ってくれず困り果てている真っ最中である。

一方、ルーミアはというと…。俺が弾に当たり吹き飛ばされる様子を見て笑っていた。

…うん。今回は食われることもなかったし…良しとするとしよう。

吹き飛ばされつつも、俺は前向きな気持ちを持ち今この場を忍ぶことを決心した。

 

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