東方義(偽)妹守護録   作:桔梗 桜

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八話

弾に何度も吹き飛ばされ、服もボロボロになった頃、俺は完全に飽きられていた。

 

弾幕ごっこを教えてくれるはずだったチルノやルーミアはどこかへ飛んで行ってしまい、現在ご丁寧に教えてくれているのは大妖精とリグル、ミスティアのみである。

 

 

 

「弾幕を撃つときは自分の中にある"力"に集中して形や動きをイメージしてから体の外に出す感覚です」

 

 

 

大妖精に言われた通り、自分の中に神経を尖らせてみる。説明を聞いた時こそ、何千年という修行が必要な気がしたが、そんな心配は無用だった。なんとなく目を瞑って集中してみれば、自分の中にあるどんよりとした"力"らしきものを感じ取ることができる。これに意識を向けつつ、今まで見てきた弾を思い浮かべ、木に撃ち放つイメージを思い描く。こうして出来上がった想像の風船を外に思いっきり押し出す。

 

バキッと木のへし折れる音を聞き、ゆっくり目を開く。

 

 

 

「零さん!成功です!」

 

 

 

大妖精の歓声で改めて成功を認識するが、体が弾を撃つ前より重くなった。

 

力を消費したせいだろうか?あまり連発は出来そうにないな...。

 

 

 

「あっ!零、弾幕撃てたんだ!」

 

 

 

空から聞こえてくる不吉な声。一着しかない服をボロボロにした元凶、チルノだ。その横に黒い球体が浮いている。ルーミアだろう。

 

服をボロボロにしたのはミスティアも共犯ではあるが、彼女の場合、弾の避け方のポイントを教えてくれたのでまだ許せる。しかし、チルノは吹き飛ばすだけ吹き飛ばしておいて、『飽きた』と捨て台詞を吐いて飛び去ってしまったのだ。…いや、相手は子供。ここは寛大な心をもって、

 

 

 

「零!あたいと弾幕ごっこしようよ!被弾は三回まで!じゃあ、いくよ!!」

 

 

 

話は勝手に進み、氷柱の弾の群れが一気に襲い掛かってくる。

 

無論、避けられる筈もなく、俺の顔面に見事命中した。

 

 

 

「やっぱ、あたいったら最強ね!零、おまえ弱いからあたいが子分にして守ってあげる」鼻高々に言うチルノ。

 

 

 

「はい。被弾一回目ー」ノリノリなミスティア。

 

 

 

「チルノちゃん!零さん始めたばっかりなんだから弱くて当たり前でしょう!やめてあげてよ!」大妖精…。その通り。その通りだけども...。

 

 

 

「あわわ…」戸惑うリグル。俺もだよ。

 

 

 

「ワハー」笑うルーミア。良い笑顔ですこと...。

 

 

 

やればいいんだろう...。やれば...。

 

こうして幕を開けたチルノとの戦い。

 

今度は意識し始めたこともあってか、何とかチルノの弾を避けることができる。しかし、それも本当にギリギリで弾を避ける度、ヒュンっと耳元で弾の通り過ぎる音を聞かされる。

 

 

 

「もう!避けてばっかりいないで少しはやり返してきたらどうなのさ!!」

 

 

 

少々苛立ちが見えてきたチルノ。やり返したいのは山々だが、撃ってしまえば体力がもつ自信がない。どうせ負け戦。せめて、一発は確実に当てたい。

 

何か策はないものかと避けながら思索していると、ある一つの案が思いつく。

 

…いや、しかしな。少しだけ思い留まるが、視界に入ってきたボロ服で実行に移すことを決断する。

 

弾を避けたタイミングで屈みこみ、地面を掴む。そして、服の仇敵に向かって思いっきり投げつける。

 

 

 

「うわ。目に入った!何これ?」

 

 

 

「砂じゃ!」疑問に対する答えと共に弾をお返しする。弾は真っすぐチルノがいる方向に飛んで行きそのまま命中した。 

 

 

 

「痛ッ!ねぇ!今のズルじゃない!?」

 

 

 

チルノは俺に指をさし、大妖精たちに向かってそう叫ぶ。

 

 

 

「ルール上問題ないよー!」

 

 

 

大妖精にそう叫び返されたチルノは悔しそうに俺を睨む。

 

してやったり。緑巫女に使った手法を試してみたが、上手くいった。俺自身もズルいとは思ったが、服の代償にしてみれば安いものだろう。

 

そして、互いに被弾一回ずつの状態から勝負は続行されたが、チルノの弾を上手く避けきれず、そのままチルノの勝利に終わった。

 

 

 

 

 

 

「ってことで、零は今日からあたいの子分ね」

 

 

 

一発弾を当てることが出来、満足していたのだが、今の台詞を聞き一気に冷めた。やはり、悔しいものである。一番の敗因は弾を大量に撃ち出せないことだろうか?大妖精やミスティア、リグル、ルーミアも大量に弾を撃ちだすことが出来ていたし、鍛え方で変わるものなのだろうか?

 

考えにふけりつつ、空を仰ぐと、もうすっかり朱色に染め上がっていた。

 

もう、こんな時間か。帰らなければ。

 

大妖精たちに別れを告げ、ボロ屋に向かって歩き出す。

 

弾幕ごっこについてずっと考えていたが、道中ルーミアのことを思い出す。振り返ってみるが、そこにはただ夜の闇が広がっているだけだった。




リグルの扱いが難しいです(´・ω・`)
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