漆黒が仕える! ー親衛隊 異界の地で斯く国防せりー   作:YJSN

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今回は少し長め




第12話 WesterWaldーWesterWald

南門に部隊配備が完了し、陸自と共に親衛隊ぼく含め7名が配置に着く。

 

そして指示を各自に出している伊丹が不意に持ちかけてきた。、

 

「...なぁ、エル。」

 

「ん?なに?」

 

ぶっきらぼうに答えると、

 

「その格好は?

それにその腕章...俺たち自衛隊は、別の世界から来たというのは知ってると思うけど、

 

こっちの世界のとある国の軍にそっくりなんだ...何か心当たりは?」

 

彼の目は単純に探りでもなんでもなく、不思議な感じで聞いてきているといった風だった。

 

事前に彼らが異世界から来た 門から来たという情報はどこにでも伝わってるのですぐに彼の言うことを察する。

 

...彼らニッポン人は恐らく我々がどう見ても...ナチス、にしか見えるのだろう。

 

わかる。むちゃくちゃわかる。

 

そして恐らく向こうの世界では祖国ドイツと枢軸国はあの様子じゃ敗戦しているはずだ。

 

向こう側の人間であることが悟られればぼくは恐らく連合国側に捕らえられ、戦犯として殺されるだろう。

 

それは許されない。ぼくにはまだ任務がある。新たにこの世界で、生を受けたその理由が、明確な動機が存在する。

 

この帝国に存在する民族の救済だ。

 

そして、

 

「...僕らのシンボルだよ!」

 

笑顔で返すと

 

「そ、そうか...偶然もあるもんだな。」

 

なんとなく返してくる伊丹。

 

僕らがこの世界で自然に発生した人達、ということにしてくれた方が楽だ。

 

もちろん、向こうの世界とたまたま似た親衛隊だなんて偶然にも程があるけど、ここは都合のいいことにファンタジックな世界だ。

 

この世界に来てから、異常なものを見てきたので、これが普通だと彼らに信じ込ませることもできるだろう。

 

しかし、やっぱり少し無理があったようで、

 

「...でもなぁ...こんな偶然ありえるか?いやでも、異世界だしな...うぅん...。」

 

と、当の本人 伊丹は首をひねり、もしかしたら...の可能性を疑うが、一応はぼくのことを信じたらしく、首を縦に振って納得してくれた。

 

少し間を置いてから

 

「ちなみに、階級は...内緒っていうなら言ってもいいよ?」

 

と先ほどの質問に答えると、

 

「お、おう!秘密は守るぜ 長官!」

 

と元気よく答えてくれた。

 

「耳、貸して。」

 

そう頼んで、伊丹が物々しそうに僕の方に耳を近づけてくる。

 

「親衛隊長官 全国指導者 兼 親衛隊上級大将。肩書きに過ぎないよ。」

 

そうゆうと

 

「...なんだ上級大...うぇぇええええええええええ!?!?」

 

そういきなり大声でのけぞりました。

 

「しーーっ、しずかに!」

 

そう人差し指でしーーっの合図をすると伊丹は開いた口を手で塞いで、ゆっくりとこっちに近づいてくる。

 

驚くのも無理はない。恐らく彼の所属する師団の最高司令官と同等の階級 権限だからだ。

 

けど、僕にはもうそんな配下の部隊は存在しないし、そもそも終戦直前にヒムラーの亡命やらなんやらで、成り行きで僕になっただけだ。

 

「只の肩書きだよ。そんなすごいことじゃないし...それに、今じゃたったの数百人規模でしかないよ、親衛隊は。」

 

そう簡潔に答えると

 

「そ、そうなのか...?いやでも...恐ろしいな...。

てか、階級制もこっちの世界と同じなのか?」

 

そう深く聞かれ始めて

 

「あ、あはは、まぁね...。」

 

誤魔化して答える。

 

「...なんか訳ありっぽい感じがするのは気のせいか?

 

この世界から来たわけじゃなかったりする?

 

あり得ないけど、終戦直前に門が現れてそこからこの世界まで来ましたーとか。

元は俺たちと同じ世界の人ですよー...とか。」

 

鋭い勘をお持ちのようでなにより。

 

「ふーん、そんなことよく思いつくね!

そっちの世界じゃそうゆー物語とか、あったりするのかなー?」

 

と、わざとらしく誤魔化す。あんまり言いすぎると、この服装だけでも明らかに怪訝なのに世界大戦から来た親衛隊員ですなんて言ったら連行されそうだ。

 

正体がバレれば、ぼくらは向こう側の世界に連れていかれ戦争犯罪などと呼ばれる戦勝国の裁判で裁かれ、幽閉されるだろう。

 

この世界の住民の命運を放って...ぼくは新たな民族共同体に 帝国に忠誠を誓った。

 

この世界を離れるわけにはいかないのだ。

 

そう固く決意すると、運良くタイミングよく

 

「...へぇ〜、面白いわねぇ...。」

 

と言いながら漆黒のゴスロリ少女 例の神官さん ロゥリィ・マーキュリーはこちらに更に近寄り、ぼくの体の周辺から出ている黒霧を触り始める。

 

「...っ、くっ、くすぐったいからやめろっ...。」

 

「いいじゃなぁぃ、ねぇ?伊丹ぃ。」

 

今度は伊丹の方向に近寄っていく。

 

「いや、まぁ...あはは...。」

 

伊丹も苦笑いしながら流す。

 

「ところで、エルのその黒いやつ、なんなんだ?魔法か何か?」

 

そう色々問われる。

 

「これは...まぁ、お友達。」

 

「お友達?」

 

伊丹が不思議に思って返すが、それ以上は答えない。

 

「ふーん...ま、異世界だし、こんなこともありなのかな。」

 

そう納得する。

 

あれ、伊丹って...

 

「ねぇ伊丹。この世界の言葉がわかるの?」

 

「ん...いや、まぁ細かな単語はわかんないけど、なんとなくはわかるよ。」

 

ソーナノカー。

 

「じゃぁそっちのジエイタイの通訳にもなれるね!」

 

「はぁ!?これ以上仕事が増えるなんて嫌だぞ!?」

 

「いいじゃぁん、国家に仕えれるんだよぉ?」

 

そうにやけ顔で言うと彼は休暇を望む如く空を仰ぐ。

 

そんなこんなで戯れながら我々は敗残兵の出現を待つんだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えるな。」

 

そう伊丹が言う。

 

時刻はもう夕方を迎えていた。

空は真っ赤に染められ、鳥の鳴き声が聞こえる。

 

「斥候の様ですね。

後方に本隊が見えます。数は5、600と言ったところですかね。」

 

そう敵兵の情報を報告する。

 

ぼくも彼らを手持ちの双眼鏡で視認する。

 

「狙いはこの南門かな。」

 

「そうですね...。包囲するには、敵の勢力も少なすぎます。

切り立った崖に面してる北側は除くとして、

残る三方の何処かに戦力を集中させてくるはずです。」

 

そう相手方の先手を読み取る...おやっさんと呼ばれてる彼。

 

ぼくも少し思案し、

 

「...重心戦術...だね。

最大の補充と最大の火力 航空支援を持って敵最前線の同時多方面攻撃を意味する戦術...。

 

 

...あっごめん。少し昔を思い出しただけ...。」

 

そう口を挟んだことに礼を詫びる。

 

「いや、いいってことよ。」

 

...この部隊長は気が物凄く軽いから話しやすくていいや。

 

そう思いながら佇んでいると、再び彼らは会話を再開する。

 

「しかし...それ以上に気になるのは...。」

 

そうおやっさんがつぶやく。

 

「...わかってるよ。俺たちは囮だ。

一度は突破された南門を守るのは、我々12人と親衛隊7名のみ。

 

ここを手薄に見せて敵を誘い込み、

奥の二次防衛線を決戦場にする気だよ。

あの姫様は...。」

 

そう、彼女は我々親衛隊とすら深く関わったことのない純潔な姫様だ。

 

ぼくたちへの優先度は低い。

 

「敵が上手く乗ってくるでしょうか。」

 

おやっさんが心配するが、

 

「はぁぁ...。」

 

そう深くため息をしてから伊丹は

 

「...一応ここの指揮官はお姫様なんでしょ。

だったら従っといた方がいいんじゃない。

 

あっそうだ、篝火はここで最後かーーーーー 」

 

そう彼は戦闘計画立案をそこで終わらせ、再び準備に取り掛かり始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、我々は夜になるまで待ちに待ち、夜間の奇襲に備えた。

 

 

 

 

 

そして遂にその時が来た。

 

ワァァァァァァ

 

そう遠くで雄叫びが聞こえた。

 

周りを見回してみると、炎が聳え立つ場所が見えた。

 

「...あっちか。」

 

双眼鏡で視認すると、敵の奇襲は南門ではなく東門 だった。

 

炎矢によって城壁に焼夷が行われ、明らかなタイミング良しの最善の夜襲だった。

 

「なぁんでぇ?ここに攻めて来るんじゃなかったのぉ?」

 

そう隣にいるロゥリィが愚痴をこぼす。

 

「03:11 夜襲には絶妙な時間かな...。」

 

そうまた隣の倉田...夜襲準備の時の挨拶で知り合った彼が言う。

 

「盗賊といっても元は正規兵だ。その辺は心得ているのだろう。」

 

そうおやっさんが推測する。

 

「東門からの応援要請は?」

 

伊丹が率直に聞くが

 

「まだ、何も。」

 

おやっさんが残念そうに答える。

 

「そうか...。」

 

ぼくも再び双眼鏡で視認すると、敵兵が既に城兵との白兵戦となっており、非常に劣勢であった。

 

さらに城内にすら侵入を許す始末。

 

「これだから民兵は信頼できない。」

 

そう呟きながらぼくは城下にいた親衛隊員6名に

 

「DaväiDaväi!! Schutz Efön Dëmen!!」

 

そう叫び、彼らを東門へと向かわせる。

 

スーッ ハッ

 

彼らは指揮統制に自ら組み入るようにその足で住宅の屋根に四つ足で登り、東門へと尋常ではない速度で走り始める。

 

「うぅぅぅんっ 」

 

そう色っぽい声を出し始めた横のロゥリィを無視して、

 

「伊丹二尉 我らは先に。」

 

そう言って壁上から住宅の屋根に飛び移り、自分も走る。

 

「お、おい待て!!」

 

静止させようとする伊丹の声も待たずに。

 

「帝国における民族を 同じ共同体を見捨てる訳にはいかないよ。」

 

そう言いながら必死に東門へと走っていると、

先程の神官が後ろから自分と同じくらいの速さでニヤリと笑いながらついて来ていた。

 

「私もまぜてぇよぉ〜?」

 

そうねちっこい言い方でついてくるこの神官とは思えない奴に無言で合図しながら、東門へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして僅か十数分後...

 

 

「ふふふっ...ほほほほほっ。」

 

そう馬鹿げたお上品な笑い方をしながら親衛隊7名及び神官は、

まだ乱戦の中の東門城内へと着地する。

 

「うるひぇえ!」

 

そう着地の時に噛み噛みになりながら文句を垂れるぼく。

 

そんな彼女はぼくを無視して、

彼女はその着地の時に地面に刺さったその大きな鎌を再び持ち上げ、

 

鎖と鉄の鉄はうを繋いだ武装をする仮面の男が襲って来たのを難なくかわしてその大男を地面に叩きつける。

 

 

ズザザザザザァーーッ

 

そう男と地面が擦れ、少し地鳴りがするほど凄まじい馬鹿力だった。

 

そして突然に現れた謎の少女...?と

 

スゥゥゥーーーッ...ハァァァァーーーッ....

 

黒服に身を包んだ7名の人間の登場によって乱戦は静まり返り、我々に注目が浴びせられる。

 

だが次の瞬間

 

ドォォンッ

 

「ぐはぁぁ!!」

 

大きな地鳴りと爆音とともに、城外の敵兵が吹き飛んだ。

 

ドォォォォォ

 

再び空を見てみると、うるさいほどに我々の試作兵器段階であった仮名 " ヘリ " であろう物が

その対戦車ズーニーロケットと6連装になっているMGを撃ち放していた。

 

「...試作兵器の設計図、戦後取られたんだ...。」

 

自国の物が略奪されたのは気に食わないが、今はそれどころではない。

 

「Körr Shund 」

 

ぼくがそう告げると、前方にいた我らが親衛隊員6名のうち2名が敵兵に近づいていく。

 

「な、なんだあいつらは...。」

 

「か、構うものか!やれ!やれぇぇ!!!!」

 

そう敵兵は脳のない猿のように30,20,10mとその2名へと近寄る。

 

そしてその2名が持つソレに指がかけられると

 

 

 

ボォォォォ

 

ゴォォォォォ

 

 

 

そう恐怖の炎が射出口から出る。

 

「う、うわぁぁ、がぁぁぁぁ!!」

 

「熱い!!熱い熱い熱い熱い熱い!!!!!!!」

 

そう敵兵の阿鼻叫喚が聞こえ、火で覆われた敵兵は数秒後には動かない肉塊となっていた。

 

ババンッ

 

ババンッ

 

バラララララララララッッ

 

後方の4名もMG42汎用機関銃とStg44突撃小銃の後方射撃を行う。

 

ぼくも黒霧を身体から出し、近くにいた数名の敵兵にまとわりつくす。

 

「な、何を...貴様ッ!!!!」

 

その中の1人の敵兵が戯事を言うが、

 

グギィィィッッ

 

ガギッギギギギ

 

「ぐ、がぁがが...。」

 

「が...はッ...!」

 

そう耳が痛みそうな音が聞こえたと同時に敵兵の4肢はありえない方向にそれぞれがぐちゃぐちゃになりながら曲がる。

 

「「がぁぁぁぁ!!」」

 

わけのわからない叫び声を出しながら

 

 

 

一瞬ぼくの視界と聴覚が失われる。

 

 

 

 

その後、再び目を見開くと、敵兵の身体がバラバラになり、原型も留めず臓器や鮮血が周りに飛び散った。

 

「ヒッヒィッッ!!」

 

周りの民兵や敵兵はこれを見て酷く怖がっていた。

 

「 ...Sieg Heil... 」

 

そう告げると、親衛隊員は更に火力を増し、フルオートに、絶え間なく銃弾と炎を更に浴びせ続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうやってわずか数時間後、

イタリカ攻防戦は緑の人達と親衛隊によって終焉を迎えた。

 

「元は同志だった正規兵だと思うと、殺すのは気分の良いものではないな...。」

 

そう言いながらぼくは真っ赤に染め上げられた制服を黒霧で元の漆黒に戻す。

 

クリーニングだなこりゃ。

 

「あぁー、ひっどいっ。」

 

そう言いながら服についた血の匂いが凄まじく、もう一度黒霧で洗い試すほどだった。

 

途中、ジエイタイの女が戦乱の中に混ざって来たが、無視して虐殺を続けた。

 

その結果、最終的には投降意思を示した捕虜まで殺戮したため、伊丹に静止させられたが

 

それ以外の、ジエイタイからの心情はあまり良くはなかったという点以外はなんら問題なかった。

 

同志の生存の妨害を叩き出す者は生きて返さない。

 

それがぼくらの報復のカタチだった。

 

 

 

 

 

 




戦闘描写はクソザコなのでお察し

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