漆黒が仕える! ー親衛隊 異界の地で斯く国防せりー   作:YJSN

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更新が早いのは最初だけ(ボソッ
戦闘描写は上手くないのでお察し








第8話 炎龍

「うぁぁぁい...喉が渇いたわい...。」

 

この避難という名の逃避行が始まってから数時間、

天日干しにされた老師が愚痴る。

 

「しばらく休めそうもない...。」

 

そうレレイは答える。

 

確かにこの様子じゃぁかなり時間をくいそうだった。

 

コダ村の木々で護衛をしていた同志達は岩と岩を行き来してこちらの護衛に務めてくれている。

それにジエイタイの装甲車、自動車化部隊に先導もしてもらっている。

安全は確保されている...はず。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

途中、泥にハマって動かなくなった馬車を緑の人達が押し上げて運んでいったりと、中々進行は思ったようには進まなかった。

 

更には車軸が折れてしまった馬車までいて、燃やす以外なかったりもした。燃やさなければならなかった家族は泣きながら生存しようと義務を全うしていた。悲しいけど、これが現実だった。

 

そんなこんなあったが、やっとロチェの丘が見えてくるくらいにはだいぶ前に進めた。

 

けれど、後ろを見返してみると、物凄い馬車の行列だった。

 

「...。」

 

太陽は前世(?)で見たときの太陽の大きさより少し大きいくらいで、暑苦しい日光に照らされてボーッとする者も多かった。

 

ぼくはひたすら逃げるタイミングを計る。どこで逃げようか。どのような逃走経路か。護衛の配置は...etc.

 

それから数十分間そうやって思案していると...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バサッ バサッ

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな翼のような音がする。

 

 

 

不意に、僕らのいた部分がぽっかりと雲でもかかったかのように影に呑まれる。

 

 

「ん?」

 

ゆっくりと上を見上げてみると

 

 

「ぁ...。」

 

 

...少女レレイと老師も見てしまったのであろうその光景。

 

 

炎龍がちょうどぼくらの真上を飛んでいたのだ。

 

して、ぼくらのすぐ前で着地すると、

 

 

 

グワァァァァァァァ!!!!!!

 

 

 

耳が少しキィーンとなるほど殺し合いの咆哮を叫び出す炎龍。

 

そして近くにいた村人らに向けてブレスを放つ。

 

ボォォォォ

 

そう唸るような炎に人や馬車が包まれていく。怒号や悲鳴が聞こえる。

 

 

 

ブロロロロロ...

 

 

 

ジエイタイの装甲車と自動車化部隊が速度を一気に上げ、二方向からの同時攻撃 クロスファイア をその持ち前の機動戦によって素早い電撃戦展開を行い始めた。

 

ぼくもそれに合わせて、

 

「老師、ここで降りさせて頂きます!レレイさんもご無事で!」

 

トンッ

 

荷馬車から軽くジャンプして降りた。

 

「おいお主、なにをしておるバカモン!さっさと戻らんかい!!」

 

老師は静止の声をかけるが、ぼくは止まらずに黒霧を身体中に纏わり尽くし、ドラゴンの死角の場へと瞬時に移動する。

 

「...!?」

 

レレイは驚いたような顔をしたが、炎龍の追っ手もあって何かを言う前に老師と共に必死に逃げ回る。

 

 

 

...そう言えば、まだ誰にも名前...言ってなかったな...

 

 

 

 

 

パン パン ババン ババン

 

2点バースト、三点バーストなど様々な発砲音がジエイタイからけたたましく鳴るが、どれも致命的なダメージは一切与えられず、炎龍の皮膚は貫通できていなかった。

 

この際仕方ない。このまま帝国領内の臣民を死に導かせるのは親衛隊としても、あまり気分の良いものではない。もちろん、ジエイタイがもし帝国臣民を殺傷しようと言うのであれば同じように殺したであろう。けれど、彼らはそんなことはしない。そう信じてる。

 

ぼくはドラゴンの真横の岩裏に隠れ、宙からパンツァービュクセを取り出した。

 

「Shüttèm!! Estlingëur!!」

 

丘上の岩裏に護衛として張り付かせていた同志達にも電撃戦展開を命じる。

 

すると、

 

スーッ ハッ

 

と、凄まじい速度で左右を駆け巡り、丘上から電撃的なクロスファイアをかける。K弾(対戦車用炸薬増加試作弾)を彼らは発射し、足止めしてくれている。

 

すると、ジエイタイも少し標的を変えたようだった。

効果的に、目を射撃し始めた。当たりこそしないが、炎龍は顔を小さな手で覆い被せ、怯んでいる。

 

して、ジエイタイの装甲車から一人の男がパンツァーファウストに似た形状の対戦車榴弾投擲武装を肩に背負い、何故か後ろを一度向いてから炎龍にむけて撃った。

 

けれど...あの弾道じゃどう見ても外れるのは決定していた。

 

 

 

...!?

 

 

 

ジエイタイの自動車化の中から一人の神官が出てきた。

 

 

 

本で読んだことはあるけど...まさかここでお目にかかれるとは...。

 

彼女は、名をロウリィ・マーキュリーと言う。エムロイの使徒であり神官であった。

 

そんな彼女は今ジエイタイの自動車の上に立っており、そのクソデカイ鎌を投げ出した。

 

 

ビュンビュンビュンビュンッ...

 

そう空気が切れる音がしながら回転し、速度を増す鎌が、炎龍に向かって飛んでいく。

 

...なるほどね...。

 

あぁすればいずれ、彼女の目測通りにあの対戦車榴弾は弾道が逸れずに炎龍の左手に当たるであろう。

 

ちょっと、イタズラしてやるかな...

 

そんな無邪気な心からぼくは横から炎龍の目が完全に覆われていない部分に照準を合わせる。

 

して、3秒後

 

息止めを行いアイアンサイトのレティクルにピンポイントで収まった時

 

 

ガゥンッ...

 

 

引き金を引いた代償として凄まじい反動が肩にかかる。が、全てリコイルはコントロールする。

 

今の0.37秒の間に4発も7.92mm弾を撃てばそうなるに決まっていた。

 

「当たった...?」

 

そうドラゴンの方を向いて確認を行うと、

 

 

 

うまぁぁく瞼を閉じて弾いたようだった。

 

しかし、代償として瞼に4発全弾が集中着弾し、焼け焦げた様に赤く血が出ていた。

 

「...ちぇっ...。」

 

惜しかったと言わんばかりにぼくは舌打ちをした。

 

しかし、炎龍はぼくの企み通りにぼくから顔を背ける様に体ごと左側に向いた。

 

ロケットの弾道は、左手から、胸へと向かって直進している...。

 

彼女...ロウリィはこちら側を笑いながら見ていた。

 

「Boom...。」

 

 

 

ドォォォォォォォンッ...

 

グガァァァァァァァァァァァァッ

 

 

大きな爆発音と共にそれに同等かそれ以上の悲痛の叫びが聞こえてきた。

 

 

煙が晴れると、予想通りに炎龍の胸は赤く燃え上がり、皮膚がただれていた。

 

同志達はそこを狙ってK弾を集中着弾させようと狙撃を行う。ジエイタイも引き続きぼくらの方向を訝しみながら継続してそこを狙い撃つ。

 

焼けた皮膚を抉るかの様に銃弾はいくらもいくらも着弾し、炎龍は悶える

 

 

 

バサッ バサッ

 

 

 

この焼ける様な痛みに耐えきれず、逃げる様だ

 

同志達はめげずに狙撃を行うが、背を向けた炎龍の硬い皮膚に着弾するばかりで、効果はなかった。

 

なので、ぼくは彼らへの攻勢命令を止めた。

 

すると同志達は丘の上で

 

スーッ ハッ

 

と、ぼくを待つかの様に列を整え、直立した。

 

「同志達には頼りっきりで悪いけど、助かったな...。」

 

そう感謝の念を想いながら、丘の上へと自分も上がる。

 

一方ジエイタイは車から降り、ぼくらに近づこうと手を振っている。

 

...が、本来ならば僕らは敵である。

 

どちらにしても、会いたくはない相手同士だった。

 

よって、ここからは精神的な負担が大きいけど、黒霧で、大人しく帰ろうと思った。

 

ぼくは彼らに向かって手だけ振り返して、そこから同志達と共に去った。

 

「Ade...。(さようなら)」

 

そう言い残して 黒霧に包まれる

 

 

 

 

老師とレレイはうまくやっていくだろう。

村のみんなも、失った友邦のことは悲しいけど、全てを面倒見きれるわけでもない。

 

自立してもらうしかない。だからこそ、ぼくはこのまま帝都に帰る。

後ろめたくはありながらも...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ー帝都・元老院前ー

 

 

 

「これより、党大会第45集会を行う...ーーー」

 

と、鉤十字の腕章をつけた者が、演説台の上に登り、淡々と読み上げていく祝辞。

 

集会所の後ろや周りには幾多もの鉤十字に、赤い旗が掲げられており、集会所の前には何千もの党員が赤い鉤十字の旗を掲げ、そして鉤十字の腕章をつけた者が大勢おり、異様な光景であった。

 

巡回の帝都の衛兵は時折不安な顔をしている。

 

して、数分後、祝辞を終えると

 

「諸君 労働者諸君 我らが同志諸君。 私は党宣伝省 リービヒアだ。今日 諸君らに集会してもらったのは、他でもない。我々の現状を見るためだ。ーーーーーー」

 

そうして、宣伝省を名乗る男が演説を行い始める。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

30分が経とうとした頃、演説はうなぎ登りに有頂天へと達した。

 

「同志諸君らよ!!

我々が過去二千年間を費やし得たものを思い出すのだ!!

 

過去数年の短かき苦悩は忘れ、帝国二千年の歴史を見るのだ!!」

 

そう必死なる顔と口調で熱弁し、手やアクセントをつける宣伝省の男。

それに合わせ、静聴している帝都の民達は熱狂的に右手を掲げHeilと叫ぶ。

 

「この強大な国家は、今やたったの数百人規模の商人や商業者、大資本家によって支配され、分断させられている!!

 

人々の憎悪と闘争を駆り立て、国家を国家なきものにするのだ!!!」

 

男は汗をかこうがなんだろうが、ひたすら狂ったかの様に同志諸君らに伝えていく。

 

「帝国民族よ!!民族を思い出すのだ!!!!

 

我々がいて、諸君らがいる!!

 

彼がいて、食料を作り

彼女がいて、家族ができ

老婆がいて、縫い物ができ

子供がいて、気力が湧く

 

工場は武器を作り、畑は大地を潤す!!

 

明日を生きる義務と共に

 

この1つの強大な民族共同体を思い出すのだ!!

 

 

 

分断された国家を再び1つの、真の帝国とするのだ!!!!

 

 

 

それこそが、我々が夢見る ドイツ第三帝国なのだ!!!!」

 

 

 

そう男が締めると、野次馬や観客は熱狂し、会場は熱に包まれた。

 

そして、男が民衆を手を上げて鎮めると、

 

右手を高く掲げ、こう叫んだ

 

 

 

 

「我らの生存に、栄光あれ!!!! SIEG HEIL!!!!!! SIEG HEIL!!!!!!

SIEG HEIL!!!!!」

 

観客も男に合わせる様に全ての右手を掲げ、あらゆる同志諸君らに忠誠を示すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

これが 少年が一年かけ急速に成長させた

 

 

国家社会主義帝国労働者党 の全てであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




パンツァービュクセ
ドイツ軍が使用した対戦車ライフル
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%82%AF%E3%82%BB

それと黒霧は主人公の耐性が無いため500〜600mずつしか移動できません。





最後の集会のパレードの想像はだいたいここから
https://youtu.be/Jf-HZz5Qv8E
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