鏡影鬼太郎   作:殺六縁起

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ゲゲゲの森にあるゲゲゲハウス。そこには鬼太郎と目玉親父が住んでいる
そこへは人間が立ち入ることは出来ない、しかし妖怪は別だ。大妖怪ともなれば容易に立ち入れる

その日、ゲゲゲハウスでゆったりとくつろいでいた彼らに一人の来訪者が訪ねてきた
それもなんの前触れもなく窓から突然現れた

「やあ、やあ、こんにちは。ゲゲゲの鬼太郎君。目玉親父さん。」
「誰だ!?」
(すごい妖気だ・・・こんなやつが来てるのに、今まで気づかないなんて・・・)
「そう警戒するなよ鬼太郎君、私は君に情報提供をしにきたんだよ。」
「なんの情報だ?」
「君たちが手を焼いている妖怪。鏡影鬼太郎の秘密。それをわざわざ教えに来たんだよ」
「!?鏡影鬼太郎の秘密?」
「そして後でやってもらいたいことがいくつかある」
「やってもらいたいこと?」
「妖怪ポストじゃなく直に渡すんだよ。」

その男の手には二枚の手紙があり、彼らに見せびらかした

「私の名前は神野悪五郎。君に依頼をしに来た。」

『神野悪五郎』




強襲!大妖怪

鏡影鬼太郎こと俺はこれまで兄や陰陽師と戦い服だけでなく髪も傷んでしまっており

そのため彼はとある人間の家に居候して羽を休めていた

とは言っても俺は家の中にいる必要はない。能力を使い鏡の中にいればいいのだ

 

現在俺は部下の口裂け女こと佐紀美と一緒に鏡の中で髪を切っていた

 

佐紀美のはさみで本来の使い方通りに鏡影鬼太郎の髪を切っていた

 

「今まで人間の口を裂いてきたはさみであなたの髪を切るなんてね・・・」

「俺の髪は特殊だろ?切れた髪は鏡のように砕け散る」

「本当に面白い髪ね。切っていない髪はさらさらなのに・・・次はシャンプーで髪を洗い、ドライヤーで乾かし、そして・・・」

「やけに手馴れているね。昔美容院やっていたのか?」

「いや、以前本で読んだことがあっただけよ」

「そうか・・・」

 

他愛もない会話をしながら俺と佐紀美は身支度を済ませ、鏡の中から出た。

 

「やあ、快我。鏡借りたぞ。」

「別にいいよ。それよりこの後どうするんだ?また人間を襲うのか?」

「お前には関係ない」

「そうよ、あなたには関係ない。あなたは私と鏡影に部屋を提供していればそれでいいの」

「部屋なのか?鏡って?」

 

俺にとっては部屋どころか一つの世界だ

 

「そういえばここに居候してから何日かたつがお前の親とか一度も見たことないな。兄弟とかいないのか」

「両親は仕事でいない。兄弟は・・弟がいた」

「いた?今はいないのか」

「今は・・・いや、もういない。八年前に事故で死んだ」

「ほお・・・それはめでたいな」

「なんとでも言え。人でなし」

「まあ、妖怪だからな」

 

俺にとっては面白い話だったが人にとってはいい話ではないようだったが。

 

その後俺はドアを開け、狼谷快我の家を出た。人間を殺しに行くか、兄さんを殺しに行くか、悩んでいたが、思えばなんで快我だけ生かしているんだろうとふと思った

しかし、その必要はなくなった

なぜなら目の前に一人の妖怪がいたからだ

 

「やあやあ、鏡影鬼太郎、二十物語口裂け女」

「二十?」

「私の名前は神野悪五郎。君たちと話がしたい」

 

 

 

神野悪五郎と名乗る妖怪に連れられ俺と佐紀美は快我の家から数キロ離れた場所にあるとある屋敷に行った

 

「ここ誰の家だ?」

「私の家だ」

「あんたの家かよ!」

「無論人間は入れないようにしてある」

 

屋敷に入るとそこには応接間があった。どうやらそこで話をするようだ

俺たちは応接間に腰掛け、話を始めた

 

「で、最初言っていた二十物語ってなんだ?」

「二十物語、口裂け女・・それはお前の怪異としての本当の名前だ。口裂け女・佐紀美」

「私の・・名前?」

 

『二十物語口裂け女・・・これがお前の物語だ。』

 

「その名前・・以前言われたことがある・・」

 

悪五郎が呼んだ名前に佐紀美は以前誰かに言われた名前をふと、思い出したようだった

 

「でもそれは名前じゃなくて物語という怪談のようなものだったと思うけど・・・」

「まあ、その話は後でするとして、鏡影鬼太郎、口裂け女。お前らにお願いがあるんだ」

「なんだ?それは俺と佐紀美じゃないとできないことなのか?」

「ああ、お前らに関するお願いだからな」

 

この神野悪五郎とかいう妖怪は強い妖気を持ち、かなり謎めいてはいるが別に敵意は無さそうだった。信用できないが・・と、さっきまで思っていたが彼が言ったそのお願いとやらの内容で考えが変わった。前言を撤回せざるを得なかった

 

 

 

「これ以上、人間を襲うのを止めてくれないかな?」

 

 

 

まさか妖怪から言われるとは思わなかった。人間の犬山まなとかなら言いそうなセリフだったが、兄さんや親父、鬼太郎の仲間から言われるかもしれなかったが・・・神野悪五郎。こいつは人間を守りたいとか考えないと思っていたからな・・・当然返答はこう言った

 

「いやだ。俺のやっていることは復讐だ。いまさら止める訳にはいかない」

「ではなぜ、狼谷快我は殺さない?あいつも人間だろ?」

「あいつは利用しているだけだ、用済みとなれば後で殺すつもりだ」

 

こいつは何故狼谷快我と俺との関係を知っているんだろうと思ったがこいつと会ったのは快我の家の前だったな。だとしたら俺の最近の行動は知られているんだろう。となると一体こいつはどこまで知っているのだろう・・・兄さんの事も知っているのだろうか?

 

「まあ、あいつは他の人間と違い無害だからな、特に危険視してはいない」

「・・・私から言わせれば彼こそ最も警戒しないといけない存在だがな」

「?どういう事だ」

「今は関係ないことだ気にするな」

 

あいつが危険な存在だというのか?魂が不味く、人間としては脆弱で無欲で危機感を持たず、自分の死さえ恐怖を感じないあの無害な人間にか?まあ人間としてズレているのは確かだから不気味とは思うが・・・とはいえ無害なのには変わりない。仮にあいつが襲い掛かってきても瞬殺出来るからな

 

「話は戻すが何故人間を襲う?幽霊族を絶滅まで追い込んだ彼らに復讐するためか?だがお前は十物語反影鏡により生み出されたゲゲゲの鬼太郎と目玉親父のコピーだ。お前は幽霊族の力は持っているが幽霊族じゃない。しかもコピーの元となった彼ら親子は復讐なんて望んでいない。」

 

「だまれ・・・例え、兄さん達が望まなくても俺は成し遂げるんだよ!一族の復讐を必ずな」

「・・・そうか・・・二十物語口裂け女・・お前はどうなんだ?お前の復讐は大昔に終わったんだろ?人間を襲う理由はもう無いはずだ」

「その二十物語と言うのは止めて貰いたいわね。私は佐紀美よ、それに勘違いしているみたいだけど今の私は復讐で人間を襲っている訳じゃないわ。鏡影鬼太郎・・彼に恩があるから、彼の目的に賛同してやっているの。あなたになんて言われようとも私は止めない」

 

「・・・・・そうか・・・・・」

 

佐紀美はなんて良いやつなんだ。俺の復讐に賛同する理由が恩返しなんて実は知らなかったが、もしかしたら俺が今までに関わってきた妖怪。夜道怪も協力を頼んだら二つ返事で協力してくれるのかもしれないな・・・

 

俺たちの話を聞き終わった神野は深くため息をつき、がっかりした態度を見せるとふと呟いた

 

「だめだこいつら・・・消そう」

「やる気か?」

 

やつの言動を聞き、警戒する俺と佐紀美、ここはやつの屋敷なため何が起こるか分からない・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「酒吞童子、茨木童子、出番だ、やれ」

 

「俺様の出番かーー!!!待ちわびたぞ!」

 

『酒呑童子』

 

「親父・・・こいつらは妖怪退治のプロだ、気を抜くなよ」

 

『茨木童子』

 

神野から呼ばれ突如天井を破壊し降りてきた二体の鬼。一人は巨大な棍棒を片手で持ち上げる巨体を持った鬼。もう一人は二本の刀を持った和服姿の鬼だった

恐らくでかい方が酒呑童子、人間サイズの方が茨木童子のようだ

 

「鬼の中でも指折りの実力を持つあんたらが・・・悪五郎の部下とはな」

「鏡影!こいつらは一体・・・」

「佐紀美。茨木童子は任せた。俺は酒呑童子をやる」

 

これは俺も驚いた。何故なら酒呑童子、茨木童子は鬼の中でもトップレベルで強い妖怪だ。

その二体が神野悪五郎・・・やつの部下だったとは・・どうやら神野悪五郎は思った以上に強い大妖怪のようだ

そしてもう一つ不思議に思ったのが・・この二体の鬼は人間を守るとか救うとか絶対に考えない。むしろ人間に害を及ぼす大妖怪なはずなのにどうして人間退治に反対する神野についているのだろうか?

 

 

「酒呑童子、お前は何故神野に従う?お前は人間を襲う悪鬼だったはずだ」

「うるせえ!こっちにも事情があるんだよ!!てめえには関係ない!」

 

酒呑童子が振り下ろす棍棒を俺は霊毛ちゃんちゃんこを片手に纏いぶつけ相殺する

 

「邪魔するなら容赦はしないぞ!酒呑童子!!」

「生まれたてのひよっこが!!!」

 

こいつの棍棒はでかい為まともに食らえば一たまりもない。しかも相当の怪力らしく、スピードが速い。大振りを躱してもすぐに棍棒がやってくる

俺は回避しながらこいつの頭上へと飛び上がり無数の髪の毛針を放った。

だがやつは棍棒を回転させ全ての髪の毛針を弾いた。しかもそのまま落下してくる俺をまるでバットでホームランを打つかのように棍棒で吹っ飛ばした

 

「ぐはっ!!」

 

当たる直前、ちゃんちゃんこでガードしたがそれでも壁をいくつも破壊し屋敷の外へと吹っ飛ばされた

 

「幽霊族の力・・こんなもんか?」

「なめるなよ」

 

そう言うと俺は酒呑童子を指さし指鉄砲を放った

 

「子供騙しが」

しかし指鉄砲は酒呑童子の棍棒の一振りで打ち消されてしまった

 

「だったら・・・くし刺しにしてやる!!」

 

今度は髪を束ね相手をくし刺しにする髪の毛槍を放つ、しかし槍も棍棒で防がれた

しかもガードされたので勢いが無くなった髪の毛槍を捕まれそのまま俺を引っ張り、地面や岩や建造物などにぶつかりまくり、最後に上空へと投げ飛ばされた

 

「強え・・・流石鬼の中でもトップレベルの大妖怪だ・・」

 

上空へ投げ飛ばされた俺は下を見下ろすと、屋敷の屋根では佐紀美と茨木童子が刃物同士で斬り合いをしていた。二人とも武器裁きが恐ろしいほど速く、遠目でも分かるくらい切り傷だらけだった。

 

(そういえば佐紀美は兄さんと猫娘を圧倒できるくらい強かったんだよな・・・実力は案外俺を超えているかもしれんな)

 

一方俺は酒呑童子に攻撃をことごとく防がれ劣勢に追い込まれる始末

 

「情けないな・・・これじゃああいつの恩返しに答えられないな。」

 

俺の落下点では酒呑童子が棍棒を構え待ち構えていた

 

(どんだけホームランを打ちたいんだよ。あの鬼は・・・)

 

佐紀美は互角にやり合っているんだ。こっちも負けていられない!

 

「いいだろう!幽霊族の力・・見せてやる!!」

 

俺は落下中に片手に纏ったちゃんちゃんこをドリルのように回転させそのまま振り下ろした

 

 

「おおおお!!」

酒呑童子の攻撃に俺のパンチがぶつかり合う。火花を散らしちゃんちゃんこの回転は徐々に棍棒に亀裂を作り出し遂に酒呑童子の武器を破壊した

 

「馬鹿な・・!?」

「うおおおお!!」

 

武器を失った酒呑童子に俺はドリルちゃんちゃんこで何度も殴りかかった。やつは巨体な為顔と胸に数発殴りつけるのがやっとだったがやつを怯ませることがやっとだった

 

「ぐう・・・」

「一発で無理なら連射だ!」

 

今度は指鉄砲を連射し奴の顔を重点的に狙った。撃ち終わっても下駄による蹴りでようやく奴の巨体が倒れた

 

だが倒れただけで勝ったわけではない。次に髪を全体に広げ髪の毛槍を複数作り出しさらに体内電気を出し、電気を帯びた槍を一斉に放った

 

「ぐあああああああ!!!」

 

電気槍の雨を食らい続けようやく酒呑童子を戦闘不能に追い込めたようだ

 

 

「なんとか倒せたな」

「そっちは終わったみたいね」

 

声がした方を見るとそこには血まみれの佐紀美がいた

「佐紀美か。茨木童子は倒したのか」

 

佐紀美は後ろを振り向いたので俺も佐紀美の後ろを見るとそこには血だらけに倒れた茨木童子が横たわっていた。どうやら茨木童子も戦闘不能になったようだ

これで残るは後1人

 

 

「酒呑童子と茨木童子を倒したか・・・・戦力としては申し分ない。」

 

 

「後はお前だけだ。魔王・神野悪五郎!!」

 

 

『魔王・神野悪五郎』

 

 

「ほう、分かっているだろうが私はそこに倒れている二人よりも圧倒的に強いぞ」

「だろうな。今更だが話し合いで終わらせたい位だ。」

 

「いいぞ。それでも私の目的が終わったら人間なんて滅ぼしてもいい」

「目的?なんだそれは・・・」

「私の目的は怪談・妖怪百物語の阻止。その為に一物語不人を倒す事だ」

「妖怪百物語?なんだそれは」

「妖怪百物語とは簡単に言うと儀式だ。口裂け女・・・お前もその怪談の一部だ。そして鏡影鬼太郎。お前の親も十物語反影鏡という名だ。」

「あれは親じゃない。それに不人とはなんだ?」

「怪談百物語はある妖怪を復活させる儀式・・・妖怪に関する話を全部で百個作りある妖怪を復活させる。それを企んでいるのが仮面をつけた妖怪。不人」

「ある妖怪とはなんだ?」

「ある妖怪・・・それは私の元友であり、そして今は宿敵の男・・・」

 

「魔王・山ン本五郎左衛門だ」

 

その名を口にしたのは神野悪五郎でも無く、ましてや佐紀美でも無かった

俺たち三人の後ろに一人の男がいた

「不人と書かれた仮面・・お前は!」

 

「久しぶりだな。魔王・神野悪五郎」

 

全ての始まりの妖怪。一物語不人だった

 




俺達が神野と会っている間、狼谷快我に訪問者
それはかつて死んだはずの弟。狼谷陸だった
兄弟の絆を割く妖怪それは…


次回、鏡影鬼太郎『呪いの兄弟』



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