気づいたらビルド終わっちゃいましたね…賛否両論あった作品だと思いますが、自分は何だかんだ好きでしたね。エモい。
そして日曜からジオウ!半田さんと村上さんが出られるということで、期待半分不安半分で放送待ちたいと思います…
そんなわけで「Jの始まり」最後です。自分でも駄文だなあと思いますが書き直すほどの気力ないんで出しちゃいます。ご了承ください。
龍騎のCSM買った俺にはクウガのCSM買う余裕ねぇんだよおおおおおお!!!
あの現場から解放された僕とフィリップさんは帰路についていた。声がしたのはそんな時だった。
「ちょっと待ちたまえそこの少年!」
「ん?」
おそらく僕のことを呼び止めた野太いたくましい声。自分じゃなかったら恥ずかしいなぁと思いながら振り返ると、そこには強く憧れたNo. 1ヒーローが。
「オ、オオオオオールマイト!!?」
「落ち着きたまえ、緑谷出久」
「そう!私こそがオー……グホッ!」
「……え?」
煙が突然立ち上がった。それはオールマイトから出ていたもの。その煙が突如威力を増し彼を包み隠してしまうほどになった。その煙が晴れて中のオールマイトが再び顔を見せた……はずだった。
「……誰?」
「現実逃避はよくないな。あの煙はなにもないところから突然現れたとは考えづらい。となるとさっきからオールマイトの身体から出ていたものと考えるのが妥当だ。つまりあの煙の発生源はオールマイト。それに隠れてしまい、そしてそこから出てきた。ならば同一人物の可能性が一番高い。彼の服装などからも察するに、彼はあれでもオールマイトだ」
「人が現実逃避している時にわざわざ現実を正面からぶつける必要はないでしょう!?」
無慈悲で遠慮のないフィリップさんの言葉が僕を襲う。目の前の現実とやらに僕は愕然とするとか希望が打ち砕かれるとか、そういう感情が芽生えるレベル以前の話で、なにが起きているかよくわからなかった。思考停止、それに尽きる。
「あれでもって……酷い言い草だなフィリップくん……。それにしても久しぶりだね」
「えぇ、確かに貴方と会うのは久しぶりだ。加えて、その姿となるともっと」
「……2人は知り合いなんですか?」
少なくとも見知らぬ仲ではなかったらしい。この姿を見て動揺しない様子からも察するに。
「ガイアメモリ関連の事件が始まってすぐくらいの時からね。対処に困ってたところ颯爽と現れたフィリップくんに助けられたわけだよ」
言われてみればその通りだ。ドーパント専門のヒーロー、仮面ライダーの存在をナンバーワンヒーローが知っててもおかしくない。むしろそれが当然だとも思う。
「フィリップくん、君のことを知っているということは、彼が君の言っていた例の?」
「えぇ、例の次の仮面ライダーです」
力強く口にした。次のなどと言われると変に緊張する。というか僕のことも知っているのか。
「そうか君が……これは運がいい!フィリップくんが認めた少年と私の選んだ少年が一致するとは!」
「オールマイト、もしや緑谷出久を後継者にするつもりかい?」
その通り!と親指を上げてパワフルな笑顔で応える。ちょっと待ってくれ、なんの話をしているのかまるでわからない。おおよそ僕が大きく関係しているだろうことなのに、当の本人は置いてけぼりを食らっている。
「……おぉっと、なんのことだかわからないという顔をしているね緑谷少年!それも無理もないけどね!」
そして今の笑いが嘘のように真剣な面持ちでNo. 1ヒーローの裏事情を口にした。平和の象徴でいられるリミット、最大最悪のエネミーの存在、そして彼の中で託され受け継がれてきたワン・フォー・オールの灯火。その新たな譲渡先を探しているのだという。
「……それが、僕?」
「その通り!ヴィランに向かって立ち向かった姿!それを人は無謀だと笑うかもしれない。けれど私は違う!あの時の君に私は確かにヒーローとして立つその背中を見た!」
そして僕に手を差し伸べる。力強くゴツゴツしていてそれでいて傷の多いそんな手。そんな手が僕を求めていた。僕を選んだ。
「……なれますか」
それは僕がずっと誰かに、いや誰よりも平和の象徴に問いたかった至って簡単なクエスチョン。
「無個性でも、ヒーローになれますか?」
「……難しいだろうね」
ピシャリ、ストレートな返答がぶつかった。
「無個性でもヒーローになれる、そう簡単に言えるほど現実は優しくも対等でもない。……しかし」
そして再び僕の眼前に逞しくも痩せ細ったその手を示した。これが憧れた手。僕がよく目にしたものとは違うけど、確かに同じ人の手だと感じる。
「緑谷少年、君がこの手を取ればヒーローになりうる力を得るだろう。無個性でもなれるか、その問いには厳しい答えを告げなければならないが、今君は個性を持つことができる。その選択肢を君は今手にした。ならば、ならばあとは握りしめるだけだ!確かに私が今まで来た道は血みどろで、受け継いだ君の身にもきっと想像以上の困難が降りかかるだろう。それでも……それでも君がヒーローになりたいと渇望するならば選びたまえ!……私は君に私の手を取ってほしいのだよ、緑谷少年」
気づくと目から止めようのないほどにたくさん水が溢れ落ちていた。嗚咽が小さく響く。情けない僕の声、ずっと嫌いだった僕の弱虫な姿。今、それを変えられる。
「……なりたい!なりたいです!ヒーローに!オールマイト!あなたみたいな素敵なヒーローに!僕はなりたい!」
力強く吠えた。子供じみた単純なセリフを発した。
「こういう時はなりたいじゃなくて、なると言うべきだ。緑谷出久」
「……はい!」
そういうフィリップさんの目は優しくて、僕の答えに祝福をしてくれているようだった。そうだ、オールマイトだけじゃない。フィリップさんのような、仮面ライダーになるんだ。僕の目指す理想2つと僕を導こうとする2つが偶然重なって、けれどその重さと遠さにに思わず目が眩む。けれどそれが僕が選んだ道。
「さて、緑谷出久。君の新しいスタートを祝うと言ってはなんだが、丁度いい門出があるよ」
丁度いい門出という不思議な日本語を使う。
「君のデビュー戦だ、仮面ライダーとしてのね」
ドーパントが出た、そう付け加えた。
人が叫びながら恐怖から逃げるように駆けていく。その中を逆流するように目的地に向かう。そして人混みの中を掻き分けて現れたのは、異形型の個性とは比べ物にならないほど不気味な見た目をした怪物。複数の足のような細いのが背中から生えている。ギョロっとした目でこちらを見ている。
「あの姿には見覚えがある。メモリはアノマロカリスだ」
アノマロカリス。古代の生物として特に有名なものの一種。アノマロカリスは当時の生態系においてそのピラミッドの頂点に立っていたとされる。子孫を残さなかったためアノマロカリスの代だけでアノマロカリス属というのは途絶えてしまうが、のちに節足動物との関連性が発見される。エビなどのそれらと姿が似てることからもなんとなくわかる。
「……ヒーローはまだ来ていないのか。ならば好都合だ、無闇矢鱈に正体がバレなくていい」
言いながらフィリップさんは僕にロストドライバーを渡した。
仮面ライダーになるためのアイテム。仮面ライダーであるというなによりも象徴であるベルト。腰に当て射出されたベルトがフィットするように身体を巻く。
重い。質量の話ではない。そこに込められた意思や覚悟というのがとても重い。
「今一度聞こう、緑谷出久。君は仮面ライダーになる覚悟はあるかい?」
「……はい。僕も誰かを助けられるための力になれるのなら!」
「ならば示したまえ。ジョーカーメモリが持つのは切札の記憶。君が切札になるんだ」
「はい!」
誤った力はただの暴力に成り果てる。同じ力を持っても、ドーパントになる人もいれば、フィリップさんのように仮面ライダーになる人もいる。それはあらゆることが重なって起こった不幸なことなのかもしれない。だからこそ、正しい道を示すんだ。僕が、この力で。
「なんだお前……?」
怪物が僕を指差し疑問を投げかける。返す、一言だけ。
「……仮面、ライダーだ」
【JOKER】
右に持ったメモリを鳴らしスロットに差し込む。左手を腰から胸の前に伸ばし、眼前の敵に眼光を鋭くさせ射抜くように睨みつける。開いた手を強く握りしめる。それは僕が力を手にしたのだという自分へ言い聞かせるため。そしてこの手からなにも零さないようなヒーローになるという自分自身との誓い。その覚悟を胸に強いワンフレーズを口にした。
「……変身!」
【JOKER】
右手でスロットを倒し黒紫の光が瞬く。欠片とでも言うような光の粒子が僕を流れるように纏い、僕の身体と同化した。無機質な装甲、頭から足まで覆うまさに仮面の戦士。
「変わった……!」
変身後の自分の姿を見て安堵する。ぶっつけ本番の戦士への変化。失敗したとあれば日の目なんて見られない。
「か、仮面ライダーだと!?」
アノマロカリスドーパントがいかにも驚いてますというリアクションをする。フィリップさんが変身した姿とは違うけど、全身覆った覆面の戦士。そして何より僕が言った。自分は仮面ライダーであると。
「クソッ、最悪だ!」
「っ!」
苛立ちを隠さずにこちらへ駆けてくる異形。さすがにそのスピードは人のそれじゃない。鋭い鉤爪のようなものを振り回す。生身の身体ではそれだけで絶命しかねない。けれど今の僕なら対処できる。仮面ライダーとなったからだろうか、よく見えるしよく動く。半身を逸らし敵の振るった片腕は空振りに終わる。つまり必然と隙が生まれる。
「そこっ……!!」
それを見送るほど余裕はない。ありったけの不恰好な拳を倒れるようにして叩き込む。ドーパントは呻き声と共に後ろに軽くよろける。
「効い、てる!」
今までの特訓は無駄ではなかった。結果的に独流と化した戦闘スタイルが通用している。それに加えて相手は喧嘩になれているというわけでもないらしい。チンピラやゴロツキといった類ではあるのかもしれないけど、所詮そこまでということだろう。高校生ですらない僕が偉そうなこと言えないけれど。
そこから少し攻撃の応酬となった。ドーパントが爪で切る。その腕を受け止める、手で払う、飛びのいて躱す。こちらから拳を繰り出す。相手もそれを受け止める。そこは僕が幼いからだろう、有効打は多くなかった。フィリップさんは仮面ライダーといえばキックだと言っていたけど、平和の象徴の背中を夢に見ていた僕はやっぱりパンチ中心の闘い方になる。
完全に僕の優勢、ではなかった。初戦という緊張、怪物と戦うという恐怖、自分の力への不安。今更ながら生死を賭けているのだと気づくと、僕の身体はぎこちなくなっていた。幾度と攻撃を食らった。痛みが奔る。殴るときも似た痛みがあった。攻撃してもされても痛い。ああまるで得しない。けどそうしないといけない。戦うということがこんなにも息詰まるものだと思わなかった。
「なんで!仮面ライダーなんてよ!クソが!」
己の遭遇を悲観する怒号。お互いにただの殴り合い、技術とかそういうのを埒外に置いたガキの喧嘩。だからこそ相手の言いたいことがよく伝わる。ただし同情はできない。僕とこの人は違うから。それにそろそろ時間だ。正せなくなる、この姿と力で。
【JOKER MAXIMUM DRIVE】
右腰のマキシマムスロットにジョーカーメモリを挿し込む。黒い炎のような無固形物が右の拳に纏う。いわゆるエネルギーに覆われるということなのだろう。平たく言えば必殺技。ドーパントからその身を怪物へと成ったその原因そのものを除去するための、僕の精一杯の一発。
「ライダー、パンチッ……!!」
中央を穿つように拳を入れ込む。自分でもわかるほどに常軌を逸した力。その衝撃にドーパントの身体は後方へと吹き飛んでいく。おおよそ僕が生み出せる力の範疇を超えたもので、僕の身体が耐えうる最大限界値。
「クッソ……」
体内から摘出されたメモリは抜け殻のように、使用者と共に大地に伏して砕けた。パリンと無機質な音が終わりを告げた。そしてそれは僕の現状を保つことができなくなったことも伝えていた。自分でメモリを取り除くことなく、鎧は剥がれるように変身が解ける。思わず膝が崩れ落ちる。終わった。何よりも先に溢れ出たのはそんな感想だった。
「よくやった緑谷出久」
「緑谷少年、お疲れ様!」
項垂れる僕の身体を2人が労う。その軽い励ましがむしろ頼もしさすら感じる。ドーパントを倒した。僅かな時間僕はヒーローになった。
「僕、やれました?仮面ライダー……」
疲れきった僕の問いに微笑みで返す。ああ良かった。満足はしてないけど達成感だけはある。むしろあっという間に終わったような気さえする。今思うとただの子供がこんな風に戦闘していいものか。色々法に触れそうなものだけど……まあその話はまたでいい。今するにはちょっと冷めるというもの。2人に抱えられるように起き上がった。そうされるにはやっぱり僕はまだひ弱なんだなぁと空っぽな気分になる。ここから変われるんだろうか。眩しい空を見ながらそんなことを思ってみた。
「さぁ緑谷出久、君は今仮面ライダーになった。拙いながらにね。まだまだ思うこともあるだろうけど、最後に聞こう。君はこの僕の、悪魔の手を取るかい?」
細く綺麗でけれど強いそんな手。戦うというのは怖かった。最中は必死でそんなこと考えてなかったけど、今思い返すと心臓が喧しくなる。けれどそれを嫌だと一蹴することはできなかった。なにが悪魔なのか知らないけど、もう僕はその手を離すつもりはなかった。ヒーローになるという、その想いを離さないために。
「……さて、そろそろ警察やヒーローたちがもうじき来るだろう。今のうちに退散するとしよう」
「あ、やっぱり僕が仮面ライダーってことはバレるとマズいんですか?」
「法的にというよりは、少年に戦わせることがモラル的に問題だろうね」
「……それってヒーローが黙認していいことなんですか?それもナンバーワンが?」
「う、うーむ……」
「オールマイトが黙っていればいいことさ、なにも問題はない」
「それってなにかあったとき私に責任を押しつけるってことかいフィリップくん!?」
「さぁ?どうだろうね」
「……悪いなぁ」
ってなわけで仮面ライダージョーカー誕生です
小説本文で変身ポーズの解説はダサいと思ったので、こっちで
簡単に言ってしまえば翔太郎の逆、ですね。翔太郎はジョーカー変身時握った拳を指数本開いて変身しますが、出久は指数本開いて(手の平を前に)から拳を握りしめて変身の掛け声。また翔太郎とはポーズする腕が逆という点もありますね。まあ各々イメージしてくれていいんですが、一応自分のイメージを置いておきます。
次回はおそらく入試かな…?清掃かつ特訓のくだりはおそらくダイジェスト風にまとめて終わるかと。
次の投稿はいつになるか分かりませんが気軽にお待ちください。忘れた頃にお会いしましょう。感想等お待ちしてます。