お久しぶりです
久々に筆が乗ったので書きました
やっぱり戦闘描写をどうにかしないとな…
神さまは超えられない試練は与えないという。それが正解なのかとか本当なのかどうかとか、そういうのはさして重要ではないのだろうけど、こういう実際に危機に直面した時はそれを考えてしまう。そもそも超えるというのはどういった範囲で言ってるんだろう。完全に克服したら超えたと言うのか。それともギリギリでもなんとかやり抜けたら超えるの判定が下されるのだろうか。なら、今はどうだろう。
「……っ!」
目の前に聳え立つスケールを間違えた巨大な鉄塊の刺客に、僕は立ち向かうべきなのかはたまた逃げるべきなのか、神さまへの質問として頭に浮かべていた。
プレゼント・マイクのアナウンスによれば、数種類のポイントが割り振られたロボットを倒し、その通算ポイントで評価をつけるというもの。1〜3ポイント、あと0ポイントのお邪魔虫を加えて4種類。個性の利用は勿論オーケー、ただし悪意ある妨害行為等は禁止。ヒーロー目指すものとしては当然だと思うけど、念のためということもあるだろう。
ここまで聞いて疑問が一つ。本当にこれだけか、ということ。記述テストの解答欄に対して半分以上空白が残って解答し終えた時の不安のようなもの、それに似たようなものを感じる。
「ヒーローというのは、戦うことよりも守ることを大事にする人のことさ」
フィリップさんがそんなことを言っていた。確かに、それは間違っていない。だとしたらこの試験はなにを守るためのものなのだろう。自分の威厳だろうか。いやそんなわけがない。むしろ誰かを助けることに必要以上のプライドは重荷になる。障害をただただ突破する。それだけでいいのか。いや、それだけではないような気がする。それだけであっていいはずがないんだ。天下の雄英高校、そのヒーロー科の入学試験。それがただの八つ当たりでもできてしまうような内容であっていいはずがないんだ。だとすれば他にもなにかある。ヒーローとして相応しいかどうかを見分けるためのなにかがある。
そんなことを考えていたらいつもの癖で声に出てしまったらしく、眼鏡をかけた真面目そうな男の人に注意されてしまった。妨害する意図はもちろんないんだけど、確かに集中力を削いでしまうかもしれない。早く治さなくては。
そしてここから先は各自いくつかある会場に別れ試験を開始するようだ。隣のかっちゃんとも会場は違うようで、予め協力関係を結ぶことを阻止しているのかもしれない。あくまで個人の力を見るもの……いや、それだけではないかもしれない、けど。
周りの参加者たちの緊迫した緊張感が伝わってくる。引っ張りすぎてもう少しで破れる新聞紙のような張り詰めた空気。各々がストレッチしたり深呼吸したりしてすぐにやってくるであろうその時に備えていた。僕もポケットに忍び込ませたジョーカーメモリを握りしめていた。なによりも信頼できるお守りとして。
「入試ではメモリの力は使わないつもりです」
「……そうか」
事前にフィリップさんにそう告げていた。それはどうしてだいと聞かれた。
「僕の勝手なこだわりです。このメモリは、自分の力を誇示するために使うものじゃない……同じだ。自己満足のアピールのために使ってしまっては僕が今まで戦ってきたドーパントたちと同じになってしまう。それでは駄目なんです。仮面ライダーとして、駄目なんです」
僕は誰かを助けるためにメモリを使う。ドーパントと戦うために仮面ライダーになる。その一線は守らないといけない。僕がヒーローであるためにそんなルールを課した。具体的な理由があるわけじゃない。そうしなければならないと他でもない僕がそう思ったのだ。
「君がそう思うならそうするといい。きっとそれは間違いじゃない」
それに明るみになるのは避けたいしね、冗談半分に笑いながらそう付け加えた。OFAも言ってしまえば人から譲り受けたもので正確には僕のものではないけど、受け継いだのならそれはもう僕の力でもあるんじゃないかとそう思うことにする。ただメモリは違う。自分勝手な僕の線引きだ。
そしてその時はやってきた。
「はいスタート」
試験開始のファンファーレとは思えないくらい気の抜けた一声で。
「……え」
思わず耳を疑った。耳に入った音声が上手いこと言語化されなかった。一瞬の間を持ってようやく意味を理解する。
「ほら急げ急げ!実戦で戦闘開始のコールがあるとでも思ってんのか!?」
そんなプレゼント・マイクの声をバックに戦場へと走り出す。マズい、これはマズい…! アナウンスの言う通り、悠長に現実は待ってくれはしない。それはここにいる誰よりも僕が分かっているはずなのに! 情けない情けない、しかしやるしかない!
僕の後から徐々に受験者たちが走ってくる。言うなればこの試験は争奪戦。きっとヴィランを装ったロボットには数に限りがある。いやきっとではない間違いなく。ならばそれをいかに早く誰よりも多く撃退するか。スピードだ。他の追随を許さないそんなスピードが必要なのだ。
駆けているとついに例の刺客が現れた。
「ヒョウテキ…ハッケン…ブッコロス…」
口調までヴィランに寄せる徹底ぶり、これは遠慮なくに戦えそうだ。ご丁寧に「1」と書かれている。これは惑うことなく1Pロボットだ。誰が見ても1Pロボットだ。
脚部にOFAを纏い急接近、瞬時に右腕に10%ほどで移動させて思いっきり拳を叩き込んだ。すると簡単に貫通し穴が空いた。
「え」
間抜けな声が出た。思ったより簡単に破壊できてしまったことにおかしな動揺が走る。勢いあまって肘まで機械の中に入り込んでいる。抜いてみるとちぎれた断線から火花がチリチリ光っている。綺麗な円の形だなぁとぼうっと思った。
「……も、脆いぞ!こいつ脆いぞ!」
豆腐だ。握り潰したのは林檎じゃなくて豆腐だ。握り潰したんじゃなくて殴り壊したのだけど。あっけない。ただの鉄くずいやそれ以下だ。それは試験の内容がロボットを破壊することではなく無効化することでポイントを得られる仕組みだからだろう。耐久力はさして必要ない、破壊力を求めてないのだから。ただただ殴り蹴りが得意な個性だけが輝くような試験の内容じゃ本当にヒーローであるべき人間を見るのは難しい。もはや目立つのはデストロイヤーだ。
脚部OFA10%、ダッシュを切った。走りながらこちらに向かってくる1Pロボットを蹴散らす。普通にパンチするだけで動きは止まった。つまり身体をある程度鍛えていれば個性はなくとも撃退できるということ。ちょっと痛いけど。ならば常に足にOFA使いつつ突進さながらに腕を振るっていった方が効率がいい。討ち漏らした時はその時、止まっている方がタイムロスになる。
奥から現れる2Pと3Pを確認した。再びOFA纏った足でダッシュ。正面からの不意打ち、先程と同じく10%の拳を叩き込む。先程ほどすんなりではなかったが貫通はした。背後の3Pに裏拳、ぶち抜けはしなかったが打撃場所は大きく凹んだ。文字通り鉄くずに成り果てた。
「いける……!」
自分の力が思った以上に通用していることに歓喜しながら拳や蹴りを叩き込む。主に3Pを中心に。3Pでも特に苦労なく倒せることは分かった。ならば多い点数を狙っていくのが定石、そういうものだ。3Pロボットが多くいるであろう奥地へと疾走した。
誰よりも早くスタートラインから走り出したのは、緑の縮れ毛の独り言の多い少年、さっき僕が注意した彼だった。幼い、頼りない、そんな印象だった。しかし今見てみればどうだ。僕らが突然の試験開始の合図に硬直していた最中彼は誰よりも戦場へと早く向かっていった。確かに一瞬は止まっていたのかもしれない。けれど僕らは彼が動き出すのを見てようやく自らの身体を動かすことを思い出したのだ。我に帰った、すべきことを思い出したのだ。
彼は速かった。「エンジン」の個性を持つ僕に負けず劣らずのスピードだった。駆けながらまるでなにも苦ではないといった具合に障害となるロボットたちを倒していく。蹂躙、殲滅、駆逐。彼の見た目からはまず似合わないような言葉が今の彼にはぴったりだった。僕らの余裕とは違う。僕らと次元が違うというほど凄まじいわけではない。ただただ余裕があった。踊るようにとか舞うようにみたいなそんな露骨な表現が似合った。必死そうでギリギリのようで、それなのにどうしてだろう。彼にはきっと足りない、そんな風に思ってしまうのは。
「あのすみません!」
僕の背後のロボットを倒しながら声をかけてきたのは件の彼。その小さな背中で誰かを背負っていた。
「あなた足が速い個性ですよね、この人を本部まで運んでくれませんか!その間に僕は他の人たちのヘルプに行くので!」
「だが、それでは点数が……!」
「そ、それは……」
僕の言葉に彼は俯きながら語尾を濁した。けれど目を逸らしたのは一瞬、弱々しくも強い目で僕を見つめ直した。
「……なぜ、君はそうするんだい?」
「だって……それが、ヒーローだから!」
「っっっ!!!」
稲妻が落ちたよう、というのを初めて体感した。もはや比喩なんかじゃなく確かな衝撃があった。当然、常識、正解。目が覚めたような気分だ。寝起きに思いっきりバケツ一杯の水を叩きつけられたような目のスッキリさだ。
僕は完全に彼を見誤っていた。彼のようなものはヒーローとして相応しくない。そうあろうことか相応しくないと思ってしまったのだ。そんな決めつけそのものがヒーローとして相応しくないというのに……!
「分かった!この飯田天哉の名にかけて彼は無事安全なところへ連れて行こう!」
「あ、ありがとうございます!あ、それと緑谷!僕緑谷出久って言います!」
「うむ!緑谷くんか!覚えておこう!」
決して忘れる必要などない。彼は必ずヒーロー科に進む。そんな確信があった。ならば僕も進まなければならない。夢へと誘うこの先の茨道を。例えこのことが試験となにも関係しないとしても、今この地に立った僕がこうするべきと思ったのだ。何よりもいつよりもヒーローへの熱烈な憧憬を燃やしてる僕が。ならば誇りを持とう。そして感謝しよう。僕がヒーローらしくいられる今をくれた彼に、緑谷出久くんに!
聳え立った壁は動くバケモンだった。ろくにポイントを稼げなかった俺に最後のトドメを刺しに来たようだ。
「……終わったな」
あっけない。個性が発現して、みんなと同じようにヒーローに憧れた。漠然と思ってた、俺もあんな風にヒーローになるんだって。けれどそうは行かなかった。現実は甘くないってそう言ってるみたいだな、ムカつくけど。ああ羨ましい。恵まれた個性が。強い個性が。ヒーローみたいな個性が。まるでヴィランみたい、もはやおはようさよならぐらい聴き慣れてどうとも思わなくなったそんな言葉を、今になって痛感している。そりゃあヒーローになれるやつを試してんだからヴィラン個性なんかお呼びじゃないよな。本気なのかどうか自分でもよくわからない御託を自嘲しながら並べた。馬鹿みたいだ、馬鹿を見ているみたいだ。絶望とかそんな大それた感情じゃない。静かにふっと虚ろになった。
だからだろうか、走り駆けて飛んでいった誰かの姿がやけに鮮明に見えた。
「SMAAAAAAASH!!!」
聞き覚えのあるセリフと一緒に突き出した拳で巨大なロボットを吹き飛ばす。あいつは、試験の説明の時に注意されてたやつ。俺と同じようなひ弱なやつだと思ってた、どうも勘違いしていたようだけど。あいつのどこにそんな力があるのか知らないけど、少なくともぶっ飛ばしたのはあの緑頭らしい。
その後バランスを崩したのかあいつは空から落ちてきた。地面に激突する寸前で参加者の女子の個性らしきもので無事着地した。右腕はぼろぼろ、死にかけのようだ。けれど顔まで死んでない。
「なぁ、あんた」
気づいたら声をかけていた。なんの気まぐれだろうな。ぼ僕?なんて聞き返すから、あああんただよと加える。
「あんた凄いな、あんなデカブツ吹き飛ばしてさ。随分と大層な個性をお持ちなんだな、俺と違ってさ」
八つ当たりだ。そんなこと分かってたけど口から溢れる嫌味は止まらなかった。汚いというかなんというか、なんか惨めだなぁと思った。
「……僕、個性が目覚めたの最近なんだ」
「……は?」
なに言ってんだこいつは? 話を聞く限り本当につい最近個性が発現したらしい。だからコントロールがまだ上手くなくてこんなぼろぼろになってしまったと。なんだそれ、都合が良すぎるだろ。ずっとこの個性と付き合ってきた俺への当てつけか? なんて目の前の自分より年下にも見えるやつを見てると、そんな俺みたいに捻くれた発想はしてないんだろうなと。
「小さい頃は個性なくて、それでいじめられて、ほんと嫌だったよ。でもなにもしなかったわけじゃない。せめてなにかしようって、筋トレとかヒーローの研究とかした。……今思うとどれも稚拙で、大した意味なんてなくて、本格的に意味あるものになったのは最近だよ。でもなにもしなかったわけじゃない。……今回のロボット、1Pとかだったら適当にバットでも振り回せば行動不能にはできたと思う、それくらいの強度だった」
「……そう、なんだ」
「僕がこの試験で手応えを感じたのは間違いなく個性のおかげだ。でも、個性だけのおかげじゃきっとこの先ダメなんだ。立派なヒーローってのは、個性が素晴らしいんじゃなくて、個性以上に素晴らしい何かを持ってるんだよ。……僕が偉そうなことなに言ってんだって話だけど」
ほんとにな。まだ試験を受けただけのくせして、なんともまぁ素晴らしいこと語ってるのか。俺と同じ子供のくせに。けれど、なんかよく聞こえた。
「……あんたの名前は?」
「僕? 僕は緑谷出久」
「……心操人使。名前、覚えとくよ」
「え、あ、うん」
そのあと緑谷は担架で運ばれていった。そういえば重傷者だったな。ぼろぼろで見た目頼りないのに立派なヒーローをもうやってるな、そんな風に思った。
「……帰るか」
なんか見るべきものが見えた気がした。
今更ですが、平ジェネ良かった…
呼ぶ声に応じて助けに来るライダーたちを見て思わず泣いてしまった。
あとサプライズゲストで出演した彼の姿を見て言葉が意味を失い消えた。ただただありがとう、そしてお帰り。それだけでした。
ブレイドのCSMは金がないので断念。
Vシネクローズは賛否両論みたいですね。まだ見てないのでなんとも言えないですが、予告や軽いネタバレとか見る限りだと個人的には因縁の相手と共闘するという展開は好みなので割と興味あり。見たら変わるかもしれないですが。いつか見たい。あとVシネグリスも楽しみ。
バトスピのコラボも2box買ったの受け取りに行かないと。特典スリーブ良すぎだし。ブレイド組みます。
あと活動報告でアイデア募集してるので良かったらお答えください。参考にします。
ではまたいずれ。