普段切り方を気にしてないだろうと言われたら反論の余地はありませんがたまには気にします。気紛れです。
サブタイトルセンスを誰かください。
レーヴァの地の文が少し難しい。
打ち合う度に、受け流す度に手が痺れる。やっぱり剣を握る事に慣れていないと厳しいものがありますか。こっそり剣を振る訓練位すればよかったです。精神世界のようなものとはいえ私自身の本体はこっちのこの身体ですからね。
こちらの私もISの機体と同じく、
お互いに自分の深層部分を見せている状況とも言えるこの場所ならば、記憶の共有すらできるでしょう。しかしそれをするには問題点が少し。
相手の記憶を見るのは問題ないのです。問題は
私は自分の記憶というものがあまりにも曖昧です。この世界で自我を持つまでの記憶は仁のものとほぼ共通。彼が私を手にする前の記憶は持っていませんが、それ以降は仁を通して見ていたというような形で記憶を持っています。
なので私の記憶を見られるという事は、仁の記憶を見せるという事と同義。仁の許可なしで見せるのは何とも言えませんね。束さんは問答無用で覗きましたけど。
「貴様も奴も逃げるのばかりが得意か!」
「そういうそっちは早く当ててみろってんです!」
私は当然仁より剣の速度も鋭さも重さも数段落ちる。代わりに私は私自身のレプリカであるこの炎剣を誰よりも使いこなす事ができる。仁よりも私は私自身についてずっと詳しい。
戦闘は純粋な腕力だけではないのです。仁のように粗くも細かい技術を織り交ぜるのも、楯無さんのように繊細で小回りを利かせるのも1つの力。
それならば私の力は、誰にも剣で負ける事のない仁を見続けてきた事と、この剣の力を引き出しきることができるという事。
準備はとっくにできています。後は私次第。
「そろそろ行きますよ……!」
袈裟気味に放たれた一撃を弾き、痺れる腕を無理矢理振るって残った片方の追撃を受け止める。
「炎よ!」
ナイフを受け止めたままの剣から炎が噴き出す。物理法則なんて完全に無視した、一本の剣に収まっているとはとても思えない量の炎の放出。そしてそれを操る事で空中にいくつもの炎の輪を生み出す。これこそが炎剣レーヴァテインが持つ本来の【炎の刻印】。
炎剣レーヴァテインという剣が私自身であるならば、私から生まれる炎もまた私の一部。仁のように自身への熱を感じる事も無ければ、火傷なんてものも起こり得ない。本来ならば仁も同じように扱える筈なのですが……まぁ今はいいです。
「なにっ!」
「反則とか、ズルいとかは無しです」
彼女の精神体を傷付けて大丈夫なのか確証はありませんが……まぁきっと凄く痛いだけです。ええ、そうです。
「行きますよ!」
思うだけで炎の輪が自在に宙を飛び回る。あらゆる方向から確実に相手を倒すために襲い掛かる精密な操作。さぁ、このままではあっさり輪切りですよ。
「くっ……この程度!」
同時に飛来する3つの輪を後ろに飛び、そこに既に飛んできていた2つの輪を屈みながら横に飛んで回避。更に追う形の4つの輪をナイフで迎撃しながらもう一度後ろに飛んで避けられる。
しかし操作権は私にある。イメージインターフェースのようなもので私が思いさえすればそれらの輪は自在に動く。
「チィッ!」
後ろに飛んだ事で追撃の輪は全て彼女の前方から飛来する。
「舐めるな!」
やみくもに振られた彼女の両手のナイフから光が溢れる。その光の刃が触れた炎の輪は両断し、そのまま宙に四散する。がむしゃらというように光の刃を持って炎の輪を全て叩き落してから彼女はハッと両手に眼をやる。
「なんだこれは……プラズマ手刀だと……?」
半分はレーゲンの世界。つまりレーゲンの操縦者である彼女はレーゲンの武装を呼び出す事ができる。という事でしょうか。現状のレーゲンの状況を鑑みるにレーゲンが力を貸せるとは思えませんし。無意識化ではあったようですが。成程、中々どうして……。
「……面白くなってきましたね」
時間はないのだから手を抜く事は有り得ないけど、そんな戦いでも楽しめそうです。思えば仁は強い相手との戦闘は好きでしたね。私が似るのも仕方ないです。
「なんでもいい。使えるものがあるならば使うまで!」
「ほら、楽しみましょう」
「貴様を叩き潰す事に楽しみなどいらん!」
「殺し合いでもないのに純粋な敵意だけなんて勿体ない」
クルクルと手首を使って手の中でバトンのように炎剣を回すと、剣から出た赤い炎が空中に無数の炎の球となって浮遊する。
ポポポポポポという音と共に私の後ろに生まれていくそれらは炎の弾幕となって広範囲を埋めながらそれぞれ緩急のあるスピードで襲い掛かる。一色の弾幕だけではアイーシャさんの薔薇の吹雪ほど綺麗ではありませんが、及第点でしょう。
「今度は、どうしますか?」
「ええい数ばかりが多い!」
今度は彼女の腰に光が灯り、すぐに形を持つ。レーゲンの機体に搭載されているワイヤーブレードの射出機だ。両肩のものは出せていないため左右二対の4つのワイヤーブレードが空中を踊る様にあらゆる軌道で弾幕を迎撃する。
しかしその程度では弾幕を潰しきれない。すり抜けたいくつかのものをナイフで弾きながら兎のような機動力で回避していく。
「数ばかりで威力もない……ふざけているのか!」
「まさか。これが私の戦い方です」
剣術に自信が無いのなら自身の力を活かすしかない。それに威力は敢えて抑えているだけです。
さて、そろそろだと思いますが。
「痛っ……ぐぅ……」
突然ボーデヴィッヒさんが膝をつく。勿論私は何もしていません。
「貴様……何をした」
「私は何もしてません。気付いていなかったのですか?」
「なにがだ……!」
「向こうで貴女が今振るっている力は貴女の身体への負担を完全に無視して無理矢理動かすもの。貴方が意識を取り戻してもそれに頼り続けた今、貴女の身体は既にダメージを多く負っています。精神へのフィードバックが発生する程に」
「それが……どうした。強大な力を得られるのならば、その程度の代償……甘んじて受けてやる」
「貴女が貴女で無くなりますよ。心までも織斑千冬の紛い物に染まってしまう」
「教官に近付けるのならば私程度がどうなろうと知った事ではない! 教官のように凛々しく堂々とし、圧倒的な力を持つものが全てだ。それが遺伝子強化試験体C-0037の、ラウラ・ボーデヴィッヒにとっての全て! 力を持たねば私は無価値なのだ!」
立ち上がり、ナイフを握りしめて切りかかって来るのを受け止める。力が抜け始めているのかナイフは一本を両手で握っている。
この世界での彼女は精神体。本音を隠すのは難しく、感情は肉体よりも表に出やすい。それが彼女の今の言葉に繋がったのでしょう。
そして私はそれを聞いて決めました。見てやろう。見せてやろうと。
どうせ切り合っているだけでは埒も空かないのです。お互い時間もあまりない様子。仕方ないでしょう。彼女のプライバシーとか、もう知りません。怒りました。
力だけが全てだというのならば、彼女がどれだけ暖かい場所にいるのか、思い知らせてやろう。
慕ってくれる人間がいるというのがどれだけ救われる事なのか、思い出させてやろう。
腑抜けと罵倒した男が、どれだけの暗い世界を経験して来たのか、見せてやる。
たかが十数年を生きた程度で、全てを語るなどまだ早いと、突き付けてあげましょう。
本来私がこの世界で知り得ない事でも、私は彼女の事をこの世界で知った以上に知っている。仁よりもずっと。だからこそ私が彼女の心の隅を突いてあげましょう。
「ごめんなさい仁……後でいっぱい謝りますから」
鍔迫り合いの今なら、都合がいい。
理論はわからないけど、その現象を思うだけでいい。
――共鳴、開始。
レーヴァは仁よりも少し色々知ってます。彼女にはある事情がありますがいずれ語る時が来るでしょう。
戦闘シーンは実は仁よりもレーヴァの方が書いてて楽しいですね。多彩で綺麗な戦い方はいいですよね。私がそれを書けるかどうかはともかくとしてですが。その点アイーシャも書いてて楽しいです。
クリスマス外伝、書きたいなぁ。何分季節の外伝は書いたことがまるでないからどうしたものか……。
では次回もよろしくお願いします。
感想等お待ちしております。