(仮)強い漢になりたい   作:トーマ@社畜

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ハンターのSSを読み尽くして、辛抱たまらんくなりました。
普段はROM専の読み手です。お手柔らかに。

†ジャンプ展のハンター生原画最高だった…†


原作開始前

強い漢になりたい。

 

この世の全てから、アイツを守れる強い漢に。

 

 

 

 

 

陽日(はるひ)先輩〜〜〜!ありがとうございますッ、先輩の活躍があって自分たちインターハイに出場できます!!」

「…わかったから、くっつくな。暑苦しい」

 

夏、体育館。今しがた終えた団体戦の決勝戦。その選手達と観戦者の熱気で、高校空手競技の県大会会場は地獄と化していた。

 

「この調子でインターハイにも出てくれません?」

相変わらず、俺に寄りかかる後輩にデコピンをお見舞いする。

 

「バイト代3倍だけど?」

「無慈悲」

 

そう、俺はちゃんとした部員じゃない。家が武道場で小さい頃から鍛えられてきたおかげか、せいか。運動神経と武道が取り柄の俺は、色んな部活の助っ人をしている。(金を貰って)

 

「ていうか先輩、何でお金貯めてんすか?」

「…別に」

 

「それ、私も知りたいな」

鈴を転がすような声は小さいながらも、喧しい体育館の中で何故か響いた。周囲の人間が各々の動きを止めてそちらを向けば、絶世の美少女が佇んでいた。

白磁の肌と、漆黒のゆるくウェーブした長い髪、宇宙を思わせる紺とも紫にも見える瞳。日本人離れした顔と身体の造形に、どこか異国の血が混じっているのが分かる。

 

「え、影月(えいき)様!来てくれたんですか〜!!」

名を影月。血を分けた俺の兄妹、双子の片割れ。

 

「別にって言ってんだろ…ん?オイコラ、てめーなんで影月は様付けなんだよ!?」

後輩の側頭部を痛めつけながら問う。俺の妹は、最近やたらと『様』付けされて呼ばれており、当人に理由を聞いてもわからないと言っていた。

「痛っ、ギブギブ!答えるからヤメて!!」

「もう、陽ちゃんったら…」

 

む。影月に呆れられたじゃねーか。

 

痛みが引かないのか、頭を抑えながら後輩は口を開いた。

「いや、陽日先輩だって顔は良いんですよ、顔は。ディ●ニーに出てくる金髪碧眼の王子?RPG主人公?そのものです。けど、影月様のようにそれを生かせているかと聞かれたら答えは100人が100人ともNOと答えますよ。

まず口が悪い、おまけに目つきも。喧嘩っぱやくてすぐに手を出す。イケメンでも雰囲気が輩、しかも重度のシスコン。尊敬出来るのは強さのみ。顔最強で生まれても、所作って大事だな〜と思える残念さ。宝の持ち腐れっすね。

でも、妹の影月様は所作も中身も完璧!オールパーフェクトッ!!近くにいい反面教師がいて、本当に良かったですよ。それが様付けの理由ですかね」

 

ノ、ノンブレスで言い切りやがった…。

 

「遺言はそれだけか…?」

「聞かれたから答えたのに…理不尽っす。あとまだ死にたくないので、俺はこれで!」

 

脱兎の如く逃げた後輩の背から視線を外し、舌打ちをする。

 

「…で、ほんとうはどうしてお金貯めてるの?」

影月が近付き小声で問う。俺の妹マジかわいい。けど、さっきの後輩の言葉を少しは否定してくれ…。

「…お前だけには、絶対教えてやんねー」

 

影月の誕生日プレゼント資金集めですけど、何か???

 

 

 

3℃のリング、高杉ワロエナイ。

まあ、連日のバイトのおかげで無事誕生日前に用意出来たけど。

 

深夜12時丁度、自宅で。

 

「やる。たんじょーび、オメデト」

そう言い、ショッパーを影月に押し付ける。

「! ありがとう。あの…もしかして陽ちゃんこの為にバイトしてたの?」

「ん」

「そっか…フフ。あ!えーっと…私からのプレゼントね、今日の放課後受け取り予定なの」

申し訳なさそうに、影月が視線を迷わせる。

 

「俺も一緒に受け取り行く、一人で行かせたらどーせナンパされんのがオチだろ」

「陽ちゃんてば…。わかった、じゃあ放課後校門で待ち合わせしましょう」

呆れた様に笑う影月が眩しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺してやる…!絶対に………殺す……!!

 

 

 

放課後、店まで来た俺たちはプレゼントを受け取り、帰宅途中にソレと遭った。

無差別テロ。あちこちから上がる火の手と、無数の銃弾。止まない悲鳴。

 

俺を庇って、影月が撃たれた。

 

それから、それから………。わからない、気付いたら目に付くテロリストを次々と殺していた。だけど、何が悪い?俺は、影月の為に強くなりたかった。影月の為『だけ』に。

 

それを奪うクズを殺して何が悪い?

 

「君、大丈夫か!早く救急車を!!!」

「え………」

慌てた警官に声を掛けられて気付いた。自分の腹に開いた穴。そうか…、影月が撃たれた時、俺も…………………………

……………

………

 

 

 

 

 

「いや〜、本当に悪い悪い」

 

「死ね」

「神様に死ねとか、酷い!泣いちゃうよぉ!?」

「むしろ泣け」

 

『神』と名乗る不定形の存在。現実とは思えない、どこまでも続く白銀の世界。もしかしなくても死んだ。唯一の救いは…

 

「陽ちゃん、神様に死ねは言い過ぎだよ!反省はしてほしいけど…っ、な、なんで抱きつくの?」

隣にマイエンジェルがいること。

「抱きつきたいから」

 

「妹君は優しいね〜」

マジで死ね。

「怖!…そう睨まないでよ。安心して、君たちのおかげでこちらの想定より犠牲者が少なかった。こんなこと滅多にないんでビックリしたよ!予想を外した天界のお偉方の顔ったら…思い出しただけでも笑えッ…プググ……!

は、話が逸れたね。そんな君たちだから輪廻の輪に乗せず、特典付きで異世界転生でもさせようかと思って」

「…?普通に輪廻の輪へ、乗れないんですか?」

影月の疑問は最もだ。まあ、知っている世界に輪廻転生するのが気楽でいいよな。

 

「いいけど?でもそうすると特典もないから、二人の魂の繋がりが切れて、赤の他人かつ遠い異国でリスタートってのがお決まりだよ〜」

「「異世界転生で!!」」

 

「アハハッ、流石双子。運動神経は既にいいようだけど、笑いを提供してもらったお礼だ。特典の肉体強化と神様のちょっとしたギフトを贈ろう」

 

その神とやらの言葉を最期に、俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はんたー、はんたー?」

 

原作を知らないのであろう影月…こっちの世界の両親に『リュンヌ』と名付けられた幼児が舌ったらずな口調で俺の言葉を反芻する。ついでに俺の名前は『ソレイユ』だ。

 

そう、よりにもよって俺たちはHUNTER×HUNTERの世界に異世界転生していた。DBじゃないだけマシと自分に言い聞かせるしかないくらい、正直外れの世界じゃないだろうか…。少年漫画なので一応読んでいたが、すげー簡単にモブが死ぬイメージしかねぇ。

この世界でも双子として生まれ、(何故か容姿も前世とあまり変わらなかった)漸く喋れるようになった片割れに大筋のあらすじと、今後の計画を説明する。

 

「だきゃら、ぐりーど・あいらんどでもとのせかいと、もとのきゃらだにもどれるか、ためしゅんだ!」

「え〜…」

「え〜、じゃない!」

大問題だ。元の世界は未だいい、最悪…てか我慢ならないのはこの身体だ!

 

なんで、俺が女でリュンヌが男になってるんだ…?!

 

俺の可愛い妹が弟に…。何が神様のちょっとしたギフトだ!

それを理解したときは三日三晩泣き続け両親を困らせた。リュンヌが気にしなくても俺が気にする!ということで、俺はかわいい弟に女の子の格好を強要している。一時的に男の娘だが仕方ない。俺も男子の格好をしてるしな。…頼まれても女の格好なんてしないけど。

 

来る原作のG・I編の為には、やはりハンターの資格も必須。の、為には念能力の習得が必要不可欠となった。

 

 

 

 

 

なんだこの世界。転生による肉体強化もあるだろうが、修行すればそれに応じてビックリする程簡単に強くなれる。今日も今日とて、俺たちは原作の西暦1999年の第287期ハンター試験目指して修行をする。試験内容を知っているんだ、他の年度を受ける利点は低い。

 

念も基本は習得した。水見式の結果、リュンヌは特質系で俺は変化系だった。(へ、変態ピエロの性格診断とか信じねえからな…!)

 

今は原作開始の3年前、俺たちは今年で12歳だ。こっちの両親が放任主義なこともあり、かなり自由にさせてもらっている。

目下の問題は、発をどうするか。それと…。

 

「ソレイユ〜!俺のサンドバッグやらない?」

「だが断る」

 

二重のギフトなのか(マジでマジで死ね)リュンヌの身体・器の問題なのかわからないが、い…弟は精功が開いた時から二重人格になってしまった。リュンヌと真逆、悪魔のような人格。こいつをリュンヌと呼びたくないので、俺たちは『カゲ』と呼んでいる。

カゲは街でリュンヌが男に絡まれた時や、俺との模擬戦でリュンヌが不利になった時に出てきてはバトルジャンキーを発揮する。

 

それだけが救いだ。カゲはリュンヌや俺より…強い。ピンチになったら現れるダークヒーロー。いや、アンチヒーローか?

 

「あは、断る権利なんてあるわけないじゃん。オネーチャン?」

 

噓だ。

救いなどない。

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