(仮)強い漢になりたい   作:トーマ@社畜

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幕間 ヒソカ=モロウ①

ハンター試験で出会った双子の美男美女。ヒソカはシックスセンスで、彼らが性別とは逆の格好をしていることにすぐ気付いた。ただ周囲は気付いておらず、あまりもそのチグハグなはずの格好が似合っていた為、特に詮索はしなかった。それに、合格判定は与えたものの、ヒソカにとってゴン達やイルミ程の魅力は彼らにはなかったからだ。

 

だが、最終試験でリュンヌが見せた蹴りと、ソレイユが使った念能力…そして、試験後にイルミがソレイユのことを『特別』視していたことが分かり、ヒソカの双子への関心は少しばかり高まった。

 

 

 

 

 

ハンター試験終了後、ヒソカはイルミと共に馴染みの洋服屋へ、傷んだ衣服の修繕に来ていた。修繕の間に貸し出された軽装でイルミと食事に出る。食事が終わる頃には、修繕も出来ているだろう。

 

ステーキとワインに舌鼓を打ちながら、ヒソカ主導で会話が成される。

「キミ、あの双子とはいつ知り合ったんだい?」

「…3年前とかかな」

「へェ…どんな経緯でだい?」 

 

「標的」

 

そう答えると、イルミはまたステーキを咀嚼する作業に戻る。だが、ヒソカはそれどころではない。

「標的って…暗殺のでしょ♥あの双子に負けたの?」

「…勝ってたら、双子はもう死んでる」

「確かに♠」

 

相変わらずの鉄仮面なイルミの言葉だが、ヒソカは身体の中から熱が沸くのを止められない。2対1とはいえ、双子はこのイルミに勝ったのだ。

 

「…ヒソカ。悪い事は言わないから、あの双子に手出さないほうがいいよ」

「それは、キミがソレイユを思っての忠告かい?」

「いや、逆。どっちかっていうと…『『♪〜』』

 

イルミの言葉は携帯の着信音によって遮られた。どうやらお互いの携帯が鳴っているらしく、顔を見合わせてから各々電話に出た。

 

「「もしもし」」

 

 

 

先に電話が終わったイルミに、漸く電話を終えたヒソカが問いかける。

「仕事の電話だったのかい?」

「別。ヒソカは?」

「蜘蛛からの緊急招集♠行けない距離じゃないけど、どうしようかな♥」

「…それ、もしかしてブリオレットダイヤモンドと関係ある?」

「! 大当たり♣」

「だったら行かない方がいいよ」

「それって、煽ってる?」

「全然。行かない方が身の為っていう善意からの忠告」

「どうして…?」

 

一瞬考え込んだイルミが、足下を見て顔を歪ませた。

「憑かれるから」

 

 

 

 

 

イルミと別れたヒソカが向かった先は言うまでもない。ブリオレットダイヤモンドが公開されるというレッドグループのパーティ会場だ。しかし、蜘蛛に連絡も作戦参加もしていない。ヒソカは忠告に半分従い、第三者としてこの場を愉しむことにしたのだ。

 

会場周辺の警備員の中には、それほどの者はいなかった。只の一般人に毛の生えたようなもの。ヒソカは絶で会場周辺が見渡せる木々の木陰に身を潜め、蜘蛛とそれに匹敵する何かを待った。

 

 

 

数十分後、会場にドレスアップした団長とパクノダが入場した。後方からはシャルナーク、フィンクス、フェイタンが続く。3人の格好は普段と変わらない為、今回は裏方なのだろう。

シャルナークは二人と別れ、団長達と別ルートで会場へ向かう。

フィンクスとフェイタンは逃走ルート確保の為か、手早く警備員を殺している。

 

「…期待はずれ♠」

 

あまりにも呆気ない蹂躙の光景に、ヒソカが帰ろうと踵を返したその時、フィンクス達の前にどこからともなくメイドが二人現れた。栗色の髪をした、全く同じ顔の女だ。

 

「「こんばんは」」

「! よぉ…」

「答える必要ないね」

フィンクスとフェイタンが構える。対して、メイドは直立姿勢のままで構えを取らないことが、二人の警戒心を高める。

 

「時間をかけずに拘束しろと」

「主より仰せつかっております」

メイドが交互に告げる。相手を知らないにしろ、自分達がそれを実行できると疑わない口調に、ヒソカは思わず笑みを零す。

 

「じゃ、そのバカな主って奴が誰か吐かせて、逆に捕まえてやるぜ」

「こいつらの首、土産よ!」

 

フェイタンの言葉を合図に、二人が飛び出す。

 

フィンクスが向かって右のメイドに、フェイタンが左のメイド目がけて攻撃を繰り出す。しかし、フィンクスの打撃はメイドの手に突然現れた長い棍棒によって塞がれる。そしてメイドが開いたもう一方の手で、先端が尖った多角形の何かを複数投げつけるが、跳躍したフィンクスに避けられた。

一方、フェイタンは傘で攻撃を仕掛けたが、同じく突然現れた鎖鎌によって防がれ、尚且つこちらは鎖によって傘を絡め取られた。傘が絡まったままの鎖はメイドが手を離すと再び消える。メイドの両手には既に新しい武器、手甲の鉤爪のようなものが装着されており、距離を取る間もないフェイタンの腹部を抉った。

 

「…腹は?」

「見た目ほど酷くないね まだまだ」

後退したフェイタンはそう言うが、腹部からは止めどなく血が溢れている。長くは持たないだろう。

 

「「いえ、もう終わりです」」

 

「…調子に乗ってんじゃねーぞ!こっからが本番だ」

フィンクスが腕を振り回しながら語気を強める。【廻天/リッパー・サイクロトロン】を使うつもりのようだ。

 

「聞こえなかったのですか?」

『キィン キィン キィン』

「終わりです、と」

 

メイドの言葉の合間に、後方で金属が何かに三度ぶつかる音がした。二人が後ろを振り向くと、その音の正体であろう平らな鉄製の武器が地面に食い込んでいる。ただし、狙った様にフェイタンの後ろに三本共だ。

 

「…何を」

当たりはしなかったものの、背後を狙われたフェイタンが口を開くが、言葉は長く続かない。彼の口を黒い触手のような何かが塞ぎ、身体を新たに出現した…第三の茶髪で先の二人と同じ顔をしたメイドに、羽交い締めにされたからだ。

 

「フェイ…!!」

フィンクスがフェイタンを助けようと手を伸ばすが、届く寸前でフェイタンはメイドと共に黒いコールタールのような物質と化した地面に、沈んで消えた。

 

「…卑怯モンが……!ぶっ殺してやる!!」

フィンクスが途中で止めていた腕を再度振り回しながら突進する。これで恐らく6…7回目だ。膨れ上がったオーラの打撃が並び立つメイドを襲う。

 

はずだった。が…、

 

 

 

【廻天/リッパー・サイクロトロン】は、メイドの前に出現したパクノダによって防がれていた。

 

「パク…!?」

 

フィンクスの顔が驚愕に染まる。彼の攻撃によってパクノダの右胴体の大部分が失われ、暗い地面を鮮血が覆っている。パクノダに意識はないようで、目を開けることも口を開くこともなく、ただ残った身体の方はビクビクと痙攣している。

 

「この盾、『パク』というのですか?」

「盾にしては過ぎた名」

「いえ、穴が開いては最早粗大ゴミでしょう」

 

何度目のいつの間にか、二人から三人になったメイド達が微笑を携え談義する。一方、フィンクスの顔は怒りが限界を突破したのだろう、赤でなく最早白に染まっている。

 

「コロスコロスコロス…!!」

 

「あら、お気付きでないのですか?」

「貴方は先ほどの交戦で」

「既にこちらの手中ですわ」

 

メイドの言葉に、フィンクスと端のメイドの攻防を思い出す。初撃が防がれたフィンクスが反撃を上に跳躍して避けた。その時も、投げられた武器によって金属音は鳴ったのだ。もしかして、三回…いや、絶対に三回。恐らくこのメイド達が使う念能力の制約の一種。

それがフィンクスの頭にも浮かんだのだろう。捨て身でメイド達へと拳を振り上げる。しかし、やはり条件をクリアされたフィンクスの身体に瞬時に黒い物質がまとわりつき、その身を締め上げた。

 

「く、くそがああああああああああああああああああああああ……………」

 

絶叫も怒りも、フィンクス自身も、抵抗虚しく漆黒に呑み込まれた。

 

メイド達はフィンクスが呑み込まれたのを目視で確認すると、一人は小声で耳元のインカムで連絡を取り、一人はパクノダ_壊れたゴミを影に投げ飛ばす。そして残りの一人が血で汚れた地面を影で覆う。覆われた地面は影が離れれば、血などなかったかのように掃除されていた。

 

そして作業を終えた三人が、何かに反応した様子で一斉に同じ方向へと頭を垂れた。

前方から歩いてくる人物の一部をヒソカは知っていた。メイドの仲間であろう執事の青年と、ハンター協会の副会長、そして女装を解いてラフなシャツとジーンズに身を包み、髪を一つに束ねたリュンヌ。

 

「お疲れサン」

 

リュンヌが片手をあげてメイド達を労う。メイドの主人で、蜘蛛を間接的に捕縛したのは彼ということだ。それに、ハンター試験中とはまるで人が違う。目は爛々と輝き、口元は愉快そうに弧を描いている。雰囲気も柔和なものから、横柄で尖ったものに変わっている。これがリュンヌの素なのか、はたまた一面か。

 

メイドの一人が一歩前にでる。

「侵入者の内、交戦で一人が重症。一人が瀕死の状態です。如何致しましょう?」

 

メイドの言葉に、リュンヌが副会長を仰ぎ見る。視線を受けた副会長は笑って頷いた。

 

「元から本命以外は、興味ないんだと。4人はそうだな…遊んだ後、治してやれ。事後処理は普段通り。眷属にはしない、ただ影は外すな。夜は長い…たっぷり可愛がれ♪」

「「「畏まりました」」」

 

「行け」

 

一礼したメイド三人は、彼女達の足下の影へと消える。

 

「イィ…!」

ヒソカが小声で呟く。最高、…いや最高なんて言葉では足りない。ヒソカの昂りはどんどん強固なものになっていく。

最初はメイドの三人の内、誰かが影のようなアレを使っていると思っていた。だが、実際に操っているのはリュンヌだろう。メイドはその駒でしかない。イルミの忠告は、恐らくあの時かかってきた電話がリュンヌからの呼び出しか何かであったこと。そして「憑かれるから」という言葉は、あの影が起因しているとしか思えない。

 

「で、さ〜〜〜。そこにいるピエロ、お前ただの傍観者か?それなら別にいいんだけど、もう違うだろ?」

「!」

 

バレているなら隠れていても意味はない。ヒソカは木陰を出て、3人の前に出た。

 

「やぁ♥リュンヌ」

「お〜…えっと」

「…ヒソカだよ♦」

「あ〜。そんな名前だったな!…ここに来たのはイルミの差し金か?」

「いや?彼は寧ろ忠告してくれたんだ♥まあ、元々仲間から招集されていて来るか迷っていたんだけどね♠…来て本当に良かったよ、とてもいいものが見られた」

「それで勃起してんの?うは、変態だな」

 

「んで…」

リュンヌの視線が鋭くなる。

 

「その仲間ってのが、さっきの侵入者ってわけか」

「…ご名答♦黒髪の男がいただろう?彼は返して欲しいんだ♠」

「そういうことか…。えーと、な。数日中に返品すっから、発散するならこいつらと遊んでろ」

 

リュンヌが指差した先には、フィンクス達が殺したはずの警備員の内、二人が立ち上がっていた。それぞれ瞳が緑と青に光っている。

「まったく、死人に憑依させんでも…」

「こっちの主に何を言っても無駄でしょう?」

「うむ…」

 

「そそ。諦めは大事、ってな。じゃ、頑張れよ♪」

 

リュンヌが副会長と執事を連れて、その場を離れようとする。ヒソカは逃がすまい、とリュンヌ目がけて【伸縮自在の愛/バンジーガム】を貼付けたトランプを投擲し、自身は死体の一人目を倒すべく突撃した。




念能力
【四大精霊のお手伝い/レンタル・エレメンタル】(リュンヌ使用時)
・特質系能力
四大精霊を召還・もしくは己に憑依させその能力を使用できる。
憑依状態では精霊の属性によって瞳の色が変化する。精霊は同時に2体までしか召還・憑依できない。また、相反する元素も同時に召還・憑依できない。
<制約>
召還時:精霊が自身から遠くへ行く程オーラが減少する。憑依時:自我が薄い為、精霊の個性が前面に出る。

【四大精霊のお手伝い/レンタル・エレメンタル】(カゲ使用時)
・特質系能力
四大精霊を召還・もしくは己、自身の眷属、意識のない人や動物に憑依させその能力を使用できる。(死体も可)
憑依状態では精霊の属性によって瞳の色が変化する。精霊は同時に2体までしか召還・憑依できない。また、相反する元素も同時に召還・憑依できない。
<制約>
召還時:精霊が自身から遠くへ行く程オーラが減少する。憑依時:自身と眷属に対してはなし。意識のない人や動物に憑依させた場合は、召還時同様遠くへ行く程オーラが減少する。
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