(仮)強い漢になりたい   作:トーマ@社畜

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ハンター試験/前編

ザバン市。

どこからみても普通の定食屋で、ステーキ定食・弱火でじっくり…を注文する。

 

「ソーちゃん、よく合い言葉を覚えてたね」

「まぁな…」

男は合い言葉とか、ゲームのバグや隠しデータが好きな生き物なのだ。男に寄って欲しくないから、言わないけど。

 

リュンヌと他愛もない話をしながらステーキを胃に納めると、丁度B100階に到着した。第287期ハンター試験会場の扉が開き、一斉に視線を受ける。

 

クソ、俺の可愛いリュンヌを汚れた目で見やがって…!

 

「じゃあ、ズボン履かせてくれればいいのに…」

というリュンヌの声は無視する。男の娘はミニスカートこれ常識。スウェット素材で、上はグレーのパーカーに白T。下は上と同じ色素材のミニスカート。足下はクルーソックスに黒のスニーカー。

俺は上がリュンヌとお揃いで、下はパンツタイプ。スニーカーは黄色だ。

 

ナンバープレートは俺が269番で、リュンヌが270番だ。

ゴンたち主人公組は、400番台だったか…?仲良くなる必要はないけど、恩は売っても損はないな。なんたって主人公だし。主人公補正万歳。

 

「よっ」

気をつけるのは変態ピエロとキルアの兄…イルミくらいか。あ、あとあのハゲ忍者…

「おい!そこの金髪の兄ちゃん!」

「あ…?」

 

俺を思考の海から引っ張り上げたのは、えーと…たしか

「オレはトンパだ。君たち、新顔だろ?オレは35回も受験しているベテランでね、試験のことなら何でも教えてあげるよ」

「…必要ない」

 

 

 

 

 

<トンパ視点>

99番のキルアが下剤入りジュースを5本も飲み干すのを見て、オレは呆気にとられていた。何なんだ今年のルーキー達は…!だが、どいつもこいつも潰し甲斐があるってもんだ…!

ニヤける顔を抑え、先刻目をつけていたペアルックの若い美男美女のルーキー、その男の方に声を掛けた。入ってきた時は容姿に惹かれた男達からどよめきが起こり(特に女の胸にだ)悪目立ちしていた為、こうして時間を空けた。

 

「よっ」

明るく、気さくに。さもいい人ですよ、という雰囲気で近付く。

「…」

何か思案中なのか、オレの声が届いていないようなので再度声を掛ける。

「おい!そこの金髪の兄ちゃん!」

「あ…?」

 

よし、やっと気付いた。

「オレはトンパだ。君たち、新顔だろ?オレは35回も受験しているベテランでね、試験のことなら何でも教えてあげるよ」

「…必要ない」

 

金髪男はオレの提案を切り捨て、一呼吸する。そして、

「あと俺の妹に声を掛けたり、その缶を勧めたりするな。これは、『お願い』じゃなくて『命令』だ」

「……ッ!わ、わかった!」

 

当てられた怒気に怯む。汗がとまらず、膝が笑う。オレは恐怖で、さっさとその場から離れた。

 

 

 

 

 

<ソレイユ視点>

『ジリリリリリリリリ…』

1次試験管のサトツが開始の合図と共に、試験内容を説明する。

 

原作知識がないリュンヌは、聞き逃さないよう真剣に聞いている。一応、物語のあらすじと共に試験内容を教えようとしたのだが、「聞かない方が面白そう」と言われてしまえば黙るしかなかった。登場人物の詳細についても同様。まっさらな状態で人となりを判断したいとか。リュンヌらしい。

まあ、お互い念能力者だし、危ない場面でリュンヌから離れるつもりは毛頭ない。試験内容は俺が知っていれば十分だろう。

 

 

 

とか、思っていた俺がバカだった。

「オレはゴン!」

「キ、キルア」

「わ、私はクラピカだ」

「はっ、はっ、レ、レオリオといいます。よろしく美しいお嬢さん」

 

「フフ、私はリュンヌと言います。隣は私の兄、ソレイユです。ほら、ソーちゃん!」

「………どうも」

 

「よっしゃー!彼氏じゃなくて兄貴だとよぉ!!!俄然ヤル気が沸いてきた〜〜〜!あと100キロでも走れるぜ!」

「レオリオ…全く貴様と言う奴は…」

 

オイ、俺のブラックリストに載ったからなレオリオ。つーか、ゴン以外全員赤面しやがって3アウトだよ!

 

舐めていた…俺の可愛いリュンヌは前世からコミュ力カンストだったわ…。目立つこの4人に声を掛けない訳が無い。俺としては、恩を売る意外で関わるつもりは無かった。何故って逆ハーレム展開は御免だからだ!なのに!!!

 

がっっっ…つり、レオリオの友達とクルタ族の話を聞いてしまった。

リュンヌが。

優しい天使になんてことを聞かせるんだ…兄貴庇って死ぬ天使だぞ?

 

案の定、リュンヌの目には涙が浮かぶ。

「お二人とも、合格できるといいですね。私、応援しています…!」

「」

 

俺のライフは0だ。

 

 

 

「ヌメーレ湿原、通称“詐欺師の塒”…」

一次試験も中盤、ヌメーレ湿原へと入った。サトツの説明も偽試験官の件もどうでもいい!俺にとって重要なのは一刻も早く、リュンヌをクラピカとレオリオから離すこと…!

 

先頭集団から離れた俺たちを、ゴンが大声で呼ぶ。

「リュンヌ、ゴンが声掛けしてくれたんだ、俺たちも前にいこうぜ」

「…ソーちゃんは先に。私はレオリオさんたちと後から追いかけるから」

「リュンヌ…、私たちのことはいいからソレイユのいう通り先に…」

クラピカが俺に助け舟を出した時、それは起こった。

 

「「「「「ぎゃあああああああ」」」」」

「くっ…」

「ってえーーーーー!!!!」

響く絶叫。俺とリュンヌに向けて投げられたトランプを手で掴む。…最悪だ。

 

「てめェ!!何をしやがる!!」

「くくく♦試験官ごっこ♥」

 

俺は!変態ピエロが嫌いなんだよ!!!

 

歯向かう他の受験生達を、トランプ1枚で倒した変態ピエロこと…ヒソカの目前に残るのは武闘家のような男と俺たち4人。原作通り其々別れて逃げる選択肢から俺の中から消えた。ここでヒソカから合格判定(ふざけんな)を貰わなければ、コイツはヌメーレ湿原の残る道中でも追ってくるだろう。

 

「今だ!!」

武闘家の合図で一度逃げるフリをして、いち早くヒソカの元に戻る。

 

「アレ?君は逃げないのかい♠」

「不本意ながら…、相手してやっからかかってこいよ」

俺は垂れ流しにしていたオーラを素早く纏に切り替え、構えをとる。

 

「ふぅん♦君は使えるんだ…じゃ、少し遊んだくらいじゃ壊れないかな?」

そう言い、投擲されたヒソカのトランプは空を斬る。

避ける必要はない。当たらないと知っているから。

 

「…今のどんな能力?」

「答えるバカはいねーっての!」

 

言葉と共に突進する。ヒソカは生まれ持った戦闘センスか勘か、トランプを投げるのは無意味と察し、迎え撃つように立っている。余裕かよ。全く、ムカツク変態だ!

速度をあげて一気に間合いを詰めると、条件反射でヒソカの右手が出てくる。その右手とヒソカの右胸部に己をあてて釣込み、右足で払い上げる_所謂、柔道の「山嵐」をお見舞いする。

受け身を取る間もなく、ヒソカは地面に叩きつけられた。まあまあ良いダメージ…かと思ったが、ヒソカが伏した場所には【伸縮自在の愛/バンジーガム】がクッションの様に貼付けられていた。…クソが。

 

気色悪い笑みを浮かべるヒソカに、柔でなく剛の二発目をお見舞いしようとしたその時、

「「ソレイユ・ソーちゃん!?」」

「ゲッ…!」

想像以上に早くレオリオと、まさかのリュンヌが戻ってきてしまった。

 

 

 

あとは原作通り、ゴンの介入がありお察しである。一点、もの凄く嫌な一点。

「君たち兄弟も、イイネ〜〜〜♥」との言葉をヒソカが残していったのだ。オイ、リュンヌは俺と同じて纏しかしてなかっただろ?!まさか普通にタイプなんじゃ…

 

鬱だ…ヒソカがリュンヌを………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぉちゃん!」

ヒソカが…

「ソーちゃんってば!」

「え…」

「また考えごとしてたでしょ?もう…」

「わ、悪い。ってアレ…?」

 

な、何故俺は谷にいるんだ…?

「今は2次試験中!ずっとここまで引っ張ってきたんだから!豚は誤摩化せてもクモワシはムリよ。ソーちゃんも行かなきゃ」

ひえ…。ヒソカショックで、トリップしすぎた。ついでに握られた右手を見る。

「…え?なんで恋人繋ぎにするの?」

「なんとなく」

 

ちゃっちゃと卵取れよ、他の受験者!

俺たち?リュンヌのパンチラを狙う輩がいそうだから最後に行くけど?

 

2次試験合格者52名。

 

 

 

 

 

<キルア視点>

飛行船でのジイさんとのゲーム。向こうが全然本気を出してないのがわかり、オレはゴンより先に切り上げた。ゲームでのモヤモヤを、廊下でぶつかった男達にぶつけようとした俺の手が何故か空を斬った。…?!

距離感は間違えなかったはず、それよりさっきから、わずかに兄貴と同じ嫌な気配がする……!

「おい!聞いてんのかボウズ」

 

「聞いてるよな?」

突然誰かが背後に現れ、肩を叩かれる。コイツは…確か、

 

「ソレイユ…?」

「お〜。いいからさっさと謝っちまえよ」

「………悪い」

肩に置かれた手が、熱い。

「ったく、前見て歩けよな!」

男達はそう言って去って行く。

 

肩が熱い…!

 

「キルア、子供は寝る時間だぜ」

手が離れ、同時に嫌な気配も霧散する。

「…あんただってまだ子供だろ」

「ふは、確かに」

苦笑するソレイユを見る。リュンヌの兄貴ってことと、重度のシスコンという印象しか抱いていなかった。だけど、背後を取られた上にあの嫌な気配…。オレはソレイユに対しての警戒レベルをあげた。

 

 

 

<ソレイユ視点>

レオリオたちの近くで眠るリュンヌを残し、夜風に当たろうと俺は廊下を歩いていた。すると前方から殺気を感じた。この殺気は…。

 

想像通りの人物からの出ていた殺気と、それに伴って行われていたであろう解体ショーを防ぐ。血塗れの廊下を歩くのは御免だ。俺の妨害と牽制は、まだ念について知らないキルアを警戒させるには十分だったようで、キルアはそのまま休みに行く。

キルアの姿が視界から消えた途端、死角から投擲されてきた針を掴んだ。

 

「随分な挨拶だな、イルミ…」

俺の言葉を聞き、ギタラクルに扮装したイルミが物陰から現れた。

 

「…アレ?、オレってわかるの?」

「針使いで、キルアに接触したら攻撃してくる奴なんて他に誰がいるんだよ?このブラコンが…!」

「確かに。でもブラコンってのは、遺憾だな〜」

 

ソレイユだけには言われたくない、とか何とか言っているイルミの言葉をスルーする。イルミと知り合った、というか殺り合ったのは俺たちが発の修行をはじめて、それが形になった頃だった。

 

放任主義の両親っていうのはそれに陥る原因が幾つかあるだろうが、家の場合は親が金持ちで仕事人間だったこと。おかげで享受できたもの(主に修行面)が多かったが、金の集まるところには万国共通で自然とヘイトが溜まるものだ。

そんなヘイトを溜めた依頼主は、両親ではなく両親の大切なものを奪おうと、俺たち二人の暗殺をゾルディック家に依頼した。

 

一般人の暗殺だからか、送られてきた刺客はイルミ一人だった。舐められたおかげで、リュンヌと二人でイルミを捕縛することができた。そして、ゾルディック家に連絡を取り、イルミを引き渡す変わりに依頼主の情報を貰った。勿論、リュンヌを殺そうなんていう(危害を加える想像だけでも万死だが)輩は即行で殺した。

 

イルミを捕縛したことか、依頼主を殺したことか。そのどちらが琴線に触れたのかは知ったこっちゃないが、イルミとはそれからたまに戦闘訓練に付き合う関係性になった。

まあ、い…弟愛が強い点においては共感出来る部分も多かったし!

 

「わかってるだろうけど、間違ってもイルミなんて呼ばないでよね。試験中はギタラクルで通すつもりなんだから。」

イ…ギタラクルが念を押してくる。

「わーってるよ。そっちも俺たちの情報ヒソカに売ったりするんじゃねーぞ!」

「…売るまでもなく、もう気に入られてない?何やったの?」

「」

「うわ、面白い顔」

 

うっせー、バカ!

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