あと、リュンヌのもう一つの人格を「カゲ」とカタカナ表記に変更しました。
今後使うかもしれない「カゲの影」という表現が分かりづらいことに今更気付いたので…。
<クラピカ視点>
1次試験で出会ったソレイユとリュンヌ。
第一印象は、2人とも非常に顔が整っていること。そして、ソレイユは人付き合いが苦手、あるいは警戒心からか他者にあまり心を開いていないようだった。一方リュンヌはその真逆で、私たちの話を聞いて涙ぐんだり、応援してくれたり…優しくて性格までも良かった。
2次試験。
試験中にも関わらず何故か呆けているソレイユを、ずっとリュンヌが手を引いて世話していた。…そしてそれはクモワシの卵を取るまで続いた。
3次試験。
トリックタワーで5つの扉を発見した私たちがリュンヌに声を掛けようとした所、彼女はソレイユに手を引かれて行ってしまった。
「リュンヌも誘いたかったな〜」
「つーか、ソレイユってシスコンすぎねぇ?さっさと妹離れしろっての!」
ゴンとキルアが残念そうに言う。
「仕方ないさ…私たちはまだ出会ったばかりで、リュンヌを任せるのはソレイユも心配なのだろう」
その後、マジタニ戦で逆上した私は、別の道を行ったリュンヌにその姿を見られずに済んで…その、良かったと思う。
そして、4次試験が始まろうとしている。
ソレイユとリュンヌのプレートの押しつけ合いで、彼らがお互いに標的であることは明白だ。…少し同情するな。
「リュンヌがお前のターゲットじゃなくて良かったな」
レオリオが顔をニヤつかせて告げる。
「…それは貴様だろうレオリオ」
「ケッ、素直じゃねーな」
私の標的であったトンパのプレートは、レオリオを囮に奪うことができた。残る試験期間、私はレオリオと同盟を組み、レオリオの標的を探すことにした。
そんな中、遭遇したのは標的ではなく___ヒソカだった。
どうにか一枚のプレートで交渉することに成功した私たちは、足早にその場を去った。
<リュンヌ視点>
水場に近付いた受験者を順調に狩った。
今、手元には9枚のプレートがある。原作合格者は避けたが、彼らのターゲットまでは把握できていない。だから余分に狩る必要があった。私にとってはどれも1枚1点だが、誰かにとっては1枚3点にもなるのだ。獲得したプレートの枚数が多い程、それが合格組のターゲットである確率は低いはず。
合格組とコンタクトをとって、その中に彼らのターゲットがいればプレートを渡す…いや押しつけなければ。異分子のせいで不合格にさせるのは申し訳ない。
ウンディーネの憑依を解除し、今召還しているのはシルフのみ。直接のお守りという名の介抱はイルミ君にお願いしたが、2人のいる場所に他者や森の動物を近づけないように、何かが近付けば周囲に突風や小さな竜巻をシルフが起こしている。
そして、ソーちゃんには私のもう一人の人格…『カゲ』による監視の目が付いている。試験中に目を覚ますことはないだろう。
ソーちゃんのことは安心していいが、シルフからの距離が遠いのでその分オーラの消費も激しい。平常時の6割程度のオーラしか使えない。念能力者はソーちゃんと私、それにヒソカとイルミ君くらいだろう。ソーちゃんとイルミ君を除いて、注意するのはヒソカだけだ。
フラグ立てちゃったせいかな…?
興奮状態のヒソカと遭遇した。これを相手するのは面倒だな…と初撃を躱す中、ヒソカはゴンにプレートを取られた。うん、これはゴンが凄い。念も覚えてないのに気配が全くなかった。
「ちょっと待っててくれるかい?」その声と共にヒソカはゴンを追って行った。
ソーちゃんの話では、ゴンは物語の主人公。多分、助けなくても乗り切れるだろう。ヒソカの表情も殺気だったソレとは変わっていたし。だけど、大人しく待ってオナニー宜しくヒソカの発散相手になる義理はない。
【四大精霊のお手伝い/レンタル・エレメンタル】発動。森の中なら地属性のノームさんを憑依させるのが最適だが、生憎風属性のシルフと相反する元素だから呼べない。
残る1匹と1人。残量オーラと、憑依させた後のことを考える…。
ヒソカに殴られたのだろう、頬を腫らしたゴンが地面に伏していた。
「リュン…ヌ…?」
「はい」
「どぅ…して、あ…そっか。さっきヒソカに…アレ、目が青い…?」
「話は後でしましょう。これを飲んで、今はお休み」
ゴンの口元にウンディーネ特製の水を運ぶ。回復力を持ったポーションのようなものだ。それを抵抗せずに飲んだゴンは、そのまま眠りについた。
ほっとしていると、先ほどの場所から「アレ?いない♠」というヒソカの声が聞こえてきた。憑依で五感が鋭くなるのも考えものですね…。
翌日にはすっかり身体が回復したゴンと別れた。精神面は私がどうこう出来るものじゃない。
その後、何人かの原作合格者に会った。その中で、私の持っていたプレートが当たりだったのは、ボドロさんとハンゾーさん、そしてキルアだった。
ボドロさんは、すぐにプレートを受け取ってくれたが問題はハンゾーさんだった。…ヤモリ?イモリ?…とにかくそんな名前の兄弟2人。彼らのどちらかがハンゾーさんのターゲットだったのだろう。彼らを尾行していたハンゾーさんに、私の狩りの瞬間を見られた。それから、すごく警戒されている。その為にもボドロさんにプレートを渡せて良かった。
少しは警戒が緩んでいるはず。
「ハンゾーさん!」
と、彼が隠れている方向に向けて声を掛ける。数秒後、ハンゾーさんが現れた。
「…まさか、ずっと気付いていたのか?」
「フフ」
笑って誤魔化す。
「…チッ、でなんだ?オレにもプレートをくれるってのか?」
「はい」
「…!?それをお前がするメリットはなんだ?」
狩りの瞬間を見られたのが痛いなあ。善意なんだけど、そう言っても信じてもらえないだろう。だからあえて満面の笑みで返す。
「私の自己満足です」
「〜〜〜ッ!…分かった。正直、戦わなくて済むんだから、オレにはメリットしかないしな。オレの標的は197番だ」
「ありがとうございます」
う〜ん。チョロい。ハンゾーさんの将来が心配だ。
そして、キルアとは彼が198番と交戦中に遭遇した。私に気付いたキルアは遊ぶのをやめ、198番に手刀を入れ昏倒させた。198番がターゲットと一番違い、と聞いてその数字に私は思い当たり、やはり持っていたので198番と199番のプレートを交換した。残るプレートは7枚。譲れるのはあと1枚。
その日はキルアと一緒に食事をとった。会話をしていくうちにキルアがソーちゃんを苦手にしていることがわかった。…ソーちゃん、何やったんだろう?私の勘だけど、2人はとても気が合うだろうに。勿体ないと思って、ソーちゃんについての話を色々した。
夜は交代で見張りをし、睡眠をとった。このところまともに寝ていなかったので有り難かった。
<クラピカ視点>
試験最終日になっても、レオリオの標的であるポンズは見つからない。一旦スタート地点まで戻るとゴンに会った。私たちがレオリオのターゲットが見つからない話をすると、ゴンが「あ!」と声をあげる。思い当たる節があるようだが、確信はないらしい。
「持ってるかもしれない人の所まで行くけど、間違ってたらごめん」
と、珍しくゴンは自信がないようだ。しかし、藁にも縋る思いだった私たちは、迷わずゴンに着いていくことにした。
相変わらずの並外れた嗅覚を持って、誰かの匂いを辿っていくゴンが行き着いたのはゼビル島の東側、その中心部。見晴らしがいい場所だ。受験者たちの多くは避けるだろう。
「ここで待ってて!」と、ゴンは私とレオリオを茂みに残し近くに生える一番大きな木の根元まで行くと、「リュンヌ!」と叫んだ。リュンヌだと…?
ゴンが叫んで、僅か数秒。
「ゴン、私に何か用ですか?」
リュンヌが上から現れた。こ、こんなに高い木の上にいたのか!
「匂いがここで途切れてたから、いないかと思ったよ」
「すみません、上で風に当たって…ってゴン、凄い嗅覚ですね?それとも私、そ…そんなに匂うでしょうか」
「ううん!香水のいい匂いだよ。それでね、この前会った時リュンヌ沢山プレート持ってたけど、その中に246番のプレートってある?」
「ありますよ。誰のターゲットか結局分からずじまいで、もう諦めようかと」
そう言って、リュンヌは上着のポケットから246番のプレートを取り出した。
「「!!」」
確か、リュンヌのターゲットは269番のソレイユ。それに今のゴンの言葉からすると…過剰にプレートを狩っていたことになる。
「行こうぜ!クラピカ!」
「あ、ああ…」
標的のプレートを前に興奮した様子のレオリオ。私は動揺を抑えるのに必死だ。
そして、レオリオは何の問題も無くリュンヌにプレートを譲って貰った。リュンヌはと言えば、「あと6枚あるから大丈夫です」と告げる。ということは、リュンヌ自身のプレートはソレイユに譲って、彼女は1枚1点のプレートを6枚狩ったことになる。
3次試験は合格1号、4次試験では少なくとも7枚のプレートを集める…リュンヌは私が思っているよりきっと強い…。
「そういえば、ソレイユは?」とゴンが聞くと、リュンヌは笑った。
「夢の中です」
4次試験終了の汽笛とアナウンス。それを聞き、私たちは4人でスタート地点に向かう。
既にスタート地点には何人かの合格者が集っていた。キルアも既に集合しており、私たち4人が一緒なのに気付くと「オレだけ仲間外れかよ!」と拗ねてしまった。私たちが拗ねたキルアの機嫌をとろうとしていると、
『ドドドドドド…!!!』爆音と共に大地が震える。
「なんだぁ、この音は?!」
「1次試験の豚よりすげーぞ」
レオリオとキルアが声をあげる。森の中から聞こえるその爆音は、徐々に近付いてくる。私も含め合格者たちは皆、音のする方へ目を向ける。
「リュンヌ~~~~~!!!」
爆音の正体は、…ソレイユの足音だった。
姿が見えたと思った瞬間に、隣のリュンヌにぎゅうぎゅうと抱きついている。
きょ、兄弟愛だな。試験中はずっと離れていたのだろうか?なら熱い抱擁も仕方ないか。
………な、長過ぎでは?
「ソ、ソレイユ。あまり強く抱きしめるとリュンヌが苦しいのでは?」
「…リュンヌがそう言ったか?」
「嫌…だが傍目でみていてそう感じて「なら黙ってろ」
キツく睨まれる。
「もう、ソーちゃん…。ごめんなさい、クラピカ。あと苦しくないので大丈夫です」
「聞いたか?聞いたな、バーカ!」
そう言って、更にぎゅうぎゅうと…ついにはリュンヌの膨よかな胸に顔を埋める。わ、私の口は引き攣っていないだろうか…?
「って、パフパフってる場合じゃねえ!」
と、ソレイユがリュンヌの肩を掴み正面から見つめる。
「よくもぼくをォ!!だましたなァ!!」
続く口調に若干の演技を感じる。騙したとは何のことだろうか。
「…言い訳があるなら言ってみろ」
そう言うソレイユの表情はふざけたものから一転して、怒りがありありと伺える。
「ごめんねソーちゃん…。言い訳なんてないよ。お詫びに私にできることなら何でもするね」
「……」
言い訳できない程の裏切り…と、聞き耳を立てていた周囲の空気も張りつめる。
「マ?ktkr……は、反省してる?もうしない?」
「うん」
「じゃ、じゃあ…」
「じゃあ?」
静寂が辺りを包む。
「ナース服で膝枕&耳かきオナシャスッ!!!」
おいシスコン。この空気、どうしてくれる!?