(仮)強い漢になりたい   作:トーマ@社畜

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ハンター試験/後編②

<ソレイユ視点>

最終試験前、面談。

いや、まずいことに気付いたぜ…。

 

俺、図らずしも1~4次試験でほとんど他力…というかリュンヌ本願で試験をクリアしてね?

見せ場一個もないんじゃ…?

 

『受験番号269番の方、お越し下さい』

 

 

 

「青い顔をしておるが、何があったんじゃ?」

俺の顔を見たネテロが、髭を触りながら問う。

「これから起こるっつーか…」

「?」

「いや、こっちの話」

「なら良いが…、っと後もつかえておることじゃし、いくつか質問させて貰って良いかな?」

「ドーゾ」

 

「まず、なぜハンターになりたいのかな?」

「資格があると、今後都合がいいから」

こういうハンターになりたい!と噓を言っても見透かされるだろう、考えるだけ時間の無駄だ。

 

「9人の中で今一番注目しているのは?」

「270番(リュンヌ)」

「…では、9人の中で今一番戦いたくないのは?」

「270番(リュンヌ)」

「」

ジ…ネテロ!その憐れむような目はヤメロ!!!

 

 

 

 

 

最終試験の1対1トーナメント。

俺は右のブロックの一番端、即ちほぼドベの評価を受けていた。予想はしてても、やっぱ目にするとちょっと凹むな…。リュンヌはというと、左のプロック、ゴンとハンゾーの次で3番目にいい成績だ。さすが俺のい…弟!(ていうか、ハンゾーは何故原作と違い2番目の成績に落ちてるんだ?)

 

原作通りゴンが勝利したゴン対ハンゾーの試合。見てるこっちが疲れるわ…。

 

そして、ハンゾー対リュンヌの試合。

「行ってくるね」

「ん」

前にでるリュンヌに片手をあげて応える。

 

「4次試験では世話になった…が、悪いが容赦はしないぜ。ここは水場でもないしな」

 

ゴンに負けて急いているのか。水場…ということはウンディーネの狩りを見たのだろう。水面に近付いた標的を水中に引き込み、溺れさせる。抵抗すればするほど体の穴という穴から水を侵入させる…アレ、やられる方はめちゃくちゃ苦しいし、見た目にもエグイよなぁ……。い、嫌なこと思い出した…!

 

「お気になさらず。前にも言いましたがあれは自己満足ですので」

「そうか…じゃ、心置き無く勝たせて貰うぜ!」

リュンヌの言葉にハンゾーは、勝利宣言で返す。

 

「頑張れリュンヌー!!!」

外野からレオリオの激励が飛ぶ。

「ソレイユは声を掛けなくていいのか?」

何故か俺にクラピカが尋ねる。

「…必要ない」

「それは…「始め!!」

まだ何か聞きたいことがあるのか。しかし続くクラピカの声は、審判の合図に掻き消された。

 

合図と共にハンゾーが攻撃を仕掛ける。ゴン戦で見せた仕込み刀は仕舞ったまま。容赦はしない、といっていたが…やはり女(男の娘だが)には刃物は向けないようだ。甘いな。刀を使えば、あと数十秒は稼げたのに。

 

突進したハンゾーの正面からの手刀をリュンヌは余裕の表情で避ける。

驚き、引こうとしたハンゾーの顎をリュンヌの蹴りが掠めた。

「ッ、あぶね…ぇ……?」

ハンゾーの膝が揺れ、地面についた。顎を掠めただけのはず、という困惑がありありと伝わる。

ハンゾーは見えなかったのだろうが、ギャラリーの何人かには見えたのだろう。それが…ハンゾーの顎を掠めた蹴りが一撃でなく、角度をかえて三撃だったことに。気付いた奴らのリュンヌを見つめる目が鋭くなった。

「気分最悪でしょう?脳みそがグルングルンゆれるように蹴りましたから」

ハンゾーがゴンに言った台詞とほぼ同じ…リュンヌの皮肉混じりの言葉を聞き終えないうちに、ハンゾーは意識を失った。

 

「勝者、リュンヌ!」

審判が宣言してもまだ目の前の光景が信じられないらしい。レオリオ達は目を剥いて驚いている。

 

「やっぱり、この格好のせいで舐められてると思う…」

むぅ、と頬を膨らまながら俺に話し掛けるリュンヌかわいい…

「聞いてるのソーちゃん!」

「お、おお…ごめんごめん」

「も〜!」

 

リュンヌが腹を立てるのも当然だ。…前世で、男の身体というアドバンテージがあっても俺対影月との勝負は五分五分だった。それほど生まれ持った戦闘センスが違った。それが今世ではそのアドバンテージすらなくなったのだ。今の俺対リュンヌとの勝負では3割勝てるかどうか…。

そんなリュンヌが日々の戦闘訓練で満足しているはずがなかった。やっと訪れた戦いのチャンスでハンゾーに手刀という温い攻撃をされ、舐められた怒りと楽しめるレベルでないと判断した結果があの蹴りなのだろう。

そんなことを考えていると、「やっぱり聞いてない…」とリュンヌが呟く。失礼な、今日は聞いてたぞ。

 

声に出ていたらしい、「今日は…そう……」と応えるリュンヌの携帯が鳴った。

電話の相手は家の会社の奴だったらしい。ネテロに許可を取り「ソーちゃんがんばってね。あとハンゾーさん、次の試合までに起こしてね」と言葉を残して、リュンヌは退席した。

だけど、俺の合格は試合前に決まっている。

 

ギタラクル対キルア

ボドロ対レオリオ

 

まあ、試合もなくなるし。キルアには悪いが、顔なじみのよしみでイルミの肩を持った。だから。

キルアがボドロを突き刺す瞬間に、【虚な光/イリュージョン】を発動し、狙いの心臓からわずかにずらす。

キルアがその場を立ち去ったのを確認して、俺はボドロに駆け寄る人波を押しのけてボドロの背に手を当てる。

 

止血完了っと。

【全ては光から生ず/バース・ライト】で熱してくっつけただけの応急処置。熱で傷跡が爛れるから、あまり見た目がよくないのが欠点だな。

 

「な…今の、どうやって?」

「いや、だがさっきのキルアの一撃は心臓を…」

レオリオとクラピカが口々に言う。

「…企業秘密ってことで。心臓は大丈夫だ。胸に手当てて確かめたら、病院に連れてくんだな」

俺の言葉に、レオリオはボドロの心臓が動いていることを確認し、驚く周囲と共に彼を運びだした。

 

 

 

最終試験(俺は不戦勝)が終わり、キルアの不合格を不服とした議論が会議室で行われていた。

俺の左隣には安定のリュンヌ。そして右隣には…

なんでイルミが俺の隣に座ってやがる…?

 

「オイ、なんで隣に座るんだよ。皆が変な目で見てるだろーが!」

特にレオリオとクラピカ。そしてヒソカとかヒソカとかヒソカ…!!

 

「? いいでしょ。試験も終わったんだし」

そう言って、右腕を掴んできた。Why?

「良くないです。ソーちゃんが迷惑してます!」

そう言って、今度はリュンヌが左腕を掴んできた。最高かよ。

「あ~あ、バイト疲れたなあ。あれがなきゃ、ぐっすり最終試験まで眠れたのに」

「うぐ…そこを出されると痛いです」

それはリュンヌだけじゃなく俺も痛いわ…!

 

そんな中、目覚めたゴンが会議室に現れた。

イルミと一緒にいる俺たちに一瞬眉を寄せるも、怒りは収まらないようだ。

 

「お前に兄貴の資格ないよ」

「? 兄弟に資格がいるのかな?」

ゴンの力でイルミと共に引っ張られそうになる。左腕にはリュンヌの手が尚も絡んでいる。…はあ。

仕方なく、イルミを引っぱり返した。

「…ソレイユ?」と、ゴンは怒りを孕んだ真っ直ぐな目で問う。

「ゴン…お前が怒るのは勝手…というか無理もない、いや寧ろ当然か?けど、今ソイツを力のままにされると俺たちまで巻き添えくらう」俺はそう言い、イルミが掴んだままの俺の左腕を指差した。

それに今の今まで気付かなかったのだろう、ゴンは俺たちに謝った。そしてイルミの手は握ったまま話を再開する。

 

結局、会議でキルアの不合格は覆らず、俺たち双子と治療でこの場にいないボドロを含めた10人がハンターとして認定された。

 

 

 

 

 

ヒソカと話に行ったイルミが俺たちから離れたことで、ハンゾーがこちらに駆け寄ってきた。ハンゾーは名刺と共に営業を繰り広げる。コイツ…リュンヌにあんな簡単に足蹴にされたのにメンタル強いな。

 

「もしオレの国にくることがあったら言ってくれ。観光の穴場スポットに案内するぜ」

ジャポン…普通に行きてぇ。

「ジャポン行きてぇ…リュンヌは?」

「私も行きたいです!会社の仕事がなくて3人の予定が合う日ならいつでも」

「本当か!じゃあ、その仕事ってのが終わって休みが取れそうなら連絡くれ」

「「OK」」

「それと…もしあんた達に頼みたい仕事がある時は連絡してもいいか?」

ハンゾーの顔が真剣なものになる。

「…リュンヌは分かるが、なんで俺も?お前の前で特に何かした覚えはないぞ…」

「? ソレイユも武人だろう?試合なんか見なくても、2人のちょっとした動作でわかるさ。滲み出てると言えばいいのか…」

「おま…それでなんでリュンヌに舐めてかかったんだ?リュンヌは俺なんかより数倍強いぞ」

「そんなに…!?い、いや…返す言葉もねえ…」

ハンゾーは案外話の合う奴だった。やっぱ故郷が似ているから、近しいものを感じるのだろうか?

 

ハンゾーとの会話を終えた所で、ゴンたちが遠慮がちに近付いてくる。

「? 用があるならさっさとしろよ」

見かねて声を掛けると、3人は少しばかり緊張を解き、初めにクラピカが口を開いた。

「その…2人はキルアの兄と、…どういった関係なんだ?」

まあ、それが気になってるのは仕方がない。

 

「丁度いい喧嘩相手」

「ビジネスライクかつギブアンドテイクの関係です」

俺とリュンヌの言葉に、3人は大きく息を吐く。

なんだ、友達だとでも思ってたのか…?

「リュンヌもキルアを連れ戻しに行こうよ!」

なら問題ないよね、とでも言うようにゴンが宣った。

おい…?

「ん~…、行きたいのは山々なんですが、実家の仕事の手伝いが溜まってるんです」

そうそう。頭の良いリュンヌは最近、両親に多くの仕事を任されている。

「だからソーちゃん、ゴン達をよろしくね!」

 

ちょっと何言ってるか、ワカンナイ。

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