東方半鬼伝   作:りすも

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誤字等ありましたらよろしくお願いします。

戦い描写はやはり難しいですね。作者としては難関です。

今作登場キャラとしては妹紅は出ない予定です。完結して暇があれば書きますが…


4話

ある日、里ではいつもとは違う緊張感が走っていた。自警団はいつもよりも武装を強化しており、賑わっているはずの店には1人も客がいない。

慧音が住む寺子屋も同じであり、子供たちはおらず彼女しかいない。

 

それは何故か?

 

里をほんの少し出て山菜採りをしていた男が一昨日妖狼に襲われたのだ。

また、自警団が山の麓で大量の群れを成している妖狼を見つけたのだという。

 

その光景はここ連日で見られ河童によると里への進行を準備しているらしい。

その為いつでも対処ができるようにしているのだ。

 

 

「ふぅ…これじゃ里の運営もままならないね…

客も来ないし…活気もない。このままこんなことが続いちまうと本当に明日食えるかの状況になっちまうな…。」

 

 

団子屋の店主が独り言をしているのを偶然耳にする慧音。

彼女の予想としてはこのまま人間が疲労していくのを待っているのではないかと考える。

そして里の外にいる秋の助と霞のことを心配するが、あの二人には心強い護衛がいるから大丈夫だろうとほっと胸をなで下ろす。

 

ふと正面の門に目を移すとはっきりとは見えなかったが妖狼のようなものがこちらをじっと見つめていた気がした。

 

 

「さて…どうしたものか…。このままでは妖狼の思い通りかもしれん。何か行動を起こさないとな…。」

 

 

そう思って食料を片手に門を出ようとする。

門番達は一瞬止めようとするが、慧音を見てどうぞと通すが『すぐ帰ってきてください』と釘を打っておく。

 

慧音は『あぁ』と礼をして門を出る。

いくら強力な護衛がいたとしても食料は私が持っていかないと尽きてしまうだろう、と脚早々に秋の助と霞の家へ向かう。

 

運がいいことに妖郎に絡まれることなく家に到着した慧音だったが、それまでに何度も妖狼の視線を感じた。

これは近々攻めて来るな…と思い早急に手を打たねばと心を固める。

 

 

「っ!?」

 

 

一瞬殺気を感じ、身構えると家の前には胡座をかいて座っている青群がいた。

彼女は慧音を見ると『なんだ慧音か…』と殺気を抑える。

 

 

「妖狼か?」

 

「あぁ…私はこの家の護衛だからな…。何がなんでも守ってみせるさ。」

 

 

そして、慧音が家の戸を叩くと霞が出てきて笑顔で中へ迎える。

中に入ると秋の助が必死で御札を作っており、霞もすぐに作り出す。

その光景を見て『あまり心配はいらないか…』と安心する。そして2人の周りをハイハイで歩き回る楓を持ち上げる。

 

 

「お前達…用意周到なのはいい事だが、楓としっかり遊んでやれ。この時期はしっかりと親が構ってやるべきだ。」

 

「え?あぁ!すみません先生…。でもやはり最近のことを考えるといてもたってもいられなくて。」

 

 

慧音は霞に楓を預けるとため息を1つ吐くが、その顔は穏やかであった。

そして、2人に食料を預けると『またな。』と里へ帰っていく。

途中で青群が『気を付けろよ』と言ってきたため、慧音も『しっかり守れよ』と返すと少しではあるが青群の顔が綻んだ。

 

 

帰り時も視線は感じられたものの襲われはしなかった慧音。

 

そして自警団に妖狼の視線が多くなっていることを伝えると彼等はすぐに門の元へ走っていく。

『このまま攻めてこなければいいが…』と1人で呟く慧音であった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

〜秋の助、霞の家にて〜

 

夜になっても家の前を離れない青群。

 

流石にご飯は食べて!と、おにぎりを渡す霞に礼をして食べだす。

 

そのまま青群のことを心配しつつも眠りにつく2人だったが、明け方結界に反応があり、すぐに駆けつける。

 

そしてそのにいたのは一匹の妖狼の首元を掴み、握り潰している青群とジリジリと彼女へと迫る大量の妖狼達。

 

 

「2人とも家の中、楓の元へ。ここは私が食い止める。」

 

「あ、あぁ!よろしく頼む!」

 

「青群…ありがとう!」

 

 

秋の助と霞がそう言って家の中に入るのを少し穏やかな顔で見送る青群だったが妖狼達に改めて向かい殺気を放つ。

そんな青群に少し怯えるがリーダーらしき狼がガゥ!と鳴くと一斉に彼女へ迫ってくる。

青群はふぅ、と1つ息を吐く。

 

 

「『縁の下の大鬼』縁下 青群!いざ尋常に参る!」

 

 

 

迫り来るは終わりの見えぬ妖狼の群れ。対するは1人。

妖怪の山の鬼、縁下 青群。

一目散に彼女に迫る妖狼の目に映るは急接近をする青群、一番前を走る狼の頭を破壊しながら彼女の拳は突き抜ける。

足を止める狼達は青群を囲う。その様子に青群はニヤリと笑みをこぼす。

 

 

「さぁ、かかってこい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって里の中。

門の前に作られた柵は今にも突破されそうであり、自警団は門の前へと構える。

狼達が通れる道は正面の門のみ、里の被害を最小限にするために自警団は門の前に殺到しているのだ。

しかし、その計画はいとも簡単に破られる。

 

 

「うわぁぁ!里の囲いから妖狼達が入ってきたぞ!」

 

 

里の囲い、つまり全方面から里を攻める妖狼達、それと同時に柵を破り門から迫る妖狼達に陣形を崩される自警団。

 

 

「ぼさっとするな!何人かで隊を組み討伐に移れ!」

 

 

当然の慧音の声に『はい!』と返事をし動き出す自警団。

撃破は出来ているものの減ることのない妖狼達。

彼等と妖狼達との戦いは夜まで続いている。

空にはいつの間にか綺麗な満月が登っていた。

 

 

「満月か…」

 

 

慧音の頭からはいつの間にか2対の角が頭からは生えている。彼女はワーハクタクという人間と白沢の半妖である。

身体能力の上がった慧音は次々と妖狼を倒していくがそれでも尚減ることのない妖狼。

 

 

「ぐっ…」

 

「おい!」

 

 

近くで妖狼からの攻撃で自警団の1人が怪我を負う。

その顔には諦めの目があり、周りの人たちにもその目が現れ出す。

 

 

 

「もう無理だ。こんなの勝てっこない…」

 

 

1人がそう呟くとその発言は周り全体へと広がる。全体の指揮は下がり、里は妖狼に押され出す。

所々で自警団が膝をついて自身の死を待つ。

 

 

 

 

「お前達諦めるな!!!」

 

 

突然の声に慧音の方を向く自警団、そして男達。

 

 

「私達の戦う理由はなんだ!今いる皆を守る為!生まれてくる子達の未来を守る為では無いのか!

その気持ちが妖狼の進撃如きに負けるのか!?

さぁ立ち上がり…戦い続けろ!!!

私達の未来、守りたい者のために!」

 

 

慧音が放った言葉は皆の指揮を再びあげる。

妖狼たちの勢いは元に戻るが押される様子は無い。

それでも戦い続ける人達、その目には消えぬほどの闘志があった。

 

 

1人は家で待つ妻の為、1人は生まれる時を待つ未来の子の為、また1人は育ててくれた里を守る為それぞれの思いを胸に怪我を負っても尚戦い続ける。

 

 

慧音もまたそんな者達のために戦う。しかし、流石の彼女も長く続く戦いの疲れが現れる。それを見逃す狼ではなく、一斉に慧音の元へ迫る。

 

 

「くっ!まずい!」

 

 

慧音は迫り来る大量の狼に重症、死を覚悟する。

 

しかし、狼の攻撃は全て慧音の前に現れた者に当たる。所々を噛みつけられ、腹に突進をくらって尚倒れることはなく、片手で噛み付く狼を掴み、握りつぶす。

そしてそのまま目にも止まらぬ早さで両拳を近くに居た狼達へ打ち込む。

向かってくる狼に対して前足を掴みそのまま地面へ思いっきり投げつける。

 

辺りは血に染まりその中心に立つ者は群青色の羽織を血で濡らし、髪は血色が混じり、紫と言うよりも黒に近い色に変色している。そして血の滴り落ちる白色の片角。

 

 

そんな光景に慧音は勿論、周りの人達も唖然とする。そしてそれは次の瞬間大きな歓声へと変わる。

 

 

『お…鬼が加勢に来てくれたぞぉ!』

 

 

誰かか発した言葉に辺りの歓声はより一層大きくなる。

 

 

「せ…青群…。」

 

「お前…慧音、半妖だったのか。

 

あの2人と楓に関しては心配はいらない。里の民家へ預けておいた。

 

 

あぁ…なんで来たのか?私達の家に来た妖狼達は全員殺しておいた。…あの家の周りは今は見ない方がいい。

 

 

…。

 

 

あの2人がどうしても里を守って欲しいと言って聞かなくてな。

自分達は死んでも構わないからと言われたため、私も折れて楓共々担いで来てやった。」

 

 

青群の言葉に慧音の視界が歪む。それは潤んだ眼球によるもの。

自分達が追い出した2人が誰よりも里の事を思っていたのか、そう思うと申し訳なさで涙が止まらなかった。

周りの自警団も同様である。

 

 

「さぁ人間達よ。泣いている暇はないぞ!このまま妖狼立ちを追い返すぞ!」

 

 

青群はそう言うと慧音を含め自警団達は先程よりも一層闘志を燃やす。

希望の光が見えたのだ。

 

青群は妖狼達の群れへ突っ込んでいく。

妖狼達も応戦しようとするが1匹は体を拳に貫かれ、1匹は頭をそのまま握りつぶされる。

 

それでも尚向かってくる妖狼達。

 

青群は1度足に力を込めそれを垂直に解き放ち、上に飛び上がる。

それにつられて妖狼達も飛び上がるが、先に飛び戦闘態勢に入った青群に横っ腹を蹴られそのまま肉片になって地面へ落ちる者、両手で頭を捕まれそのまま地面へ思いっきり叩きつけられる2匹。

 

青群の周りの狼達はみるみるうちに数を減らしていく。

 

そしてざわめき出す周り、青群の視線の先には普通の妖狼の5倍近い体を持つ個体。

その登場に妖狼達の勢いも増す。

 

 

「あれがリーダーだな…。慧音、少しの間チビ狼達の相手頼めるか?」

 

「あぁもちろんだ…。決着つけて来い!」

 

 

慧音の言葉に後押しされ、妖狼のリーダーの元に歩いて向かう。

そして目の前に来ると互いにじっと見つめ合う。

 

 

ザッ!

 

 

先に動き出したのは巨狼(妖狼のリーダー)、彼は青群の右腕をもぎ取ろうと大きな口を開けて迫る

その口は確かに青群の腕を捉えた。

 

しかし、次の瞬間巨狼は口から血を吐き出す。

 

青群は右腕を口の中に入れられた瞬間、巨狼の舌を根元から握りつぶしたのだ。その青群の腕にも巨狼に噛まれた跡がくっきりと残っている。

 

巨狼は舌を失っても尚青群に迫る。

 

そして彼の口が青群のすぐ前に迫り、首ごと喰いちぎろうとさらに口を開ける。

青群はそれを避けようと飛び上がり彼の胴体の地点で下に拳を放つ。

 

 

ドォン!!!

 

 

巨狼は地面に叩きつけられる。

 

それでも立ち上がり再び青群に向かい足を動かす。

青群は近くに落ちている自警団の物らしい木の槍を片手に巨狼へ狙いを定める。

そして彼女の腕から放たれた槍は巨狼の左目を貫通する。

 

しかし、彼の勢いは止まることなく青群の左腕を食いちぎり、そのまま腕をポイッと地面に起き捨てる。

 

そして、次は止めだと言わんばかりのスピードで青群の頭目掛けて飛び上がる。

巨狼が目の前に迫った瞬間…。

 

 

 

巨狼の頭は『不自然』に青群の右側へ曲がる。まるで何者かにそうされたように。

 

 

 

その逸れた巨狼の首に残る右腕を回す青群。

巨狼は何とかして脱出しようとするが鬼の力には叶わない。

 

 

「『私は本当に運がいい。』

 

ふぅ…妖狼…。

 

確かにお前達は知恵があり、優秀なお前がいた。だからこそ貧弱な身でここまで出来たのだろう…。

 

だがな…私は意外と人間という種族を非常に気に入っていてな。お前達が人間を襲うというのなら私は全力でお前達を倒そう。」

 

 

青群は腕に抱えた巨狼を思いっきり上にぶん投げる。

投げられた巨狼は胴体への一撃、左目に刺さる槍、握り潰された舌、それでもなお動いた体は言うことを聞かずそのまま地面へ落ちていく。

 

そこに待ち構えるは右腕を構える青群。

巨狼は諦めたように目を瞑る。映る景色はいつの日か仲良くじゃれ合う仲間たち。

そんな巨狼の目元の毛は濡れていた。

 

『いけぇ!』

 

そんな言葉が所々から聞こえる。

 

 

バァン!!!

 

 

青群の拳は巨狼の胴体へ放たれ、彼はそのまま吹っ飛び門をぶち壊す。

 

巨狼の元へ近づく妖狼達だったが彼はもう息絶えており、妖狼たちの勢いが一気に止まる。

 

自警団はその隙を見逃さず各個撃破していく。

そして夜が開ける頃、里には生きている妖狼は1匹もいなかった。

 

 

「俺たちの勝利だ!!!」

 

 

自警団の隊長がそう叫ぶと辺りのは完成に包まれ、民家から人がぞろぞろと出てきて互いの命を確認し抱き合い、涙する。

 

青群は地面に落ちていた自身の左腕を広いしばらくの間接続部を押し付け放置する。

するといつの間にかくっついており、自身の再生力に驚く。

 

そして、人込みの中から慧音を見つける。

 

 

「終わったな…妖狼達のほんの一部は逃げたが里を守れたんだ…。」

 

「あぁあの数ではどうすることも出来ないだろう。この羽織洗わないとな…。」

 

 

互いに声を掛け合う慧音と青群。2人は顔を見て笑い合う。

 

 

「なーに、笑っているんですか〜!私も混ぜてくーださい!」

 

「あはは…みんな無事でよかったです。」

 

 

そう言って現れる霞と秋の助に抱きつく慧音。その目には涙が流れており、何度も『ごめんな…』と呟いていた。

対して2人は顔を穏やかにして『大丈夫ですよ』と慧音の頭を撫でる。

 

 

「というか青群!感謝してくださいよ!私達の御札のおかげで里の人達は守られたんですよ!」

 

「いや、私関係無いし…助けて欲しいと言ったのは2人だろう?なぁ、楓。」

 

「うー。(コクリ)」

 

 

霞は『楓に聞くなんてずるいです!というか今頷かなかった!?』と落ち着きがなく、その頭に手刀を加える秋の助。

そうして4人は笑い合っていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

翌朝、里の人達は総出で死体と血の片付けをしていた。勿論、霞、秋の助、青群も参加をしていた。里に重症者は出たものの死者は出なかった。

しかし、民家は所々壊れ、門と囲いは完全に破壊されていた。その他にも被害は沢山あり遠分は復旧作業だなと思う青群であった。

 

 

そして夜、青群達は里の人達から宴会に招待される。霞はこれに対して大喜びし、秋の助は何度も礼をしていた。

そして宴会会場に着くと様々な人達からお礼を言われる。何度も杯にお酒を注がれる。

青群はやはり薄いと思いつつもそれを一気に飲み干す。

 

 

「羽織綺麗になったな。

青群…今回は本当に助かった…ありがとう。」

 

 

いつの間にか横にいた慧音は青群の杯に更に酒を入れる。青群は『お礼ならあの2人に言ってくれ』慧音の杯にも酒を入れる。

2人は賑やかであるこの一瞬を楽しむのだった。

 

 

「ところで青群、その羽織に描かれている花は何というんだ?」

 

「あぁこれか…。実は私自身知らないんだ。でも記憶に色濃く残っていてな。」

 

 

慧音はその回答にあまり納得のいかないようだが、青群はそれを流す。すると、酒瓶を2本も持った霞が現れ、その後からは秋の助がいた。

その2人は慧音と青群をしっかりと捕まえる。

 

 

「逃がしましぇんよォ!」

 

「完全に酔っているな…霞…」

 

 

慧音が霞に呆れ顔でそう言うと「酔ってましぇん!」と頭を横にブンブンと振る。

秋の助は酔いが浅いのか霞を引き剥がそうといているが彼女の力の方が強くビクともしない。

そんな2人を見て青群は笑い、それにつられて4人も笑い出す。

 

 

「ふぅ…ところで秋の助。里に戻る気は無いのか?今回の1件でお前達が戻っも誰も何も言わないと思うが…?」

 

「あぁ…その件ですか…。

まぁ…なんというか…えっとですね。

僕達あの暮らしに慣れちゃったみたいでして…。

楽しいんです今の暮らし、霞が居て、青群が居て、楓が居る。それだけで十分なんですよ。」

 

 

慧音は今回の事で里の人達は2人が戻ってくることに何も言わないだろうと思っており、2人も危険な暮らしから抜けられるだろうと考えていたが2人はそれを拒否する。

食料を届けに行った際の2人の楽しそうな顔を見てその意見に納得する。

 

その時に霞が『私はぁ、慧音しぇんしぇいと一緒にいる時も楽しぃでしゅよ〜』と言ってくるため涙を溜めながら霞の頭を思いっきり撫でてやる。

霞は『痛いでしゅよ〜』と言っているが顔をは綻んでおり、秋の助は『相変わらずすぐに泣いちゃうなぁ…』と言ったため慧音からの頭突きをくらう。

 

そんな光景を目の前にし酒を飲む青群。その腕には秋の助から預けられた楓を抱き抱えて居る。

 

 

「お前の親は落ち着きがないな…楓。でも私はあいつらのそんな所が好きなんだ…。どんな事が起ころうと他の人のために頑張るあいつらがな…。

お前も将来そうなってくれることを祈っているよ。」

 

 

楓はまだ青群が何を言っているかは分からない様だったが満面の笑みを見せてくれた為、『大丈夫だろう』と青群は独りで頷く。

 

青群は宴会で出された食べ物はあまり食べていないがお腹は満たされていた。

霞は青群を見つけて『青群も飲みましゅ!』と杯いっぱいに酒を入れる為、青群はそれを一気に飲み干す。

すると霞は笑顔になって青群に抱きつく。

 

 

「ほら霞、母の変わりように楓が驚いているじゃないか。」

 

「どんなに変わっても私を認識してくれる楓ちゃんだいしゅき!」

 

 

青群は今の霞に楓を預けては不味いと思って秋の助の元に預ける。そんな楓に釣られるように霞も秋の助の元に向かう。

そして楓を抱える秋の助と霞、それを見守る慧音と言う図が出来上がる。

その光景を見ながら飲む酒はなんだか萃香の酒よりも濃く感じた。

 

ただ宴会の途中で慧音に言われた言葉が心に残っていた。

 

『最近、鬼達は人間を攫わなくなったらしいぞ?』

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

翌朝、殆どのものが二日酔いで倒れていた為復旧作業は青群も手伝っていた。

その隣には霞と秋の助がおり、秋の助はともかく霞…お前は大丈夫なのか…と思う青群。ちなみに慧音は家で楓を預かっている。

木材を1人で運ぶ青群に『鬼の姉ちゃんすげぇな!』『鬼様、助かるよ』と人間達が声をかける。

 

青群もそんな声に応えようと体を動かす。それでも復旧までにはかなりの時間が掛かりそうだな…と思うのであった。

そんな青群の元へ1人の自警団が向かってくる。

周りは何事だ?とざわめき出す。

 

 

「青群様!門の前にて1人の鬼が『青群のねぇさんはいねぇか!』と必死の形相で来ております。」

 

「何!?分かったすぐに行こう。」

 

 

青群は走って門へ向かう。そこに居たのは山の鬼であり、その顔は汗ばんでおり事情を聞く。

 

 

「何があった!?」

 

「あぁ青群のねぇさん…。り…凛蝶さんが死ぬかもしれねぇ!!!急いで山に戻ってきてくれ!」

 

 

鬼の言葉に顔が青ざめる青群。そして、もう一度聞き直すがその現実は変わらない。

次の瞬間、鬼の肩を掴み、『どういう事だ!』と肩を揺らす。

しかし、鬼は『来たらわかりますから!早く!』と青群を急かす。

 

 

「分かった…里のもの達に伝えてすぐに向かうためお前は先に戻れ。」

 

 

青群の言葉に鬼は少し納得のいかない顔をするものの『はい!』と返事をし走って山に戻る。

青群もすぐに霞、秋の助の元へ向かう。

2人も彼女の必死の顔を察したらしく真剣な顔持ちになる。

 

 

「同族の身内に何かあったらしい…。契約途中で悪いが戻らせてもらえないか…?」

 

「なーに言ってんですか。私達はいつでも青群さんの味方ですよ。

 

 

そして…家族です。

 

 

早く行ってくださいな!あ…あとお土産あったらいいなぁ…なんちゃって?」

 

「アホかお前は…

 

 

青群いつも僕達は守られてばかりなんです。

 

こんな時くらい貴方の役に立たせてくださいよ。

あと僕も貴方のこと家族だと思っていますから。」

 

 

必死の顔だった青群は2人の言葉を聞き落ち着きを取り戻す。そして2人の頭を撫で『ありがとな…勿論私も家族だと思っているさ』と言って立ち去る。

 

2人は最後まで彼女に手を振っていた。

 

 

「さぁ!皆作業を続けるよ!

次に青群が帰ってきた時にびっくりさせられるほどにしよう!!!」

 

『おぉ!!!』

 

 

霞の言葉に里の人達は先程以上の動きを見せる。それほどまでに青群に感謝し、好いていたのだ。

 

 

 

青群は慧音の家にいた。事情を聞いた慧音は『私の元に来るのはいいから、早く行け。』と言うが、腕に抱えてられている楓は『行かないで』と言っているようだった。

そして、青群は楓の頭を撫でる。

 

 

「楓…すぐに戻るよ。」

 

 

青群はそう言って慧音の家を去り、山へ向かう。途中で門番に『行ってらっしゃいませ!』といまれたため手を振り返す。

 

 

「全く律儀なやつだよな…楓…。2人目の母といったところか?ふふ…。

良い母を2人も持って楓は幸せ者だな。」

 

「うー!」

 

 

慧音は楓にそう言うと楓はニッコリと微笑み返す。

 

 

そして、2人目となる親友の帰りを待つのであった。

 

 




巨狼

里を襲った妖狼達のリーダーの事を指す名名称。
普通の妖狼の5倍近くの大きさを持ち、知能も高く、身体能力も桁違いに高い。
何よりも怖いのは執着心であり、1度狙った獲物は自身がどんなに傷付きようと立ち上がり戦い続ける。
その執着心は青群の左手を食いちぎるほどのものであった。(青群の慢心もその要因であったが…)

里の襲撃の際に駆けつけた青群に殺されるが、群れの妖狼はまだ少し残っているらしいが、その量は元の量の1割程度だ。
巨狼の首は現在里の門に吊るされており、それ以来、妖狼が現れることはなくなった。







最後まで読んでいただきありがとうございました。

なんだかんだでくっつく腕。なんかどこかの漫画で見たことがある気がします。どこだろう?


前書きでも書きましたが今作地底のキャラは結構出ますが、地上キャラはあまり出ません。名前は出ていなくてそれっぽいのはいましたが…御容赦下さい。
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