無事に志望校合格を果たすことができました。
今まで以上に高校生活は忙しい毎日ですが、読者さんのコメントに支えられ、再び筆を取ることができました。
この18話からが本当の「ラブライブ!if」の始まりです。
二期と共に、「ラブライブ!if」をこれからも応援していただければ幸いです。
昨日になってしまいましたが、真姫ちゃんお誕生日おめでとうございます!
「寒くなってきたし、そろそろ家に帰るか…」
よっこらしょという掛け声と共に腰を上げるユイト。
「ん?」
そのユイトの耳に、誰かが神社の階段を駆け上ってくる音が聞こえてくる。
「はぁ、はぁ、捜したニコ…」
「にこ先輩?」
その正体は、これまでになく真剣な面持ちのにこであった。
「大変よ!ことりから連絡があったんだけど、今度の学園祭で見学者人数が増えなかったら……もう廃校が完全に決定だって…!」
にこがユイトに告げる。
「なん…だと…」
すぐにユイトは学園祭までの日数を指を折り計算する。
学園祭までは後一カ月。その間に新曲を作り、ダンスを覚え、完璧に仕上げなければならない。学園祭ライブは、この間のように簡単には行かない。彼女たちにできるだろうか…。
「ユイト、あんたは明日までに新曲の歌詞書いてきてちょうだい、明日には真姫に作曲を
頼むから、それから学園祭までは猛練習よ!」
「いや僕の体持ちませんからねそれ、まあ頑張りますけど」
いや、大丈夫だろう、彼女達ならできる。μ’sのために、音ノ木坂のために、ユイトは一肌脱ごうと決意したのだった。決して卑猥な意味ではない。
「…だがしかし、いざ書くとなると思いつかないな…」
指先でペンを何回まわしたことだろうか。机に向かってユイトは悩んでいた。
学園祭を見に来る子たちに、何を伝えればよいのだろうか。
どうやったらμ’sのみんなの気持ちを伝えられるだろうか。
ユイトは、あの神社で初めて三人と出会った。そして1stライブ。
真姫と出会い、にこと出会い、花陽と出会い、凛と出会った。規模は小さかったけれども、2ndライブを成功させた。
未来を信じて前に進み、決して諦めずに悲しみを乗り越え、新しい絆を紡ぎ、μ’sは七人になった。そしてμ’sのみんなは、夢を与えてくれた、小さな勇気を与えてくれた。
「…そんなの…簡単なことじゃないか!」
ユイトの部屋は、朝までカリカリとペンが紙を滑る音が響いていた。
「お、おは、よう…」
「…風間君大丈夫?」
登校途中、珍しく高坂さんに会った。
「徹夜した。サンダーブレーク!…それは鉄也…」
「…何言ってるの?」
「高坂さん、新曲徹夜して書き上げましたよ…」
「へ!?…学園祭の?」
「そうそう」
「仕事早っ!!」
「いやまあ頑張ったんで」
「…どうして、風間くんはμ'sのためにそんなにがんばってくれるの?」
「ファッ!?」
「もしかして…好きな人とかいるんでしょ〜」
「いや違いますて」
「怪しいな〜」
「ちょ…やべホームルームまであと十分だ!」
「風間くん走るよ!」
新曲のタイトルをまず決めなければ。『僕と君のライブ』
なんか違うな……。『音ノ木坂春景色』うん、おかしいな。
「風間!(5)の答えは何だ?……風間!」
「は、はい?」
そういえば今授業中だったということに気がつく。我ながら素晴らしい集中力だったと思うが、その分全く話を聞いていなかった。急いで教科書の問題を目で追う、のだが、
「分かりません!」
「胸を張って言うな!」
何やら担任の安田先生、英国風に言うとMr.Yasudaが怒っているが、気にしない。
しかし、タイトルが思いつかないな。時間がないだけになおさら。
チラッと海末の方を見ると、海末もこちらを見ていた。
何故か深くため息をついている。海末は優等生である。よって後でノートを見せてもらうことにした。
「海末さん、ノートを拝借しますよ」
「え!?あ、いいですけど…」
ほとんどが部活(帰宅部も含む)でガラガラになった放課後の教室で、俺は海末に全く授業を聞いていなかった数学のノートを写させてもらう。
「ユイトは一体授業中何をしていたのですか!?」
海末がそんな俺を嗜める。
「そう怒りなすんな。もうすぐ学園祭、新曲のタイトルを思案していたわけです」
「そうだったのですか、みんなのために、ありがとうございます。でも授業はしっかり聞いてください!」
「了解です…」
まあ、授業は大事だよな、うん。
「そういう海末さんはいいアイデアありません?」
「そうですね……」
〜十分後〜
「思いつかん…」
「思いつきません…」
「『僕らのライブ』なんてどうだろう……理由は特に無い」
苦し紛れのユイトの一言、これが後に大センセーションを起こす曲の、タイトルの一部となることは、この時はまだ誰も知らない。
「そうですね…それなら私は『君とのライフ』がいいかと…音ノ木坂で新しいスクールライフを始めましょう。そして、夢を一緒に追いかけましょう。という意味を込めて」
「それいい!それにしましょう」
「ですが、何か足りなくて……」
海末がため息をつく。
「そうです!」
海末がポン!と手を打つ。
「『僕らのLIVE 君とのLIFE』でいいんじゃないでしょうか、いい感じに韻も踏んでますし」
「禿同です」とユイトも激しく同意する。
こうして、スクールアイドル史に名を残す名曲のタイトルは決まったのだった。(ユイト仕事しろ
「それじゃあ、私も練習行って来ますね!」
「生きて……帰って来いよ…」
「こんなタイミングで意味不明なフラグ建てないでください!」
そう言い残して、海末は颯爽と去って行った。
「海末さん、ちょっといい匂いしたな……」
いかんいかん。早く歌詞を書かなければ…。
「ちょっと失礼。貴方が風間ユイト君かしら……?」
作詞を始めようとした矢先、三人の少女が、俺一人しかいない静かな教室に入って来た。
あれ、彼女たち、この学校の制服じゃないな。しかもどっかで見たことのある顔だが…。
真ん中にいる身長小さめ系の少女が俺に向かって口を開いた。
「ねえ、貴方『A-RISE』のプロデューサー兼専属作詞家にならない?」
「あー、アライズのね、うん、はいはい、考えてみ……って…えぇぇぇぇ!?『A-RISE』!?あの⁉超有名な?」
「おい、あれアライズじゃないか?」
「本物!?」
「写メ写メ!!」
「あれ本物だよ!!」
「見てみろよ!」
人が集まり、廊下が騒がしくなっている。
「なにがあったにゃー?」
「何ですかこの人の多さは!?」
騒ぎを聞きつけ、μ'sメンバーも駆けつけている。
「もう一度聞くわ。貴方、『A-RISE』にプロデューサー兼専属作詞家にならない?私達は、貴方が欲しいの」
「え……?」