俺は音ノ木坂学院の風間ユイト。得意なことは俳句、毎年コンクールで入選している。
でもそれ以外は平均の、平凡な高校2年だ。
だがしかし、同級生に
スクールアイドルがいる……のだが、知名度は高くない模様…そんな音ノ木坂学院のスクールアイドル「μ's」が、ライブを行うというが…。
「ファーストライブ!?」
「ええ、ですから風間君に少し手伝ってほしいことがあって…」
学校に今日は余裕を持って登校し、まったりと読書でも楽しもうと思った矢先、
スクールアイドル「μ’s」の一人、園田海末が頼みごとがあると俺に話しかけてきた。
「詩を書くのを手伝ってほしいのですが…」
「詩!?」
「シーーッ!声が大きい!」
「園田さん、あなたがダジャレを言うとは…」
「…違います!とにかく、このことはことりと穂乃果には内緒にしていてください!」
顔を赤く染めて怒る海未が可愛らしい。
いつも落ち着いている、むしろ近寄りがたい印象の彼女のだが、以外とお茶目な所もあったりする。
「う、うん……でも、どうして俺に?」
「この間、学校の表彰の記録を見ていたら、2年連続で都の俳句コンクールで最優秀賞をとっていると…」
「ばれちゃいましたかー」
「正直意外でした」
意外とはまた失礼な……
「話は戻りますが、私がライブで歌う曲の
歌詞を書いているのですが、いまいちまとまらなくて…」
「でも園田さん、中学の時はポエムを…」
「なにか言いましたか風間君」
園田さん目が怖いです……
あれですか、黒歴史ってやつですか……
まぁ、人には言いたくない過去のこと一つや二つ、誰にでもあるよな……。うん。
「いえ、ナンデモアリマセンヨ」
「ここまでは書けたのですが...」
海末が歌詞が書かれた紙をユイトに渡す。
「『STARTDASH!!』?」
「ええ、私たちの出発の曲ですから」
「なるほど……」
書かれた歌詞に目を通していくユイト。
「タイトルなんだけど、こうすればこの歌詞の内容とピッタリになるんじゃいか?」
ユイトはタイトルのSTARTとDASHの間に
:(コロン)を書き足した。
「『START:DASH!!』?」
「:は、『なので、だから』っていう意味があるんだ。これを訳すと、『スタート、だから
走る』という意味になって、歌詞にある
夢に向かって行く力強さや、前向きさが、
より強調されると思うんだな……どう?」
「風間君、すごいです……
あ、そろそろ授業が始まりますから、
放課後も手伝ってもらってもいいですか?」
「お、おう」
かったりぃと思いながらも首を縦に振ってしまうユイトだった。ちょろい。
放課後
「やっぱりメンバーの名前は入れたいですよね、」
「じゃあ、はじめのところ、ことりの名前入れたらどうかな。
この流れだと、『うぶげのことりたちは、いつか空に羽ばたく』みたいな感じかな?」
「……なるほど!少しチャーミングな感じもして、ぴったりです」
「そう言えば、どうして風間くんは俳句を書く様になったのですか?」
その問いに無意識につい一瞬顔を曇らせるユイト。
「す、すみません……言いたくないことならば大丈夫です」
「いや、死んだ祖父が歌人でさ、少し教えてもらったんだ」
「そうでしたか、デリカシーが無くてごめんなさい……」
「いやいや、気にしないで、続き続き」
何も気にしない素振りを見せていたユイトだが、
やはり辛いものが一瞬こみ上げた。
「1番の最後は、『信じてるよ...だからSTART』だから、二番は『彼方へと...僕はSTART』よりも、『彼方へと
...僕はDASH』にして、タイトルと
対応させたほうがいいですね」
「…なるほど!」
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気づけば、もう空は紅く染まっていた。
「これで完成です。風間君、本当にありがとう」
「いや、別に……じゃあ、帰りますから」
照れ隠しか、早く帰ろうとするユイトに海末が声を掛ける。
「ライブ、見にきてくださいね」
「分かってますって」
その短い一言が、海末にとっては、
とても嬉しかった。
教室の窓から差し込む夕日が二人の頬を、紅く照らしていた。