一部加筆修正しました。
俺は音ノ木坂学院の風間ユイト。得意なことは俳句、毎年コンクールで入選している。
でもそれ以外は平均の、平凡な高校二年生だ。...が、最近はスクールアイドル「μ`s」に作詞の協力をしたりと、忙しい!?日々を送っている。
そして明日は、「μ`s」のファーストライブだが...。
普段はアニソンかフォークソングしか聴かないというなかなか偏った趣味を持っているユイトだが、
例のこともあり、スクールアイドルというのはどんな曲を歌っているのか、ふと興味がわき、
現在、某笑顔動画で、
今人気真っ只中らしい
「A-RISE」の動画を再生したり、
「ラブライブ!」のページを
開いてみたりしていた。ラブライブ!の現在の1位はもちろん、「A-RISE」である。
スクールアイドルって多いんだな、
と関心しつつ、順位表を眺めていると、
「……999位、『音ノ木坂学院アイドル部、μ's』だと!?」
なんと、999位にμ'sがランクインしていた。
そのころ……
「私はこんな衣装着ませんからね!」
「海末ちゃん……」
穂乃果の家に集まっていたμ`sの三人だが、どうやら海末がスカートが短い衣装を着たくないと言っている様子。
「だって、アイドルだから……」
海末の剣幕に、ことりもオロオロしている。
「海末ちゃん別に
足太くないから大丈夫だよ!」
「そういう問題じゃなくて!」
海末がため息をつく。海末も実を言うと海未着るのが楽しみ……いや、それよりも問題なのは、
「どうして二人だけで勝手に決めてしまったのですか!」
「だって...絶対成功させたいんだもん」
穂乃果が、真剣な眼差しで言葉を紡ぐ。
「歌を作って、ステップを覚えて、
衣装を揃えて、ここまで頑張ってきたんだもん!
3人でやって良かったって、
頑張って良かったって、そう思いたいの!」
そして、穂乃果が部屋の窓を開け、
夜の空に向かって叫ぶ。
「思いたいのーーーーー!!!」
完全に近所迷惑行為です。良い子はやめましょう。
「……私もそう思うな、3人で、ライブを成功させたい」
ことりも、その気持ちを海末に告げる。
「いつもいつも、ズルいです……分かりました」
そんな2人に、最後は折れてしまう海末であった。こちらもちょろい。
そのころ……
「μ'sにも票が入ってるんだな、
俺も清き一票をμ'sに入れてあげましょうかね」
これからの成長に期待しつつ、ユイトはμ'sの投票ボタンをクリックした。
いやしかし、こんな激しいアイドル同士の戦いの中で
20位以内に入れるのだろうか。やはり厳しいのでは無いか。しかし、次の彼女達のライブはきっと成功すると……
「思いたいのーーーーー!!!」
「……空耳ということにしておこう」……とてもナイスなタイミングで
誰かの声が聞こえた気がするが、気にしない。
「そろそろ寝るか」
明日は新入生歓迎会、そして、ライブだ。そんな事を考えているうちに、ユイトは眠りに落ちて行くのだった。
<歓迎会>
ユイトは帰宅部である、一年生に部活の紹介などはする必要がないので、真っ直ぐ講堂へ向かっていた。
「す、すみません…….講堂ってどこでしたっけ...?」
眼鏡をかけていて、ほんわかとした一年生(おそらく)に講堂の場所を聞かれた。
「俺も講堂に行くから、案内するよ」
「あ、ありがとうございます……」
人見知りなのだろうか、少し警戒した様子でユイトの後をついていく。
そのころ、講堂のステージで……
まだ閉まっている幕の後ろで、3人は
手を繋いでいた。
「ことりちゃん、海末ちゃん、
ファーストライブ、楽しもう!」
「うん」
「ええ」
お互いが繋いだ手の震えを感じている、しかし、互いに熱く脈打つ鼓動を感じることで、3人で1つになったような、そんな思いを3人とも感じていた。
緊張と期待がピークに達し、今にも胸が張り裂けそうな3人。
そして、幕が開く。
その向こうには.............
3人は言葉を失った。
誰もいないのだ。
全校の生徒の数の椅子だけが、ただ冷たく、
3人を見つめていた。
「そりゃそうだ……そんなに甘くないよね……」
穂乃果の頬を涙が伝う。
ことりも、海末も、涙をこらえることは出来なかった。
「どうして………」
海末の頭には、今までの辛いけれど、
楽しかった練習の風景や、
そして、共に詩をつくったユイト
との思い出が鮮明に思い出される。
それは穂乃果もことりも同じ。
悔しさで海末は拳をきつく握る。
海末にとって、もちろん誰も見に来てくれなかったことは
とても悔しかった。悲しかった。
ただそれと同じくらい、彼女にとって悲しいことがあった。
「風間君……約束したじゃないですか……見に来てくれるって……」
その時……
「あれ、ライブは始まってないんですか……?」
「確かにガラガラだな」
講堂に2人の「観客」が入ってきた。
「風間君!?来てくれたんですね!」
嬉しさに思わず顔がほころぶ海未。
「これじゃ貸切状態だな、まあ、最前列で見れるから
ラッキーってことだな」
場違いな呑気な発言をするユイト。
しかし、そんな彼の発言が、凍りついていた穂乃果の心を溶かしていく。
ユイトと花陽と呼ばれたその少女は最前列に座り、3人を見守る。
一瞬の沈黙の後、決意に満ちた表情で、穂乃果が顔を上げた。
「……歌おう!私たちを見にきてくれた、お客さん達のために、そして、
私たちを『始める』ために!
私たちは、
そのために頑張って来たんだもん!!」
穂乃果が涙をふく。
「そうです!」
「うん!」
「約束を守ってくれて……ありがとうございます」
海末は2人に聞こえないように、そう呟いた。頬を伝った涙はもう乾いている。
「「「μ`s ミュージックスタート!」」」
イントロが流れ出す……
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3人が歌い終えると、大きな拍手が起きた。
いつの間にか人が集まり、と言っても十人ほどだが、μ'sの3人の曲は、確かに彼らの心に響いていた。
ユイトの頬にもまた、無意識の内に涙が伝っていた。
しかし、それを拭うことなく、彼は詠った。
夜明け前 三つの花が かがやけり
最後にユイトが詠った 三つの花とは、霜のことで、水(水蒸気)の花が訛ったもの。六の花(雪)に対してつけられた名称です。
まだ太陽は出ていない夜明け前であっても、確かに三人は輝いていた。
そして、必ず夜が明け、太陽に照らされる時がときがくるはずだ。
そんな感じの解釈です。