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後半加筆修正しました。
俺は音ノ木坂学院の風間ユイト。得意なことは俳句、毎年コンクールで入選している。
でもそれ以外は平均の、平凡な高校二年生だ。
スクールアイドル「μ's」のファーストライブを見にいった俺だが、お客さんはあまりにも少なくて……。
それでも、彼女たち3人は歌った。
ライブは成功。感動するユイトだが……。
3人の歌、それは、ユイトにとっては、例えるとするなら幼少期神社の裏の林で初めて見たエロ本に負けず劣らずの衝撃であった。
学校を廃校から救うために、たった3人だけで、アイドルとして立ち上がり、
お客さんがどんなに少なくても、自分たちの気持ちを真っ直ぐに伝えようと歌う姿。
そして何よりも、自分たちの『好きなこと』に一生懸命な姿に、ユイトは何か懐かしいものを感じ。
心の中に、忘れていた何かが少し、蘇ってくるのを感じていた。
彼は2年前の夏、地区大会の決勝でマウンドに立っていた。
彼は注目の投手だった。強豪高校からスカウトマンが試合の度に駆けつける。
そして、彼は野球というスポーツそのものが大好きだった。
運動神経は人並みだが、その分、努力は人の2倍、3倍した。
チームは順調に勝ち進み、地区大会の決勝、これに勝てば、県大会の切符が手に入る。全国大会を目指している
ユイトたちにとっては、まだまだ前哨戦にすぎなかった。
しかし、相手も必死だった。
5回の裏、調子が上がらず、苦しんでいるとき、それは起きた。
キャッチャーのサインはスライダー。
ユイトは斜めに切るように、腕を振ってボールをリリースした。
その瞬間、彼は、猛烈な腕の痛みに襲われた。
日々の練習で負担をかけ過ぎたのか、靭帯が真っ二つに裂けていた。
交代した投手も打ち崩され、結局チームは負けた。
ユイトも、当分ボールを投げることができなくなった。
沢山の想いを背負った分、
自分がのうのうと生きていることに罪悪感を感じていた。
そんな時、俳人である祖父に、俳句を教わった。彼からは多くのことを学んだ。
彼はみるみると上達し、大会では入賞常連者となった。
しかし、その祖父もまた、高校に入ると同時に、他界した。
多くのものを失い、意識せずとも心に穴が空いていたユイトだが、3人の姿を見て、昔の純粋に好きなことを貫き通す姿を、そして、ひたむきに努力をする姿を、少し思い出したのだった。
ユイトが感傷に浸っている間も、
周りの拍手が鳴り止むことはなかった。
しかし、その拍手も響いてきた足音によってピタリと止まった。
「「「生徒会長!?」」」
驚く3人。
そこには、厳しい眼差しの、生徒会長
絢瀬絵里の姿。
「あなたたち、これからどうするつもり?」
客の入りは無いに等しい、そのことを生徒会長は問う。
「続けます!」
「なぜ?これ以上続けても、意味がないように思えるけど」
容赦のない追求。
「今、私、もっともっと歌いたい、
踊りたいって思ってます。きっと、海末ちゃんもことりちゃんも同じ」
スクールアイドルも、廃校を止めることも、彼女たちにとって決して義務ではない。
しかし、彼女達はやりたいのだ。
みんなのために、自分たちのために。
そんな思いをもった穂乃果の言葉が、講堂に大きく響きわたる。
「私たち、こんな気持ち始めてなんです!この気持ちを、私たちの思いを、みんなに届けたい!」
そして、彼女は言った。
「いつか、ここを満員にしてみせます!」
また一つ、彼女たちに、夢が生まれた。
三人の目は、まばゆく輝いていた。
これが……スクールアイドル……。
いと、をかし…。
ユイトは静かに席を立つと、講堂を
後にした。