「ここからは、反撃ののろしだ」
『BBBBBBBBBBBBoost!!』
『Transfer!!』
その場にいた峰田と蛙吹、そして他のゾーンに飛ばされたクラスメイト達や相澤と13号に出久から飛ばされた光に当たると個性の力が一気に上昇し、不思議と恐怖を感じることはない。むしろ安心と自信が湧き上がってくる。だがこの場にいた峰田はまだ不安を覚えていた。
「な、なんだこれ!?てか待てよ!何がのろしだよ!オールマイトブッ倒せるかもしれねー奴がいるんだろ!?」
「あぁ。けどそれは俺の『切り札』なら阻止出来るんだ。時間制限があるけどな」
出久が言う『切り札』は覇龍のことである。それならばOFAを100%使用出来る。いや、『それ以上の力』が使用出来る。
「緑谷ちゃん、それは本当なの?」
「あぁ」
蛙吹の疑問に、自信のある顔で頷く。そして出久は2人にここを脱出する作戦を伝える。
「まずはここの脱出だ。昨日の反省会で皆の個性を聞かせてもらったから伝える」
出久の言葉を不安に思いながらも2人は答える。
「分かったわ」
「お、おう!」
***
水面に顔を出していた敵達は中々出てこないことにイラつき船に攻撃を仕掛けようとする。その時峰田がやけくそ気味に頭のもぎもぎを投げ付ける。
「うわあああぁぁぁぁ!!!!!!」
「ケッ、やっぱガキだな」
それに最初は驚きはしたもののやけくそと判断した敵達はもぎもぎに触れないように行動をとる。それを見た出久はすぐに合図をする。
「梅雨ちゃん!今だ!!」
「分かったわ!」
「うわああああああああぁぁぁ!!??」
「は……?」
敵達は蛙吹達の行動に呆気をとる。それは何故か。蛙吹と峰田が空中に飛んで行ったからである。さっきの出久の譲渡でさらに跳躍力が上がった為かなりの高度まで飛べていた。そしてその隙を出久は見逃さなかった。
「特大のものだ!!イッケェェエエエ!!」
『DRAGONSHOT!!』
出久は特大のドラゴンショットを水面に撃ち放つ。そして水中で爆発し、水は中心に戻ろうとする。それで必然的に水中にいた敵達は巻き込まれていく。そして峰田は飛んでいる途中でももぎもぎを投げ続けていた。そして峰田が投げたもぎもぎに身動きが取れなくなり一塊になる。すぐに翼を羽ばたかせて飛び、蛙吹達を回収する出久。
「二人とも凄いわ。とりあえず第一関門突破ね」
***
一方、勝己が飛ばされた場所では文字通り一方的な蹂躙が行われていた。
「これで終わりだ!」
「ぎゃああああ!!」
勝己は最後の敵を調整された爆破で気絶させる。一緒に切島もいたが二、三人を相手しているうちに勝己が他の敵全員を無力化していた。
「っし…って早っ!?爆豪お前早すぎだろ!?」
「こんなの簡単だわボケ。さっさと次行くぞ。他の奴らが心配だがデクが何とかしたはずだ。それに俺達だけで対処出来るなら他の奴らも出来るからあまり気にしても意味はねぇ」
そんな勝己の説明に感心する切島である。
「ほぉー…やっぱおめぇすげぇな。それに緑谷のことすっげー信頼してんだな」
「ハッ!昔から努力をし続けたアイツがこれくらいで心配する程やわじゃねぇんだよ。さっさと次行くぞ!」
「おう!」
そう言って二人は元いた建物から出ていき、倒壊ゾーンにいる敵達を主に勝己が無力化しながら進んでいく。後に切島は出久や勝己に特訓をつけてもらうよう頼むこととなる。
2人は気付いていなかったが勝己には両肩、切島には右胸には龍を象った紋章がいつの間にか刻まれており、紋章は紅く輝いていた。
***
出久達三人は岸に近付き次の行動をどうするか考えていた。しかし出久は嫌な予感を感じ相澤の後ろに飛び出していた。それと同時に出久は数メートル殴り飛ばされる。
「緑谷!?」
「チッ……防いだのかよあいつ…チート野郎……」
(危なかった!嫌な予感がして一回の倍加で相澤先生の後ろにいた黒い奴の攻撃を防げたのは幸運だった!)
「緑谷!今すぐ逃げろ!!」
「ダメです!こいつの力自体がオールマイトと似ています!」
「なに!?」
それを言われた手を沢山付けてる敵がニヤリと笑う。
「へぇ……よく分かったな。こいつは対オールマイト用に作られた改造人間、『脳無』だ」
(やっぱりこれか!オールマイトと同じ力なのはかなり厄介だ……マジで使うしかないか!?)
「お前は早めに片付けた方が良さそうだ…やれ脳無」
「クッ!?」
敵の指示により出久に攻撃を開始する脳無。パンチはやキック、普通の攻撃であるがオールマイトと同じパワーであるため威力が恐ろしいことになっている。しかし出久は公園でオールマイトに特訓をつけてもらってた為何とか反応出来ているが防戦一方である。
「70%!『DRAGONSMASH』!!」
一瞬の隙をつき、禁手化の中で最高のパワーでスマッシュが決まる。がしかし、脳無はピクリともしていなかった。
「は……?グッ!!」
「残念だったな…そいつはショック吸収っていう個性持ってるんだよ」
殴り飛ばされながら敵の言葉を聞くが出久は嫌な予感を感じる。
「それと更には超再生っていう個性を持ってるからどんなにやっても無駄だよ」
「チッ…!」
出久は敵の言葉に舌打ちをしながらもOFAの出力を上げる。骨が軋む音を身体の中から感じるが、それを無視して脳無の攻撃を何とか相殺する。
「85%!『DRAGON LEG SMASH』!!」
ありったけの力を込めて脳無を蹴り飛ばす。距離が離れたのを確認し目を閉じ、神器の内部に意識を呼びかける。その瞬間、周りの空気が変わった。
「なんだ…?」
敵の疑問はすぐに晴れる。出久から恐ろしく感じるようなオーラが溢れ出す。そして出久の口が開く。
「我、目覚めるは」
『始まったよ』『始まってしまうね』
「覇の理を神より奪いし二天龍なり」
『いつだってそうでした』『そうじゃな、いつだってそうじゃった』
「無限を嗤い、夢幻を憂う」
『世界が求めるなら…』『世界が否定するなら…』
その姿は龍のそれと同じく、禍々しいものとなる。
「我、赤き龍の覇王と成りて」
『いつだって力でした』『いつだって愛だった』
『何度でもお前達は滅びを選択するんだな』
「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう」
『
溢れ出ていたオーラは鎮まるが地面には亀裂が走り、周りにいる者達は恐れていた。そんな中相澤はおそるおそる出久に聞く。
「緑谷…なのか?」
「はい。どうしたんですか?」
普通に答えた出久に周りが呆気をとる。無理もない。先程まで本当に死ぬかもしれないと感じていたからだ。
「お前、それは一体なんなんだ」
「奥の手ですね。時間制限付きで超えると寿命が縮みますが」
「……は?」
出久の言葉に固まる相澤。普通に答えられてさらにはデメリットの酷さを言われたらこうなるのも分かる。
「チィッ!!イライラする!!やれ脳無!!」
敵は苛つき、脳無に指示をする。その時敵の横を脳無が横切り、後ろの壁まで吹っ飛び、埋まった。
「フルカウル、『150』%」
出久は拳を突き出してそう呟いていた。拳からは殴ったせいか煙が出ている。
「は…?オイオイ!?なんなんだアイツはよ!!」
「死柄木弔、無事ですか!?」
そこにワープの個性を持った黒いモヤの敵が戻ってきた。
「最悪だ!!オールマイトは来ないし生徒に邪魔されるししまいには対オールマイト用の脳無をやられるしよぉ!!!!」
「なんですって!?」
「全ての計画がパァだ!!『あいつ』こんなチート野郎がいるってこと知らされてなかったぞ!!」
「『あいつ』……?」
「仕方ありません…撤退しましょう」
「チッ!!おいてめぇ!!てめぇはオールマイト殺した後絶対殺してやる!!」
敵達はその捨て台詞を言い残し、脳無を回収せず個性を使って撤退していった。それを見た出久は覇龍を解除し膝をつく。たった少しの時間でさえかなりの体力を消耗してまった出久だがなんとか立ち上がる。それを見た相澤はさっきの出久が言ったデメリットが本当なんだと理解する。
「緑谷、お前…」
「俺は大丈夫です…!それよりも他の敵達を!」
「…後で説教だ緑谷!」
そうして相澤と緑谷達は他の敵達を捕まえに行く。途中爆豪や飯田の知らせを受けて走ってきたオールマイトも合流し早くも敵達は捕まえることが出来た。しかしこれは、理由なき悪意との戦いはほんの序の口なのであった。